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3話

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先生に頼まれたプロジェクターを取りに行った帰り
祐馬と肩を並べて歩いていた

「ねぇ…祐馬くんと少し喋りたい…な」

プロジェクターを持っている彼のシャツを軽く引っ張ってそんなことを言ってみる

「え?…いいよ」

若干苦笑いをしてるように見えたのは私の気のせいってことにしておくよ

この時間帯は皆授業の準備だとかしていて私達みたいにパシられてない限りはほとんど誰もうろうろと出歩いたりなんてしない

「それでどこで話す?」

「どこでもいいよ…けど困ったことがあって相談したかったから」

「そっか…ちょっとこっちきて?」

手を引かれ連れられたのは理科室だった。
そういえば先生が最近鍵穴がおかしくて閉められないって言っていたような気がする…

まぁ、早く済むならいいか

彼がプロジェクターを机の上に置いたあと私も彼も深く溜息をつき地面に座り込んだ

「何が話したいだ猫かぶりパンツ見えんぞ?」

「うるせぇな目潰したろか二重人格ホスト」

そう、彼は祐馬、木下祐馬
イケメンで人気者で幼なじみそれでもって私と同じ性格クソ野郎だ

それと今はいろいろあって私と付き合ってる。
 
「夏美小学校の時から顔はいいのに何してそんなねじ曲ったわけ?」

「は?あんなクソで上っ面ばかり気にする親の元で育ったら嫌でも曲がるし」

半分以上八当たりのように言葉を吐き捨てる
早く自立してぇ

「てか、お前また告られたって聞いたんだけどまじ?」

「あーまじ、てか一応はお互い付き合ってる設定なのに構わず告ってくるとか私たち付き合った意味無いし!その前にお母さんがそこらへんのモブとの交際許すわけねぇ」

「それでよく俺と付き合うこと認めたよな…内緒だったりとか?」

「いーや?祐馬くんは顔も良いし評判もいいからいいのよ~ってご機嫌に言ってたし、良かったな?お前顔だけは良くて」

わざとらしく大袈裟に身振り手振りで祐馬にあの時のお母さんの真似をした
イライラする
ムカツク

「そうゆうお前も可愛い顔はしてるけどな」

「は?そんなの知ってるよ?これでもあの親の子供で着せ替え人形だからね」

時計を確認するともうすぐ休み時間が終わる時間だ
重たい気持ちを綺麗に隠して偽りの愛される笑顔を浮かべた

「俺は素のお前の方がすきだけどな」

「へぇーそう」

軽く聞き流し理科室から出ると入る前となんら変わらない人気者でイケメンと可愛い女の子の二人組が歩いているようにしか見えないでしょ?



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