彩り 〜青〜

ガタヤマ

文字の大きさ
3 / 9
青春

種子

しおりを挟む
春風が

木々を揺らし

心地よい気分にさせてくれる。


照りつける太陽は

優しく私たちを見守ってくれる。


家から歩いて5分もすれば

登り坂で、道の脇には

太陽を反射して

綺麗に光る小川が流れている。


私は、自然の中で育ち

自然とともに成長をしていった。


だけど、私は

小さな頃から喘息で

夜になると呼吸をするにも

精一杯で寝付けず

吸入で薬を身体に取り込み

安静になることを繰り返していた。

酷いときには緊急で病院に行くことも

稀にあった。

もちろん、夜に診てもらえる

大きな病院は近くにない。

車で30分以上かけて向かう。

両親には沢山の迷惑をかけたと

自覚している。


喘息もあって

運動は苦手だった。

速く走れたり、マラソン大会で

優勝するような人たちが

本当に羨ましかった。

そんな私がある人との出会いで

変わり始める。


ある日

学校の授業で

アサガオを1人ひとり

育てることになった。

自分専用の植木鉢に

土を入れて数センチの穴を指であけて

そこに種を入れた。

水をかけて、日の当たる場所に

みんなで置いた。


先生が私たちに質問をしてきた。


「植物が成長するには何が必要でしょうか?」


土、水、太陽とみんなが答える。

どれも正解だろう。

でも、ある男の子だけ

違うことを言っていた。


「続けること」


先生はその男の子に質問した。


「何を続けるんだい?」


「願い続けること」


周りのみんなは、笑っていた。

でも私は、

この言葉が頭から離れなかった。


学校が終わり、放課後に


「ねぇ、一緒に体育館でドッチボールしない?青彩が入ってくれると人数も丁度いいからさ」


クラスでも運動のできる

春田くんから声をかけられた。

この歳頃に運動のできる人は

だいたい人気者である。


「うん、いいよ。」


不安もあったが、声をかけられたことが

少し嬉しかった。

やってみると、

ボールで相手に当てることは

難しいけど、みんなと一緒に

何かをやることが素直に楽しかった。


でも、その日の夜に

私は酷い発作を起こした。

酸素を肺に取り込もうと

身体も懸命に呼吸するが

苦しくて、息をすることができない。

すぐに病院に

連れて行かれた。

診断の結果は、肺に穴が空いて

そこから空気が漏れていた。

その日から入院することになった。


母は病院に泊まりながら

看病をしてくれて


「早く良くなるといいね。」


と弱い私をすぐそばで見守ってくれた。

そのときに私は思った。


「私生きてていいのかな」


私の目から涙がこぼれる。

母に迷惑をかけて

友達にも、せっかく誘ってもらって

遊んだのに、私の身体は脆くて

私がいない方が、誰にも迷惑を

かけないと思えた。

そんな私に母は


「青彩、人ってね、そこに居てくれるだけで幸せなんだよ。それでね、青彩が生まれたときから、お母さんにとっては生きる希望なの。だから、青彩が生きててくれることが願いでもあるんだよ。」


と伝えてくれた。


「うん、ありがと」


私はその夜、母の手の温もりで

眠りについた。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

冷徹社長は幼馴染の私にだけ甘い

森本イチカ
恋愛
妹じゃなくて、女として見て欲しい。 14歳年下の凛子は幼馴染の優にずっと片想いしていた。 やっと社会人になり、社長である優と少しでも近づけたと思っていた矢先、優がお見合いをしている事を知る凛子。 女としてみて欲しくて迫るが拒まれてーー ★短編ですが長編に変更可能です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜

小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。 でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。 就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。 そこには玲央がいる。 それなのに、私は玲央に選ばれない…… そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。 瀬川真冬 25歳 一ノ瀬玲央 25歳 ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。 表紙は簡単表紙メーカーにて作成。 アルファポリス公開日 2024/10/21 作品の無断転載はご遠慮ください。

子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちだというのに。 入社して配属一日目。 直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。 中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。 彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。 それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。 「俺が、悪いのか」 人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。 けれど。 「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」 あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちなのに。 星谷桐子 22歳 システム開発会社営業事務 中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手 自分の非はちゃんと認める子 頑張り屋さん × 京塚大介 32歳 システム開発会社営業事務 主任 ツンツンあたまで目つき悪い 態度もでかくて人に恐怖を与えがち 5歳の娘にデレデレな愛妻家 いまでも亡くなった妻を愛している 私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?

処理中です...