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第1話 「ボイル大草原と薄命」
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爽やかな風。大草原が波打つ。
雲ひとつない、日本晴れだ。
「……ふぅ」
俺はあぐらをかき、空を見上げて煙を吐く……つもりで、何もない指先を見る。
俺がいなければ、親父はまだ生きてんのか。
俺の頭をブチ抜いた龍広(たつひろ)はどうなった。
頭を触る。傷ひとつない。
青地に天に吠える虎のスカジャン
ジーパン、スニーカー。
肌にハリがある。若い。
身体が軽い。
「ギィグワビラサ!」
背後から奇声。
振り返ると、薄汚い男が四人。
「ギィグワビラサ、バラハバラハ!」
「ギャ~ギャ~喧(やか)しい!」
怒鳴り返すが、言葉が通じねぇ。
ニヤニヤしながら近づいてきやがる。野盗か。
「ギィグワビラサダ!」
痺れを切らした一人が、剣を横薙ぎに払う。
いきなりかよ。
バックステップ。
避けきれず、左脇腹を刃がかすめる。
「ぐっ……!」
傷を押さえ、よろめき、膝をつく。
……倒れるフリ
男が勝利を確信し、間合いを詰める。
釣れた!。
右拳を男の股間へ突き上げる。
ドスッ。グチャ
あぁ、2LDKが、1LDKだな
「グゥッ!?」
男が剣を取り落とす。
その刹那、俺は剣を拾い、背後に回って首を斬る。
いや、なまくらだ。叩き折る。
ゴキィッ!
鈍い感触。骨が砕ける音。
命を奪うには十分だ。
「次は……突きだな」
残り三人。マヌケ面を晒している。
一番近い男の懐へ飛び込み、胸を一突き。
ズブッ。
絶命。
その瞬間、横から衝撃。蹴り飛ばされた。
地面を転がる――フリをして、土を握り込む。
トドメを刺しに来た男が、剣を振り上げる。
俺は顔めがけて土をぶちまけた。
「グアッ!?」
怯んだ隙に、右脇腹へ剣を突き立てる。
あと一人。
視線を向けると、すでに背中を向けて走っていた。
深追いはしねぇ。
俺は息を吐き、腰を下ろす。
「映画の野盗みてぇな格好しやがって……」
それにしても、身体が軽い。
反応速度が全盛期に戻ってる。
以前、孤児院のガキどもと観たアニメを思い出す。
サラリーマンがスライムになるやつだ。
まさか……な。
その時――無機質な声が脳内に響く。
『……条件達成。CBP(総合身体ポイント)34P獲得。情報をコピーします』
直後、脳を焼かれるような激痛。
膨大な情報が流れ込んでくる。
(……ッ、ぐぅ……!)
どれくらい経ったか。
痛みの中から、事実だけが浮かび上がる。
――ここはピサンツ王国領、ボイル大草原。
「マジかよ……」
俺は荒い息のまま、項垂れた。
雲ひとつない、日本晴れだ。
「……ふぅ」
俺はあぐらをかき、空を見上げて煙を吐く……つもりで、何もない指先を見る。
俺がいなければ、親父はまだ生きてんのか。
俺の頭をブチ抜いた龍広(たつひろ)はどうなった。
頭を触る。傷ひとつない。
青地に天に吠える虎のスカジャン
ジーパン、スニーカー。
肌にハリがある。若い。
身体が軽い。
「ギィグワビラサ!」
背後から奇声。
振り返ると、薄汚い男が四人。
「ギィグワビラサ、バラハバラハ!」
「ギャ~ギャ~喧(やか)しい!」
怒鳴り返すが、言葉が通じねぇ。
ニヤニヤしながら近づいてきやがる。野盗か。
「ギィグワビラサダ!」
痺れを切らした一人が、剣を横薙ぎに払う。
いきなりかよ。
バックステップ。
避けきれず、左脇腹を刃がかすめる。
「ぐっ……!」
傷を押さえ、よろめき、膝をつく。
……倒れるフリ
男が勝利を確信し、間合いを詰める。
釣れた!。
右拳を男の股間へ突き上げる。
ドスッ。グチャ
あぁ、2LDKが、1LDKだな
「グゥッ!?」
男が剣を取り落とす。
その刹那、俺は剣を拾い、背後に回って首を斬る。
いや、なまくらだ。叩き折る。
ゴキィッ!
鈍い感触。骨が砕ける音。
命を奪うには十分だ。
「次は……突きだな」
残り三人。マヌケ面を晒している。
一番近い男の懐へ飛び込み、胸を一突き。
ズブッ。
絶命。
その瞬間、横から衝撃。蹴り飛ばされた。
地面を転がる――フリをして、土を握り込む。
トドメを刺しに来た男が、剣を振り上げる。
俺は顔めがけて土をぶちまけた。
「グアッ!?」
怯んだ隙に、右脇腹へ剣を突き立てる。
あと一人。
視線を向けると、すでに背中を向けて走っていた。
深追いはしねぇ。
俺は息を吐き、腰を下ろす。
「映画の野盗みてぇな格好しやがって……」
それにしても、身体が軽い。
反応速度が全盛期に戻ってる。
以前、孤児院のガキどもと観たアニメを思い出す。
サラリーマンがスライムになるやつだ。
まさか……な。
その時――無機質な声が脳内に響く。
『……条件達成。CBP(総合身体ポイント)34P獲得。情報をコピーします』
直後、脳を焼かれるような激痛。
膨大な情報が流れ込んでくる。
(……ッ、ぐぅ……!)
どれくらい経ったか。
痛みの中から、事実だけが浮かび上がる。
――ここはピサンツ王国領、ボイル大草原。
「マジかよ……」
俺は荒い息のまま、項垂れた。
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