37 / 76
Maid 37. ガーネットの一言
しおりを挟む
「クェェ~~~~~!!」
「まただ...これじゃキリがないよ!」
アリーがぼやいている。
ガーネットたちの目の前では、フェニックスが何度目かの復活を遂げていた。
「熱っ!」
ガーネットが顔をしかめる。
フェニックスがつけた火はますます盛んになり、周りを赤く染めていた。すると、
「ミャ~~~~!」
マリンがガーネットの腕から逃げようとする。
「ダメだよ!ここから出たら火傷するよ!」
そんなマリンを抱きとめるガーネット。
「ミャ~~~~!!」
何か言いたそうに、暴れているマリンを前に、
「熱いの?せめて雨でも降ってくれれば...」
ふと、つぶやいたガーネットの言葉に、
「それだ!!」
アメジストが突然、大声を上げた。そして、
「スコール!」
魔法を詠唱する。
<ザァァ~~~~!!>
局所的に大雨が降る。
その雨は一本の木の火を完全に消してしまった。
「いけるっス!!」
それを見たパールの声が弾む。
「うむ、この調子で一本ずつ、消していけば...」
ヒスイも満足げにうなずいていた。
「スコール!」
「スコール!」
アメジストが魔法を使う度に、火が鎮まっていく。すると、
「クェェ~~~~~!!」
フェニックスは焦りだしたようだ。
アメジストに向かって突進してくる。しかし、
「ビッグシールド!」
パールが特技を使った。
<ガン!!>
見ると、パールの盾は人ひとりよりも大きくなり、その重さでフェニックスの突撃を弾き返す。更に、
「アイスソード!」
ヒスイの掛け声とともに、その剣が氷に覆われる。
<ズバッ!>
「グェェ~~~~~!!」
弱点属性で深手を負ったフェニックスは、たまらず、逃げだす。
「そうはいかないよ!」
そう言ったアリーの目の前には、多くの氷の塊が出現していた。
「いけっ!!」
無数の氷の刃がフェニックスに突き刺さる。
「グェェ~~~~~!!」
フェニックスは必死で、炎のある場所まで飛んでいこうとするが、
「スコール!」
燃え残ったわずかな火もアメジストに消し去られてしまった。
<ポウッ!>
光と消えたフェニックス。
しかし、もう復活はしない。
<ゴロン...>
大きな魔石だけが残されていたのだった。
☆彡彡彡
「なんとか、倒せたね!」
魔石を拾いながら口にするアメジスト。
「そうですね!良かったです!」
そう答えるガーネットだったが、二人の心の中には疑問が。
(なんでアメジストさんはあんな悠長な方法で?ドラゴンを倒したような魔法なら、即死させれていたはず!)
(このメイド、なんで魔法を使わなかったんだ?こいつが戦いに加わっていれば、こんな苦労はせずに...)
しばらく相手の様子をうかがっていた二人だったが、
「ガーネット!早く、帰ろうよ!」
「何してるっスか?早く、街に戻るっス!」
アリーとパールに急かされ、我に返る。
「そ、そうだね!行こうか、マリン!」
「ミャ~~~~!」
「よし!これで星と魔石と金が手に入る!結果オーライだな!」
「うむ!久しぶりにいい運動になった!」
それぞれ、仲間と会話をしながら、帰路につくのだった。
☆彡彡彡
「それで、『灼熱の迷宮』へはいつ行くんだい?」
帰り道、なんとはなしにガーネットに話しかけるアメジスト。
「はい!本当はこれからすぐにでも行きたかったのですが、もう時間ですし、明日にしようかと...」
「そうか...」
「「ハッ!!」」
すると、二人は何かに気付いたような顔をする。
(そうか!こいつ、『灼熱の迷宮』のために魔力の温存を!!...あの迷宮にはそれだけの何かがあるということか!!)
ニヤリと笑う、アメジスト。
(そっか!これはアメジストさんから私への警告...)
それに対し、ガーネットは真剣な顔に変わっていた。
(『灼熱の迷宮』ではいろんな困難が待ち構えている...そこで今まで通り、人に頼った態度をとっていてはダメだって!!)
ガーネットはこれまでの自分を反省していた。
(今まで、私は4つの雫を手に入れてきた...でもそれは全て、アメジストさんのおかげ!!)
更に、今回の戦闘を振り返る。
(私、最初っからアメジストさんに全てを任せるつもりで...戦いが始まっても、アリーとアメジストさんたちを頼って、ただ、おびえているだけだった...)
ガーネットは自分が情けなくて仕方なくなる。
(そんな私にアメジストさんは教えてくれたんだ...『いつも、誰かが守ってくれてるわけではないんだぞ』と...)
すると、アメジストの行動が理解できた気がした。
(アメジストさんは私が能動的に動くまで、何もしなかった...声をかけて急かしてくれても、なんにも気付かずに...あの時、『雨でも降ってくれれば』と言ってなかったら、見捨てられてたかも!!)
ガーネットは青くなる。しかし、
(ううん!アメジストさんはそんなことしない!あれは私がフェニックスを倒すために言った言葉じゃない!でも...それで許してくれたんだ...)
ガーネットは今更ながら、アメジストの心の広さに感動していたのだった。
(そして、その意味を私が気付くように、時間をかけてフェニックスを倒してくれた...それなのに今まで、気にも留めていなかったなんて...)
そして、ガーネットは心に決めた。
(そんなアメジストさんの優しさをムダにしないためにも、これからは戦いでも、自分にできることを考えよう!!)
「アメジストさん!ありがとうございます!私、明日は頑張りますね!」
そう言って、アメジストに笑いかけるガーネット。
「そ、そうか!じゃあ、報酬の分け前は...」
待っていたかのように答えるアメジストに対し、
「はい!私は星が欲しかっただけなので、全部、アメジストさんたちがもらってください!」
期待通りのガーネットの言葉。
「マ、マジっスか?!」
「ちょっとくらいはいいのだぞ!」
少しは心配するパールとヒスイ。そして、
「こうなると思ったよ!」
「ミャ~~~~...」
諦めた顔をするアリーとマリンがいた。
「まただ...これじゃキリがないよ!」
アリーがぼやいている。
ガーネットたちの目の前では、フェニックスが何度目かの復活を遂げていた。
「熱っ!」
ガーネットが顔をしかめる。
フェニックスがつけた火はますます盛んになり、周りを赤く染めていた。すると、
「ミャ~~~~!」
マリンがガーネットの腕から逃げようとする。
「ダメだよ!ここから出たら火傷するよ!」
そんなマリンを抱きとめるガーネット。
「ミャ~~~~!!」
何か言いたそうに、暴れているマリンを前に、
「熱いの?せめて雨でも降ってくれれば...」
ふと、つぶやいたガーネットの言葉に、
「それだ!!」
アメジストが突然、大声を上げた。そして、
「スコール!」
魔法を詠唱する。
<ザァァ~~~~!!>
局所的に大雨が降る。
その雨は一本の木の火を完全に消してしまった。
「いけるっス!!」
それを見たパールの声が弾む。
「うむ、この調子で一本ずつ、消していけば...」
ヒスイも満足げにうなずいていた。
「スコール!」
「スコール!」
アメジストが魔法を使う度に、火が鎮まっていく。すると、
「クェェ~~~~~!!」
フェニックスは焦りだしたようだ。
アメジストに向かって突進してくる。しかし、
「ビッグシールド!」
パールが特技を使った。
<ガン!!>
見ると、パールの盾は人ひとりよりも大きくなり、その重さでフェニックスの突撃を弾き返す。更に、
「アイスソード!」
ヒスイの掛け声とともに、その剣が氷に覆われる。
<ズバッ!>
「グェェ~~~~~!!」
弱点属性で深手を負ったフェニックスは、たまらず、逃げだす。
「そうはいかないよ!」
そう言ったアリーの目の前には、多くの氷の塊が出現していた。
「いけっ!!」
無数の氷の刃がフェニックスに突き刺さる。
「グェェ~~~~~!!」
フェニックスは必死で、炎のある場所まで飛んでいこうとするが、
「スコール!」
燃え残ったわずかな火もアメジストに消し去られてしまった。
<ポウッ!>
光と消えたフェニックス。
しかし、もう復活はしない。
<ゴロン...>
大きな魔石だけが残されていたのだった。
☆彡彡彡
「なんとか、倒せたね!」
魔石を拾いながら口にするアメジスト。
「そうですね!良かったです!」
そう答えるガーネットだったが、二人の心の中には疑問が。
(なんでアメジストさんはあんな悠長な方法で?ドラゴンを倒したような魔法なら、即死させれていたはず!)
(このメイド、なんで魔法を使わなかったんだ?こいつが戦いに加わっていれば、こんな苦労はせずに...)
しばらく相手の様子をうかがっていた二人だったが、
「ガーネット!早く、帰ろうよ!」
「何してるっスか?早く、街に戻るっス!」
アリーとパールに急かされ、我に返る。
「そ、そうだね!行こうか、マリン!」
「ミャ~~~~!」
「よし!これで星と魔石と金が手に入る!結果オーライだな!」
「うむ!久しぶりにいい運動になった!」
それぞれ、仲間と会話をしながら、帰路につくのだった。
☆彡彡彡
「それで、『灼熱の迷宮』へはいつ行くんだい?」
帰り道、なんとはなしにガーネットに話しかけるアメジスト。
「はい!本当はこれからすぐにでも行きたかったのですが、もう時間ですし、明日にしようかと...」
「そうか...」
「「ハッ!!」」
すると、二人は何かに気付いたような顔をする。
(そうか!こいつ、『灼熱の迷宮』のために魔力の温存を!!...あの迷宮にはそれだけの何かがあるということか!!)
ニヤリと笑う、アメジスト。
(そっか!これはアメジストさんから私への警告...)
それに対し、ガーネットは真剣な顔に変わっていた。
(『灼熱の迷宮』ではいろんな困難が待ち構えている...そこで今まで通り、人に頼った態度をとっていてはダメだって!!)
ガーネットはこれまでの自分を反省していた。
(今まで、私は4つの雫を手に入れてきた...でもそれは全て、アメジストさんのおかげ!!)
更に、今回の戦闘を振り返る。
(私、最初っからアメジストさんに全てを任せるつもりで...戦いが始まっても、アリーとアメジストさんたちを頼って、ただ、おびえているだけだった...)
ガーネットは自分が情けなくて仕方なくなる。
(そんな私にアメジストさんは教えてくれたんだ...『いつも、誰かが守ってくれてるわけではないんだぞ』と...)
すると、アメジストの行動が理解できた気がした。
(アメジストさんは私が能動的に動くまで、何もしなかった...声をかけて急かしてくれても、なんにも気付かずに...あの時、『雨でも降ってくれれば』と言ってなかったら、見捨てられてたかも!!)
ガーネットは青くなる。しかし、
(ううん!アメジストさんはそんなことしない!あれは私がフェニックスを倒すために言った言葉じゃない!でも...それで許してくれたんだ...)
ガーネットは今更ながら、アメジストの心の広さに感動していたのだった。
(そして、その意味を私が気付くように、時間をかけてフェニックスを倒してくれた...それなのに今まで、気にも留めていなかったなんて...)
そして、ガーネットは心に決めた。
(そんなアメジストさんの優しさをムダにしないためにも、これからは戦いでも、自分にできることを考えよう!!)
「アメジストさん!ありがとうございます!私、明日は頑張りますね!」
そう言って、アメジストに笑いかけるガーネット。
「そ、そうか!じゃあ、報酬の分け前は...」
待っていたかのように答えるアメジストに対し、
「はい!私は星が欲しかっただけなので、全部、アメジストさんたちがもらってください!」
期待通りのガーネットの言葉。
「マ、マジっスか?!」
「ちょっとくらいはいいのだぞ!」
少しは心配するパールとヒスイ。そして、
「こうなると思ったよ!」
「ミャ~~~~...」
諦めた顔をするアリーとマリンがいた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる