彩り

ガタヤマ

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朝焼け

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朝早くに目が覚める

誰かに起こされたわけでもなければ

目覚まし時計に

起こされたわけでもない。


窓の外を見ると

空は夕日のように

真っ赤に染められていた。

朝にこの景色と出会うのは

初めてだった。


そのとき、その色に出会うことは

人に出会うことと似ていると思う。

まったく同じ空は存在しないように

同じ人も2人として存在していない。

そして、そのときに出会うことも

一生に一度しかない。


でも、正直言うと青彩に会うのが

少し恐い。

青彩のお母さんのメモには

病室まで書いてあったので

勇気を出していくしかないと

自分に意を決した。


県内でも有名な病院で

自然に囲まれ、

キレイな外観は

まるで一流のホテルのように感じた。


僕は小さな診療所に行くことは

あっても、こんなに大きな

病院に来るのは初めてだった。


受付で病室を聞いて

迷いながらも部屋にたどり着いた。

その部屋は病院の上の階で

廊下から見える景色は

田舎町を一望できるほどだった。


メモの番号が書いてある

部屋にたどり着いた。

僕は深呼吸して、中に歩みを進めた。


「久しぶり。」


急な訪問で青彩は

飛び跳ねるように驚きながら


「えっ!!なんでここにいるの?」


と布団に包まり隠れた。


「急にごめん。青彩に会いたくて」


こっぱずかしいようなセリフが

自然に口から出てきた。


「来るなら言ってよー!」


「ごめん。これだけ渡しに来た。」


「ごめん。あまり今の姿見られたくないから、そこのテーブルに置いてて」


布団に包まったまま青彩は答えた。

僕は持ってきたものをテーブル上に

そっと置いた。


「わかった。置いておくね。」


「これから、来るときはちゃんと言ってね!」


「わかった、次からそうする。」


「この後、いろいろあるから今日はごめん」


「うん、また来るよ」


僕は何もできないと感じながらも

帰ろうとしたとき

青彩は少し震えた声で最後に


「ありがとね」


と言葉で僕に伝えてくれた。

僕はそのとき

何も知らないことに気づいた。

青彩が今どんな想いで

どんなに苦しんで

どんな希望を持っていて

今の言葉を僕に伝えてくれたのか。


本当にわからない。

でも、わからないと思えたからこそ、

青彩をもっと

理解していきたい。

そう、

ただ、

ただ強く思った。
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