マコリン☆パニック!

世々良木夜風

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Panic 37. 女の人だけの国に行こう!

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「じゃあ、行くわよ!」
真剣な顔のマコリン。
「うん!」
うなずくポワンも緊張気味だ。

二人の前には黒い渦。
続いているのは『女の人だけの国』。
目的は『女の子同士で赤ちゃんを作る方法を見つける』ことだ。

「えいっ!」
気合の入った声とともに、渦に飛び込むマコリン。
「やあっ!」
ポワンもそれに続いた。

☆彡彡彡

「ここって...教室?」
そこは学校の教室だった。
誰もおらず、机などが隅に集められ、ほこりが積もっている。
おそらく、今は使われていない教室なのだろう。
「あっ!学校だ!」
後から来たポワンも気づく。
「制服で来て良かったかも...」
マコリンがそうつぶやいた。

二人は今日、何を着ていこうか迷ったのだが、
(やっぱり、一番、ポワンが魅力的に見えるのは...)
(マコリンが可愛く見えるのは...)
「「制服にしよ!!」」
二人の答えは同じだった。

「「ふふふ!」」
お互いの制服姿を見た、二人が笑う。
今は夏服なので、上は白のブラウスとタイのみ。
(マ、マコリンのお胸の形が良く分かる...)
そして、下は太もも丸出しのミニスカートだ。
(ポ、ポワンの足、綺麗...下着も...見えそう!)
お互い、じっと見ていたが、ふと相手の視線に気づく。
「「!!」」
二人は真っ赤になって、そっぽを向いてしまった。

「と、とりあえず、出ましょうか?」
マコリンが微妙な空気を変えるように声をかける。
「そ、そうだね!ここでするのが目的じゃないし...」
ポワンは残念そうに何か言ったが、マコリンについて、空き教室を出ていった。


「あっ!」
マコリンが声を上げる。
教室を出た途端、この学校の生徒らしい、二人の女の子と出くわしたのだ。
二人は、一般的な紺のセーラー服を着ていた。

「おや?この学校の生徒じゃないね?こんなところで何してるんだい?」

中性的な凛々しい顔立ちをした生徒が聞いてきた。
彼女は空色の髪をショートにしている。
高身長でスレンダーな体つき。
口ぶりも男性的だった。

「そんなの講習を受けに来たに決まってるじゃない!...場所が分からないの?」

もう一人の、可愛い顔をした生徒が言う。
真っ白な髪はカールしていて、肩まで伸びている。
身長は低めで、胸は結構あった。

「講習って?」
ポワンが聞くと、
「そ、そ、それは...」
背の低い生徒が、顔を赤くして、口ごもっている。
見ると、二人は仲良く寄り添って、手をつないでいた。
「ポワン!」
マコリンがポワンの耳元でささやく。
「なに?」
ポワンがささやき返すと、
「この様子...二人はきっと恋人ね!つまり講習というのは...」
「こ、子供を作る講習!!」
マコリンとポワンがひそひそ話していると、
「もちろん、子供を授かるための講習さ!君らも子供が欲しいんだろう?」
背の高い生徒が、もう一人をかばうように説明してきた。
「やった!!ちょうどいいところに来たわね!!」
マコリンがタイミングの良さに喜んでいると、
「そうだね!二人に案内してもらおうよ!」
ポワンもマコリンを見て笑う。そして、
「あの...私たちもその講習を受けたいの!...でもどこでやっているのか分からなくて...良ければ案内してくれる?」
マコリンは二人にお願いをしたのだった。

☆彡彡彡

「へ~~~~!二人はソラとユキっていうのね!」
歩きながら自己紹介をした4人。
背の高いほうが『ソラ』で、低いほうが『ユキ』らしい。
「そうなの!私たち、1年の時から付き合ってるんだけど、もう二人とも18になったし...そろそろいいかなって!」
ユキの頬が染まった。
「マコリンとポワンはどうしてここに?そっちの学校でも講習はあるだろう?」
すると、ソラが二人の事情を聞いてくる。
「ポワンたちの世界では、こんな講習はないんだよ!だからここまで、はるばる受けに来たんだ!」
「ポワン!!」
ポワンの返事に慌てて、その口を押さえるマコリン。
「マ、マコリン!!苦しいよ!!...息が...」
ポワンが暴れているが、マコリンは構わず、押さえ続けると、ソラたちに言った。
「私たちのでは生徒数が少なくて、講習がなかなかできないの!...それで都会の学校まで...」
窓の外の様子で、ここが都会であるのは分かっていた。
ポワンの言葉をいいようにごまかす。
「そうなんだね!どうりで見ない制服だと思った!可愛いね!...で、でも...その...」
「ありがと!...なに?」
納得してくれた様子に、安心したマコリンは、何か言いたそうなユキを急かす。
「その...スカート、短くない?」
ユキの顔が染まる。
「そ、そう?可愛いと思うけど...」
マコリンがそんなふうに答えていると、
「...その子、いいのかい?さっきからぐったりしてるよ!」
ソラが、ポワンを見て忠告してくる。
「いけない!!ポワン!!」
<ペチペチ!>
床に寝かせ、頬を叩くが、ポワンは全く動かない。
「こ、こ、こんな時は人工呼吸と心臓マッサージね!」
マコリンは言い訳するようにそう言うと、ポワンの肩をつかみ、顔を寄せる。
(そういえば...キス...初めてかも...)
マコリンの頬が染まる。
ゆっくりと近づいていくマコリンの唇。
(ポワン!)
そして、マコリンが目を閉じた、まさにその時!

「ぷはぁぁ~~~~~!!死ぬかと思った!!」
ポワンが息を吹き返した。
「ポ、ポワン!!」
マコリンの慌てた声。
それを聞いて、目と鼻の先にマコリンの顔があることに気づいたポワンは、
「マ、マ、マコリン!!」
一瞬、取り乱すが、
「...いいよ!」
そう口にすると、そっと目を閉じた。
「ポワン...」
再び接近する二人の唇。しかし、
「ゴホン!!」
ソラの咳払いに、二人は飛び上がらんばかりに驚く。
「い、い、いつの間に!!」
マコリンが、ソラとユキを見て声を上げると、
「あの...そういうことは誰もいないところで...」
ユキが言いにくそうに口を開いた。
<カァッ!!>
マコリンとポワンの顔が、燃えそうなほど赤く染まった。

☆彡彡彡

しばらく無言で歩いていた4人だったが、
「ところでさっきの話だけど、ポワンはマコリンのスカートは、もっと短くてもいいと思うんだ!」
ポワンがいきなり、話を蒸し返す。
「聞いてたんだな...」
冷静にツッコむソラに対して、
「もっと短くって!!」
真っ赤になってしまうユキ。そして、
「も、もう!!ポワンったら!!...そんなことしたら、みんなに見えちゃうでしょ!」
マコリンも頬を染めていたのだった。
その言葉に、
「そ、そうだね!それは問題かも!!マコリンの下着とその下を見ていいのはポワンだけなんだから!!」
「ポワン!!人前で!!」
ポワンが思わず口にした内容に、マコリンは真っ赤になる。
「あっ!」
ソラとユキを見て、自らも赤くなるポワン。
「「・・・」」
二人が無言でうつむいていると、
「ははは!二人はそこまで進んでるんだ!...僕たちはまだキスしかしたことがなくて...」
「ソラ!!」
そんな事情を説明してくるソラ。
すると、今度はユキが赤くなった。
「へ~~~~!そんなに長く付き合ってるのに?」
マコリンが意外そうな声を上げていると、
「ポワンたちはまだ2か月くらいだけど、もう全部、しちゃったよ!」
ポワンは得意そうな顔で話す。
「ポワン!!」
恥ずかしそうなマコリンをしりめに、
「そ、そうなんだ...それで...どうだった?」
ユキは興味があるのか、上目でマコリンたちを窺いながら、尋ねてきた。
「えっ?!」
戸惑うマコリンに対し、ポワンは、
「ん~~~~...」
少しの間、考えた後、言ったセリフは、
「えっとね!マコリンはお胸もあそこもすっごく綺麗なの!!...だけどポワンが一番好きなのは、下着とあそこのにおいかなぁ!!」
「・・・」
マコリンはしばらく言葉が出なかった。
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