ひかるのヒミツ

世々良木夜風

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Secret43. 魔法少女セリシール誕生

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●登場人物
小松春こまつはる桜子さくらこ(さくら):元気が取り柄の14才!魔法少女になる為、特訓中!
・レオポン:ライオンを模したマスコットキャラ。さくらを即戦力に仕上げるべく、鬼教官となる。
・ルメトルド・フラム:レフェドフルールの管理者。どうやらメタな話題は嫌いらしい...やれやれ、分かってるくせに...
・ひかるの父:前ダーク・ライトの首領。まさかの三度目の登場。そろそろ名前が欲しい...
・チッカー:全身黒づくめのモブ戦闘員。ひかるの遊びの相手などもさせられている何でも屋。

●前回のお話
私、小松春桜子!私が魔法少女になった日のお話なんだけど、レオポンにいろいろ教えてもらったなぁ。
難しい話も多かったけど、とにかく人に魔法少女に関することは話さなきゃいいんだよね!
その後、魔法の使い方を習ったんだけど...思いのほか難しい...
テレビとかじゃ、簡単に使ってるのになぁ。
それで練習していると、突然、人の叫び声が聞こえて...



さくらとレオポンは街はずれの河原で魔法を練習していた。
さくらに風魔法の素質があると見たレオポンは雷魔法を使うよう提案した。
さくらがステッキを持ち、叫ぶ。
「サンダー!」
途端、巨大な雷が近くの木を真っ二つにした!と同時に、
「ギャーーー!!」
人の叫び声が聞こえた。
「大変、誰かを巻き込んじゃったみたい!」
さくらは青い顔をしている。
「急ごう!」
二人は声の聞こえた方へ駆けていった。

「お父様、どうされたのですか?」
ひかる!隠れていなさい!チッカーたちよ。戦闘準備を!」
何やら騒がしい声が聞こえた。
二人がそこで見たものは...
黒ずくめの衣装に身を包んだ中年の男とそれを取り囲むチッカーたちだった。
見ると、中年の男はススだらけになり、あちこち焦げている。

「お前は、悪の秘密結社ダーク・ライト首領!ヨシオ・ダークライト!!」
レオポンが叫ぶ。
「どうしてここにお前がいるんだ!」
レオポンが問うと、
「ちょっと、雪遊びをしていただけだ。それなのにいきなり攻撃とは、ひどいじゃないか!」
ヨシオと呼ばれた男は怒っているようだ。怪我はそれほどこたえてないらしい。
「大人が一人で雪遊びかい?」
レオポンはいぶかしげに問う。
「いいではないか。ここでこれだけ積もることは珍しいのだから!」
ちらっと横を見た気がするが、そこには誰もいない。
「そこの娘は新しい魔法少女か!ご希望なら相手になるが...」
ヨシオは戦う気があるようだ。するとさくらは謝罪の言葉を口にする。
「ごめんなさい!私、魔法少女になったばかりで...魔法も上手く使えなくて...怪我をさせちゃって本当にごめんなさい!」
するとヨシオは興味深そうにさくらを見る。
「ほう。魔法少女に成り立てであの威力か!なかなか見どころがあるじゃないか!名前は何という?」
「えっと...さ...」
「名前はまだ決まっていないんだ!」
レオポンがさくらが名前を言おうとするのを遮る。
(正体は秘密だって言ったろ!)
レオポンは小声で注意する。
さくらはハッとした顔で謝る。
「なら、この場で決めたらどうだ?どうせ、すぐに必要になるだろう」
ヨシオは提案をする。
「そりゃ、そうだけど...じゃあ、ピンクで桜みたいだから『ラフェド・スリジエ』ってのはどうだい?」
「イヤ!可愛くない!!」
一言のもとに却下される。
「はっ、はっ、はっ。私にも似た年頃の娘がいるが、確かにその名はないと思うぞ」
ヨシオもさくらと同じ意見のようだ。
「う~ん。じゃあ他の花から取ってこようかな...」
「花じゃないとダメなの?」
「一応『花の妖精レフェドフルール』だからね」
そんな会話をしているとヨシオが誰かの声に耳を傾けるように体をそらす。
「なるほど...『セリシール』か...」
「えっ、なんだい?その名前は?」
レオポンが問うと、
「フランス語の『スリジエ』のスペルだが、日本人が読むと『セリシール』になるらしいぞ。実際、そういう名前の店もあるらしい」
「セリシール!かわいい!!気に入った!」
さくらの中ではヒットらしい。
「じゃあ、『セリシール』にしようか。今日から君は『ラフェド・セリシール』、セリシールだ!!」
こうして魔法少女セリシールが誕生したのだった。

「なになに...どうだ?セリシールよ。少し模擬試合をしてみないか?」
相変わらずヨシオは隣に誰かいるかのようにふるまっている。
「えっ、セリシールはまだ...」
レオポンはまだ早いと思ったが、
「なに、本気は出さないから安心しろ!いい練習になるだろう」
と、ヨシオが言うので、
「セリシール、どうする?」
さくらに聞いてみる。
「私、やってみる!」
こうして、セリシールとヨシオの模擬試合が始まった。

模擬試合ははっきり言って、全然相手にならなかった。
セリシールの魔法は安定せず、弾道はかなり不安定だ。
ヨシオは軽めの攻撃を繰り出すが、セリシールは防御も迎撃も出来ないので、必死で避けるしかなかった。
「ふむ。魔力操作は苦手か...まあ、初めはそんなものだろう」
そういうと、強めの炎魔法を放ってきた。
避けれない!
「セリシール!!」
レオポンが叫ぶが、その瞬間。
「エアジェット!!」
セリシールが叫ぶ。
すると、激しい気流が吹き出し、炎をヨシオに押し返した!
ヨシオは炎に包まれたが、特にダメージを受けた様子もなく、笑ってこう言った。
「魔力量はなかなかのものだ。魔力操作の訓練を積めば強くなるだろう。それと戦闘センスもいい。これは対決するのが楽しみになってきたな!」
楽しそうに笑うと、また、誰かの声を聞くようなそぶりを見せ、
「セリシールの魔力はとても綺麗で気に入ったそうだ。褒められるなど、とても珍しいことだぞ!」
何か、他人事の様に言うと、
「では、さらばだ。次に会うときを楽しみにしている」
と言って、転移して行くのだった。

「ははは、まだまだ遊ばれてるね。でも綺麗な魔力かぁ...レオポン、分かる?」
「いや、僕には何のことか...でも初めてにしてはなかなかだよ。特に最後の風魔法は良かった」
「へへへ」
「でも、課題も山積みだ。魔法の発現を安定させないといけないし、魔力操作が全然だ。帰ったら毎日特訓だね!」
「そんな~~~~...」
こうして、さくらのセリシールとしての初対決は完敗で終わったのだった。

そして、ここはダーク・ライトの秘密基地。
「お父様!新しい魔法少女の魔法、キラキラでとても綺麗でしたわ!」
目も覚めるような美少女が、興奮したように言う。
「セリシール様...もっとお会いしたい...まさにわたくしの太陽ですわ!」
ここにセリシールオタク第一号が生まれたのだった。

さらに、同じ街のとある民家では。
「かわいい...かわいいかわいいかわいい」
ひとりのボーイッシュな少女が低い声で似合わない言葉を連発していた。
「顔もかわいい。服もかわいい。声もかわいい。私、あの魔法少女みたいになりたい!」
...無茶を言う。
「ああ、今まで抑えてきたけれど、もう我慢できない!やっぱり私はかわいいものが好き!私、あの魔法少女の追っかけになる!!」
こうしてセリシールオタク第一号がもう一人生まれたのだった。

・・・

「セリシール...お前、結構ダーク・ライトと仲がいいんだな」
フラムがセリシールを一瞥する。
「ギクッ!そんなことないですよ!フラムさんったら嫉妬しちゃって♡」
「『ギクッ』とか言うな!まあ、いいだろう。せいぜい楽しんでおくがいい」
「大丈夫です!フラム様にはツッコミがあります!」
レオポンがフォローし、
「そうそう」
さくらが肯定する。
「お前ら、俺にそれしか求めてないだろ...」
フラムは自らの存在意義に少し虚しさを感じた...
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