ブラコンなイケメン兄に告白された弟

成竹

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前日

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いよいよ旅行の日の前日になった。


月曜日が祝日の週を使って、土、日、月、と二泊三日の旅行である。

今日一日は単語テストが良くない点数だったり、体育の授業のサッカーで豪快にコケたりと、散々なことになっていたが、どんなに悪いことがあっても次の日のことを考えればすぐ元気を取り戻すぐらい楽しみにしていた。

学校から帰ってくると、兄は隣の部屋で大学の課題をやっているようだった。
対して俺は旅行が楽しみで浮き足立って勉強もせずに、ぼーっとスマホなんかを見ていた。


夕食の時、いつも仕事で忙しい母が珍しく早く帰ってきていて、三人で食卓を囲んだ。
兄が事前に母に俺と旅行に行くことを伝えてくれていたらしく、その話をしていると、母は少し寂しそうにみえた。



 母が俺と兄の関係を知ったらどう思うのかな……



今まで自分のことしか考えてなかった俺は改めて少し不安を感じた。
さっきまで何も考えずただ旅行を楽しみにしていたが、本当はこれは良くないことなのかもしれない。
急に、何に関しても味方になってくれた母を裏切ってしまうようにみえて、引け目を感じた。


夕食を済ませた後、風呂に入って、俺は一人悶々としていた。

いつもより少し長風呂だった。
それからでてきてリビングに行った。
ソファの上でまたぼけーっとテレビを見ていた。

母が風呂を済ませて二階の部屋に眠りに行ったあと、兄は俺にココアを作って持ってきてくれた。
そしてソファの隣に座った。

「紘、明日楽しみ?」

「…………うん。」

そう聞かれた俺は答えるまでに少し不自然な間を開けてしまった。
兄はこちらを気遣うような顔をしていた。
このままでは兄に勘違いされてしまう、と思い、俺はありのまま話してみることにした。


「……やっぱり少し不安なんだ。俺と兄さんは両思いだって分かったから良かったけど、やっぱり男同士でしかも兄弟で恋愛なんて………
周りの人がどう思うのか怖くて。」


兄は黙ってから、真顔でこう答えた。

「じゃあ周りの人全員消してしまおうか。」


俺は兄の顔をバッチリ見てしまった。兄はこんなきつい冗談を言う性格でないはずなのに、どうしたのだろうか。俺は何も言えずに固まってしまった。


「俺は紘だけいればいい。」

兄は体を近ずけて、俺の頬に手で優しく触れながら真剣に言った。

「紘にもずっと俺だけを信じていて欲しい。」



その後、兄は俺の顔を確かめて微笑んだ。
「明日楽しみだね」
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