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1話

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私は自分が可愛くはないと思ったことはない。
そんなことを言ったら冷たい目で見られて自惚れなんて言われてしまうかもしれないけどお母さんもお父さんも美形だったから仕方ないでしょ?

けれど…完璧な両親だっただけに子供の私にも完璧を求める

本当にうざい

だから今日も私は演じるの笑顔を浮かべて偽るの
本当の本心なんて他人になんか見せてやるものか

「おはよ…眠いねぇ…」

「もう、夏美ちゃんはおっとりしてて可愛いくて本当に羨ましいなぁ」

可愛い?そんなの知ってる…私の趣味じゃない…全部クソでヒステリックな母親が私を着せ替え人形として見てるだけ
それに羨ましいなんて言って髪の毛にスルスルと指を通してるけど知らないとでも思ってんのかな?

アンタが…私の悪口を率先して言ってるの
人間なんて無いものねだりをして人を恨んで…
本当…ゴミみたいでくだらない世の中

「…話しかけんな」

そっと口元に手を当てて困ったような表情を浮かべる

「え?夏美ちゃん何か言った?」

「ううん…?」

こんだけ近いのに聞こえないとかマジさ耳鼻科いけよ…
なんて思ってしまったけどまずは聞かれてなかったことに安堵しよう
だって…私…万が一でも自分の家庭の事情とか知られて分かったような顔をされて同情されるフリは本当に反吐が出るレベル

おぇ…吐きそ

私もつくづくいい性格してるよね
いろんな意味でさ…
つか、性格悪いのは元からなのであって
そんなことをいうのは今更でしょ??
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