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電子レンジはたまご禁止
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どこからともなく聞こえてくるセミの鳴き声に夏の風物詩を感じつつ、俺はホコリ臭いパソコン室のエアコンの風を浴びていた。
これでかき氷にスイカでもあれば言うことなし、といったところなんだが。
残念なことにパソコン室は飲食禁止である。
「なぁ水本、宿題終わったんなら見せてくれよ。さっきからニヤニヤしててキモいぞ」
「頼みごとをしながら人を馬鹿にしてくるなんて器用なことをするじゃないか山本よ」
キモいという言葉に多少なりとも傷つきはしたが、俺は山本に宿題を見せてやることにした。
今日は気分がいいのだ。
今日はというか、最近は。
これから一か月間くらいは機嫌がいいだろう。
なぜならそう、やっほいサマーホリデーイ、である。
「トイレ行ってくるからその間に写し終わっといてね~」
「おっけい!1時間うんこしてきていいぞ!!」
出ねーよ、そんなに。
なにゆえサマーホリデイに山本と二人でパソコン室にいるかというと、時は二日前にさかのぼる。
その日は、一学期の終業式。
授業もない、式を終えれば掃除をしてもう放課後。
もはや今日から夏休みじゃん!といったテンションの俺に、山本はこう言うのだ。
「宿題一緒にやろーぜ?学校集合で!」
「やだよ、なんで学校来なくていい期間中にわざわざ登校しなくちゃいけないんだよバカか?」
と、俺は当然のごとく断ったのだが、次の言葉がその時の俺には刺さった。
「甘いな水本、来なくていい期間だからこそ来るんだろうが。人間ダメと言われるほどしたくなるものだろ?」
今になって考えれば何言ってんだこいつ、という感じなのだが、いかんせん夏休みゼロ日目でテンション上がっていた俺は冷静ではなかったのだ。
言ってしまった、安易に。
「は、天才かよ。学校集合な」
ということで回想から戻りまして、山本と二人、パソコン室で夏休みの宿題を片付けている。
「腹減ったー、ゆで卵食いてぇ。なぁ水本、電子レンジってさぁ、何なんだろうな」
「数学のワーク写しながらよくそんなこと考えられるなお前」
しかも唐突に。
そんなしょうもないこと考えている余裕があるならさっさと写せ。
山本は手を止めて顔を上げた。
「気にならない?どーやって温めてるのか」
「せめて手は動かしておけ」
「それどころじゃないだろ!」
それどころだろ。
人の宿題写しといて偉そうに。
ただ、確かに言われてみれば気になってくる。
家電であるのだから、電気で温めていることはなんとなくわかるのだが。
「レンジの中でサンダー!!ってやってんのかな!」
「こわ、レンジ内だけFFの世界観じゃん」
まさか温風で温めているわけないだろうし、トースターのように温めていたら外だけカリカリに焦げてしまうだろう。
そもそも中だけ温めるってすごくないか?
人類強くね?
「あ、そうだ山本、情報科職員室にレンジあるじゃん。見に行こうぜ」
もう宿題どころの騒ぎではなくなってしまった。
それどころではなくなった。
「いいね!今ちょうど温めてたところなんだよ!」
「ちょうど温めてたって?」
レンジネタでもやるのか?
「さっき水本がトイレ行ってる間に情報科職員室のレンジ借りてたんだよ。15分でセットしたからいい具合なんじゃね!?」
そう言うと山本は勢いよく椅子から立ち上がった。
ちなみに情報科職員室はパソコン室の隣の部屋だ。
俺も立ち上がってパソコン室の出入り口に向かう。
そーいえばレンジで15分も加熱する事ってそうそうないよな。
「なぁ、15分も何温めてんの?」
パソコン室の扉を開けると「夏だよぉ!」とでも言いたげな空気が体にまとわりつく。
立っているだけでも汗をかきそうな、そんな気温だ。
山本も暑さに顔をしかめつつ、温めているもの答えてくれた。
「たまごだよ、たまご。ゆで卵食いてーなーって思ったから」
「え?たまご、、、?」
山本がパソコン室から出て扉を閉めようとした次の瞬間。
”バゴァーン!!!”と、隣の教室から爆発音がした。
「たまごはだめだろぉ、山本……」
俺は呆れつつ、情報科職員室から出てきた先生たちに連行される山本の背中を見つめていた。
本人に悪気がないのがなお良くない。
山本が連れていかれた後、チラッと職員室を覗いてみると、レンジを中心にたまごが炸裂していた。
無知とは恐ろしいものだ。
ちなみに電子レンジは、電波を使って食材の中の水分を振動させることで加熱しているそうですね。
皆様はご存知でしたか?
これでかき氷にスイカでもあれば言うことなし、といったところなんだが。
残念なことにパソコン室は飲食禁止である。
「なぁ水本、宿題終わったんなら見せてくれよ。さっきからニヤニヤしててキモいぞ」
「頼みごとをしながら人を馬鹿にしてくるなんて器用なことをするじゃないか山本よ」
キモいという言葉に多少なりとも傷つきはしたが、俺は山本に宿題を見せてやることにした。
今日は気分がいいのだ。
今日はというか、最近は。
これから一か月間くらいは機嫌がいいだろう。
なぜならそう、やっほいサマーホリデーイ、である。
「トイレ行ってくるからその間に写し終わっといてね~」
「おっけい!1時間うんこしてきていいぞ!!」
出ねーよ、そんなに。
なにゆえサマーホリデイに山本と二人でパソコン室にいるかというと、時は二日前にさかのぼる。
その日は、一学期の終業式。
授業もない、式を終えれば掃除をしてもう放課後。
もはや今日から夏休みじゃん!といったテンションの俺に、山本はこう言うのだ。
「宿題一緒にやろーぜ?学校集合で!」
「やだよ、なんで学校来なくていい期間中にわざわざ登校しなくちゃいけないんだよバカか?」
と、俺は当然のごとく断ったのだが、次の言葉がその時の俺には刺さった。
「甘いな水本、来なくていい期間だからこそ来るんだろうが。人間ダメと言われるほどしたくなるものだろ?」
今になって考えれば何言ってんだこいつ、という感じなのだが、いかんせん夏休みゼロ日目でテンション上がっていた俺は冷静ではなかったのだ。
言ってしまった、安易に。
「は、天才かよ。学校集合な」
ということで回想から戻りまして、山本と二人、パソコン室で夏休みの宿題を片付けている。
「腹減ったー、ゆで卵食いてぇ。なぁ水本、電子レンジってさぁ、何なんだろうな」
「数学のワーク写しながらよくそんなこと考えられるなお前」
しかも唐突に。
そんなしょうもないこと考えている余裕があるならさっさと写せ。
山本は手を止めて顔を上げた。
「気にならない?どーやって温めてるのか」
「せめて手は動かしておけ」
「それどころじゃないだろ!」
それどころだろ。
人の宿題写しといて偉そうに。
ただ、確かに言われてみれば気になってくる。
家電であるのだから、電気で温めていることはなんとなくわかるのだが。
「レンジの中でサンダー!!ってやってんのかな!」
「こわ、レンジ内だけFFの世界観じゃん」
まさか温風で温めているわけないだろうし、トースターのように温めていたら外だけカリカリに焦げてしまうだろう。
そもそも中だけ温めるってすごくないか?
人類強くね?
「あ、そうだ山本、情報科職員室にレンジあるじゃん。見に行こうぜ」
もう宿題どころの騒ぎではなくなってしまった。
それどころではなくなった。
「いいね!今ちょうど温めてたところなんだよ!」
「ちょうど温めてたって?」
レンジネタでもやるのか?
「さっき水本がトイレ行ってる間に情報科職員室のレンジ借りてたんだよ。15分でセットしたからいい具合なんじゃね!?」
そう言うと山本は勢いよく椅子から立ち上がった。
ちなみに情報科職員室はパソコン室の隣の部屋だ。
俺も立ち上がってパソコン室の出入り口に向かう。
そーいえばレンジで15分も加熱する事ってそうそうないよな。
「なぁ、15分も何温めてんの?」
パソコン室の扉を開けると「夏だよぉ!」とでも言いたげな空気が体にまとわりつく。
立っているだけでも汗をかきそうな、そんな気温だ。
山本も暑さに顔をしかめつつ、温めているもの答えてくれた。
「たまごだよ、たまご。ゆで卵食いてーなーって思ったから」
「え?たまご、、、?」
山本がパソコン室から出て扉を閉めようとした次の瞬間。
”バゴァーン!!!”と、隣の教室から爆発音がした。
「たまごはだめだろぉ、山本……」
俺は呆れつつ、情報科職員室から出てきた先生たちに連行される山本の背中を見つめていた。
本人に悪気がないのがなお良くない。
山本が連れていかれた後、チラッと職員室を覗いてみると、レンジを中心にたまごが炸裂していた。
無知とは恐ろしいものだ。
ちなみに電子レンジは、電波を使って食材の中の水分を振動させることで加熱しているそうですね。
皆様はご存知でしたか?
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やっぱりこの青春感良いですね~!
大好きですよ。
これだからリコピンブラウザー様が好きなんですよね~!
これからもよろしくお願いしますぅ!
というか気づいたらリコピンブラウザー様が書いた作品全てお気に入りになってました
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楽しんでいただけたようでなによりですぅ笑
まことの方のアカウントログイン出来なくなっちゃったんですよねぇ笑
更新するとしたらこっちなんでよろしくでそぉ!!