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贖罪のメシア
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[贖罪のメシア]
時間約1時間程度
男性3~名
女性3~名
()←心の声なので、小声で
アスター(男性)
孤児院で育つ。
あどけなさが残る元気な少年。
アスターにとって、マフディーは、姉的な存在。
ダル(男性)
冷静な青年。
何事もそつなくこなす。
ヤン(男性)
大雑把な男性。
なんとでもなる!精神で生きている。
武器屋の主人
サオ(女性)
負けず嫌いで、活発な女の子。
アスターと同じ孤児院で育ち、マフディーは姉的な存在。
マフディー(女性)
アスター、サオと同じく、孤児院で育つ。すぐ騙されてしまうような、人の良い女性。みんなに対して平等に優しい。
ユタ(女性)
マフディーに対して、異常なまでの憎しみにも近い執着心がある。同じ孤児院で育つ幼馴染み。
ニシノエ(どちらでも) 1人
犬頭人(どちらでも) 2人
頭が犬、体は人間のモンスター。
格闘能力が高い。
________________
[SE:走る音]
ア「マフディー!マフディー!」
マ「あら、どうしたの?アスター、そんなに嬉しそうに。」
ア「これ見てよ!!」
マ「まぁ!沢山のパンだわ!どうしたの?これ。」
ア「う、うん!パン屋のおやじがさー!手伝ったら、くれるって言うから!頑張ったんだぜ!俺!」
マ「アスターは、頑張り屋さんだものね。」
サ「何よ!私なんかほら!」
マ「サオ…これは……。」
サ「マフディーに似合いそうだなって、貯金を…そう!貯めていた貯金を崩して買ったの!!」
マ「まぁ!2人ともありがとう。凄いわ!」
2人 嬉しそうに笑う
ユ「マフディー、今日も楽しそうね。」
マ「ユタ!見てちょうだい!沢山のパンに、ネックレスまで!パンは皆んなで食べられるし、ネックレスだって、窓際に飾ればキラキラして、皆んなの心を穏やかにしてくれるはずだわ!」
ユ「マフディーは、いつも、皆んな、皆んな、なのね。はっ!偽善者も良いところだわ。自分の手は汚さず、子供達にやらせるなんて。」
マ「何の事を言っているの?」
ア「ユタ!」
サ「性悪女!」
ユ「あー、怖い怖い。さて、私は自分の部屋に戻るわ。」
マ(ユタは何の事を言っていたのかしら…?)
ア「マフディー気にしないでご飯にしよう!」
サ「うん!うん!そうしよっ!」
ユ「全く、何よ、いつも私が悪いみたいに!いっつもいっつも、皆んな、マフディー、マフディーって、バカみたい!」
二「本当に、貴女様の仰る通りです」
ユ「そうなのよ!って、あんた誰?」
二「私はニシノエ、貴女様の味方でございますよ。何でも願いを叶えましょう。」
ユ「はぁ?そんな馬鹿な話、誰が信じるのよ。願いを叶える?じゃあ、私の目の前に、パンを1つ、置いてちょうだい。あ、ちゃんと焼きたてのものよ?」
指をパチンと鳴らす。
二「どうです?」
ユ「え?な…何よコレ…何の冗談よ…。本当に出てきた…。」
二「冗談では、ございません。先ほども申し上げました通り、私は貴女様の味方でございますし、貴女様の願いならば何でもお応えしますよ。」
ユ「なるほど、嘘じゃないみたいね…。ふーん?じゃあ……高い塔を、高い塔を用意してちょうだい。うんっと遠くにね!小窓ひとつだけの牢屋をその中の一番上に作ってちょうだい!!」
二「かしこまりました。」
ユ「くっ……ふははははは!これで、目障りなマフディーも消えるわ!あはははははは!」
二「ふふふふふ……」
ユ「ねぇ!マフディー!私とお散歩に出かけない?」
マ「え?」
サ「何よ、ユタ!何を考えているの?」
ア「マフディーと散歩なんて、今までなかったじゃ無いか!」
ユ「今まで、私はマフディーに悪い事しかしなかったわ。申し訳ないと思っているのよ。だから、少しでも仲良くなれるよう、こうしてお散歩に誘っているんだけれど、ねぇ、マフディー、ダメ?」
マ「ええ!ええ!ユタ、お散歩に誘ってくれてありがとう。喜んで一緒に行くわ!」
ユ「出来れば、大事な話もあるし、2人で行きたいんだけど。」
サ「は?2人きりで?また、嫌がらせするんじゃないでしょうね!?」
ユ「本当に反省して、仲良くなりたいと思っているから、2人で行きたいのよ。マフディーが気に入りそうな場所も見つけたのよ?」
マ「まぁまぁ!どんなところかしら?楽しみだわ!」
ア「マフディー!行かない方がいいよ!何考えているか、わかったもんじゃない!」
マ「アスター。そんな悲しい事を言わないで。私は皆んな仲良く平和に暮らしていきたいのよ。ユタも、本当はいい子なのよ。幼馴染みだもの。」
ア「……っ!でも!」
サ「マフディー!」
ユ「マフディー、今まで私がした事を思えば、行きたくないでしょうね。断っても構わないのよ?」
マ「いいえ!いいえ!ユタからのお誘いを断るわけがないわ!さぁ、行きましょう。2人とも行ってくるね。」
サ「マフディー……」
ア「何もない事を祈るしかないよな。」
サ「そうだね…」
マ「だいぶ、歩いたわね!どんな素敵なところに行くのかしら!楽しみだわ。」
ユ「ふふ……あなたに、ぴったりな所よ?ねぇ、ニシノエ?」
ニ「えぇ、ユタ様が仰られる通り、素晴らしい場所ですよ。」
マ「あら、ユタ?誰とお喋りしているの?」
ユ「何でもないわ。さ、ニシノエ、連れて行って。」
ニ「かしこまりました。」
指をぱちんと鳴らす
マ「え?ユタ?私、透けていっているみたい!どうしましょう!助けて!ユタ!」
ユ「大丈夫よ、あなたにぴったりな所まで、飛んで行くだけだから♪さよなら、マフディー♪」
マ「ユタ!ユタ!助けて!ユタ!ユ…………」
ユ「後は、うるさい騎士(ナイト)気取りの2人にバレないようにしないと。」
ニ「彼らも、あちらにお送りしますか?」
ユ「それは、まずいわ、仲良し3人組が一気に居なくなったら、誰だって怪しむでしょ。それに、あの子達は、あんな所に飛ばさなくったって、何もできやしないんだから。」
ニ「左様でございますか。」
ユ「さ、帰るわよ。ニシノエ。」
ニ「はい。」
ア「……おかしい。」
サ「確かにおかしいわ。」
ア「俺のクッキーが無くなっている。」
サ「…た、もぐ、大変だわ…もぐもぐ」
ア「この部屋には、朝から、お前と俺だけなのに…だ。おかしいと思わないか?サオ」
サ「んんんっ!!ゲホゲホッ!」
ア「………知ってんだかんな!お前また俺のクッキー食っただろ!今まさに飲み込みそびれてるじゃないか!」
サ「し、知らないわよ!!」
ア「シラを切るつもりか?!お前、いつも騙している村の男と同じだと思うなよ?!」
サ「盗っ人アスターになんて、言われたく無いわ!」
ア「何だと?!」
サ「何よ!?」
[SE:走る音]
ユ「助けて!大変だわ!大変だわ!マフディーが、突然消えてしまったわ!」
2人「…………?!」
ア「お前、何したんだよ!」
サ「また、あそこの落とし穴に落としたのね!!やる事が子供なんだから!」
ユ「何よ!私が嘘を言っているとでも?」
ア「じゅうぶん、ありえるね。むしろ、無い方が、おかしいだろ。」
ユ「いいわよ!じゃあ、落とし穴の所まで、一緒に行くわ!私じゃ無い証拠を見せにね!」
サ「嘘!」
ア「本当に…マフディーは、いない。」
ユ「ほら、見なさい!私じゃ無かっ………きゃあ!!!」
ア「マフディー以外の奴が、こんなのに引っかかるなんて。」
サ「バカなのかしら?」
ダ「初めまして、で、いきなりバカ呼ばわりは、如何なものかと思いますよ。」
サ「いい大人が、落とし穴って!バカ以外ないじゃ無い。あははは!」
ア「だせえ。」
ダ「私を罵倒するのは、構いませんが、ここにいるはずだった方を探していたのでは?」
ユ「し、知らない人はいたけど、マフディーはいないでしょ?!ホラ、見なさいよ!」
ダ「あぁ、貴女と一緒にいた女性が、ここに入るはずだったのでしょうか?」
ア「マフディーを知っているのか?!」
サ「どこに行ったか、わかる?!」
ダ「さぁ?だって、突然そこの方が、1人でブツブツ言った後、消えてしまいましたから。」
ユ「……っ!!」
ダ「その光景に、驚いた私は、ここに落ちたわけですが…。」
サ「ユタ!マフディーに何をしたの?!」
ユ「し、知らないわよ!そこの男、バカな上に目も悪いんだわ!」
ダ「私は目だけは、いいと褒められるんですが……この目で、昨日無かった筈のところに突然東にできた塔の調査に王の命令で、来ている訳です。」
ア「塔?そんな物、この辺に無いし、村の人達も、そんな事、一言も…。」
ダ「ですから、突然出来た、と、言ったのですが、聞き取れませんでしたか?おやおや、バカでだせえのは、どっちでしょうかねぇ?」
ア「お前…根に持つタイプなんだな…。悪かったよ。」
サ「ユタ!塔もあんたの仕業?!」
ダ「まぁ、推測するに?先ほど消えた方は、その塔と関係があるようですね。そこの女性、顔が真っ青ですし、正解でしょうか?」
ユ「そ、そ、そんなの、こいつの作り話よ!」
サ「でも、突然消えた!って言っていたのは、ユタじゃない!この人だって、同じことを言ってる!作り話ならユタの言っていることも嘘になるんだけど!」
ユ「……っ!!」
ア「早くマフディーをもとに戻せよ!」
ユ「嫌よ。」
ア「なんだと!?」
ユ「何の為に塔まで建てさせて、あの子を連れて行ったかわかる?皆んなもあの子も大っ嫌い!!ニシノエ!私も塔に連れて行って!」
ニ「かしこまりました。」
ア「待てよ!!!!」
ユ「あの子達…始末して。」
ニ「構わないのですか?」
ユ「構わないわ、ただし、塔に近づこうとしたら…で。」
ニ「貴女様も、少しはお優しい…おっと失言でございました。かしこまりました。」
サ「ちょ…ちょっと!ユタ!どこに行くのよ!」
ア「おい、本当に消えて行ってるぞ…」
ア「ユタ!絶対にマフディーを取り戻しに行くからな!!!」
ユ「はっ!あなた達に近づけるような場所じゃないわよ。」
ア「なんだと?!おい!待てよ!ユタ!!!!!!」
サ「……消えた。」
ア「…………。」
ダ「そろそろ、話、聞いて頂いても構いませんか?」
サ「忘れてた。」
ダ「思い出してください。あなた方が私に浴びせた罵声の数々を……っと、違った。そろそろ、ここから、出していただけますかね?」
ア「お前本当に王様の命令で来ているのか?」
[SE:持ち上げる音、引き上げる音]
ダ「本当ですが?」
ア「お前強いのか?」
ダ「まぁ、一応、騎士団を率いていますので。今日のように単独調査も任せられているので、それなりには。」
ア「お前…東の塔行くって言ったよな。」
ダ「言いましたね。」
ア「俺も連れて行ってくれ。」
ダ「丸腰で何も出来なさそうなあなたをですか?嫌ですよ。」
ア「頼むから。マフディーは俺たちにとって、家族のような存在なんだ!」
サ「お願いよ!誰だか知らないけど!」
ダ「…………ダルですよ。本当に失礼な方々ですね。」
サ「ごめんなさい!私はサオ、こいつはアスター、私達、本気で行きたいの!マフディーを助けに!」
ダ「ダル様って、今後呼び続けるなら、構いませんよ。」
ア「は?」
サ「え?」
ダ「…………嫌なら構いませんけどね!」
ア「いや!喜んで呼ばせていただきますよ!ダル様!」
サ「そ、そう!ダル様!お願いします!」
ダ「そこまで言うんじゃ仕方ないですね。とりあえず、その丸腰、なんとかしないといけませんね。」
[SE:足音]
ア「おい!」
ダ「……。」
ア「おいってば!!」
サ「ダル様」
ダ「はい、何でしょうか?」
サ「アスター、いい加減覚えて。」
ア「そうだ、こいつ、根に持つタイプだった。」
ア「ダル様ー!おーい!ダル様ー!」
ダ「適当に呼ぶのはやめて頂けますかね?」
ア「俺たち、どこ向かってんの?」
ダ「東の塔ですよ?」
サ「ちょっ…さっき丸腰を何とかしないとって!!!」
ダ「あぁ、あなた達はバカでだせえんでした。東の塔へ向かう途中で、支度を済ませます。」
ア「あぁ、そうだ、こいつ根に持つタイプだった……。」
[SE:ドアを開ける音]
ダ「ヤン!いますか?ヤン!」
ヤ「おっと!珍しい!ダル様じゃないか!!」
ダ「様、などつける必要はないですよ、あなたと私の仲ではないですか。」
ヤ「いやぁー、この村の誇りじゃあないか!まさか、騎士団団長まで、のぼりつめるたぁ、思わなかったぞ!昔から、頭のキレる奴だとは思っていたがな!!」
ア「ダル様は、この村出身なのか?」
ヤ「そうだぞー!坊主…って、ダルよ、何で武器屋になんて、子供連れてきてんだ?男はともかく、女まで。」
ダ「この二人に武器を見繕って欲しいのですが。」
ヤ「何だって?!ダルよ……なんで、そんな事。」
サ「私たち、どうしても助けたい人がいるのよ!お願い!」
ダ「金なら、いくらでも。」
ヤ「まさか、東の塔か?」
ダ「ヤン、あなた…どこでそれを?!」
ヤ「これでも武器屋だぞ。昨日、塔の近くの町から逃げてきた奴らから、状況ぐらい聞いているさ!」
サ「逃げてきた?塔が出来ただけよね?」
ヤ「何でも、塔の番人がいるらしいんだ。ダルが大嫌いな相手さ!」
ダ「犬頭人ですか…………。」
サ「犬頭人って?」
ヤ「そのまーんまだよ!頭が犬、体が人間!異様に戦闘能力に長けていて、騎士団の連中でも、なかなか勝てない相手さ!」
ダ「普段は群れで、生活しているはずですが…。何故、番人なんか…。」
ヤ「さぁな!ただ、東の塔に近づかなければ、何の問題もないそうだ。」
ア「……ユタだ。ユタの仕業だ!きっと!!!」
ダ「全く面倒な……。私まで、武器を新調しなくては…。ヤン、3人分頼めますか?」
ヤ「そいつぁ、構わねぇが…今回は、俺も行くぞ、ダル。」
ダ「え?!」
ヤ「犬頭人相手じゃ、流石のダル様もキツイだろ。」
ダ「すみません。お願いできますか?」
ヤ「あいよ!今日は、上で休んでいきな!」
ダ「助かります。」
ア「ありがとう!おっさん!」
サ「ありがとう!おじさん!」
ヤ「お、俺ぁ、そんなにおっさんくさいか……。まぁ、良いってことよ!ゆっくり休めよ!がはははは!」
[SE:ベッドに入る音]
サ「ねえ?ダル様、犬頭人って、そんなに強いの?」
ダ「以前、私の仲間が殺されました。」
サ「え?」
ダ「私たち、2人で今日のように調査に来ていたのですが、運悪く見つかってしまいまして………。」
ア「でも、さっきは群れで生活しているって!」
ダ「向こうにも、見張りはいるのですよ。」
サ「それで、どうなったの……?」
ダ「相手は1人、こちらは2人、しかも相手は丸腰。確実に勝てる相手でした。勝てるはずだったんです……。」
ア、サ「…………。」
ダ「素早さを計算に入れていませんでした。私は骨を何本か折られてしまい、剣も持てず……。仲間は…そんな私を馬に乗せ、逃したのです。」
サ「でも、なんで、死んだってわかったの?」
ダ「宮殿に首が送られて来たんです。仲間の首が……。」
ア「そ、そんな……。」
サ「酷い!」
ダ「私は犬頭人が、とても憎いです。それを利用している、あなた達のお知り合いも…。仲間を見殺しにしてしまった、私自身も…。」
ア「マフディーを助けるには、犬頭人と戦わなきゃいけないしな。」
サ「倒せるかしら?」
ア「倒せるさ!」
ダ「さぁ、明日の為に寝ますよ。」
[SE:ランプを吹き消す音]
[SE:石の階段を登る音]
ユ「東の民まで、追い払うなんて、やり過ぎよ。」
二「ですが、この塔に入られたら、何をされるかわかりませんよ。」
ユ「それに、門の前に立っている、あの奇妙な生き物は何?」
二「最強かつ最高のボディガード!貴女様が望んだ通りの者ですよ。」
ユ「私が…望んだ……?」
二「ええ!ええ!私には貴女様の考えを知るなんて、簡単な事!」
ユ「私が、望んだ事…そうね。」
二「そうですとも!このニシノエ!貴女様の忠実なるしもべ!何でも願いを叶えましょう!」
[SE:ドアを叩く音]
ヤ「朝だぞ!飯だぞ!」
ア「んー、騒がしいなぁ…。」
ダ「ヤン、もう少し、静かに出来ませんか?」
ヤ「3人にピッタリな物見つけたぞ!ほれ、早く身につけてみてくれ!嬢ちゃんには、ショートソード、坊ちゃんは、ロングソードこれは、切りつけるって言うより、ブスッとさす感じだな!ダルもロングソードだな!」
ダ「おや、柄の部分はサメ…でしょうか?」
ヤ「おー!さすがだな!滑らないように、少しいじったぞ。さて、次は防具だな。全員フルアーマーだが、ダルはちゃんと騎士用にしておいたぞ。馬にも掛けておいた。チビ達は軽量化した物、一応フルアーマーだが、目だけは、見えるようにしておいた。犬頭人は慣れないと、早くて見えないからな。」
ダ「ヤンは、どうするのです?」
ヤ「俺ぁ、この相棒で行く!」
ア「なんだ、これ?初めて見る。」
ダ「メイスですよ。私達の用に相手に傷を負わせて…と、言うより、打撃…でしょうか。私たちの着ている防具もコレにかかると、ひとたまりもありませんよ。」
サ「うわぁ、なんだか、強そうー。」
ダ「強そうではなくて、強いんです。武器もヤンも…ですが。」
ヤ「ほらほら!突っ立ってないで、さっさと、飯食って行くぞーっ!」
ダ「そうですね、向かいましょう。」
ア(俺……本当にマフディーを助けられるのかな…。)
サ(私、戦えるかしら?足手まといに、ならないかしら?)
マ「ねえ、ユタ。何故、貴女はこんな事をするの?」
二「もちろん、貴女が憎く、邪魔な存在だからですよ!だからこそ、私めが……。」
ユ「皆んなが、貴女をちやほやするからよ。いいえ、ちやほやされるのが、当然だと思っている貴女が憎いわ。」
マ「そんな事、思っていないわ!」
ユ「あの子達が、貴女を喜ばせるために、何をしているか知っている?」
マ「何の事を言っているの?わからないわ。」
ユ「貴女は、"わからない"んじゃない。"知りたくない"のよ。」
マ「どう言う事かしら?」
ユ「いつまで、いい子でいれば気がすむのかしらね…。」
[SE:牢屋を閉める音]
[SE:馬の足音、金属音]
ア「本当に塔があった……。」
サ「犬頭人は……。」
ダ「2人ですか。」
ヤ「これはこれは、手厚いお出迎えで。」
ダ「良いですか、ここからが本番です。接近戦では、アスター、相手の懐に飛び込めるようならば、そこから一撃でも……ただ、無理だと判断したら、すぐに離れて、塔へ!」
ア「わかった!」
サ「私は?」
ヤ「お嬢ちゃんは、俺の後ろだ!良いか、坊主と一緒に隙を見つけたら、塔に入るんだ。いいな!」
サ「わかったわ。でも、私達が居なくなったら、2人は?2人はどうなるの?!」
ダ「どうにもなりません。ただ倒して、あなた方の後を追うだけです。」
ヤ「まぁ、任せておけって!大丈夫だ!」
ダ「ヤン、今回は本気を出して下さいね。」
ヤ「わーっかってるって!」
ダ「私を騎士団に入れるために、わざと負けた事、まだ忘れていませんからね。」
ヤ「はぁ、やれやれ、根に持つタイプは嫌だねぇー。」
ア「あ、仲が良くても、チャラにはならないんだ。」
ダ「何か言いましたか?」
ア「いえいえ、何も!!」
ダ「それでは、行きますよ!皆さん、気をつけて!」
[SE:馬の走る音、金属音]
ダ「犬頭人よ!悪いが、ここから先に進ませていただきますよ。」
犬A「来たか。」
犬B「そう簡単に、通すか!!」
ヤ「うおおおおおおおおおおお!!」
[SE:合間合間で金属音]
ダ「はあっ!!!!」
犬B「こいつら、早いぞ?!」
ア「やぁぁぁぁあ!!!」
[SE:肉を刺す音]
ア「やった、仕留め……」
ダ「アスター!危ない!下がりなさい!!!」
ア「………え?」
[SE:激しい金属音]
犬B「くそっ!!」
ダ「だ、大丈夫ですか?」
ア「ダル!!!」
ダ「ぐぅっ!早く!早く塔へ!」
ア「で、でも!ダル!」
ダ「い、いいから!!!早く行きなさい!!!!」
ア「わ……わ、わかった!!サオ!」
サ「ヤンが!ヤンが!!!!」
ヤ「ぐぅぅぅぅぅぅうっ!!!」
[SE:肉片が落ちる音]
犬A「おやおや、2本いけたと思ったが、1本で抑えるとは、なかなか。」
[SE:大量に血が流れる音]
サ「ヤンの腕が!!!」
ヤ「嬢ちゃん!坊主と先に行くんだ!早く、早くいけえええええええ!」
ア「サオ!手を握れ!全力で走るぞ!!」
サ「ヤン!ヤン!ダルも無事でいてね!」
ダ「当然です。」
ヤ「こんな所に俺の墓場なんかねーよ!」
[SE:走り去る音]
ダ「大丈夫ですか?ヤン」
ヤ「大丈夫だ!なんとか、簡単だが、止血はした。」
犬A「何くっちゃべってんだよ!」
犬B「こっちは、腹にナイフが刺さって、痛えんだ!さっさと終わらせようぜ!」
ダ「望む所です。」
犬A「まぁ、片腕で何ができるか知らないけどな!!」
ヤ「こういう事が、出来るぜ!!」
[SE:武器を投げて犬頭人に当たる音]
犬A「ぐあああ!!頭が!頭があああ!」
犬B「てめえ!よくも!」
ダ「あなたの相手は私ですよ。はぁぁぁぁああ!やああ!!!!」
[SE:武器が空を切る音]
犬B「そんなのに、誰が当たる…」
ヤ「うるりゃあああああ!!!!」
犬B「ぎゃあああああ!!!いつの間に……うぐぅ…。」
[SE:血が大量に流れる音、人が倒れる音]
ヤ「ダル様…後は任せた…ぞ…俺は少し……休憩…を…。」
[SE:人が倒れる音]
ダ「ヤン!後は、任せて下さい。あの時の借りも返して差し上げますよ。」
犬A「ふっふざけやがってえええええええええええ!!!!お前ら、ぶち殺す!ぶち殺してやる!!!うおおおおおおおお!!」
ダ「そう簡単にやられませんよ。やぁぁぁぁあ!!!はああっ!!!!」
犬A「くそうっ!血が目に入って……」
ダ「これで、終わりです。」
[SE:人を刺す音]
犬A「…ぐっぐふっ……」
[SE:人が倒れる音]
ダ「はぁっ、はぁっ……。ヤン!大丈夫ですか?ヤン!!ヤン!!」
[SE:石段を駆け上がる音]
サ「本当に、ここにマフディーが?」
ア「間違いない!なぁ、ユタ!!」
ユ「あら、気付いていたの?」
ア「気付くに決まってるだろ。マフディーを…本当のマフディーに戻せ!」
サ(本当のマフディー?どういう事?)
ユ「あなた、本当にマフディーに帰ってきて欲しいの?」
ア「本当だ。」
ユ「それが、どんな結果を生むとしても?」
ア「構わない。もう、皆んなを騙し通せない。」
サ「アスター、あなた何を言っているの?!ねえ!本当のマフディーって何よ?」
ユ「…だ、そうよ?マフディー。」
マ「何の事を言っているのか、私にはわからな…な…な…。」
[SE:人形が崩れる音]
サ「アスター!マフディーが!マフディーが!!!」
ア「これが、マフディーの本当の姿だよ。サオ。本当のマフディーは、そこにいる、ユタだ。」
サ「え?ユタが?!嘘でしょう?」
ニ「マイマスター、片付けてしまいますか?」
ユ「もういいわ、おしまいにしましょう。貴女も、今まで私を演じてくれて、ありがとう。」
[SE:人形を抱き上げる]
サ「わからないわ!どう言うことか説明してちょうだい!」
ア「この"マフディー"は、寿命だったんだ。いつも優しく純粋無垢な"マフディー"孤児院の子供たちの拠り所に、と、ユタが作ったんだよ。」
ユ「結果、私は、私自身を見失い、こんな事になってしまった……。ニシノエなんかに惑わされて、あなた達を傷つけるなんて…。」
二「おやおや、失敬な。私はちゃんとした、貴女様の"ニクシミノコエ"ですよ?ふふふっ。」
ユ「アスター、サオ、あなた達のお陰で、私は私に戻れた。ありがとう。そして……。」
サ「ユタ?!」
ア「まさか!」
ユ「さよなら。」
[SE:人が落ちる音]
ア「ユタぁぁぁぁぁぁあ!」
サ「う、嘘………。ユタ!!!」
ニ「おやおや、今回のマスターは、操りきれませんでした。まだ、私が未熟と言う事なのでしょうか?それとも、彼女の良心が強かったのでしょうか?まぁ、構いません。また、誰かの"ニクシミノコエ"が、私を生むのですから。」
________________
[贖罪]
金品、行いによって、犯した罪を償う事。
アスターの罪
・盗み
サオの罪
・騙し
マフディーの罪
・無知
ユタの罪
・周りを傷つけ、自害
ダル
・仲間を見殺し
ヤン
・騎士団入団テストにて、わざとダルに敗れる
それぞれ、"マフディー"と"ユタ"を助ける事によりメシア(救世主)と、なる。(ユタ以外)
楽しんで頂けたでしょうか?
満足していただければ、光栄に思います。
[作者] 男装執事津軽ちゃん
時間約1時間程度
男性3~名
女性3~名
()←心の声なので、小声で
アスター(男性)
孤児院で育つ。
あどけなさが残る元気な少年。
アスターにとって、マフディーは、姉的な存在。
ダル(男性)
冷静な青年。
何事もそつなくこなす。
ヤン(男性)
大雑把な男性。
なんとでもなる!精神で生きている。
武器屋の主人
サオ(女性)
負けず嫌いで、活発な女の子。
アスターと同じ孤児院で育ち、マフディーは姉的な存在。
マフディー(女性)
アスター、サオと同じく、孤児院で育つ。すぐ騙されてしまうような、人の良い女性。みんなに対して平等に優しい。
ユタ(女性)
マフディーに対して、異常なまでの憎しみにも近い執着心がある。同じ孤児院で育つ幼馴染み。
ニシノエ(どちらでも) 1人
犬頭人(どちらでも) 2人
頭が犬、体は人間のモンスター。
格闘能力が高い。
________________
[SE:走る音]
ア「マフディー!マフディー!」
マ「あら、どうしたの?アスター、そんなに嬉しそうに。」
ア「これ見てよ!!」
マ「まぁ!沢山のパンだわ!どうしたの?これ。」
ア「う、うん!パン屋のおやじがさー!手伝ったら、くれるって言うから!頑張ったんだぜ!俺!」
マ「アスターは、頑張り屋さんだものね。」
サ「何よ!私なんかほら!」
マ「サオ…これは……。」
サ「マフディーに似合いそうだなって、貯金を…そう!貯めていた貯金を崩して買ったの!!」
マ「まぁ!2人ともありがとう。凄いわ!」
2人 嬉しそうに笑う
ユ「マフディー、今日も楽しそうね。」
マ「ユタ!見てちょうだい!沢山のパンに、ネックレスまで!パンは皆んなで食べられるし、ネックレスだって、窓際に飾ればキラキラして、皆んなの心を穏やかにしてくれるはずだわ!」
ユ「マフディーは、いつも、皆んな、皆んな、なのね。はっ!偽善者も良いところだわ。自分の手は汚さず、子供達にやらせるなんて。」
マ「何の事を言っているの?」
ア「ユタ!」
サ「性悪女!」
ユ「あー、怖い怖い。さて、私は自分の部屋に戻るわ。」
マ(ユタは何の事を言っていたのかしら…?)
ア「マフディー気にしないでご飯にしよう!」
サ「うん!うん!そうしよっ!」
ユ「全く、何よ、いつも私が悪いみたいに!いっつもいっつも、皆んな、マフディー、マフディーって、バカみたい!」
二「本当に、貴女様の仰る通りです」
ユ「そうなのよ!って、あんた誰?」
二「私はニシノエ、貴女様の味方でございますよ。何でも願いを叶えましょう。」
ユ「はぁ?そんな馬鹿な話、誰が信じるのよ。願いを叶える?じゃあ、私の目の前に、パンを1つ、置いてちょうだい。あ、ちゃんと焼きたてのものよ?」
指をパチンと鳴らす。
二「どうです?」
ユ「え?な…何よコレ…何の冗談よ…。本当に出てきた…。」
二「冗談では、ございません。先ほども申し上げました通り、私は貴女様の味方でございますし、貴女様の願いならば何でもお応えしますよ。」
ユ「なるほど、嘘じゃないみたいね…。ふーん?じゃあ……高い塔を、高い塔を用意してちょうだい。うんっと遠くにね!小窓ひとつだけの牢屋をその中の一番上に作ってちょうだい!!」
二「かしこまりました。」
ユ「くっ……ふははははは!これで、目障りなマフディーも消えるわ!あはははははは!」
二「ふふふふふ……」
ユ「ねぇ!マフディー!私とお散歩に出かけない?」
マ「え?」
サ「何よ、ユタ!何を考えているの?」
ア「マフディーと散歩なんて、今までなかったじゃ無いか!」
ユ「今まで、私はマフディーに悪い事しかしなかったわ。申し訳ないと思っているのよ。だから、少しでも仲良くなれるよう、こうしてお散歩に誘っているんだけれど、ねぇ、マフディー、ダメ?」
マ「ええ!ええ!ユタ、お散歩に誘ってくれてありがとう。喜んで一緒に行くわ!」
ユ「出来れば、大事な話もあるし、2人で行きたいんだけど。」
サ「は?2人きりで?また、嫌がらせするんじゃないでしょうね!?」
ユ「本当に反省して、仲良くなりたいと思っているから、2人で行きたいのよ。マフディーが気に入りそうな場所も見つけたのよ?」
マ「まぁまぁ!どんなところかしら?楽しみだわ!」
ア「マフディー!行かない方がいいよ!何考えているか、わかったもんじゃない!」
マ「アスター。そんな悲しい事を言わないで。私は皆んな仲良く平和に暮らしていきたいのよ。ユタも、本当はいい子なのよ。幼馴染みだもの。」
ア「……っ!でも!」
サ「マフディー!」
ユ「マフディー、今まで私がした事を思えば、行きたくないでしょうね。断っても構わないのよ?」
マ「いいえ!いいえ!ユタからのお誘いを断るわけがないわ!さぁ、行きましょう。2人とも行ってくるね。」
サ「マフディー……」
ア「何もない事を祈るしかないよな。」
サ「そうだね…」
マ「だいぶ、歩いたわね!どんな素敵なところに行くのかしら!楽しみだわ。」
ユ「ふふ……あなたに、ぴったりな所よ?ねぇ、ニシノエ?」
ニ「えぇ、ユタ様が仰られる通り、素晴らしい場所ですよ。」
マ「あら、ユタ?誰とお喋りしているの?」
ユ「何でもないわ。さ、ニシノエ、連れて行って。」
ニ「かしこまりました。」
指をぱちんと鳴らす
マ「え?ユタ?私、透けていっているみたい!どうしましょう!助けて!ユタ!」
ユ「大丈夫よ、あなたにぴったりな所まで、飛んで行くだけだから♪さよなら、マフディー♪」
マ「ユタ!ユタ!助けて!ユタ!ユ…………」
ユ「後は、うるさい騎士(ナイト)気取りの2人にバレないようにしないと。」
ニ「彼らも、あちらにお送りしますか?」
ユ「それは、まずいわ、仲良し3人組が一気に居なくなったら、誰だって怪しむでしょ。それに、あの子達は、あんな所に飛ばさなくったって、何もできやしないんだから。」
ニ「左様でございますか。」
ユ「さ、帰るわよ。ニシノエ。」
ニ「はい。」
ア「……おかしい。」
サ「確かにおかしいわ。」
ア「俺のクッキーが無くなっている。」
サ「…た、もぐ、大変だわ…もぐもぐ」
ア「この部屋には、朝から、お前と俺だけなのに…だ。おかしいと思わないか?サオ」
サ「んんんっ!!ゲホゲホッ!」
ア「………知ってんだかんな!お前また俺のクッキー食っただろ!今まさに飲み込みそびれてるじゃないか!」
サ「し、知らないわよ!!」
ア「シラを切るつもりか?!お前、いつも騙している村の男と同じだと思うなよ?!」
サ「盗っ人アスターになんて、言われたく無いわ!」
ア「何だと?!」
サ「何よ!?」
[SE:走る音]
ユ「助けて!大変だわ!大変だわ!マフディーが、突然消えてしまったわ!」
2人「…………?!」
ア「お前、何したんだよ!」
サ「また、あそこの落とし穴に落としたのね!!やる事が子供なんだから!」
ユ「何よ!私が嘘を言っているとでも?」
ア「じゅうぶん、ありえるね。むしろ、無い方が、おかしいだろ。」
ユ「いいわよ!じゃあ、落とし穴の所まで、一緒に行くわ!私じゃ無い証拠を見せにね!」
サ「嘘!」
ア「本当に…マフディーは、いない。」
ユ「ほら、見なさい!私じゃ無かっ………きゃあ!!!」
ア「マフディー以外の奴が、こんなのに引っかかるなんて。」
サ「バカなのかしら?」
ダ「初めまして、で、いきなりバカ呼ばわりは、如何なものかと思いますよ。」
サ「いい大人が、落とし穴って!バカ以外ないじゃ無い。あははは!」
ア「だせえ。」
ダ「私を罵倒するのは、構いませんが、ここにいるはずだった方を探していたのでは?」
ユ「し、知らない人はいたけど、マフディーはいないでしょ?!ホラ、見なさいよ!」
ダ「あぁ、貴女と一緒にいた女性が、ここに入るはずだったのでしょうか?」
ア「マフディーを知っているのか?!」
サ「どこに行ったか、わかる?!」
ダ「さぁ?だって、突然そこの方が、1人でブツブツ言った後、消えてしまいましたから。」
ユ「……っ!!」
ダ「その光景に、驚いた私は、ここに落ちたわけですが…。」
サ「ユタ!マフディーに何をしたの?!」
ユ「し、知らないわよ!そこの男、バカな上に目も悪いんだわ!」
ダ「私は目だけは、いいと褒められるんですが……この目で、昨日無かった筈のところに突然東にできた塔の調査に王の命令で、来ている訳です。」
ア「塔?そんな物、この辺に無いし、村の人達も、そんな事、一言も…。」
ダ「ですから、突然出来た、と、言ったのですが、聞き取れませんでしたか?おやおや、バカでだせえのは、どっちでしょうかねぇ?」
ア「お前…根に持つタイプなんだな…。悪かったよ。」
サ「ユタ!塔もあんたの仕業?!」
ダ「まぁ、推測するに?先ほど消えた方は、その塔と関係があるようですね。そこの女性、顔が真っ青ですし、正解でしょうか?」
ユ「そ、そ、そんなの、こいつの作り話よ!」
サ「でも、突然消えた!って言っていたのは、ユタじゃない!この人だって、同じことを言ってる!作り話ならユタの言っていることも嘘になるんだけど!」
ユ「……っ!!」
ア「早くマフディーをもとに戻せよ!」
ユ「嫌よ。」
ア「なんだと!?」
ユ「何の為に塔まで建てさせて、あの子を連れて行ったかわかる?皆んなもあの子も大っ嫌い!!ニシノエ!私も塔に連れて行って!」
ニ「かしこまりました。」
ア「待てよ!!!!」
ユ「あの子達…始末して。」
ニ「構わないのですか?」
ユ「構わないわ、ただし、塔に近づこうとしたら…で。」
ニ「貴女様も、少しはお優しい…おっと失言でございました。かしこまりました。」
サ「ちょ…ちょっと!ユタ!どこに行くのよ!」
ア「おい、本当に消えて行ってるぞ…」
ア「ユタ!絶対にマフディーを取り戻しに行くからな!!!」
ユ「はっ!あなた達に近づけるような場所じゃないわよ。」
ア「なんだと?!おい!待てよ!ユタ!!!!!!」
サ「……消えた。」
ア「…………。」
ダ「そろそろ、話、聞いて頂いても構いませんか?」
サ「忘れてた。」
ダ「思い出してください。あなた方が私に浴びせた罵声の数々を……っと、違った。そろそろ、ここから、出していただけますかね?」
ア「お前本当に王様の命令で来ているのか?」
[SE:持ち上げる音、引き上げる音]
ダ「本当ですが?」
ア「お前強いのか?」
ダ「まぁ、一応、騎士団を率いていますので。今日のように単独調査も任せられているので、それなりには。」
ア「お前…東の塔行くって言ったよな。」
ダ「言いましたね。」
ア「俺も連れて行ってくれ。」
ダ「丸腰で何も出来なさそうなあなたをですか?嫌ですよ。」
ア「頼むから。マフディーは俺たちにとって、家族のような存在なんだ!」
サ「お願いよ!誰だか知らないけど!」
ダ「…………ダルですよ。本当に失礼な方々ですね。」
サ「ごめんなさい!私はサオ、こいつはアスター、私達、本気で行きたいの!マフディーを助けに!」
ダ「ダル様って、今後呼び続けるなら、構いませんよ。」
ア「は?」
サ「え?」
ダ「…………嫌なら構いませんけどね!」
ア「いや!喜んで呼ばせていただきますよ!ダル様!」
サ「そ、そう!ダル様!お願いします!」
ダ「そこまで言うんじゃ仕方ないですね。とりあえず、その丸腰、なんとかしないといけませんね。」
[SE:足音]
ア「おい!」
ダ「……。」
ア「おいってば!!」
サ「ダル様」
ダ「はい、何でしょうか?」
サ「アスター、いい加減覚えて。」
ア「そうだ、こいつ、根に持つタイプだった。」
ア「ダル様ー!おーい!ダル様ー!」
ダ「適当に呼ぶのはやめて頂けますかね?」
ア「俺たち、どこ向かってんの?」
ダ「東の塔ですよ?」
サ「ちょっ…さっき丸腰を何とかしないとって!!!」
ダ「あぁ、あなた達はバカでだせえんでした。東の塔へ向かう途中で、支度を済ませます。」
ア「あぁ、そうだ、こいつ根に持つタイプだった……。」
[SE:ドアを開ける音]
ダ「ヤン!いますか?ヤン!」
ヤ「おっと!珍しい!ダル様じゃないか!!」
ダ「様、などつける必要はないですよ、あなたと私の仲ではないですか。」
ヤ「いやぁー、この村の誇りじゃあないか!まさか、騎士団団長まで、のぼりつめるたぁ、思わなかったぞ!昔から、頭のキレる奴だとは思っていたがな!!」
ア「ダル様は、この村出身なのか?」
ヤ「そうだぞー!坊主…って、ダルよ、何で武器屋になんて、子供連れてきてんだ?男はともかく、女まで。」
ダ「この二人に武器を見繕って欲しいのですが。」
ヤ「何だって?!ダルよ……なんで、そんな事。」
サ「私たち、どうしても助けたい人がいるのよ!お願い!」
ダ「金なら、いくらでも。」
ヤ「まさか、東の塔か?」
ダ「ヤン、あなた…どこでそれを?!」
ヤ「これでも武器屋だぞ。昨日、塔の近くの町から逃げてきた奴らから、状況ぐらい聞いているさ!」
サ「逃げてきた?塔が出来ただけよね?」
ヤ「何でも、塔の番人がいるらしいんだ。ダルが大嫌いな相手さ!」
ダ「犬頭人ですか…………。」
サ「犬頭人って?」
ヤ「そのまーんまだよ!頭が犬、体が人間!異様に戦闘能力に長けていて、騎士団の連中でも、なかなか勝てない相手さ!」
ダ「普段は群れで、生活しているはずですが…。何故、番人なんか…。」
ヤ「さぁな!ただ、東の塔に近づかなければ、何の問題もないそうだ。」
ア「……ユタだ。ユタの仕業だ!きっと!!!」
ダ「全く面倒な……。私まで、武器を新調しなくては…。ヤン、3人分頼めますか?」
ヤ「そいつぁ、構わねぇが…今回は、俺も行くぞ、ダル。」
ダ「え?!」
ヤ「犬頭人相手じゃ、流石のダル様もキツイだろ。」
ダ「すみません。お願いできますか?」
ヤ「あいよ!今日は、上で休んでいきな!」
ダ「助かります。」
ア「ありがとう!おっさん!」
サ「ありがとう!おじさん!」
ヤ「お、俺ぁ、そんなにおっさんくさいか……。まぁ、良いってことよ!ゆっくり休めよ!がはははは!」
[SE:ベッドに入る音]
サ「ねえ?ダル様、犬頭人って、そんなに強いの?」
ダ「以前、私の仲間が殺されました。」
サ「え?」
ダ「私たち、2人で今日のように調査に来ていたのですが、運悪く見つかってしまいまして………。」
ア「でも、さっきは群れで生活しているって!」
ダ「向こうにも、見張りはいるのですよ。」
サ「それで、どうなったの……?」
ダ「相手は1人、こちらは2人、しかも相手は丸腰。確実に勝てる相手でした。勝てるはずだったんです……。」
ア、サ「…………。」
ダ「素早さを計算に入れていませんでした。私は骨を何本か折られてしまい、剣も持てず……。仲間は…そんな私を馬に乗せ、逃したのです。」
サ「でも、なんで、死んだってわかったの?」
ダ「宮殿に首が送られて来たんです。仲間の首が……。」
ア「そ、そんな……。」
サ「酷い!」
ダ「私は犬頭人が、とても憎いです。それを利用している、あなた達のお知り合いも…。仲間を見殺しにしてしまった、私自身も…。」
ア「マフディーを助けるには、犬頭人と戦わなきゃいけないしな。」
サ「倒せるかしら?」
ア「倒せるさ!」
ダ「さぁ、明日の為に寝ますよ。」
[SE:ランプを吹き消す音]
[SE:石の階段を登る音]
ユ「東の民まで、追い払うなんて、やり過ぎよ。」
二「ですが、この塔に入られたら、何をされるかわかりませんよ。」
ユ「それに、門の前に立っている、あの奇妙な生き物は何?」
二「最強かつ最高のボディガード!貴女様が望んだ通りの者ですよ。」
ユ「私が…望んだ……?」
二「ええ!ええ!私には貴女様の考えを知るなんて、簡単な事!」
ユ「私が、望んだ事…そうね。」
二「そうですとも!このニシノエ!貴女様の忠実なるしもべ!何でも願いを叶えましょう!」
[SE:ドアを叩く音]
ヤ「朝だぞ!飯だぞ!」
ア「んー、騒がしいなぁ…。」
ダ「ヤン、もう少し、静かに出来ませんか?」
ヤ「3人にピッタリな物見つけたぞ!ほれ、早く身につけてみてくれ!嬢ちゃんには、ショートソード、坊ちゃんは、ロングソードこれは、切りつけるって言うより、ブスッとさす感じだな!ダルもロングソードだな!」
ダ「おや、柄の部分はサメ…でしょうか?」
ヤ「おー!さすがだな!滑らないように、少しいじったぞ。さて、次は防具だな。全員フルアーマーだが、ダルはちゃんと騎士用にしておいたぞ。馬にも掛けておいた。チビ達は軽量化した物、一応フルアーマーだが、目だけは、見えるようにしておいた。犬頭人は慣れないと、早くて見えないからな。」
ダ「ヤンは、どうするのです?」
ヤ「俺ぁ、この相棒で行く!」
ア「なんだ、これ?初めて見る。」
ダ「メイスですよ。私達の用に相手に傷を負わせて…と、言うより、打撃…でしょうか。私たちの着ている防具もコレにかかると、ひとたまりもありませんよ。」
サ「うわぁ、なんだか、強そうー。」
ダ「強そうではなくて、強いんです。武器もヤンも…ですが。」
ヤ「ほらほら!突っ立ってないで、さっさと、飯食って行くぞーっ!」
ダ「そうですね、向かいましょう。」
ア(俺……本当にマフディーを助けられるのかな…。)
サ(私、戦えるかしら?足手まといに、ならないかしら?)
マ「ねえ、ユタ。何故、貴女はこんな事をするの?」
二「もちろん、貴女が憎く、邪魔な存在だからですよ!だからこそ、私めが……。」
ユ「皆んなが、貴女をちやほやするからよ。いいえ、ちやほやされるのが、当然だと思っている貴女が憎いわ。」
マ「そんな事、思っていないわ!」
ユ「あの子達が、貴女を喜ばせるために、何をしているか知っている?」
マ「何の事を言っているの?わからないわ。」
ユ「貴女は、"わからない"んじゃない。"知りたくない"のよ。」
マ「どう言う事かしら?」
ユ「いつまで、いい子でいれば気がすむのかしらね…。」
[SE:牢屋を閉める音]
[SE:馬の足音、金属音]
ア「本当に塔があった……。」
サ「犬頭人は……。」
ダ「2人ですか。」
ヤ「これはこれは、手厚いお出迎えで。」
ダ「良いですか、ここからが本番です。接近戦では、アスター、相手の懐に飛び込めるようならば、そこから一撃でも……ただ、無理だと判断したら、すぐに離れて、塔へ!」
ア「わかった!」
サ「私は?」
ヤ「お嬢ちゃんは、俺の後ろだ!良いか、坊主と一緒に隙を見つけたら、塔に入るんだ。いいな!」
サ「わかったわ。でも、私達が居なくなったら、2人は?2人はどうなるの?!」
ダ「どうにもなりません。ただ倒して、あなた方の後を追うだけです。」
ヤ「まぁ、任せておけって!大丈夫だ!」
ダ「ヤン、今回は本気を出して下さいね。」
ヤ「わーっかってるって!」
ダ「私を騎士団に入れるために、わざと負けた事、まだ忘れていませんからね。」
ヤ「はぁ、やれやれ、根に持つタイプは嫌だねぇー。」
ア「あ、仲が良くても、チャラにはならないんだ。」
ダ「何か言いましたか?」
ア「いえいえ、何も!!」
ダ「それでは、行きますよ!皆さん、気をつけて!」
[SE:馬の走る音、金属音]
ダ「犬頭人よ!悪いが、ここから先に進ませていただきますよ。」
犬A「来たか。」
犬B「そう簡単に、通すか!!」
ヤ「うおおおおおおおおおおお!!」
[SE:合間合間で金属音]
ダ「はあっ!!!!」
犬B「こいつら、早いぞ?!」
ア「やぁぁぁぁあ!!!」
[SE:肉を刺す音]
ア「やった、仕留め……」
ダ「アスター!危ない!下がりなさい!!!」
ア「………え?」
[SE:激しい金属音]
犬B「くそっ!!」
ダ「だ、大丈夫ですか?」
ア「ダル!!!」
ダ「ぐぅっ!早く!早く塔へ!」
ア「で、でも!ダル!」
ダ「い、いいから!!!早く行きなさい!!!!」
ア「わ……わ、わかった!!サオ!」
サ「ヤンが!ヤンが!!!!」
ヤ「ぐぅぅぅぅぅぅうっ!!!」
[SE:肉片が落ちる音]
犬A「おやおや、2本いけたと思ったが、1本で抑えるとは、なかなか。」
[SE:大量に血が流れる音]
サ「ヤンの腕が!!!」
ヤ「嬢ちゃん!坊主と先に行くんだ!早く、早くいけえええええええ!」
ア「サオ!手を握れ!全力で走るぞ!!」
サ「ヤン!ヤン!ダルも無事でいてね!」
ダ「当然です。」
ヤ「こんな所に俺の墓場なんかねーよ!」
[SE:走り去る音]
ダ「大丈夫ですか?ヤン」
ヤ「大丈夫だ!なんとか、簡単だが、止血はした。」
犬A「何くっちゃべってんだよ!」
犬B「こっちは、腹にナイフが刺さって、痛えんだ!さっさと終わらせようぜ!」
ダ「望む所です。」
犬A「まぁ、片腕で何ができるか知らないけどな!!」
ヤ「こういう事が、出来るぜ!!」
[SE:武器を投げて犬頭人に当たる音]
犬A「ぐあああ!!頭が!頭があああ!」
犬B「てめえ!よくも!」
ダ「あなたの相手は私ですよ。はぁぁぁぁああ!やああ!!!!」
[SE:武器が空を切る音]
犬B「そんなのに、誰が当たる…」
ヤ「うるりゃあああああ!!!!」
犬B「ぎゃあああああ!!!いつの間に……うぐぅ…。」
[SE:血が大量に流れる音、人が倒れる音]
ヤ「ダル様…後は任せた…ぞ…俺は少し……休憩…を…。」
[SE:人が倒れる音]
ダ「ヤン!後は、任せて下さい。あの時の借りも返して差し上げますよ。」
犬A「ふっふざけやがってえええええええええええ!!!!お前ら、ぶち殺す!ぶち殺してやる!!!うおおおおおおおお!!」
ダ「そう簡単にやられませんよ。やぁぁぁぁあ!!!はああっ!!!!」
犬A「くそうっ!血が目に入って……」
ダ「これで、終わりです。」
[SE:人を刺す音]
犬A「…ぐっぐふっ……」
[SE:人が倒れる音]
ダ「はぁっ、はぁっ……。ヤン!大丈夫ですか?ヤン!!ヤン!!」
[SE:石段を駆け上がる音]
サ「本当に、ここにマフディーが?」
ア「間違いない!なぁ、ユタ!!」
ユ「あら、気付いていたの?」
ア「気付くに決まってるだろ。マフディーを…本当のマフディーに戻せ!」
サ(本当のマフディー?どういう事?)
ユ「あなた、本当にマフディーに帰ってきて欲しいの?」
ア「本当だ。」
ユ「それが、どんな結果を生むとしても?」
ア「構わない。もう、皆んなを騙し通せない。」
サ「アスター、あなた何を言っているの?!ねえ!本当のマフディーって何よ?」
ユ「…だ、そうよ?マフディー。」
マ「何の事を言っているのか、私にはわからな…な…な…。」
[SE:人形が崩れる音]
サ「アスター!マフディーが!マフディーが!!!」
ア「これが、マフディーの本当の姿だよ。サオ。本当のマフディーは、そこにいる、ユタだ。」
サ「え?ユタが?!嘘でしょう?」
ニ「マイマスター、片付けてしまいますか?」
ユ「もういいわ、おしまいにしましょう。貴女も、今まで私を演じてくれて、ありがとう。」
[SE:人形を抱き上げる]
サ「わからないわ!どう言うことか説明してちょうだい!」
ア「この"マフディー"は、寿命だったんだ。いつも優しく純粋無垢な"マフディー"孤児院の子供たちの拠り所に、と、ユタが作ったんだよ。」
ユ「結果、私は、私自身を見失い、こんな事になってしまった……。ニシノエなんかに惑わされて、あなた達を傷つけるなんて…。」
二「おやおや、失敬な。私はちゃんとした、貴女様の"ニクシミノコエ"ですよ?ふふふっ。」
ユ「アスター、サオ、あなた達のお陰で、私は私に戻れた。ありがとう。そして……。」
サ「ユタ?!」
ア「まさか!」
ユ「さよなら。」
[SE:人が落ちる音]
ア「ユタぁぁぁぁぁぁあ!」
サ「う、嘘………。ユタ!!!」
ニ「おやおや、今回のマスターは、操りきれませんでした。まだ、私が未熟と言う事なのでしょうか?それとも、彼女の良心が強かったのでしょうか?まぁ、構いません。また、誰かの"ニクシミノコエ"が、私を生むのですから。」
________________
[贖罪]
金品、行いによって、犯した罪を償う事。
アスターの罪
・盗み
サオの罪
・騙し
マフディーの罪
・無知
ユタの罪
・周りを傷つけ、自害
ダル
・仲間を見殺し
ヤン
・騎士団入団テストにて、わざとダルに敗れる
それぞれ、"マフディー"と"ユタ"を助ける事によりメシア(救世主)と、なる。(ユタ以外)
楽しんで頂けたでしょうか?
満足していただければ、光栄に思います。
[作者] 男装執事津軽ちゃん
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