四季姫Biography~陰陽師少女転生譚~

幹谷セイ

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第二部 四季姫進化の巻

十五章 Interval ~時渡りの疑惑~

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 四季が丘町を取り囲む、山中。
 月麿は、落ち葉が敷き詰められた山の道なき道を、杖で慎重に叩きながら歩いていた。
 宛もなく彷徨っているわけではない。月麿は、地面の下を走る強大な力を秘めた川――地脈に沿って進み続けていた。
 地脈は遥か太古の昔より、大地の下を流れ続けてきたと言われる、膨大な力の塊だ。地脈の力は時に地面の上に染み出し、その土地のあらゆるものを癒し、潤した。地脈の恩恵を受けた土地は栄え、人々は大きな京を築いて統治を行った。
 平城京、長岡京、そして平安京。どの京も、地脈が漏れ出して影響を加えた土地に建てられた京だ。力を受けている間は大いに栄え、その威力がなくなると滅び、別の支配者が別の土地へ移動して統治を繰り返してきた。
 地脈の流れは定まったものではなく、まるで蛇や竜の如く、地面の下で不規則に移動を繰り返している。
 現在、京都一帯の地脈の支流は、この四季が丘の山奥に向かって集まっていた。
 前に春姫が恩恵を得た地脈の影響から察するに、かなりの量の力が、地面の下を通っているはずだ。
 その流れが、どこに向かっているのか。まだ、手掛かりは掴めなかった。
 だが、この地脈の流れ方は、決して自然に変わっていったものではない。
 誰かが意図的に、進むべき道を操っている。
 そんな高度な芸当ができる者が、この時代にいるとは思えない。
 かつ、地脈の側には、複雑な力の歪みが感じられた。長い時間が経って、随分と気配は薄くなっているが、間違いない。
 時渡りの痕跡だった。それも、一人のものではない。
 複数人、術を行使した痕だと、はっきり分かった。
「麿が行った、時渡りの痕跡とは、明らかに違う。今より、二十年ほど昔か……?」
 その事実に気付いた瞬間、月麿の中で想像だにしなかった憶測が浮かび上がった。
「麿の他にも、時渡りを行った者がおるのではないか? 平安の時代より、この時代へとやって来たものが、幾人も」
 もし、月麿の仮説が正しければ、四季姫たちの司る禁術の歪みについても、説明が可能かもしれない。
 にわかには、信じがたい話であったが。
「調べてみる価値はあるのう」
 月麿は再び、地脈の周囲を歩き回った。
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