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Maid 38. 灼熱の迷宮
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翌日、
「ん?またお前か!昨日も言ったように星がないと...」
迷宮の前には、昨日と同じ兵士が立っていた。しかし、
「はい!倒してきました!」
ガーネットが冒険者証を見せると、
「こ、これは...まさか一日で...」
驚いた顔をする兵士。
「じゃあ、入ってもいいですよね!」
笑いかけるガーネットに、
「お、おう!気をつけるんだぞ!」
兵士はそう言って送り出した。
☆彡彡彡
「暑いね!」
『灼熱』というだけあって、迷宮の中は高温だったが、
「ウィンド!」
アリーが冷たい風を届けてくれる。
「ありがと!」
にっこり笑いかけるガーネット。
「ミャ~~~...」
気軽にガーネットを助けてあげられるアリーが、マリンはうらやましそうだ。
そのまま、下層を目指すガーネットたちだったが、
「うわっ!怖い!」
迷宮の中はだだっ広い空間になっているが、あちこちに溶岩が噴き出している。
そのため、自由に動けるわけではなく、歩けるスペースはわずかだ。
そこを慎重に進んでいく。
更に、見晴らしが良いため、魔物に見つかりやすく、頻繁に襲われる。
魔物はマグマが平気だったり、空が飛べたりで、自由に空間を動き回り、近づいてくるのだ。
(よし!今日こそ頑張って、戦闘の役に!)
心ではそう思うガーネットだったが...
「アイスニードル!」
結局、何もできず、アリーが全て倒してしまうのだった。
☆彡彡彡
「はぁ...」
しばらく進んでいくと、アリーがため息をつく。
「どうしたの?」
ガーネットが聞くと、
「魔物の出現頻度が高くて、魔力の回復が追いつかない...」
アリーは眉をひそめた。
「どうする?少し、休む?」
ガーネットが提案するが、
「う~~~ん...隠れるところもないしね...まだ、しばらくは大丈夫だけど...」
悩むアリー。すると、
「ミャ~~~~!!」
マリンが何かを見つけると、駆けだしていく。
「マリン!離れちゃダメ!」
ガーネットが大急ぎで追いかけていくと、
<タタタッ!>
マリンが下層への階段を下りていった。
「あっ!こんなところに階段が!...マリン、待って!」
続いて下りようとするガーネットを、アリーが引き留める。
「ちょっと待ってからの方がいいんじゃない?」
するとガーネットは、
「そんな悠長な!!マリンに何かあったら!!」
心配そうな顔をするが、
「あたし、思うんだけど、マリン、もよおしたんだと思う...」
アリーの言葉に、
「あっ!」
ガーネットの顔が赤く染まる。
(そういえば、マリン、おしっこしてるとこ見られるの、異常に嫌がる...)
ガーネットは昔のことを思い出していた。
〇・〇・〇
<タタタッ!>
「マリン、どこ行くの?!」
冒険を始めて間もない頃、マリンが急に茂みの中などに隠れ、見つからなくなることがよくあった。
「マリン!...マリン!...」
必死に捜すガーネット。しかし、しばらくすると、
「ミャ~~~~!」
何事もないかのように戻ってくる。
「どこ行ってたの?!」
最初は心配したガーネットだったが、何度も経験するうちに慣れっこになっていた。
そんなある日、
(また、いなくなった...何してるのかな...)
何気なく捜していると、
<シ~~~~~~!>
茂みの中でおしっこをしているマリンを見つけた。
「ミャッ!!」
真っ赤になるマリン。
途中で止められず、泣きそうな顔で最後までしていた。
「まさか、おしっこを見られるのがイヤで?」
ガーネットは驚く。
警戒心なら分かる。しかし、マリンの様子は明らかな羞恥だ。
猫にそんな感情があるなど、聞いたことがなかった。しかし、
(マリンは賢いから、特別なのかも!...今度からは一人でさせてあげよう!)
そう判断すると、
「ゴメンね!恥ずかしいところ見て!...次からは気をつけるからね!」
ガーネットはマリンに約束したのだった。
〇・〇・〇
(それに、マリンも私がおしっこしてる時、どこかに行ってくれる...猫だからいいといえばいいけど...やっぱり...ちょっと恥ずかしいよね!)
ガーネットも旅の途中で、もよおすことが当然、ある。
人に見られないように、隠れてするのだが、不思議とマリンも離れていくのだった。
「マリンって人間みたいなとこあるよね!」
ガーネットがふと、口にした言葉に、
「そ、そうかな?!」
慌てた様子で答えるアリー。そして、
「そ、そろそろいいんじゃない!」
ごまかすようにガーネットを促した。
「そうだね!」
二人が下層に下りると、
「ミャ~~~~!」
マリンがうれしそうに寄ってくる。
「大丈夫だった?」
ガーネットが心配そうに辺りを見回すが、
「あれっ?!」
異変を感じる。
「やっぱり、これが目的だったんだね!...ガーネットはごまかしといたから...助かるなぁ!」
アリーも何かを感じ取ったようで、納得した表情で、マリンになにやら話しかけている。すると、
「そうだ!魔物がいない!それに...アリーの魔法がなくてもそんなに暑くない!!」
ガーネットも違和感の正体に気付く。
1階と違って、遠くまで見ても魔物の姿はなく、焼けるようだった空気もどことなく涼しい。
ところどころ、溶岩が冷えて固まってさえいた。
「まるで、空間全体を氷で冷やしたような...ってそんなわけないよね!2階はこういう層なのかも!」
ガーネットは頭に浮かんだ考えを否定する。
(何、考えてるんだろ!)
自分の直感に思わず、可笑しくなるガーネット。
「この層は楽勝だね!」
そう言ったガーネットだったが、
<ブルッ!>
安心したのか、ある欲求が生まれた。
「あ、あの...私も...」
真っ赤になりながら口にした言葉に、
「あっ!!」
赤くなるアリー。
「ミャ~~~?」
マリンは不思議そうだったが、
「ほら!あれ!」
アリーが示唆すると、その意味に気付いたようだ。
「ミャッ!」
マリンの頬が染まる。
「ミャ~~~~!!」
「終わったら、呼んでね!」
急いで1階に上っていく、マリンとアリーだった。
「ん?またお前か!昨日も言ったように星がないと...」
迷宮の前には、昨日と同じ兵士が立っていた。しかし、
「はい!倒してきました!」
ガーネットが冒険者証を見せると、
「こ、これは...まさか一日で...」
驚いた顔をする兵士。
「じゃあ、入ってもいいですよね!」
笑いかけるガーネットに、
「お、おう!気をつけるんだぞ!」
兵士はそう言って送り出した。
☆彡彡彡
「暑いね!」
『灼熱』というだけあって、迷宮の中は高温だったが、
「ウィンド!」
アリーが冷たい風を届けてくれる。
「ありがと!」
にっこり笑いかけるガーネット。
「ミャ~~~...」
気軽にガーネットを助けてあげられるアリーが、マリンはうらやましそうだ。
そのまま、下層を目指すガーネットたちだったが、
「うわっ!怖い!」
迷宮の中はだだっ広い空間になっているが、あちこちに溶岩が噴き出している。
そのため、自由に動けるわけではなく、歩けるスペースはわずかだ。
そこを慎重に進んでいく。
更に、見晴らしが良いため、魔物に見つかりやすく、頻繁に襲われる。
魔物はマグマが平気だったり、空が飛べたりで、自由に空間を動き回り、近づいてくるのだ。
(よし!今日こそ頑張って、戦闘の役に!)
心ではそう思うガーネットだったが...
「アイスニードル!」
結局、何もできず、アリーが全て倒してしまうのだった。
☆彡彡彡
「はぁ...」
しばらく進んでいくと、アリーがため息をつく。
「どうしたの?」
ガーネットが聞くと、
「魔物の出現頻度が高くて、魔力の回復が追いつかない...」
アリーは眉をひそめた。
「どうする?少し、休む?」
ガーネットが提案するが、
「う~~~ん...隠れるところもないしね...まだ、しばらくは大丈夫だけど...」
悩むアリー。すると、
「ミャ~~~~!!」
マリンが何かを見つけると、駆けだしていく。
「マリン!離れちゃダメ!」
ガーネットが大急ぎで追いかけていくと、
<タタタッ!>
マリンが下層への階段を下りていった。
「あっ!こんなところに階段が!...マリン、待って!」
続いて下りようとするガーネットを、アリーが引き留める。
「ちょっと待ってからの方がいいんじゃない?」
するとガーネットは、
「そんな悠長な!!マリンに何かあったら!!」
心配そうな顔をするが、
「あたし、思うんだけど、マリン、もよおしたんだと思う...」
アリーの言葉に、
「あっ!」
ガーネットの顔が赤く染まる。
(そういえば、マリン、おしっこしてるとこ見られるの、異常に嫌がる...)
ガーネットは昔のことを思い出していた。
〇・〇・〇
<タタタッ!>
「マリン、どこ行くの?!」
冒険を始めて間もない頃、マリンが急に茂みの中などに隠れ、見つからなくなることがよくあった。
「マリン!...マリン!...」
必死に捜すガーネット。しかし、しばらくすると、
「ミャ~~~~!」
何事もないかのように戻ってくる。
「どこ行ってたの?!」
最初は心配したガーネットだったが、何度も経験するうちに慣れっこになっていた。
そんなある日、
(また、いなくなった...何してるのかな...)
何気なく捜していると、
<シ~~~~~~!>
茂みの中でおしっこをしているマリンを見つけた。
「ミャッ!!」
真っ赤になるマリン。
途中で止められず、泣きそうな顔で最後までしていた。
「まさか、おしっこを見られるのがイヤで?」
ガーネットは驚く。
警戒心なら分かる。しかし、マリンの様子は明らかな羞恥だ。
猫にそんな感情があるなど、聞いたことがなかった。しかし、
(マリンは賢いから、特別なのかも!...今度からは一人でさせてあげよう!)
そう判断すると、
「ゴメンね!恥ずかしいところ見て!...次からは気をつけるからね!」
ガーネットはマリンに約束したのだった。
〇・〇・〇
(それに、マリンも私がおしっこしてる時、どこかに行ってくれる...猫だからいいといえばいいけど...やっぱり...ちょっと恥ずかしいよね!)
ガーネットも旅の途中で、もよおすことが当然、ある。
人に見られないように、隠れてするのだが、不思議とマリンも離れていくのだった。
「マリンって人間みたいなとこあるよね!」
ガーネットがふと、口にした言葉に、
「そ、そうかな?!」
慌てた様子で答えるアリー。そして、
「そ、そろそろいいんじゃない!」
ごまかすようにガーネットを促した。
「そうだね!」
二人が下層に下りると、
「ミャ~~~~!」
マリンがうれしそうに寄ってくる。
「大丈夫だった?」
ガーネットが心配そうに辺りを見回すが、
「あれっ?!」
異変を感じる。
「やっぱり、これが目的だったんだね!...ガーネットはごまかしといたから...助かるなぁ!」
アリーも何かを感じ取ったようで、納得した表情で、マリンになにやら話しかけている。すると、
「そうだ!魔物がいない!それに...アリーの魔法がなくてもそんなに暑くない!!」
ガーネットも違和感の正体に気付く。
1階と違って、遠くまで見ても魔物の姿はなく、焼けるようだった空気もどことなく涼しい。
ところどころ、溶岩が冷えて固まってさえいた。
「まるで、空間全体を氷で冷やしたような...ってそんなわけないよね!2階はこういう層なのかも!」
ガーネットは頭に浮かんだ考えを否定する。
(何、考えてるんだろ!)
自分の直感に思わず、可笑しくなるガーネット。
「この層は楽勝だね!」
そう言ったガーネットだったが、
<ブルッ!>
安心したのか、ある欲求が生まれた。
「あ、あの...私も...」
真っ赤になりながら口にした言葉に、
「あっ!!」
赤くなるアリー。
「ミャ~~~?」
マリンは不思議そうだったが、
「ほら!あれ!」
アリーが示唆すると、その意味に気付いたようだ。
「ミャッ!」
マリンの頬が染まる。
「ミャ~~~~!!」
「終わったら、呼んでね!」
急いで1階に上っていく、マリンとアリーだった。
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