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再会
路地裏にて
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頭上に光る月が回って見える。地球の地軸がおかしくなったとか、この世界が実はSFの世界だったとか、そんなものでは一切ない。ただ片瀬拓海が酔っていて、飲みすぎにより勝手に目をまわしているだけである。普段はここまで飲むことは無いのだが、一週間前に婚約者に振られたことが大きな原因になっていることは自分でもわかっていた。
婚約者との関係は順風満帆なはずだった。自分なりに大切にしていたのに、ある日突然「もう慎一くんが何を考えているのか、私わかんないよ」と言って振られた。
そこからは周りの人が何を考えているのか常に薄っすらと疑うようになった。それからは一日中緊張の糸を張りめぐらして生活しているようで、自分でも気づかないうちに限界が来ていたのかもしれない。
「疲れたなあ」
なんともなしに呟いてみる。人気のない道に差し掛かった。家はもうすぐそこでとっくに日付は跨いでいる。襲い来る眠気を払うように歩を進めていく。
何故だろう、そこで拓海はふと自分がいる通りから伸びる更に狭い路地に目を向けた。その時の自分には前を向いてただ歩くだけの気力しかなかったはずなのに。人影が路地に見える。それはもう一つの人影に跨る格好で上下運動を繰り返していた。
「うわ、これって」
見てはいけないものを見てしまった気持ちで咄嗟に目を背ける。しかし、その人影が自分の知っているシルエットだったような気がして、拓海は目を凝らしてそれを見た。
「龍臣?」
驚いたことにその人影は、六歳下の幼馴染である黒田龍臣だった。就職してから忙しくなりもうしばらく会っていなかった路地の人影―龍臣は拓海の声が聞こえたのかその動きを止める。
拓海は狭い路地に足を踏み出した。空から差し込む月の光だけが路地を照らしていて、近づいた龍臣の顔もよく見えない。龍臣はスウェットの下を片足だけ脱いで、気絶した男の上に跨っていた。上下運動を繰り返していたところから嫌な予感はしていたのだが、気絶した男のそれは龍臣の中にしっかり挿入っていた。
いったい何が起こっている?というかこの気絶男はなぜ気絶しているんだ。数分前に感じていた眠気などすべて吹き飛んで、この状況を収めるために急速に頭が回転し始める。
「龍臣!大丈夫か?」
とりあえず対処すべきは優先順位が高い龍臣からだ。拓海が近寄り話しかける間にも、龍臣は顔をうつむけて何も話さない。
「おい、龍臣!」
その場から微塵も動かない龍臣を背後から脇の下に腕を入れて持ち上げる。会わないうちに自分よりも背が高くなっていたらしい龍臣は当然体重も重い。
「お、重っ!……いつまで支えてればいいんだ、早く立て」
思わずバシッと肩を小突いた。
ふらふらと立ち上がる龍臣を尻目に気絶男に雑に服を着せる。俺はお前たちの母親か?と叫びだしたい衝動にかられたがそれを飲み込んで、下を履き直した龍臣を引っ張って俺の家へと連行した。
気絶男は知らない、勝手に拾われでもしたらいいと思う。
婚約者との関係は順風満帆なはずだった。自分なりに大切にしていたのに、ある日突然「もう慎一くんが何を考えているのか、私わかんないよ」と言って振られた。
そこからは周りの人が何を考えているのか常に薄っすらと疑うようになった。それからは一日中緊張の糸を張りめぐらして生活しているようで、自分でも気づかないうちに限界が来ていたのかもしれない。
「疲れたなあ」
なんともなしに呟いてみる。人気のない道に差し掛かった。家はもうすぐそこでとっくに日付は跨いでいる。襲い来る眠気を払うように歩を進めていく。
何故だろう、そこで拓海はふと自分がいる通りから伸びる更に狭い路地に目を向けた。その時の自分には前を向いてただ歩くだけの気力しかなかったはずなのに。人影が路地に見える。それはもう一つの人影に跨る格好で上下運動を繰り返していた。
「うわ、これって」
見てはいけないものを見てしまった気持ちで咄嗟に目を背ける。しかし、その人影が自分の知っているシルエットだったような気がして、拓海は目を凝らしてそれを見た。
「龍臣?」
驚いたことにその人影は、六歳下の幼馴染である黒田龍臣だった。就職してから忙しくなりもうしばらく会っていなかった路地の人影―龍臣は拓海の声が聞こえたのかその動きを止める。
拓海は狭い路地に足を踏み出した。空から差し込む月の光だけが路地を照らしていて、近づいた龍臣の顔もよく見えない。龍臣はスウェットの下を片足だけ脱いで、気絶した男の上に跨っていた。上下運動を繰り返していたところから嫌な予感はしていたのだが、気絶した男のそれは龍臣の中にしっかり挿入っていた。
いったい何が起こっている?というかこの気絶男はなぜ気絶しているんだ。数分前に感じていた眠気などすべて吹き飛んで、この状況を収めるために急速に頭が回転し始める。
「龍臣!大丈夫か?」
とりあえず対処すべきは優先順位が高い龍臣からだ。拓海が近寄り話しかける間にも、龍臣は顔をうつむけて何も話さない。
「おい、龍臣!」
その場から微塵も動かない龍臣を背後から脇の下に腕を入れて持ち上げる。会わないうちに自分よりも背が高くなっていたらしい龍臣は当然体重も重い。
「お、重っ!……いつまで支えてればいいんだ、早く立て」
思わずバシッと肩を小突いた。
ふらふらと立ち上がる龍臣を尻目に気絶男に雑に服を着せる。俺はお前たちの母親か?と叫びだしたい衝動にかられたがそれを飲み込んで、下を履き直した龍臣を引っ張って俺の家へと連行した。
気絶男は知らない、勝手に拾われでもしたらいいと思う。
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