スイーツを作りたい悪役令嬢は天才魔道騎士から逃げ出したい〜巻戻りは婚約破棄で始まった!!

来海ありさ

文字の大きさ
51 / 53
第六章 断罪

51 魔法対決

しおりを挟む
パリッンッ

「俺も間抜けじゃないんでね。まともに闘うわけないだろぉおがああ。」

モーヴェ子爵の、いやモーヴェの破れたシャツの襟元に奇妙な蛇の刺青が見えた。手枷のせいで傷口から出ている血をペロペロと恍惚とした表情で舐めている。

(なンだこいつ?? 気味悪ぃ。)
奇ッ怪な動作に目を奪われてると、床に倒れた騎士を尻目に”怪物” は窓を割り外へと飛び出した。

「ちょっと~、私を置いてかないでよッ~!」
白のドレスが騎士の血で染まり、手枷足枷をつけられたノワールが喚く。

髪もドレスも干物のようにぐちゃぐちゃになった姿は哀れだった。「牢屋へ」と命じるローランの言葉に、「痛~い。」と何とも場違いな声を上げたノワールが床を引きづられながら連れてかれた。


「逃がさねぇ。」
(リーチェを狙った代償は必ずとらせる。)

「兄様っ!」
テオがすぐさま蒼の疾風を起こし、その勢いを借りて奴の後を追い窓の外へと飛び出した。奴は痩せた体をフラフラさせながら不恰好な走り方で、庭園の木々の間をすり抜けていく。

モーヴェの背中を視界に捉えすぐさま地面に手を置き、地の魔法を呼び出す。奴の目前に『ザッーーーーーーーガッガッガッガッ』とパックリと大地が割れるほどの地割れを起こす。行き場を失い痩せこけた体でユラッと立ち止まると、「邪魔するなアアアッ!」と怒鳴りながら地面をダンッと踏んだ。


「・・・ッってっ。」
(地面に雷を流しやがった! あともう少し避けンのが遅かったら危なかった。)

オレは、窓のそばで祈るように手を組むリーチェらを見た。
(広間にいる客を人質に取られたら厄介だ。)

「兄様っ、こちらは心配しないで下さい!」

ピーーーーッ!ピッーーーーーーーーーー!

テオが指笛を鳴らし、濃い霧で城を覆って防御魔法をかけ直してる。こっから見ると蜃気楼みてぇだ。

「余所見すンなよなぁああ!!」

ドスンッ!

鉄の塊のような衝撃が腹に直撃し、吹っ飛ばされ木に叩きつけられた。途端息が苦しくなり頭が朦朧としてくる。あばら骨やっちまったか?

フーーッフーーッ

呼吸音がおかしい。うまく息ができねぇ。
(これが話に聞いていた怪物の”爆発”!?)

自然界の細部にまで魔法を干渉させ、小さなエネルギー体を分裂させていく。そうやってエネルギーを生み続けながら、ある限界を超えると一瞬のうちに大きくて強い高音の熱を伴った爆発を起こすと言う。

(防御魔法をかけてなかったらマジでヤバかった。)


「・・・ッ調子に乗るなよ。」
自分の体を銀の粒子が包み込んでいく。荒々しい竜巻がモーヴェの体を突き上げた。まるで銀色の龍が人を飲み込んじまうみてぇに。


風が叫び声のような悍ましい音を立てて、近くの岩や木製のベンチの瓦礫をその渦に巻き込んでいく。

ぅガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!



手足が引きちぎられるほどの壮絶な勢いに、怪物の悲鳴が轟く。このままバラバラにしちまいてぇ衝動にかられる。

(リーチェを悲しませることだけはしねぇ。)



肉体的な痛みが増すのと裏腹に、凪のように心が澄んでくる。頭の先から足のつま先まで神経を張り巡らせ、繊細なコントロールに意識を使う。奴が気を失い声が絶えた時、銀の龍はその姿を消した。


空中から落下してくる奴を仕留めるため、地面を蹴り上げ高く跳ぶ。服に剣を突き刺し、そのまま木に服ごと奴を突き刺した。一度加速を失った奴のボロボロの体は、服が破れるままにドサッと木から落下する。一度落下の衝撃を和らげたから死んではいねぇはず。

(こいつの強大で邪悪な魔法を封じる。)


地面に落ちた奴の肩に、魔獣を仕留める魔道騎士の剣を突き刺した。


『銀の龍を宿し剣よ、その力で闇を浄化せよ。』
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【完結】愛人の子を育てろと言われた契約結婚の伯爵夫人、幼なじみに溺愛されて成り上がり、夫を追い出します

深山きらら
恋愛
政略結婚でレンフォード伯爵家に嫁いだセシリア。しかし初夜、夫のルパートから「君を愛するつもりはない」と告げられる。さらに義母から残酷な命令が。「愛人ロザリンドの子を、あなたの子として育てなさい」。屈辱に耐える日々の中、偶然再会した幼なじみの商人リオンが、セシリアの才能を信じて事業を支援してくれる。

婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―

鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。 泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。 まだ八歳。 それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。 並ぶのは、かわいい雑貨。 そして、かわいい魔法の雑貨。 お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、 冷めないティーカップ、 時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。 静かに広がる評判の裏で、 かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。 ざまぁは控えめ、日常はやさしく。 かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。 --- この文面は ✔ アルファポリス向け文字数 ✔ 女子読者に刺さるワード配置 ✔ ネタバレしすぎない ✔ ほのぼの感キープ を全部満たしています。 次は 👉 タグ案 👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字) どちらにしますか?

『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』

放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」 王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。 しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!? 「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!) 怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

専業プウタ
恋愛
ミリア・カルマンは帝国唯一の公爵家の次女。高貴な皇族の血を引く紫色の瞳を持って生まれたワガママな姉の陰謀で、帝国一裕福でイケメンのレナード・アーデン侯爵と婚約することになる。父親であるカルマン公爵の指示のもと後継者としてアカデミーで必死に勉強してきて首席で卒業した。アカデミー時代からの恋人、サイラスもいる。公爵になる夢も恋人も諦められない。私の人生は私が決めるんだから、イケメンの婚約者になど屈しない。地位も名誉も美しさも備えた婚約者の弱みを握り、婚約を破棄する。そして、大好きな恋人と結婚してみせる。そう決意して婚約者と接しても、この婚約者一筋縄ではいかない。初対面のはずなのに、まるで自分を知っていたかのような振る舞い。ミリアは恋人を裏切りたくない、姉の思い通りになりたくないと思いつつも彼に惹かれてく気持ちが抑えられなくなっていく。

職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい

LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。 相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。 何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。 相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。 契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?

目覚めたら魔法の国で、令嬢の中の人でした

エス
恋愛
転生JK×イケメン公爵様の異世界スローラブ 女子高生・高野みつきは、ある日突然、異世界のお嬢様シャルロットになっていた。 過保護すぎる伯爵パパに泣かれ、無愛想なイケメン公爵レオンといきなりお見合いさせられ……あれよあれよとレオンの婚約者に。 公爵家のクセ強ファミリーに囲まれて、能天気王太子リオに振り回されながらも、みつきは少しずつ異世界での居場所を見つけていく。 けれど心の奥では、「本当にシャルロットとして生きていいのか」と悩む日々。そんな彼女の夢に現れた“本物のシャルロット”が、みつきに大切なメッセージを託す──。 これは、異世界でシャルロットとして生きることを託された1人の少女の、葛藤と成長の物語。 イケメン公爵様とのラブも……気づけばちゃんと育ってます(たぶん) ※他サイトに投稿していたものを、改稿しています。 ※他サイトにも投稿しています。

処理中です...