悪役令息アレックスは残念な子なので攻略対象者ノワールの執着に気付かない

降魔 鬼灯

文字の大きさ
43 / 55

43 サボってる?いえいえ戦略です

しおりを挟む


 再び、統制の取れた女子学生達に両脇を抱えられて舞台袖に戻される。

 音を鳴らさず歩くなんて芸当俺には到底無理なんで歩くたびにシャラシャラ鈴が軽やかに鳴り響く。


 今、舞台では大音量で踊り狂ってるウサギの着ぐるみがいるので大丈夫だろう。

 しかし、歩くたびにすれ違う人すれ違う人が驚いたように振り返るのは止めてくれ、おい、そこの電飾鈴のイカ、お前にだけはびっくりされたくねぇ、心外だ。


 でも、そんなに驚かれるような格好はしてないんだけどな。着ぐるみ着てるわけでも裸でもない。見た感じいたって普通なんだけどな。


 皆は曲が鳴る前に舞台中央に鈴を鳴らさないように歩いてスタンバイするけど、俺は曲が流れてから出る事にした。悪役令息は遅れて登場がセオリーだ、ふはは。

 誰もいない舞台に流れ始める曲に客席がざわざわし始める。


 さて、行きますか。

 全身の鈴をシャンと鳴らした。鈴が共鳴して一際大きく美しく鳴り響いた。


 客席が静まる。


 舞台へ踏み出した。堂々と背筋を伸ばし美しく歩む。鈴の音は俺の動きに合わせてシャラシャラと綺麗に鳴り響いた。

 焦ることなくゆったりと舞台に向かう。怯むな怯めば負けだ。


 執事に音を鳴らさず歩く歩き方を習った時についでに習った歩き方。美しく音を響かせながら頭のてっぺんから爪先まで神経を行き届かせて華麗に歩く。


 腰骨まで深く綺麗に入ったスリットから、深紅の上衣が、チラリと翻る。華が開いたように美しい。


 アレックスは折角綺麗に産まれたんだし、その長所を最大限に利用してやろう。


 舞台中央、正面を向いて一度立ち止まる。


 睫毛にのせたキラキラのビジューが照明に映えるようにゆっくり瞼を上げる。


 二階席にいるノワールと目が合った。ねぇノワール、俺の月華の舞い見たい?問いかけるようにいたずらっ子のように微笑む。


 ノワールが息を飲む。

 見てよ、練習の成果。誰かさん達に邪魔されて全く見て貰えなかったけど…。

 俺の月華の舞、ノワールに見て貰いたかったんだ。


 曲はちょうど前半の見せ場、ここからなら最後まできっちり踊りきれるだろうし。


 サボってる訳じゃないよ。これは悪役令息の戦略なのです、ふふん。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた

宮野 楓
恋愛
幼馴染のエリック・リウェンとの婚約が家同士に整えられて早10年。 リサは25の誕生日である日に誕生日プレゼントも届かず、婚約に終わりを告げる事決める。 だがエリックはリサの事を……

【完結】小さなマリーは僕の物

miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。 彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。 しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。 ※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)

勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです

ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。 彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。 先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。 帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。 ずっと待ってた。 帰ってくるって言った言葉を信じて。 あの日のプロポーズを信じて。 でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。 それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。 なんで‥‥どうして?

前世で追放された王女は、腹黒幼馴染王子から逃げられない

ria_alphapolis
恋愛
前世、王宮を追放された王女エリシアは、 幼馴染である王太子ルシアンに見捨てられた―― そう思ったまま、静かに命を落とした。 そして目を覚ますと、なぜか追放される前の日。 人生、まさかの二周目である。 「今度こそ関わらない。目立たず、静かに生きる」 そう決意したはずなのに、前世では冷酷無比だった幼馴染王子の様子がおかしい。 距離、近い。 護衛、多い。 視線、重い。 挙げ句の果てに告げられたのは、彼との政略結婚。 しかもそれが――彼自身の手で仕組まれたものだと知ってしまう。 どうやらこの幼馴染王子、 前世で何かを盛大に後悔したらしく、 二度目の人生では王女を逃がす気が一切ない。 「愛されていなかった」と思い込む王女と、 「二度と手放さない」と決めた腹黒王子の、 少し物騒で、わりと甘い執着政略結婚ラブストーリー。

彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった

みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。 この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。 けれど、運命になんて屈しない。 “選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。 ……そう決めたのに。 彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」 涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

処理中です...