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Maid 30. アメジストと山の神様
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「今の声、アメジストさん!!あっちの方から!!」
ガーネットは声の聞こえてきた方向へと走る。
「ミャ~~~!」
「待って~~~!」
<ドシ~~~~ン!!...ドシ~~~~ン!!...>
マリンとアリー、それにタイタンもついてきた。
☆彡彡彡
「こいつ、強いね!」
「こんな細いのに攻撃力も...うわっ!止められないっス!!」
「そりゃ!...なに?!私の剣が効かないだと?!」
近づくにつれアメジストたちの声が聞こえてきた。そして、
「エクスプロージョン!」
<ドカ~~~~ン!!>
「「「うわぁぁ~~~~!!」」」
魔法で3人が吹き飛ばされる音。
「アメジストさん!!」
ガーネットが茂みの裏に回り込むと、
「まずいね!このままじゃ全滅だよ!」
そこでは、アメジストたちが戦っていた。
相手は、純白の衣をまとった美しい女性。手には杖を持っている。
しかし、人間ではない。その証拠に宙に浮いている。
肌も髪も真っ白で、耳がやや尖っていた。
「アメジストさんたちが押されてるなんて!!」
ガーネットは我が目を疑う。
アメジストたちは相手に多少のダメージを与えることはできていたようだったが、当の3人は魔法でボロボロだった。
「カミサ~~~マ!タスケ~~~ル!」
追い打ちをかけるように、タイタンがその大きな腕を、アメジスト目掛け、振り下ろす。
「キャァァ~~~~~~!!」
「「アメジスト!!」」
死を覚悟したアメジスト。
パールもヒスイもどうすることもできない。
「アメジストさん!!」
ガーネットも悲痛な声で叫ぶが、
「自業自得ね!次の生では、まっとうな人生を送ってね!」
「ミャ~~~!」
アリーとマリンは静かに手を合わせていた。
しかし、
「やめるのじゃ!今からが一番、いいところじゃというのに!!」
山の神がタイタンを叱りつけると、
「ゴメ~~~ン!」
後、数ミリのところでタイタンの手が止まった。
「助かった...」
へなへなと膝をつくアメジスト。
パールやヒスイもホッとした様子だった。
すると、山の神が口にする。
「狼藉者どもめ!!もう悪さはしないと誓うか!!」
杖を相手に向け、キリッとした顔で睨むと、
「「「申し訳ございません!!もう二度としないと誓います!!」」」
ろくでなし3人組は土下座をして謝るのだった。
「うう~~~~...」
見るからに情けないアメジストたち。
それを目にしたガーネットは、
「アメジストさん...どうして...」
目の前で起こっていることが信じられないようだ。
尊敬する、姫様を除けば誰よりも強い『正義の味方』が、まるで悪者のようにお仕置きされている。
無理もないことだった。
「ミャ~~~~!!」
そんなガーネットにマリンが声をかける。
「ふふふ!『これで分かったでしょ!』って!」
アリーがマリンの言いたいことを代弁してくれたが、
「うむ!余は満足じゃ!!そなたらが『冒険者ごっこ』に付き合ってくれたおかげで、楽しい時間を過ごすことができた!礼を言おう!」
山の神が突然、そんなことを言いだした。
「「「冒険者ごっこ?!」」」
その場にいた全員が思わず、間抜けな声を上げる。
アメジストたちも同じだった。
「そなたらの悪人ぶり、なかなかであったぞ!出会っていきなり...」
『おっ!珍しい魔物じゃないのさ!』
『そうっスね!捕まえていったら、見世物になるっス!』
『よし!引っ捕らえよう!』
「わざわざ聞こえるようにそう言って、見え見えのだまし討ちをしてきたのじゃからな!!」
山の神は楽しそうに笑っている。
「それ、本気だと思うけど...」
「ミャ~~~~!!」
アリーの冷淡な口調に、マリンも同意するように首を振っているが、
「ということは、真剣に戦っていたわけではなく...」
ガーネットは山の神の言葉を、額面通り受け取っているようだ。そう口にすると、
「当たり前であろう!!いくらなんでも攻撃が弱すぎる!!手加減してくれたのじゃろうが、もっと本気を出しても良かったのじゃぞ!!」
山の神はアメジストたちに笑いかけた。
「ははは...」
乾いた笑いを浮かべているアメジストたち。すると、
「そういうことですか!!」
ガーネットは何かに思い当たったようだ。得心したように手を打つ。
「ミャ~~~...」
「来たわね!お得意の...」
うなだれているマリンと、楽しげな顔をしているアリー。
「つまり、タイタンとの遭遇で、神様の存在を知ったアメジストさんは大急ぎで捜しに行ったと!!」
ガーネットは、タイタンの『いきなり逃げだした』という言葉に、ずっと納得がいっていなかった。
タイタンごときから逃げだす理由など、これっぽっちもないからだ。
それとともに、自分たちを素通りしていった事情も察した。
「ふふふ!私たちにも気付かないくらい、一生懸命、捜していたなんて...さすがです!!」
ガーネットの目がキラキラと光る。
「なんと!余を心配してくれていたのじゃな!!...それで余を見つけて、あのような余興を思いついたというわけか!!」
山の神も感動しているようだ。
純粋な心を持つもの同士、意見が合うのかもしれない。
「アリガ~~~ト!」
タイタンもお礼を言っている。
「それに優しいんですね!アメジストさんが本気を出すと、ドラゴンも一発なんですよ!それなのに、こんな弱い攻撃を...」
「なんじゃと?!そんなに強かったのか!!しかも、やられっぷりも見事じゃ!!平地に下りた余の攻撃など、痛くもかゆくもないであろうに...」
更にガーネットがアメジストたちを持ち上げると、山の神も感心の度を強くしているようだ。
「そうですね!あれくらいの攻撃でこんなボロボロになるなんて...おかしいと思ってたんです!!やられ方の極意でもあるんですか?」
それを聞いたガーネットが、笑顔でアメジストに尋ねると、
「ま、まあね!あたしたちにかかればこんなもんさ!!」
もはや、適当にごまかすしかないアメジスト。
「うむ!タイタンの攻撃を受けそうになった時の、そなたの顔も迫真の演技であった!!余が止めるまでもなかったの!」
山の神がそう口にすると、
「そりゃそうですよ!あまりにも上手なので、私も焦っちゃいました!!良く考えれば、あのくらいで怪我するはずないんですけどね!」
ガーネットも笑っている。
「ははは!バレちまったか!」
ひきつった顔で強がりを言うアメジスト。
「あ、あったりまえっスよ~~~!!」
「ははは!驚いただろう?」
パールとヒスイも同調して、作り笑いをしているのであった。
ガーネットは声の聞こえてきた方向へと走る。
「ミャ~~~!」
「待って~~~!」
<ドシ~~~~ン!!...ドシ~~~~ン!!...>
マリンとアリー、それにタイタンもついてきた。
☆彡彡彡
「こいつ、強いね!」
「こんな細いのに攻撃力も...うわっ!止められないっス!!」
「そりゃ!...なに?!私の剣が効かないだと?!」
近づくにつれアメジストたちの声が聞こえてきた。そして、
「エクスプロージョン!」
<ドカ~~~~ン!!>
「「「うわぁぁ~~~~!!」」」
魔法で3人が吹き飛ばされる音。
「アメジストさん!!」
ガーネットが茂みの裏に回り込むと、
「まずいね!このままじゃ全滅だよ!」
そこでは、アメジストたちが戦っていた。
相手は、純白の衣をまとった美しい女性。手には杖を持っている。
しかし、人間ではない。その証拠に宙に浮いている。
肌も髪も真っ白で、耳がやや尖っていた。
「アメジストさんたちが押されてるなんて!!」
ガーネットは我が目を疑う。
アメジストたちは相手に多少のダメージを与えることはできていたようだったが、当の3人は魔法でボロボロだった。
「カミサ~~~マ!タスケ~~~ル!」
追い打ちをかけるように、タイタンがその大きな腕を、アメジスト目掛け、振り下ろす。
「キャァァ~~~~~~!!」
「「アメジスト!!」」
死を覚悟したアメジスト。
パールもヒスイもどうすることもできない。
「アメジストさん!!」
ガーネットも悲痛な声で叫ぶが、
「自業自得ね!次の生では、まっとうな人生を送ってね!」
「ミャ~~~!」
アリーとマリンは静かに手を合わせていた。
しかし、
「やめるのじゃ!今からが一番、いいところじゃというのに!!」
山の神がタイタンを叱りつけると、
「ゴメ~~~ン!」
後、数ミリのところでタイタンの手が止まった。
「助かった...」
へなへなと膝をつくアメジスト。
パールやヒスイもホッとした様子だった。
すると、山の神が口にする。
「狼藉者どもめ!!もう悪さはしないと誓うか!!」
杖を相手に向け、キリッとした顔で睨むと、
「「「申し訳ございません!!もう二度としないと誓います!!」」」
ろくでなし3人組は土下座をして謝るのだった。
「うう~~~~...」
見るからに情けないアメジストたち。
それを目にしたガーネットは、
「アメジストさん...どうして...」
目の前で起こっていることが信じられないようだ。
尊敬する、姫様を除けば誰よりも強い『正義の味方』が、まるで悪者のようにお仕置きされている。
無理もないことだった。
「ミャ~~~~!!」
そんなガーネットにマリンが声をかける。
「ふふふ!『これで分かったでしょ!』って!」
アリーがマリンの言いたいことを代弁してくれたが、
「うむ!余は満足じゃ!!そなたらが『冒険者ごっこ』に付き合ってくれたおかげで、楽しい時間を過ごすことができた!礼を言おう!」
山の神が突然、そんなことを言いだした。
「「「冒険者ごっこ?!」」」
その場にいた全員が思わず、間抜けな声を上げる。
アメジストたちも同じだった。
「そなたらの悪人ぶり、なかなかであったぞ!出会っていきなり...」
『おっ!珍しい魔物じゃないのさ!』
『そうっスね!捕まえていったら、見世物になるっス!』
『よし!引っ捕らえよう!』
「わざわざ聞こえるようにそう言って、見え見えのだまし討ちをしてきたのじゃからな!!」
山の神は楽しそうに笑っている。
「それ、本気だと思うけど...」
「ミャ~~~~!!」
アリーの冷淡な口調に、マリンも同意するように首を振っているが、
「ということは、真剣に戦っていたわけではなく...」
ガーネットは山の神の言葉を、額面通り受け取っているようだ。そう口にすると、
「当たり前であろう!!いくらなんでも攻撃が弱すぎる!!手加減してくれたのじゃろうが、もっと本気を出しても良かったのじゃぞ!!」
山の神はアメジストたちに笑いかけた。
「ははは...」
乾いた笑いを浮かべているアメジストたち。すると、
「そういうことですか!!」
ガーネットは何かに思い当たったようだ。得心したように手を打つ。
「ミャ~~~...」
「来たわね!お得意の...」
うなだれているマリンと、楽しげな顔をしているアリー。
「つまり、タイタンとの遭遇で、神様の存在を知ったアメジストさんは大急ぎで捜しに行ったと!!」
ガーネットは、タイタンの『いきなり逃げだした』という言葉に、ずっと納得がいっていなかった。
タイタンごときから逃げだす理由など、これっぽっちもないからだ。
それとともに、自分たちを素通りしていった事情も察した。
「ふふふ!私たちにも気付かないくらい、一生懸命、捜していたなんて...さすがです!!」
ガーネットの目がキラキラと光る。
「なんと!余を心配してくれていたのじゃな!!...それで余を見つけて、あのような余興を思いついたというわけか!!」
山の神も感動しているようだ。
純粋な心を持つもの同士、意見が合うのかもしれない。
「アリガ~~~ト!」
タイタンもお礼を言っている。
「それに優しいんですね!アメジストさんが本気を出すと、ドラゴンも一発なんですよ!それなのに、こんな弱い攻撃を...」
「なんじゃと?!そんなに強かったのか!!しかも、やられっぷりも見事じゃ!!平地に下りた余の攻撃など、痛くもかゆくもないであろうに...」
更にガーネットがアメジストたちを持ち上げると、山の神も感心の度を強くしているようだ。
「そうですね!あれくらいの攻撃でこんなボロボロになるなんて...おかしいと思ってたんです!!やられ方の極意でもあるんですか?」
それを聞いたガーネットが、笑顔でアメジストに尋ねると、
「ま、まあね!あたしたちにかかればこんなもんさ!!」
もはや、適当にごまかすしかないアメジスト。
「うむ!タイタンの攻撃を受けそうになった時の、そなたの顔も迫真の演技であった!!余が止めるまでもなかったの!」
山の神がそう口にすると、
「そりゃそうですよ!あまりにも上手なので、私も焦っちゃいました!!良く考えれば、あのくらいで怪我するはずないんですけどね!」
ガーネットも笑っている。
「ははは!バレちまったか!」
ひきつった顔で強がりを言うアメジスト。
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