ひかるのヒミツ

世々良木夜風

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Secret10. ひかるとさくらの過去(魔法少女のお店)

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●登場人物
ひかる・ダークライト(ひかる):魔法少女専門グッズ店の店長。そのお店は意外と最近にオープンしたようで...
・ひかるの父:前ダーク・ライトの首領。ヒカルに首領を受け渡してから、すっかり威厳を無くしている。
---
紫野むらさきのすみれ(すみれ):ひかるのお店でバイトをしている。そろそろ出番が欲しいと思っている。しかしその日は遠い...

●前回のお話
わたくしひかる・ダークライトと申します。三代目ダーク・ライト首領に就任しましたが、何故か世間ではわたくしがもてはやされ、魔法少女の立場が地に落ちているようなのです。
どうしてこのようなことになったのか...世間は恐ろしいですわ。
そこでわたくしは魔法少女の地位向上のため、作戦を考えましたの。
これが成功した暁には、きっとセリシール様を皆が崇めることでしょう!
楽しみですわ!!



わたくし、魔法少女専門のお店を開こうと思っております!」
ひかるは驚きの提案をした。
「魔法少女専門の店。しかし、何故?」
「今、この街では魔法少女に対するマイナスのイメージが横行しております。しかし、皆が皆そう思っているわけではないはずです」
「うむ。それは事実だろうな」
「しかし、魔法少女への賞賛が憚られる空気ができ、店という店から魔法少女グッズが姿を消しております」
「悲しいことだ」
「はい。しかし、これでは、魔法少女を愛する者たちがその愛を確かめ、行動するすべが失われてしまいます」
「確かに」
「世界には今、魔法少女を愛する者が集い、グッズや行動を通して、その愛を確かめ、共有する場が必要なのです!」
「それで魔法少女専門店を開き、そこをその為の場所にしようということか。しかし、簡単ではないぞ」
「分かっております。わたくしはこの数日、お店を開くために必要な物をリストアップし、それらを揃えるための方法を考えておりました」
「そのようなことを...」
「そしてついに、必要な物を揃えるための、魔法、触媒、および金銭を今あるものの中から調達できる算段がついたのです!!」
「さすがわが娘、見事なものだ!しかし、金銭はどのように準備したのだ?お前の小遣いでは足りまい」
「はい。それなのですが、わたくしがダーク・ライトの首領を正式に継いだ時に、組織のお金の管理権も取得できたもようなのです」
「へっ?」
「お父様、こんなに用意していただいていたのですね!不測の事態に備え、大金を用意してあるとは...さすがです!!」
「いや、それは私が秘密基地をカッコよく改装するための準備資金...」
「ありがとうございます!!このお金は大切に使わせていただきます!」
「待て、それは私の夢のために10年以上かけてコツコツと貯めた...」
「まあ、今回の事態を予測して10年以上かけてコツコツと...さすがお父様!すばらしい慧眼です!」
「あの...せめてある程度残してもらえると...」
「大丈夫です!きちんと最後の1円まで使わせていただきます!」
「私の話、聞いてる?」
「では、早速、作業に取り掛からせていただきます」
「あぁ、親の威厳とはこの程度のものなのか...」
ひかるの父がつぶやいたときには、既にひかるの姿は消えていた...

「まずは店舗が必要ね」
ひかるが目をつけたのはダーク・ライト秘密基地への入口に使われている空地。
繁華街から少し入った路地にあるが、看板を出せば客を誘導できるだろう。
前首領の趣味で、土管の中に基地への秘密の入口があるのだが、そんなことはどうでもいい。
「ちょうど、店舗の床下に基地への入口が作れますわ」
「お爺様が木造家屋の自動作成に関する書物を残してくれたおかげで何とかなりそうですわね。解読には苦労しましたけど」
「材料として木材・石・砂利・水・土・鉄などが大量に必要ですが、お爺様が供給用の用地を買収していたなんて、驚きでしたわ」
「どうしても足りない分は『クリエイト・マテリアル(物質創造)』で作るしかありませんわね。大量の魔力を消費するのですが、致し方ありません」
「さて、すぐにでも作業にかかりたいところですが、人目がありますわね。隠蔽魔法を使う余力もありませんし、夜まで待ちましょう」
「必要な魔法陣はと、......大丈夫。揃っていますわ」
最終確認を済ませると、ひかるは魔力・集中力を回復するため、夜まで寝ることにした。と食事もろくに取っていなかったのでおなかが鳴る。
「あら、恥ずかしいわ。食事もしっかり取って、体力を回復させなければ!」

そしてその夜。
地面の掘削から作業が始まった。もちろん、すべて自動で制御されている。
振動や音は敷地内から出ないように制御されている。
転送用の魔法陣から材料が転送されてくる。
それらは設計用の魔法陣から情報を読み取ると、自動的に加工され、適切な位置に設置されてゆく。
恐ろしく高度な魔法技術だ。ひかるは祖父の残した偉大な業績に感謝する。
基礎、枠組、屋根、壁と順に組みあがっていく。
「順調ね」
空が白みかけたころ、ようやく、家が出来あがった。
「後は...」
ひかるが脳内に魔法陣を思い浮かべる。そして、魔力を放出すると、かわいいペイントが施された家が完成した。
「えいっと」
次に家全体を守るように「劣化防止」「対魔法障壁」「対物理障壁」等の魔法陣をところどころに施していく。
「ふう、さすがに疲れましたわ。今日はここまでにしましょう」
ひかるは自分の部屋に転移するとすぐにベッドへと横たわるのだった。

その日、急に現れたかわいい家屋に、人々は驚いたが、もともと空地自体が魔法陣で守られ、あまり記憶に残らないようにされていたこともあり、
「そういえば、ここにこんな家があったような...」で解決した。
のんきな世界である。

夕方、学校から帰ったひかるは、魔法で作成できない什器や電子機器などを中古の業務用資材を扱うサイトで注文していく。
その後、夕食を取った後は、木材の供給地に転移し、木製の什器等を作成し、店内に転送する。
ペイント等の魔法はもはや息をする様にできるようになっていた。
「さて、明日が勝負ね」
ひかるは早めに寝ることにした。

翌日の放課後、ひかるはおもちゃ屋さんや、アニメグッズ店を訪れていた。
目的は魔法少女グッズを手に入れること。
どこの店も不良在庫を抱えているので、うまく交渉すれば格安で手に入るはずだ。
信頼を得るために身なりの良い中年の男性に変身したひかるは、現金をちらつかせながら交渉する。
最初は苦戦したが、コツをつかむと短時間の交渉で驚くほど安く手に入れることが出来た。
商品は魔法で転送した。店の人は不審に思ったようだが、現金払いで、しかも商品がちゃんと無くなっているため、目をつむってくれたようだ。

商品の陳列はチッカーの手を借りることになった。チッカーに大体の位置まで運ばせ、かわいく陳列していく。
POPやプライスカード等は後で必要だと気づいたが、ペイント技術をマスターしたひかるにとっては、それほど大変な作業ではなかった。

こうして、わずか7日で、魔法少女専門グッズ店が完成したのだった。

・・・

「ふう、この時は大変でしたわ。学校でも眠くて眠くて...でもおかげでいろんな魔法が上達しましたのよ♪」
「・・・ちょっと魔法、万能過ぎない?こんな簡単にお店作れちゃっていいの?」
「あら、お爺様なんか、一日で秘密基地を地下に作られましたわ。店舗1件に1週間なんて、わたくし、自分の未熟さを思い知らされましてよ」
「いや、だからそんな話してないし...」
「すみれの言いたいことはわかりますわ、でも...」
そう、こうしないと話が進まないのだ!

「ご都合主義!!」(すみれ)
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