ひかるのヒミツ

世々良木夜風

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Secret23. マテラスとセリシールのデート(待ち合わせ~お化け屋敷)

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●登場人物
ひかる・ダークライト(ひかる):魔法少女専門グッズ店の店長。
 = マテラス・ダークライト:秘密結社ダーク・ライトの首領。あろうことか敵であるセリシールとデートをすることになった。
小松春こまつはる桜子さくらこ(さくら):元気が取り柄の14才!
 = ラフェド・セリシール:魔法少女。正体は夢見る中学二年生。デートにあこがれる気持ちは分かるが...

●前回のお話
私、セリシール。悪の秘密結社首領のマテラスとは敵同士。
でも、マテラスは私を好きらしいの。私も気になってはいるんだけど...
だから自分の気持ちを確かめるために、二人きりで遊園地に行くことにしたわ。
私の髪、変じゃないよね?よし、いざ出陣よ!



◎月△日、8時50分
セリシールは街の遊園地の前でマテラスを待っていた。
「えっ、あれ、魔法少女じゃない?」
「なんでこんなところに...」
小さな遊園地の開園前とあって、人通りは少ないが、それでもその光景はなかなかシュールであった。
「ちょっと、早く来すぎたかしら...」
しかしセリシールは緊張の為、周りの視線など、気が付かないようであった。
それから10分。
「遅い!女の子を待たせるなんて、マイナス10点ね!」
セリシールことさくらは男の子チェックは厳しかった。
そんなことを言っていると、
「すまん。身だしなみを整えるのに時間がかかってしまって...」
と現れたのは、ブロンドの長髪を後ろでまとめて、普段のスーツ姿だが、マントを外したマテラスだった。
マントを外すと、華奢な体つきのラインがはっきりして、より中性的な魅力を感じる。
普段と全然イメージの違う姿に、セリシールは一瞬、目を奪われた。
「マテラス?いつもと全然、違うじゃない!」
「そうだろう。これなら私だと分かるまい」
「そうね。私でさえ、一瞬、戸惑ったもの」
「セリシールにはこれを用意した」
そういって、複雑な幾何学模様の描かれた紙を手渡す。
「どこか人目のつかないところでこの紙を手にもって、自分が変身するイメージを描きながら魔力を流すんだ」
「分かったわ」
セリシールは紙を受け取ると、近くの街路樹の蔭へと姿を消した。

セリシールは人通りが途絶えたのを確認すると、マテラスに言われたとおりに、紙を持って魔力を流した。
すると、セリシールの体が光に包まれ、収まったときには...
髪はストレートに、毛先にはカールがついている。
甘めのブラウスにロングスカート。靴は髪の色とお揃いのピンクを基調としたスニーカーに変っていた。
たしかにこれならセリシールだと気づかれないだろう。
付け加えれば、さくらのイメージともかけ離れているので、そう思われることも無さそうだ。

セリシールがマテラスの元に戻ろうとしたその時、近くの茂みで音がした気がした。
「誰?」
セリシールが問うが、しばらくたっても反応はない。気のせいだったようだ。
セリシールは急ぎ、マテラスの元に向かうのだった。

セリシールがマテラスの元へ駆け寄る。
「どう?似合ってる?」
どこか恥ずかしそうだ。
「ああ、とても似合ってるぞ。それにその姿ならセリシールと気づかれることもあるまい」
(ああ、そのお姿も素敵です。普段とは違うセリシール様を見られるなんて、来てよかった...)
ひかるは心の中で感激に震えていた。一晩かけてデザインした、最高の遊園地コーデだ。
「そう?なら良かった...」
セリシールはにやけた顔を見られないようにうつむきながら言った。
「では、行くとするか」
二人は開園したばかりの遊園地の中へと入っていくのであった。

・・・

その二人を見つめる怪しい人影が一つ。
「絶対に許せない...」
不穏な空気を残しながら一人の少女が走っていった。

・・・

「マテラスは何に乗りたい?」
セリシールが問う。
(来た!)
ひかるは心の中で身構えていた。
(これは何かの情報を引き出すための問い。答えを間違えてはいけませんわ)
ひかるは一生懸命セリシールの意図を探る。
(普通に考えればマテラスとヒカルが同一人物だと気づいた可能性が高いですわね)
(ならば女の子の好きそうな乗り物は避けた方が良さそうですわ)
(女の子の苦手なものと言えば...「お化け屋敷」これですわ!)
「お化け屋敷とかはどうかな?」
「いいよ!じゃあ、行こうか」
(暗闇で二人きり?そんな大胆な...まだ心の準備が...)
セリシールはそんなひかるの心も知らず、一人、浮足立っていた。

「結構、遠いな」
お化け屋敷は敷地の端の方にあるようだ。
「う、うん。そうだね...」
セリシールは先ほどからそわそわしている。
(手、手くらいはつないでもいいよね...)
セリシールはそっとマテラスの方へ手を伸ばす。
そして、触れそうになったその時!
(危ない!)
ひかるは咄嗟に手に「魔力遮断シールド」を張った。
その瞬間、セリシールの手が触れる。
(危なかったですわ!最も魔力感度の高い手で相手の魔力の質を確かめようとするとは!さすがセリシール様!!)
ひかるは壮大な勘違いをしていた。
(マテラスに変身した今、ヒカルの痕跡はほとんど失われていますが、それでも同一人物である限り、ゼロにすることは不可能!)
(並みの魔法使いでは感じ取ることなど出来ませんが、セリシール様なら警戒しておいて損はない!)
...それと同時にひかるは目に大粒の涙を流していた。
(折角、セリシール様と手をつないでいるというのに...このシールドが...このシールドさえ無ければ!)
ひかるはシールドを解除したい衝動と必死に戦っていた。
セリシールはマテラスが涙を流しているのに気づく。
(もう、そんなにうれしいんなら自分から手をつないでくれればいいのに...男のくせに意気地ないんだから!)
こちらも盛大な勘違いをしていた。

そして二人はお化け屋敷に着くと、早速、中へと入った。
地方のローカルな遊園地の為、そんなに凝った作りではない。
(子供のころは怖かったですけど、今見ると、子供だましですわね)
ひかるが余裕なのに対して、
「ひゃ!こわいよぉ~~~」
セリシールはかなりの怖がりのようだ。
(まあ、可愛らしい。普段の凛々しい姿とのギャップがまた、萌えますわ~。しかし...)
セリシールがマテラスの腕にしがみついている。ひかるはわなわなと震えていた。
(「魔力遮断シールド」のなんと邪魔なことでしょう...)
(でも、服の上からですし、いくらセリシール様といえど...)
ひかるがそっとシールドを解除しようとした瞬間、
「キャ~~!」
よほど驚いたのか、セリシールから無意識に魔力が放出される。
(危ない!!)
ひかるはギリギリで解除をキャンセルすることに成功した。
(これは、まさか「アクティブソナー」!自分の魔力の反射具合で相手の魔力の概要を判断するという高等技術!)
(くっ、さすがセリシール様!全く油断ができませんわ!)
ひかるは細心の注意を払いながら「魔力遮断シールド」を適切な位置に張り続ける努力をしなければならなかった...

「怖かったねぇ」
セリシールがマテラスに話しかける。
対するマテラスは疲労困憊であった。交感神経も刺激され脈拍が上がっている。
「あ、あぁ。そうだったな」
(ふう。なんとか集中力を保つことが出来ました。セリシール様、恐るべし!)
(あれ、マテラス、心臓がドクドクしてない?)
セリシールはマテラスの脈拍の変化に気づいた。
(あっ、私が抱きついたから...無意識にとはいえとんでもないことしちゃった...でも、喜んでくれたのならいいかな...)
「次はジェットコースターに乗りましょ!」
セリシールはマテラスの手をギュッと握ると、ジェットコースターへと向かった。
(ああ、お願い。少し休ませて...)
ひかるは急いで「魔力遮断シールド」を張りなおすと、ふらふらしながら引っ張られていくのだった。
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