ひかるのヒミツ

世々良木夜風

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Secret9. ひかるとさくらの過去(さくらの憂鬱)

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●登場人物
ひかる・ダークライト(ひかる):魔法少女の人気の低迷ぶりに心を痛めているようだ。その原因が自分にあることについても...
 = ヒカル・ダークライト:秘密結社ダーク・ライト新首領として、悪の象徴となるはずが、皆のアイドルになってしまった、悲劇のヒロイン。
小松春こまつはる桜子さくらこ(さくら):元気が取り柄だった14才。魔法少女の失墜により心が折れかけている。立ち直るヒントはあるのか?
 = ラフェド・セリシール:ヒカルの登場によって、ヒロインの座を完全に奪われた。魔法少女の復権はあるのか?
・レオポン:ライオンを模したマスコットキャラ。魔法少女の凋落に危機感を持っている。だが、妙案はなく...
・ひかるの父:前ダーク・ライトの首領。アラフォーでニートになった、ダメダメ親父。
---
紫野むらさきのすみれ(すみれ):ひかるのお店でバイトをしている。回想シーンではどのボケを最後につっこむのが最も効果的か、常に考えている。

●前回のお話
私、小松春桜子。元気だけが取り柄だったんだけど、最近は暗い顔してるねってよく言われるの。
それもこれもヒカルのせい…だけじゃないよね。私が魔法少女としてダメダメだから...
でも落ち込んでばかりもいられないよね。何とかしなきゃ!だって私は魔法少女なんだから!!



「さくら、本当に大丈夫?」
さくらの友人たちが心配そうに声をかける。
「あっ、大丈夫だよ!私から元気を取ったら何も残らないしね!」
健気に答えるが声に覇気がない。
「昨日、本当に心配したんだよ。泣きはらした顔で登校してくるんだもん」
「ごめんね。本当にちょっとヤなことがあっただけだから」
「...」
「そうだ!これ見て元気出して」
友人の一人がスマホを取り出し、動画を見せる。
それはさくらが一番見たくなかった動画・・・ヒカルの登場シーンだった。
「ヒカルちゃん、かっこいーよねぇ。あこがれちゃう!」
友人の無邪気な声が逆にさくらの心をえぐる。
「そうかなぁ...」
(まずい!今の言い方!)
「あっ、さくらちゃん、魔法少女のファンだったよね。ゴメン...」
「えっ、そうじゃないの。その...魔法少女は街の平和の為に頑張ってるから、私も頑張らなきゃって思えるっていうか...」
「...」
「ヒカルちゃんかっこいいよね。顔もスタイルも人気もセリシールより上だし。多分、性格だって...」
(私、何言ってるんだろ...)
さくらは昨夜のレオポンとの作戦会議を思い出していた...

・・・

「セリシール。今後しばらくはヒカルには攻撃を当てない方がいい」
レオポンが口を開いた。
「攻撃を当てないって、それでどうやって戦うのよぉ」
「よく聞いてくれ。まず今まで通り、チッカーを戦闘不能にする。ここまでは同じだ」
「うん」
「その後、魔法を打つんだけど、ヒカルに当てないようにワザと外すんだ」
「何でそんなことするの~?」
「僕らの敵は悪の組織だ。ヒカル・ダークライトじゃない。悪の組織が撤退すればそれで街を守ったことになる」
「でも、魔法を当てずにどうやって追い返すの?」
「それは...相手が疲れて撤退するのを待つんだ」
「何?その希望的観測は!」
「根拠がないわけじゃない。おそらくヒカルは僕たちを倒す気はない」
「どうして分かるの?」
「...昨日の戦いを思い出して。彼女から闘気みたいなものを少しでも感じた??」
(本当は彼女が本気になれば僕らなんてひとたまりもないからなんだけど、言わない方がいいよね...)
「そういえば、いきなり『キャ~、セリシール様~~』とか」
「そう。まだヒカルは子供だ。悪の心が育っていないんだ」
「そうかぁ」
(納得するんだね...まぁその方が都合がいいけど...)
「下手に攻撃して、世間の反感を買うのは悪手だ。正義は皆の応援があって、初めて正義たりうるのだから」
「う~ん。難しい話しないでよぅ。でも分かった。レオポンの言う通りにやってみる!」
「さすがセリシールだ。しばらくたてばきっと皆も分かってくれるさ」
(うまくいくかどうか...でも、今はこれしかないんだ。ゴメンね、セリシール)

・・・

「さくらちゃん...さくらちゃん!」
「あっ、ごめん。考え事してた」
「...」「...」
「本当に大丈夫?」
友人の一人が恐る恐る、問いかける。さくらは、
(うん。レオポンも皆もこんなに励ましてくれてる!)
「うん。悩んでても始まらないよね!頑張ればきっといいことあると思うから」
何か吹っ切れた様だった。
「そうだよ。私たち皆さくらちゃんの味方だよ!」
「皆、ありがとう!いい友達を持って私は幸せ者だよ~!よ~し、やる気でてきた!頑張るぞ!!」
「元気になってくれたみたいでうれしい...それと...辛いときにはいつでも相談に乗るから、それだけは覚えておいてね」
「うん!!!」
さくらは久し振りに本心からの笑顔を見せた。

・・・

そして一方...

「出来た...」
日曜の朝、目を真っ赤にしながら、ひかるはペンを置いた。
テーブルの上には膨大な量の書類が散らかっている。

そのままひかるは先代首領の元に向かうと、ドアをノックした。
「お父様。もう起きてらっしゃいますか?」
ドアが自動で開く。
「朝早くに、申し訳ありません」
ひかるは部屋に入りながらあいさつをした。
「いや、ちょうどヒマしていたところだ。なんせ何もやることがないからな!」
気を使ったのではなく、本当にヒマなようだった。机の上にはソリティアの跡がある。
「実はお父様に相談がございまして...」
「それより、その顔はどうしたのだ!寝てないのではないか?」
「お気遣いありがとうございます。ですが今はそれどころではないのです!・・・お父様は魔法少女の現状をご存知でしょうか?」
「もちろん、知っておる。ヒカルが褒められるのはうれしいが、本来、悪とは魔法少女をひきたてるもの!しかし、現状を打破する妙案がないのも事実」
「その通りです。それでわたくしなりにいろいろ考えてみたのですが...」
「何か案があるのか!」
「はい、一つは今後の戦いにおいて、わたくし、ヒカルは道化を演じようと思っております」
「道化を?」
「はい、ヒカルは馬鹿で無能だと皆が知れば、魔法少女への態度も変わるでしょう」
「うーむ。それはそうだが。ひかるに出来るのか?それに父としてはお前が無能だと思われるのは耐え難い...」
「やるしかございません!わたくしは覚悟が出来ております!!」
「そうか...ひかるがそういうのであれば止めはせぬ。だが、無理はするなよ」
「分かっております。それともう一つは、わたくし、魔法少女専門のお店を開こうと思っております!」

・・・

「えっ、私たちのお店って、この時まだなかったの?」
すみれはひかるの発言に驚いたようだった。
「そうですわ。だって、熱烈ファンのすみれが最近まで見つけられなかったのですから、そう考えるのが普通じゃありませんこと?」
「ひかるに普通を語られるとは思ってなかったわ。でもそんなに速くお店って開けるものなの?」
「もちろん、簡単ではありませんでしたわ。まず家を建てるのに一晩かかりましたから」
「家から建てたの?!それに一晩って!!...よく普通を語れたわね」
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