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Panic 27. 女王様と論戦
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「ホントです!信じてください!」
マコリンが必死に女王様に訴えかけるが、
「ふう...まだそのようなことを...大体、おぬしの話は支離滅裂じゃ!」
女王様は一顧だにしない。
「本当のことですから、他に話しようがありません!どこかおかしいでしょうか?」
そう言うマコリンに対し、
「まあ、百歩譲って、おぬしらが異世界人だということは認めてもよい...」
(そこが一番、心配だったんだけど...他に辻褄が合わないところがあったかしら?)
首をひねっているマコリンをしりめに、女王様は質問をしてくる。
「まず、そのゲートとやらじゃが、我が娘はその時間帯は自室にいたはず!...しかし、おぬしらは街の入口の近くに続いていたと言う...これはどういうことじゃ?」
「それは...」
マコリンは言葉に詰まってしまう。
(女王様の話が本当なら、ゲートは王女様の部屋に開いたと考えるのが自然...でも、実際は街の入口にあった...)
しかし、マコリンはなんとか反論を試みる。
「王女様がお出かけになっておられたのでは?」
それに対し女王様は、
「我が娘の部屋の前には護衛がおる!...おい!アコヤは部屋に入った後、出ていったか?」
そう述べると、並んでいる近衛兵の一人に声をかける。
「いえ!ずっと見張っておりましたが、アコヤ様の部屋の扉は閉まったままでした!」
近衛兵が敬礼の後、返答をすると、
「ふむ。これでどうじゃ?」
女王様が勝ち誇ったようにマコリンを見る。
(王女様の名前は『アコヤ』っていうのね!ってそんなのどうでもいいわ!...どう答えよう...確かに王女様はあっちの世界にいた...それ以外の可能性は...)
マコリンが頭を働かせていると、ポワンが助けるように話しだした。
「最初に王女様の部屋にゲートが開いて、ポワンたちの世界に召喚されたんじゃないかな!...そして帰りは別のゲートが開いた...」
(いいじゃない!ポワン!)
マコリンは、ポワンに目で合図を送った。
「へへへ!」
うれしそうなポワン。すると、
「ふむ...ところでおぬしたちはゲートを開けるのか?」
少し考えた女王様が、突然、そんなことを言いだす。
「ポワンが開けるよ!」
得意げなポワン。しかし、
(ちょっ!まずいわよ...)
マコリンは女王様の問いの意図に気づいていた。ポワンは明らかに失言をしたのだ。
すると、女王様はマコリンの想像通りの質問をする。
「おお!すごいのぉ!...ゲートとやらは、誰にでも開けるものではないのであろう?」
女王様に褒められたポワンは、
「そうだよ!ポワンが知ってる限り、謎の小さな女の子くらいかなぁ...」
ペラペラと話しだす。
「あの...ポワン?...あんまりその話はしないほうが...」
マコリンがそれとなく止めようとするが、女王様はトドメとばかりにポワンに聞いた。
「謎の女の子?そやつは今回の現場にいたのか?」
するとポワンは、
「ううん!本当に良く分からない子なの!ポワンも夢の中でしか会ったことがないんだ!」
そう答えてしまった。
<ニヤリ>
女王様の口角が上がる。
「おぬしたちの話を聞いておると、ゲートを開けるのは、そのポワンとかいう者だけらしいのぉ...」
「ち、違うの!!」
マコリンが声を上げるが、
「どこが違う!!おぬしたちの話を総合すると、そのポワンがゲートを開き、アコヤをさらった...そして、人質にしてこの世界に戻ってきたのであろう!」
女王様がピシャリと言う。
「だから、ポワン以外の誰かが!!」
マコリンは一生懸命に弁明するが、
「ならその者を連れてまいれ!!...夢の中にしかいないらしいがのぉ!」
女王様はバカにしたように笑った。
「そんな!私たちはただ、王女様を追いかけて...」
マコリンが必死な顔で訴えるが、
「まだ言うか!...ははぁ...さては逃げられて追いかけてきたのじゃな?それで衛兵に見つかったので、アコヤに眠りの魔法をかけたのであろう!」
女王様は、勝手に筋書きを作ってしまっている。
筋としては、女王様のほうが通っているので、尚更、具合が悪い。
「違います!そんなことしてません!」
マコリンは強く主張するが、
「なら、なぜアコヤは目を覚まさぬ!!すぐに魔法を解くのじゃ!!」
女王様は、自分の仮説に自信を持っているのか、聞く耳を持たなかった。
(どうしよう...このままじゃ私たちは...)
目に涙を浮かべているマコリン。
すると、ポワンがマコリンに優しくささやいた。
「大丈夫だよ!きっともうすぐあの子は目を覚ます...そしたら濡れ衣も晴れるよ!」
そして女王様に対して笑いかける。
「ゲートは次元の歪みを通るから、慣れてないと気絶する人がいるの!王女様もここへのゲートを通った時に、意識を失ったんじゃないかな!そのうち目も覚めるよ!」
(なるほど!そういえば、私も初めて召喚された時は、気を失っていた...)
マコリンは納得していたが、
「まだウソを重ねるか!!...大体、おぬしたちは自分たちの世界に『アコヤが迷い込んできた』と言うたが、なぜこの世界まで追いかけてきた!不審者が帰ったのなら、ここまで来る道理はないはずじゃ!」
女王様は、厳しく問いかけてくる。
「それはさっき話した謎の女の子に王女様が似てたから...ポワンたちはその子に用があるの!」
ポワンは素直に答えたが、
「アコヤのせいにするか!!もう許せぬ!!」
その言葉は、女王様の逆鱗に触れたようだった。
「魅了!ポワン!マコリン!我に従え!」
その瞬間、ポワンの目がトロンとうつろなものに変わる。
そして女王様を見つめると、口を開く。
「ポワン、女王様が好き!なんでも言うこと聞くから言って!」
「ポワン!!」
その言葉にショックを受けるマコリン。
「ポワン!しっかりして!!」
ポワンを揺すって、なんとか正気に戻そうとする。
その様子を見た女王様は、
「ん?...おぬし、我が魔法に抵抗したのか?...ただものではないの!」
マコリンを見て、驚いているようだった。
(まずい!魔法にかかったふりをしたほうが良かったかしら?)
そんなマコリン目掛けて、女王様は2度目の魔法を唱える。
「魅了!マコリン!我に従え!」
(チャンス!)
マコリンはポワンの真似をすることにした。
目の焦点を意識的にぼやけさせると、女王様に向かって言う。
「女王様!なんなりとお申しつけください!」
「ふむ...」
しかし、女王様はマコリンを警戒しているようだ。
いきなり命令をしてきた。
「マコリンよ!今、着ているその変わった服を脱ぐのじゃ!」
マコリンが必死に女王様に訴えかけるが、
「ふう...まだそのようなことを...大体、おぬしの話は支離滅裂じゃ!」
女王様は一顧だにしない。
「本当のことですから、他に話しようがありません!どこかおかしいでしょうか?」
そう言うマコリンに対し、
「まあ、百歩譲って、おぬしらが異世界人だということは認めてもよい...」
(そこが一番、心配だったんだけど...他に辻褄が合わないところがあったかしら?)
首をひねっているマコリンをしりめに、女王様は質問をしてくる。
「まず、そのゲートとやらじゃが、我が娘はその時間帯は自室にいたはず!...しかし、おぬしらは街の入口の近くに続いていたと言う...これはどういうことじゃ?」
「それは...」
マコリンは言葉に詰まってしまう。
(女王様の話が本当なら、ゲートは王女様の部屋に開いたと考えるのが自然...でも、実際は街の入口にあった...)
しかし、マコリンはなんとか反論を試みる。
「王女様がお出かけになっておられたのでは?」
それに対し女王様は、
「我が娘の部屋の前には護衛がおる!...おい!アコヤは部屋に入った後、出ていったか?」
そう述べると、並んでいる近衛兵の一人に声をかける。
「いえ!ずっと見張っておりましたが、アコヤ様の部屋の扉は閉まったままでした!」
近衛兵が敬礼の後、返答をすると、
「ふむ。これでどうじゃ?」
女王様が勝ち誇ったようにマコリンを見る。
(王女様の名前は『アコヤ』っていうのね!ってそんなのどうでもいいわ!...どう答えよう...確かに王女様はあっちの世界にいた...それ以外の可能性は...)
マコリンが頭を働かせていると、ポワンが助けるように話しだした。
「最初に王女様の部屋にゲートが開いて、ポワンたちの世界に召喚されたんじゃないかな!...そして帰りは別のゲートが開いた...」
(いいじゃない!ポワン!)
マコリンは、ポワンに目で合図を送った。
「へへへ!」
うれしそうなポワン。すると、
「ふむ...ところでおぬしたちはゲートを開けるのか?」
少し考えた女王様が、突然、そんなことを言いだす。
「ポワンが開けるよ!」
得意げなポワン。しかし、
(ちょっ!まずいわよ...)
マコリンは女王様の問いの意図に気づいていた。ポワンは明らかに失言をしたのだ。
すると、女王様はマコリンの想像通りの質問をする。
「おお!すごいのぉ!...ゲートとやらは、誰にでも開けるものではないのであろう?」
女王様に褒められたポワンは、
「そうだよ!ポワンが知ってる限り、謎の小さな女の子くらいかなぁ...」
ペラペラと話しだす。
「あの...ポワン?...あんまりその話はしないほうが...」
マコリンがそれとなく止めようとするが、女王様はトドメとばかりにポワンに聞いた。
「謎の女の子?そやつは今回の現場にいたのか?」
するとポワンは、
「ううん!本当に良く分からない子なの!ポワンも夢の中でしか会ったことがないんだ!」
そう答えてしまった。
<ニヤリ>
女王様の口角が上がる。
「おぬしたちの話を聞いておると、ゲートを開けるのは、そのポワンとかいう者だけらしいのぉ...」
「ち、違うの!!」
マコリンが声を上げるが、
「どこが違う!!おぬしたちの話を総合すると、そのポワンがゲートを開き、アコヤをさらった...そして、人質にしてこの世界に戻ってきたのであろう!」
女王様がピシャリと言う。
「だから、ポワン以外の誰かが!!」
マコリンは一生懸命に弁明するが、
「ならその者を連れてまいれ!!...夢の中にしかいないらしいがのぉ!」
女王様はバカにしたように笑った。
「そんな!私たちはただ、王女様を追いかけて...」
マコリンが必死な顔で訴えるが、
「まだ言うか!...ははぁ...さては逃げられて追いかけてきたのじゃな?それで衛兵に見つかったので、アコヤに眠りの魔法をかけたのであろう!」
女王様は、勝手に筋書きを作ってしまっている。
筋としては、女王様のほうが通っているので、尚更、具合が悪い。
「違います!そんなことしてません!」
マコリンは強く主張するが、
「なら、なぜアコヤは目を覚まさぬ!!すぐに魔法を解くのじゃ!!」
女王様は、自分の仮説に自信を持っているのか、聞く耳を持たなかった。
(どうしよう...このままじゃ私たちは...)
目に涙を浮かべているマコリン。
すると、ポワンがマコリンに優しくささやいた。
「大丈夫だよ!きっともうすぐあの子は目を覚ます...そしたら濡れ衣も晴れるよ!」
そして女王様に対して笑いかける。
「ゲートは次元の歪みを通るから、慣れてないと気絶する人がいるの!王女様もここへのゲートを通った時に、意識を失ったんじゃないかな!そのうち目も覚めるよ!」
(なるほど!そういえば、私も初めて召喚された時は、気を失っていた...)
マコリンは納得していたが、
「まだウソを重ねるか!!...大体、おぬしたちは自分たちの世界に『アコヤが迷い込んできた』と言うたが、なぜこの世界まで追いかけてきた!不審者が帰ったのなら、ここまで来る道理はないはずじゃ!」
女王様は、厳しく問いかけてくる。
「それはさっき話した謎の女の子に王女様が似てたから...ポワンたちはその子に用があるの!」
ポワンは素直に答えたが、
「アコヤのせいにするか!!もう許せぬ!!」
その言葉は、女王様の逆鱗に触れたようだった。
「魅了!ポワン!マコリン!我に従え!」
その瞬間、ポワンの目がトロンとうつろなものに変わる。
そして女王様を見つめると、口を開く。
「ポワン、女王様が好き!なんでも言うこと聞くから言って!」
「ポワン!!」
その言葉にショックを受けるマコリン。
「ポワン!しっかりして!!」
ポワンを揺すって、なんとか正気に戻そうとする。
その様子を見た女王様は、
「ん?...おぬし、我が魔法に抵抗したのか?...ただものではないの!」
マコリンを見て、驚いているようだった。
(まずい!魔法にかかったふりをしたほうが良かったかしら?)
そんなマコリン目掛けて、女王様は2度目の魔法を唱える。
「魅了!マコリン!我に従え!」
(チャンス!)
マコリンはポワンの真似をすることにした。
目の焦点を意識的にぼやけさせると、女王様に向かって言う。
「女王様!なんなりとお申しつけください!」
「ふむ...」
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