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再会
自宅にて 3
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けたたましい目覚ましを止めた俺は、昨日隣にいたはずの存在がいないことに気付き飛び起きた。
どうしよう、あの情緒不安定な状態の人間を俺は気付かずに黙って帰してしまったのだろうか。たしかにもう他の奴とは関係を持たせないよう約束したが、ほぼ寝ながらの軽い約束を龍臣が守ってくれるのか不安だ。そんなことを考えながらベッドの上で頭を抱えている拓海の部屋に、何やらいい匂いが漂ってきた。
「おはよう、拓海」
リビングを覗くと龍臣がキッチンでパンを焼いていた。帰っていないことに安堵すると同時に、大学生に朝食を用意させてしまったという罪悪感が募る。
「お、おはよう龍臣。ごめんな俺の家なのに朝食なんて作らせて」
「別に。俺が勝手にやってることだし」
「大学は?」と聞くと龍臣は「二限から」と答えた。二人でテーブルにつき、食パンと味噌汁を食べる。
数年会っていなかった幼馴染に対しての話題が見つからない。昨夜襲われて一線を越えてしまったとはいえ、どこまで龍臣の日常生活に踏み込んでいいのだろうか。大学とかは流石に聞いてもいいのかと、リビングに流れる沈黙の気配から逃れようと拓海が懸命に考えていると龍臣が口を開いた。
「あー、昨日の提案ならちゃんと了承したからな」
「そ、そうか!よかった」
龍臣が自分と関係を持つことの何がいいのかわからなかったが、動揺していた拓海はそう言ってうなずいた。
その間に朝食を食べ終えた龍臣は「帰る」と言って玄関に向かい始めたため、拓海も急いで食べ終え見送りに出た。
ドアノブを握った龍臣が「そうだ」と急に振り返る。
「明日から俺ここで暮らしていい?」
「は!?駄目だ、お前実家暮らしだろ」
「大学遠いし、親からは早く一人暮らししろって言われてる。この家さっき確認したけど空き部屋あったよな」
確かに空き部屋はある。振られた婚約者と同棲する予定だったために開けておいた部屋だ。この家も一人暮らしをするには広すぎて、次の契約更新の際に引っ越すつもりだった。
「……わかった。住んでもいいが色々契約のこともあるから二週間後にしてくれ」
奇妙な約束をしている龍臣と一緒に暮らすことは不安だったが、大型犬を外に放り出すようで気が引けた。それに婚約者の事も早く忘れてしまいたいとも思っていた。
「俺からも連絡するけど、親に報告しろよ。お前で勝手に決めるなよ」
「うん」
つい口うるさくなる拓海の言葉を聞いているのかいないのか、わずかに目を細めた龍臣は片手で拓海の腰を引き寄せて、唇に触れるように軽くキスを落とした。
「じゃあ二週間後、待ってるからな」
ドアが閉まると共にその場に残された拓海は、すでに今出ていった男とのルームシェアをうっすら後悔し始めていた。
無意識に指先が唇をなぞる。一瞬触れただけのそこにまだ龍臣の体温があるように感じて、そう考えた自分に猛烈に首を振った。
「だ、大学生ってこえー」
自分の日常が変化していく予感に、拓海は一人ぶるりと震えた。
どうしよう、あの情緒不安定な状態の人間を俺は気付かずに黙って帰してしまったのだろうか。たしかにもう他の奴とは関係を持たせないよう約束したが、ほぼ寝ながらの軽い約束を龍臣が守ってくれるのか不安だ。そんなことを考えながらベッドの上で頭を抱えている拓海の部屋に、何やらいい匂いが漂ってきた。
「おはよう、拓海」
リビングを覗くと龍臣がキッチンでパンを焼いていた。帰っていないことに安堵すると同時に、大学生に朝食を用意させてしまったという罪悪感が募る。
「お、おはよう龍臣。ごめんな俺の家なのに朝食なんて作らせて」
「別に。俺が勝手にやってることだし」
「大学は?」と聞くと龍臣は「二限から」と答えた。二人でテーブルにつき、食パンと味噌汁を食べる。
数年会っていなかった幼馴染に対しての話題が見つからない。昨夜襲われて一線を越えてしまったとはいえ、どこまで龍臣の日常生活に踏み込んでいいのだろうか。大学とかは流石に聞いてもいいのかと、リビングに流れる沈黙の気配から逃れようと拓海が懸命に考えていると龍臣が口を開いた。
「あー、昨日の提案ならちゃんと了承したからな」
「そ、そうか!よかった」
龍臣が自分と関係を持つことの何がいいのかわからなかったが、動揺していた拓海はそう言ってうなずいた。
その間に朝食を食べ終えた龍臣は「帰る」と言って玄関に向かい始めたため、拓海も急いで食べ終え見送りに出た。
ドアノブを握った龍臣が「そうだ」と急に振り返る。
「明日から俺ここで暮らしていい?」
「は!?駄目だ、お前実家暮らしだろ」
「大学遠いし、親からは早く一人暮らししろって言われてる。この家さっき確認したけど空き部屋あったよな」
確かに空き部屋はある。振られた婚約者と同棲する予定だったために開けておいた部屋だ。この家も一人暮らしをするには広すぎて、次の契約更新の際に引っ越すつもりだった。
「……わかった。住んでもいいが色々契約のこともあるから二週間後にしてくれ」
奇妙な約束をしている龍臣と一緒に暮らすことは不安だったが、大型犬を外に放り出すようで気が引けた。それに婚約者の事も早く忘れてしまいたいとも思っていた。
「俺からも連絡するけど、親に報告しろよ。お前で勝手に決めるなよ」
「うん」
つい口うるさくなる拓海の言葉を聞いているのかいないのか、わずかに目を細めた龍臣は片手で拓海の腰を引き寄せて、唇に触れるように軽くキスを落とした。
「じゃあ二週間後、待ってるからな」
ドアが閉まると共にその場に残された拓海は、すでに今出ていった男とのルームシェアをうっすら後悔し始めていた。
無意識に指先が唇をなぞる。一瞬触れただけのそこにまだ龍臣の体温があるように感じて、そう考えた自分に猛烈に首を振った。
「だ、大学生ってこえー」
自分の日常が変化していく予感に、拓海は一人ぶるりと震えた。
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