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夜天の主 編
第一回大切なことを決める会議!②
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「ま、いっか。アイリスがね、貴方のこと好きなのよ」
メアリの言葉にコウイチは腕組みをして天を仰ぎ見た。真新しい鈍色の天井が視界一杯に広がる。
今頃は南の島でバカンスを楽しみながらタマモとミドガルズオルムにしごかれてるんだろうなぁ、アイリスのヤツなんて羨ましいんだ、と若干の現実逃避をしていた。
アイリスはコウイチとハクがこっちの世界に来て初めて会った人種だ。金髪碧眼の長い髪が魅力的なエルフで、容姿は読者モデルやタレントとかしていても遜色はない超が付くくらいの美人さんだ。体躯は細身、身長はコウイチよりも少し高いくらいで長身という訳ではない。胸は同じエルフのメアリと比べるとかなり小さめだが、手に収まるくらいで丁度良さそうなサイズで揉んだら絶対に気持ちいいと思う。お尻は小尻で触り心地はすべすべでずっと撫でていられる気がする……触ったことはないから想像だ。性格は拾った責任と言って行き場のないコウイチとハクの面倒を見てくれるほどにすこぶる真面目で学校でよくある役職に当てはめると委員長という感じだ。腹の探り合いや駆け引きは少し苦手そう。武器は片刃の剣を好んで使い、火属性の魔法が得意。
そんな真面目を絵に描いたようなアイリスがコウイチの事を好きだとメアリは言ってのけるのだ。
「そんなバナナ」
一同の冷たい視線がコウイチを貫いた。
「この状況でよくそんなセリフが吐けたもんだ。ウチのボスはバカなのかアホなのか……どっちかだぜ」
「いえ、そのどちらもでしょう。ついでに色魔と女の敵も追加しておいた方がいいと思います!」
ヴァドスとミリアが部屋の隅っこで落胆する姿が視界の端を掠めた。
「貴方の目にあの子がどう映ってるか分からないですけれど、あの子って男性が苦手なんですよ。この際ですから話してしまいますが――」
そう言ってメアリはアイリスとの昔話を唐突に話し始めた。
美人の二文字が似合うカッコ可愛い系女子であるアイリスの幼少時代は、それはもう目に入れても痛くないくらいに愛らしい幼女だったそうだ。誰もが口をそろえて村一番の可愛さだと称した。メアリもアイリスの可愛さを認めていたらしい。村一番というほど可愛ければ同世代の男の子に虐められるのは当然至極。結果としてアイリスは男の子に対して知らず知らずの内に苦手意識を覚え、関わろうとしなくなっていった。
「そんなアイリスが何処の馬の骨かも分からない男を自分の船に止めると言うのですよ? いくら金の卵を産むガチョウだからと言っても通常の感情ではないのは明白です。だって、囲うだけであればその辺のホテルなり、ウィークリーマンションなりを借りればいいだけの話なんですよ?」
「お金が無かったとか?」
「それはありえません。今現在のあの子の資産はゆうに百年は遊んで暮らせるくらいありますから」
「ひゃく……ねん!?」
「わたしが資産管理をしていますから間違いありません。現金だけでも五十年以上は遊べます。所有している船は職業柄消耗品扱いだとしても、あの子の持っている土地や島は将来的資産価値が高いものですから、十年後には数十倍の価値になる予定ですしね」
「…………」
メアリがアイリスの資産管理をしている件については横において置くとして、メアリの口から飛び出た信じられない事実にハク以外のメンバーが口を半開きにして瞬きするのを忘れてしまうほどだった。ハクは一人、頭の上にクエスチョンマークを浮かべて説明を求めるかのようにコウイチの袖を引っ張る。
「ハク、簡単に言うとな。アイリスは一生俺たちの面倒を見てくれるってことだ」
「わかった!」
ハクが納得したように満足げな笑顔を浮かべた。
部屋の隅にて、
「ロクデナシも追加しましょう」
「間違いねえな」
仮にアイリスが本当にコウイチの事が好きだったとしてもその本人はこの場に居ない。どれだけ議論や推測を並べてもこれ以上の進展は見込めないのは明白だ。
今考え、決めなければならないのはメアリのことである。
「まあ、居ないやつのことは保留にしておいて……メアリのことなんだけど」
こいつ最低だ、と部屋の隅っこだけでなく、メアリからも向けられたドン引きする視線を無視してコウイチは自身の身勝手な思いの丈を語り始める。
「ぶっちゃけ、メアリに興味本位って言われた時、めっちゃ嬉しかった」
「はい? 好きとかそういうのではないかもしれないのですよ?」
「別にいいよ。メアリみたいな可愛い子に興味を持たれただけで男の子としては嬉しいんです! 打算でも利用価値でも何でもいいんだよ。だって、普通ありえないでしょ。こんなに可愛い子が傍にいるっていう状況が!? 普通だったらそれだけでも十分だよ。でも、打算と利用価値がそれ以上を望ませてくれるんだろ? なら受け入れるに決まってるじゃん!?」
年頃の男の子がこれだけ素晴らしい好条件が揃っていて餌に食いつかない訳がない。もし蹴るようなヤツがいたら、そいつはホモか一途に特定の誰かを想っている純粋なヤツしかいない。
当然、コウイチは池の鯉の如く大きな口を開けて食いつく。
ただ、一つだけ条件がある。
コウイチ自信、ちょっとびっくりなくらいに真面目な顔で言う。
「でも、それは今すぐじゃない。白龍皇の課題を終わらせて、アヴァロンを守って、それからアヴァロンで皆で楽しく暮らしたい」
「……仕方ありませんね。期待、しちゃいますからね? よろしくね、ハクちゃん」
メアリが頬を赤く染めコウイチに上目遣いで視線を送りつつ、口元に三日月を作ってハクに宣戦布告するのであった。
その日を境にメアリによる執拗なアプローチは無くなり、逆に献身的にコウイチのサポートをするようになった。
コウイチ内でのメアリ株は爆上がりになったのは言うまでもない。
メアリの言葉にコウイチは腕組みをして天を仰ぎ見た。真新しい鈍色の天井が視界一杯に広がる。
今頃は南の島でバカンスを楽しみながらタマモとミドガルズオルムにしごかれてるんだろうなぁ、アイリスのヤツなんて羨ましいんだ、と若干の現実逃避をしていた。
アイリスはコウイチとハクがこっちの世界に来て初めて会った人種だ。金髪碧眼の長い髪が魅力的なエルフで、容姿は読者モデルやタレントとかしていても遜色はない超が付くくらいの美人さんだ。体躯は細身、身長はコウイチよりも少し高いくらいで長身という訳ではない。胸は同じエルフのメアリと比べるとかなり小さめだが、手に収まるくらいで丁度良さそうなサイズで揉んだら絶対に気持ちいいと思う。お尻は小尻で触り心地はすべすべでずっと撫でていられる気がする……触ったことはないから想像だ。性格は拾った責任と言って行き場のないコウイチとハクの面倒を見てくれるほどにすこぶる真面目で学校でよくある役職に当てはめると委員長という感じだ。腹の探り合いや駆け引きは少し苦手そう。武器は片刃の剣を好んで使い、火属性の魔法が得意。
そんな真面目を絵に描いたようなアイリスがコウイチの事を好きだとメアリは言ってのけるのだ。
「そんなバナナ」
一同の冷たい視線がコウイチを貫いた。
「この状況でよくそんなセリフが吐けたもんだ。ウチのボスはバカなのかアホなのか……どっちかだぜ」
「いえ、そのどちらもでしょう。ついでに色魔と女の敵も追加しておいた方がいいと思います!」
ヴァドスとミリアが部屋の隅っこで落胆する姿が視界の端を掠めた。
「貴方の目にあの子がどう映ってるか分からないですけれど、あの子って男性が苦手なんですよ。この際ですから話してしまいますが――」
そう言ってメアリはアイリスとの昔話を唐突に話し始めた。
美人の二文字が似合うカッコ可愛い系女子であるアイリスの幼少時代は、それはもう目に入れても痛くないくらいに愛らしい幼女だったそうだ。誰もが口をそろえて村一番の可愛さだと称した。メアリもアイリスの可愛さを認めていたらしい。村一番というほど可愛ければ同世代の男の子に虐められるのは当然至極。結果としてアイリスは男の子に対して知らず知らずの内に苦手意識を覚え、関わろうとしなくなっていった。
「そんなアイリスが何処の馬の骨かも分からない男を自分の船に止めると言うのですよ? いくら金の卵を産むガチョウだからと言っても通常の感情ではないのは明白です。だって、囲うだけであればその辺のホテルなり、ウィークリーマンションなりを借りればいいだけの話なんですよ?」
「お金が無かったとか?」
「それはありえません。今現在のあの子の資産はゆうに百年は遊んで暮らせるくらいありますから」
「ひゃく……ねん!?」
「わたしが資産管理をしていますから間違いありません。現金だけでも五十年以上は遊べます。所有している船は職業柄消耗品扱いだとしても、あの子の持っている土地や島は将来的資産価値が高いものですから、十年後には数十倍の価値になる予定ですしね」
「…………」
メアリがアイリスの資産管理をしている件については横において置くとして、メアリの口から飛び出た信じられない事実にハク以外のメンバーが口を半開きにして瞬きするのを忘れてしまうほどだった。ハクは一人、頭の上にクエスチョンマークを浮かべて説明を求めるかのようにコウイチの袖を引っ張る。
「ハク、簡単に言うとな。アイリスは一生俺たちの面倒を見てくれるってことだ」
「わかった!」
ハクが納得したように満足げな笑顔を浮かべた。
部屋の隅にて、
「ロクデナシも追加しましょう」
「間違いねえな」
仮にアイリスが本当にコウイチの事が好きだったとしてもその本人はこの場に居ない。どれだけ議論や推測を並べてもこれ以上の進展は見込めないのは明白だ。
今考え、決めなければならないのはメアリのことである。
「まあ、居ないやつのことは保留にしておいて……メアリのことなんだけど」
こいつ最低だ、と部屋の隅っこだけでなく、メアリからも向けられたドン引きする視線を無視してコウイチは自身の身勝手な思いの丈を語り始める。
「ぶっちゃけ、メアリに興味本位って言われた時、めっちゃ嬉しかった」
「はい? 好きとかそういうのではないかもしれないのですよ?」
「別にいいよ。メアリみたいな可愛い子に興味を持たれただけで男の子としては嬉しいんです! 打算でも利用価値でも何でもいいんだよ。だって、普通ありえないでしょ。こんなに可愛い子が傍にいるっていう状況が!? 普通だったらそれだけでも十分だよ。でも、打算と利用価値がそれ以上を望ませてくれるんだろ? なら受け入れるに決まってるじゃん!?」
年頃の男の子がこれだけ素晴らしい好条件が揃っていて餌に食いつかない訳がない。もし蹴るようなヤツがいたら、そいつはホモか一途に特定の誰かを想っている純粋なヤツしかいない。
当然、コウイチは池の鯉の如く大きな口を開けて食いつく。
ただ、一つだけ条件がある。
コウイチ自信、ちょっとびっくりなくらいに真面目な顔で言う。
「でも、それは今すぐじゃない。白龍皇の課題を終わらせて、アヴァロンを守って、それからアヴァロンで皆で楽しく暮らしたい」
「……仕方ありませんね。期待、しちゃいますからね? よろしくね、ハクちゃん」
メアリが頬を赤く染めコウイチに上目遣いで視線を送りつつ、口元に三日月を作ってハクに宣戦布告するのであった。
その日を境にメアリによる執拗なアプローチは無くなり、逆に献身的にコウイチのサポートをするようになった。
コウイチ内でのメアリ株は爆上がりになったのは言うまでもない。
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