ガーネットのキセキ

世々良木夜風

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Maid 37. ガーネットの一言

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「クェェ~~~~~!!」
「まただ...これじゃキリがないよ!」
アリーがぼやいている。
ガーネットたちの目の前では、フェニックスが何度目かの復活を遂げていた。

「熱っ!」
ガーネットが顔をしかめる。
フェニックスがつけた火はますます盛んになり、周りを赤く染めていた。すると、

「ミャ~~~~!」
マリンがガーネットの腕から逃げようとする。
「ダメだよ!ここから出たら火傷するよ!」
そんなマリンを抱きとめるガーネット。
「ミャ~~~~!!」
何か言いたそうに、暴れているマリンを前に、
「熱いの?せめて雨でも降ってくれれば...」
ふと、つぶやいたガーネットの言葉に、

「それだ!!」
アメジストが突然、大声を上げた。そして、

「スコール!」
魔法を詠唱する。

<ザァァ~~~~!!>
局所的に大雨が降る。
その雨は一本の木の火を完全に消してしまった。

「いけるっス!!」
それを見たパールの声が弾む。
「うむ、この調子で一本ずつ、消していけば...」
ヒスイも満足げにうなずいていた。

「スコール!」
「スコール!」

アメジストが魔法を使う度に、火が鎮まっていく。すると、

「クェェ~~~~~!!」
フェニックスは焦りだしたようだ。
アメジストに向かって突進してくる。しかし、

「ビッグシールド!」
パールが特技を使った。

<ガン!!>
見ると、パールの盾は人ひとりよりも大きくなり、その重さでフェニックスの突撃を弾き返す。更に、

「アイスソード!」
ヒスイの掛け声とともに、その剣が氷に覆われる。

<ズバッ!>
「グェェ~~~~~!!」
弱点属性で深手を負ったフェニックスは、たまらず、逃げだす。

「そうはいかないよ!」
そう言ったアリーの目の前には、多くの氷の塊が出現していた。

「いけっ!!」
無数の氷の刃がフェニックスに突き刺さる。

「グェェ~~~~~!!」
フェニックスは必死で、炎のある場所まで飛んでいこうとするが、

「スコール!」

燃え残ったわずかな火もアメジストに消し去られてしまった。

<ポウッ!>
光と消えたフェニックス。
しかし、もう復活はしない。
<ゴロン...>
大きな魔石だけが残されていたのだった。

☆彡彡彡

「なんとか、倒せたね!」
魔石を拾いながら口にするアメジスト。
「そうですね!良かったです!」
そう答えるガーネットだったが、二人の心の中には疑問が。

(なんでアメジストさんはあんな悠長な方法で?ドラゴンを倒したような魔法なら、即死させれていたはず!)
(このメイド、なんで魔法を使わなかったんだ?こいつが戦いに加わっていれば、こんな苦労はせずに...)

しばらく相手の様子をうかがっていた二人だったが、

「ガーネット!早く、帰ろうよ!」
「何してるっスか?早く、街に戻るっス!」
アリーとパールに急かされ、我に返る。

「そ、そうだね!行こうか、マリン!」
「ミャ~~~~!」

「よし!これでスターと魔石と金が手に入る!結果オーライだな!」
「うむ!久しぶりにいい運動になった!」

それぞれ、仲間と会話をしながら、帰路につくのだった。

☆彡彡彡

「それで、『灼熱の迷宮』へはいつ行くんだい?」
帰り道、なんとはなしにガーネットに話しかけるアメジスト。
「はい!本当はこれからすぐにでも行きたかったのですが、もう時間ですし、明日にしようかと...」
「そうか...」
「「ハッ!!」」
すると、二人は何かに気付いたような顔をする。

(そうか!こいつ、『灼熱の迷宮』のために魔力の温存を!!...あの迷宮にはそれだけの何かがあるということか!!)
ニヤリと笑う、アメジスト。

(そっか!これはアメジストさんから私への警告...)
それに対し、ガーネットは真剣な顔に変わっていた。
(『灼熱の迷宮』ではいろんな困難が待ち構えている...そこで今まで通り、人に頼った態度をとっていてはダメだって!!)
ガーネットはこれまでの自分を反省していた。
(今まで、私は4つの雫を手に入れてきた...でもそれは全て、アメジストさんのおかげ!!)
更に、今回の戦闘を振り返る。
(私、最初っからアメジストさんに全てを任せるつもりで...戦いが始まっても、アリーとアメジストさんたちを頼って、ただ、おびえているだけだった...)
ガーネットは自分が情けなくて仕方なくなる。
(そんな私にアメジストさんは教えてくれたんだ...『いつも、誰かが守ってくれてるわけではないんだぞ』と...)
すると、アメジストの行動が理解できた気がした。
(アメジストさんは私が能動的に動くまで、何もしなかった...声をかけて急かしてくれても、なんにも気付かずに...あの時、『雨でも降ってくれれば』と言ってなかったら、見捨てられてたかも!!)
ガーネットは青くなる。しかし、
(ううん!アメジストさんはそんなことしない!あれは私がフェニックスを倒すために言った言葉じゃない!でも...それで許してくれたんだ...)
ガーネットは今更ながら、アメジストの心の広さに感動していたのだった。
(そして、その意味を私が気付くように、時間をかけてフェニックスを倒してくれた...それなのに今まで、気にも留めていなかったなんて...)
そして、ガーネットは心に決めた。
(そんなアメジストさんの優しさをムダにしないためにも、これからは戦いでも、自分にできることを考えよう!!)

「アメジストさん!ありがとうございます!私、明日は頑張りますね!」
そう言って、アメジストに笑いかけるガーネット。
「そ、そうか!じゃあ、報酬の分け前は...」
待っていたかのように答えるアメジストに対し、
「はい!私はスターが欲しかっただけなので、全部、アメジストさんたちがもらってください!」
期待通りのガーネットの言葉。

「マ、マジっスか?!」
「ちょっとくらいはいいのだぞ!」
少しは心配するパールとヒスイ。そして、

「こうなると思ったよ!」
「ミャ~~~~...」
諦めた顔をするアリーとマリンがいた。
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