伝説の後始末

世々良木夜風

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Legend 24. ハルの妄想

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(ツィアさんの服だって濡れてるはず!つまりは...)
ハルはまた妄想の世界に入っていく。

〇・〇・〇

「ど、どうしたんですか?ツィアさん!」
ハルが戸惑いの声を上げる。
ツィアはハルの前に立って、体の力を抜くと少し首を上げ、全てを委ねるかのような姿勢をとっていた。
目はギュッとつむり、頬がほんのり赤くなっている。
「わ、私の着替えはハルの仕事でしょ!...濡れてるのに...何もしてくれないの?」
ツィアは恥ずかしそうな声でそう言った。
「で、でもそうしたら...」
ハルが躊躇していると、
「私のなんか...見たくない?」
ツィアが悲しそうな顔になる。
「そ、そ、そんなことは!!」
ハルが全力で否定すると、
「じゃあ...着替えさせて!...生まれたままの...姿に...」
「...はい...」
ハルはツィアの声に導かれるようにツィアの服に手をかけるのだった。

「可愛い...」
下着姿になったツィアを見てハルが思わずつぶやいてしまう。
「恥ずかしい...透けて...見えてない?」
ツィアがまた目をつむってしまう。
「ふふ!見えてませんよ!...でも...下着をとったら...見えちゃいますけど...」
ツィアのローブを干しながら、ハルがにっこり笑って答えると、
「いいわよ...でもこんなことするのはハルだけよ!他の人には絶対!!」
ツィアは真剣な顔でそう口にする。
「分かってます!ツィアさんがそんなはしたない女の子じゃないって...それに...私もですよ!私の服の下を見ていいのは、ツィアさんだけです!」
ハルは恥ずかしげに頬を染めるとそう言った。
「ハル...うれしい!...ハルで...良かった!」
ツィアがにこやかな顔に変わる。
「じゃ、じゃあ...」
ハルの手がブラジャーにかかった。
「!!」
ツィアがギュッと目をつむる。しかし、
「あれ?...あれ?」
ハルの戸惑った声が聞こえた。
「どうしたの?」
ツィアがそっと目を開けると、
「あの...どうやって...外すんですか?」
ハルが申し訳なさそうな顔で聞いてくる。
「ふふふ!ハルはブラジャーをつけたことがないから分からないのね!教えてあげる!」
ツィアはにっこり笑うと、ハルの手をとって一緒に背中に回す。
「こうやって...」
「あっ!」
ツィアの手ほどきでブラジャーのホックが外れた。
「後は...分かるよね...」
ツィアが頬を染めた。
「はい...」
ハルがそっと肩ひもを外し、優しくブラジャーを手に取るとその場に干した。
そしてゆっくりと目をツィアの胸に移す。
「綺麗...思った通り...とっても素敵です!」
惚けたような目でツィアの胸を見つめるハル。
「ホント?ハルも...喜んでくれてる?」
少し心配そうなツィアの声。
「はい...ツィアさんの...綺麗なお胸...私、幸せです!」
うれしそうなハルの様子に、
「良かった!...じゃあ、最後のこれも...」
ツィアがハルの手を最後の一枚に導いた。
「はい...これをとったら...お互い、ありのままですね!」
「うん...ハルは...うれしい?」
ハルの言葉にツィアが恥ずかしそうに口にする。
「はい!とっても!...ツィアさんは...どうですか?」
ハルが聞き返すと、
「私もうれしいわ!だって...ハルとは『特別』ってことだから!!」
顔を真っ赤にするとツィアはそう言い切った。
「『特別』...うれしい!!じゃあ...行きますね!」
ハルの手が下へと動いた。
足首まで下ろすとツィアが右足を上げる。
(ふふ!見えたりして...)
ハルが期待半分に上を見上げると、
「えっ?!」
ハルの目はそこに釘付けになった。
なぜならツィアは大きく足を上げ、そこが丸見えだったからだ。
「ツィ、ツィ、ツィアさん!!」
ハルが声を上げると、
「ど、どう?私の!...変じゃない?」
ツィアが真っ赤になって聞いてくる。
「と、とっても綺麗です!...ホント...素敵...」
ハルがうっとりした声で言うと、
「良かった...」
安心したようなツィアの声。
しばらく、見とれていたハルだったが、やがてツィアは足を下ろす。
「あっ...」
見えなくなったそこにハルが思わず残念そうな声を出すと、
「ふふ!もう一回...」
ツィアは今度は左足を大きく上げたのだった。

「とっても...素敵でした...」
下着を干し終わったハルがツィアに言う。
「ふふふ。素敵?今の私を見ても何も思わないの?」
ツィアが意地悪な顔で聞いてくる。
「そ、それは!!」
ハルが真っ赤な顔で目を伏せると、
「目を逸らさないで!!」
ツィアの声にまた目を戻す。
「と、とっても...綺麗です...」
頬を染め、うっとりとした声でそう言うハルに、
「ハルも綺麗よ!」
ツィアはにっこり微笑むと口にする。
「・・・」
「・・・」
しばらくお互いを見つめ合う二人。

やがて、
「ちょっと寒いわね...」
ツィアがふと口にした。
「あっ!風が吹いてきたから...私の近くに来てください!あったかいですから!」
ハルがそう言うと、
「ふふ!」
うれしそうに笑いながらツィアが近づいてくる。
(あっ!こんな近くに...)
肌が触れ合いそうな距離にハルが頬を染めていると、
「もっと...近づいてもいい?」
ツィアが上目がちに聞いてくる。
「で、でもこれ以上近づくと!!」
ハルは何か言いたそうだ。すると、
「イヤ?」
ツィアが悲しそうな顔をする。
「そ、そ、そんなことは!!...ツィアさんが...いいのなら...」
ハルは顔を真っ赤にすると、消え入りそうな声でそう言った。
「うれしい!!」
「あっ!」
肌が触れ合う感覚。
「ハル!」
そしてツィアが腕を回してくる。すると、
「ツィアさん!」
ハルもツィアに腕を回したのだった。

(幸せ!ツィアさんと一つになれたみたい!)
ハルが幸福感に浸っていると、
「ハル...私...」
ツィアの声が聞こえた。
艶めかしくドキッとする声に、
「な、な、なんですか?!」
動揺しながらツィアの顔を見ると、紅潮し、その目は潤んでいた。
「私...我慢できない!...ハル!...イヤだったら逃げて!...そうしないと...私は...ハルを...」
訴えるような声でそう言うツィア。それに対し、
「...覚悟はできてます...私、ツィアさんには全てを捧げるつもりでしたから...」
ハルは潤んだ目でそう答える。すると、
「ハル...」
ツィアの顔が近づいてきた。
「ツィアさん...」
ハルは首を少し上げると、そっと目を閉じる。
「受け取って!...私の...ファーストキス...」
ハルの唇に柔らかい感触が伝わった。

そして、
「ツィアさん...どうですか?私の...胸...」
「とっても素敵よ!...こことか...どう?」
「あっ!」
艶めかしい声を上げるハル。

「あっ!ツィアさん!そこは...ダメ!変になりそう!」
「ハルのここ、とっても可愛い!...いいのよ!もっと変になっても!そしてもっと可愛い顔を見せて!可愛い声を聞かせて!」
「ツィアさん...私...もう...あっ、あっ、あっ、あぁぁ~~~~~!!」

そして二人は抱き合いながらお互いを見つめ合っていた。
「とっても...良かったです...」
そう言って頬を染めるハルに、ツィアはにっこり笑うと、
「私たち、もう戻れない関係ね...これからハルのこと...『恋人』って紹介していい?」
真剣な顔でそう聞いてきた。
「もちろんです!...うれしい!...私、ツィアさんとこうなるのがずっと夢でしたから...」
ハルが満面の笑みで応えると、
「私もよ!それと...今度は...ハルが...してね!」
真っ赤な顔でそう言うツィアだった。

〇・〇・〇

「ツィアさん!」
現実の世界で、思わず声を上げてしまうハル。
ドキッとしてしまうような色っぽい声だ。
「!!」
慌ててツィアの顔を見る。
どうやら深い眠りについているようで、気づいていないようだった。
(良かった...)
ホッと胸を撫でおろすハル。
(でも...)
ハルの体はほてり、特におなかの下が熱いくらいになっていた。
(ダメ!ツィアさんにこんなになってるの知られたら嫌われちゃいます!!)
ハルは必死で冷静になろうとする。しばらくの後、
(はぁ...はぁ...やっと...落ち着きました...)
そしてぐっすりと眠っているツィアにささやくような声で語りかけるのだった。
「私は...いつでも...いいですからね!」
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