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再会
自宅にて
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家に帰り、本当は自分から入りたいところをこらえて龍臣を風呂に送る。
「ほれ、適当にこれ着ろ」
「……」
「…後で詳しく説明してもらうからな」
黙って拓海から服を受け取った龍臣は顔を深くうつむけたまま脱衣所に入っていった。
久しぶりに見た龍臣は黒髪短髪で少し日焼けした顔全体がはっきりと見える。が怒っているのか悲しんでいるのか表情は読めなかった。強いて言うなら虚無。
「はぁ」
ソファに仰向けにダイブして目を瞑る。薄っすらかいた汗がシャツに張り付いて気持ちが悪い。これから龍臣に聞かなければならないことは山のようにあるのに、頭に酔いが回ったのか一気に眠りに引きずり込まれて、拓海はそのまま眠ってしまった。
どれくらい時間が経ったのか、きっとそれほど長くはないだろうが耳に届く水音と腰に乗る重さに拓海はゆっくりと目を開けた。
「拓にぃ」
薄暗い室内の中、拓海の上で動く黒い塊。幽霊ではなく当然龍臣である。逆に幽霊の方が良かったかもと思いつつ、恐る恐る視線を下へ向けると拓海が龍臣に挿入っていた。
起きてすぐには処理しきれない視覚情報に血の気が引く。一瞬目の端が白く染まったが、ここで俺が気絶してどうする。自分は龍臣より年上の社会人である。どうしようもない年下の面倒は年上が見なければならない。
「な、何やってんだ、一旦抜け!」
「チッ、うるせえ」
「はぁっ⁈」
抵抗しようとした両手を片手で抑え込まれ、頭の上に縫い付けられた。再会してから初めてのまともな一言が「うるせえ」だったことに軽く怒りを覚え、全力で暴れてやろうとしていた拓海の動きは、龍臣の顔が近づいたことで止まる。
前のめりになりながら挿入を深め、自然と近づいた龍臣の顔は上気し目は恍惚としていたが、苦しそうな表情とどことなくアンバランスに見えた。
「やめろっ、抜け……ん」
「ははっ、気持ちよくなってるくせにっ…はぁ」
抵抗してもでかい身体で押し込まれて動けない。征服欲が滲んだ目が上からこちらを見下ろしてくる。
いつの間にこんなに成長したんだろう、弟のように思っていた幼馴染が知らないうちに誰でも襲うヤリチンになっていたことはショックだが、こんな時なのに妙に感慨深かった。
「拓にぃ、きもちいい?」
「……」
そんな問いに答えてはいけないと目の前の現実から目を背けるようにそっぽを向く。今すぐに殴ってでも抵抗しなければいけないのに、自分の上に跨る男の声がどこか必死にそう言うからか腕に力が入らない。
動揺した拓海の思考が飛んでいる間にも、龍臣の腰づかいは速くなり絶頂へと向かっていた。水音が一定に鳴る中でお互いに言葉は交わさない。
ちらと龍臣に目を向けると、身体だけはでかくなったやつがウルウルした子犬みたいな目でこっちを見るから、俺は龍臣の頭を昔やっていたように抱き寄せた。
龍臣の中がいきなり締まるように収縮する。耳元にかかる息が熱い。
「うっ、拓にぃっ!いく、もうイくからっ」
「っ、うぅ」
二人同時にイった後、龍臣が俺の上に倒れこんできた。汗をかいて滑らかな肌が俺のシャツにくっついている。
しばらく無言で相手の体温を感じ合う。壁掛け時計の音と心音が若干ずれているのが気持ち悪くて、静かに身を起こす。今度は龍臣も抵抗しなかった。自分が行為を止めなかったことを棚に上げて、怒っていると意識させるように拓海はわざと声を低くして龍臣に告げた。
「取り敢えず俺はシーツを変える」
「うん」
「その後話をしよう」
「ん」
「そしてお前はもう一回シャワー浴びてこい」
「……」
龍臣は、今度は反抗せず拓海の言葉に従った。しかしその顔は意図せず子供が苦手な野菜を食べたときのようなしかめっ面で、拓海は思わず笑いをこらえた。
「ほれ、適当にこれ着ろ」
「……」
「…後で詳しく説明してもらうからな」
黙って拓海から服を受け取った龍臣は顔を深くうつむけたまま脱衣所に入っていった。
久しぶりに見た龍臣は黒髪短髪で少し日焼けした顔全体がはっきりと見える。が怒っているのか悲しんでいるのか表情は読めなかった。強いて言うなら虚無。
「はぁ」
ソファに仰向けにダイブして目を瞑る。薄っすらかいた汗がシャツに張り付いて気持ちが悪い。これから龍臣に聞かなければならないことは山のようにあるのに、頭に酔いが回ったのか一気に眠りに引きずり込まれて、拓海はそのまま眠ってしまった。
どれくらい時間が経ったのか、きっとそれほど長くはないだろうが耳に届く水音と腰に乗る重さに拓海はゆっくりと目を開けた。
「拓にぃ」
薄暗い室内の中、拓海の上で動く黒い塊。幽霊ではなく当然龍臣である。逆に幽霊の方が良かったかもと思いつつ、恐る恐る視線を下へ向けると拓海が龍臣に挿入っていた。
起きてすぐには処理しきれない視覚情報に血の気が引く。一瞬目の端が白く染まったが、ここで俺が気絶してどうする。自分は龍臣より年上の社会人である。どうしようもない年下の面倒は年上が見なければならない。
「な、何やってんだ、一旦抜け!」
「チッ、うるせえ」
「はぁっ⁈」
抵抗しようとした両手を片手で抑え込まれ、頭の上に縫い付けられた。再会してから初めてのまともな一言が「うるせえ」だったことに軽く怒りを覚え、全力で暴れてやろうとしていた拓海の動きは、龍臣の顔が近づいたことで止まる。
前のめりになりながら挿入を深め、自然と近づいた龍臣の顔は上気し目は恍惚としていたが、苦しそうな表情とどことなくアンバランスに見えた。
「やめろっ、抜け……ん」
「ははっ、気持ちよくなってるくせにっ…はぁ」
抵抗してもでかい身体で押し込まれて動けない。征服欲が滲んだ目が上からこちらを見下ろしてくる。
いつの間にこんなに成長したんだろう、弟のように思っていた幼馴染が知らないうちに誰でも襲うヤリチンになっていたことはショックだが、こんな時なのに妙に感慨深かった。
「拓にぃ、きもちいい?」
「……」
そんな問いに答えてはいけないと目の前の現実から目を背けるようにそっぽを向く。今すぐに殴ってでも抵抗しなければいけないのに、自分の上に跨る男の声がどこか必死にそう言うからか腕に力が入らない。
動揺した拓海の思考が飛んでいる間にも、龍臣の腰づかいは速くなり絶頂へと向かっていた。水音が一定に鳴る中でお互いに言葉は交わさない。
ちらと龍臣に目を向けると、身体だけはでかくなったやつがウルウルした子犬みたいな目でこっちを見るから、俺は龍臣の頭を昔やっていたように抱き寄せた。
龍臣の中がいきなり締まるように収縮する。耳元にかかる息が熱い。
「うっ、拓にぃっ!いく、もうイくからっ」
「っ、うぅ」
二人同時にイった後、龍臣が俺の上に倒れこんできた。汗をかいて滑らかな肌が俺のシャツにくっついている。
しばらく無言で相手の体温を感じ合う。壁掛け時計の音と心音が若干ずれているのが気持ち悪くて、静かに身を起こす。今度は龍臣も抵抗しなかった。自分が行為を止めなかったことを棚に上げて、怒っていると意識させるように拓海はわざと声を低くして龍臣に告げた。
「取り敢えず俺はシーツを変える」
「うん」
「その後話をしよう」
「ん」
「そしてお前はもう一回シャワー浴びてこい」
「……」
龍臣は、今度は反抗せず拓海の言葉に従った。しかしその顔は意図せず子供が苦手な野菜を食べたときのようなしかめっ面で、拓海は思わず笑いをこらえた。
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