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4 氷の騎士
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(あそこだけ一際、賑やかだわっ!!!)
近づくと、良家の子女たちが黄色い歓声を上げ、熱心にある一点を凝視している。手には、贈り物だろうか、、高そうな包みや手紙やらを手に握り締め、頬を赤らめている。
彼女たちの視線の先には、輝くばかりの美貌と鍛えた肉体で、騎士たちに稽古をつけるユオンがいた。柔らかそうな黒髪が陽に透けて、紺碧の瞳をより魅力的に見せている。だがその儚げな顔立ちと似合わぬほど、見事な剣捌きで一人、また一人と騎士たちを倒し圧倒的な強さを見せるたび、女性たちは「キャーッ」と興奮し、中には真っ赤になって視線を釘付けにし胸を押さえている者もいる。
「あの人、モテるのねえ。」
私は知らなかったけれど、ユオンは城内では結構な有名人らしかった。貴族でありながら家督を継ぐのを放棄し、15歳で騎士団に入団したかと思うと、メキメキと頭角を表し、生来の魔力の高さもあり、18歳という若さで隊を纏める騎士団長となった。
もちろん、歴戦名だたる騎士たちは皆彼より年上だが、今現在、強さで彼に敵うものはいないのでは、とも言われてるそう•••。
クレールも頷きながら、苦笑している。本当にすごい人気だ!!!
「シャーロウ殿下も、彼の方にはなぜか頭が上がらないようですからね。あれだけ見目も良く、騎士団長となればモテるのは分かりますわ。ただ、アネラ様は渡しませんが。」クレールが、任せて下さい!とでも言うように自分の胸をドンッと叩く。
(んっ?いったい何の宣言???)
私たちが騎士団の訓練を眺めていると、ツンツンと立った短めの赤髪に爽やかな笑顔を浮かべた騎士が1人近づいて来た。
「アネラ嬢ですか?お初にお目にかかります。どなたかお探しですか?よければお呼びしましょう。僕は騎士のエドワードと言います。以後、お見知り置きを•••。」そして、私の目を見つめたまま優雅なお辞儀をした。
笑顔の似合う好青年だ。この人は防御の魔力を施した金細工が片耳にだけ付いているから、小隊長あたりだろうか。金細工の飾りを賜るのは、例え片耳であっても、騎士の中では10本の指に入るほどの実力だろうから、この人も強そうだ。
「何故、私のことを?」
初めてお会いするはずだけど•••。
エドワード様は、私の言葉に、秘密を打ち明けるように、少し腰を屈め、手を口元に当て声を潜める。
「あなたのような美しい女性は、僕たちの間ではちょっとした有名人なんですよ! そんなに刺激的な格好で騎士たちのいるところに来たら、まるでオオカミの群れに羊を投げ込むようなもんだ。あっ、、!! あなたは羊というよりは子猫かな? ハハッ••••正直、殿下の婚約者でなければ僕がプロポーズしてました。」と、話終わると片目をウインクさせた。
(随分と気さくな人だ。)
殿下と婚約破棄になったことは聞いていないのだろうか。あくまで殿下と彼の私兵が暴走しただけで、一部の貴族以外には、まだ知られていないのかもしれない。
突然、エドワード様が血の気が引いた顔色で、「ヒッ•••!!」と悲鳴を上げたかと思うと、両腕を指先まで張り詰めて•••硬直、している???
「お前、訓練サボって良い度胸だな。」
氷のように冷たい声が響いた。
!?
(いつの間に???)
ユオンがエドワードの隣で、黒いオーラを出している!,! だってさっきまで、あちらで剣の稽古をしていたはず•••。
一瞬の間に、黒焦げになった道が エドワード様のすぐ真後ろまで出来ていた。
(こ、これって•••。一つ間違えばエドワード様が黒焦げになっていたのでは??? )
ヒヤリッと、冷気に似たものが背筋を走る。
エドワード様が、目だけでユオンを見て、顔を引き攣らせ、「ユ、ユオンッ!誤解だッ!たっ、ただ、挨拶していただけで•••」と、声を何とか絞り出す。
思わずエドワード様を庇うように、彼の腕を掴み、
「ユ、ユオンッ! エドワード様とは今お話したばかりで、、、」とユオンの目を見ると、目が据わってるっ。まるで薄い刃物で背を撫でられるようで、ゾワリッとする。
「氷の騎士•••。」
クレールが後ろでポツリと呟いた。クレールから、ユオンが女性からのアプローチが絶えないことや、一部騎士たちの間では『氷の騎士』と呼ばれている事などを聞いて、疑問に思ったものだ。だって、ユオンは、火の魔力使いなのに、なぜ氷なのかしら???
(けれど、身体の芯から冷えるような恐ろしさは、確かにその名を違えないわっ!!! )
ユオンが、エドワード様の腕を掴んでいる私の手に視線を落としながら、「アネラ、随分と親しげに名を呼び合う仲なのですね」と、形の良い唇の端を上げて微笑む。
ユオンッ!笑ってるけど、目が怖いっ!! なんだか黒いオーラまで出ているような気がする。
訓練をサボってるから怒ってる??
「あまりエドワード様を怒らないであげて!お願いっ!!」泡立つ心臓を落ち着かせるように、ゆっくりと声を出す。
ボワリッとまたユオンの足元から炎が立ち上がる!
「ホォゥ、アネラがどうしてお前のこと庇ってるんだ?」
こっ、こわいっ!!! この人、顔だけは虫も殺しません的な繊細な美青年なのに、やってることはかなりエグいわっ!
(ほらっ、エドワード様が今にも死にそうな顔してるじゃない??? そんなに訓練サボられるのが嫌だったのかしら??)
エドワード様が、ジリジリと後ずさりながら、敬礼し、大声で叫ぶ。
「だ、団長ッ!訓練に戻りますッ!アネラ嬢、それではまた!!」と、そのまま警戒を解かず、一目散に訓練に戻っていった。
何だか少し気の毒だ。
そう言えばッ•••!! ユオンの顔を見て思い出した!!
「ユオンッ!部屋のこと、ありがとう!!」
ユオンが直接殿下にかけ合い、元の部屋に戻れるようにしてくれたのだ。髪飾りだけでは証拠に欠けるから、と説得してくれたようだ。その代わり、ユオンが私の監視につくことになったらしい。今日の訓練を最後に、しばらく騎士の職務は休みを貰えるらしいけど•••。
ただ、軟禁状態から自分の部屋に戻った時、クレールが、「これはッ,!」と、口に手を当てしばらく言葉を失うほど、部屋の中は酷い惨状だった。
部屋中の金目のもの、特に宝石類は全て持ち去られた後だったからだ。引き出しは無造作に開けられ、細工の施した箱も裏返されていた。
「あの女ッ!!」クレールが歯軋りをして、手を握り締め怒りに声を震わせる。私の部屋に自由に出入りして、こんなことができるのは義妹のジェラリアであることは明らかだった。
もちろん殿下も入れるだろうが、女以外には全く興味のない彼が、こんな面倒なことするはずもない。
「クレール、そんなに怒るものではないわ。あなたが怒っても、ジェラリアの方は痛くも痒くもないでしょう。こうなったら仕方ないわ。普段より肌をわざと出して、スッキリさせましょう。そして、髪も編み込んでもらえるかしら?」
通常貴族にとってドレス姿で、宝石を一切つけていないのは、見窄らしく思われる。けれどもっと自由で良いと思うの。
「今日1日、私と共に居てね。」そっと語りかけ、花瓶にそのまま活けてあった色鮮やかなピンクのスプレーマムと呼ばれる花を、一輪だけ編み込んだ髪に差す。
私の姿を見たクレールが、
「アネラ様、本当っにお綺麗です! アクセサリーをつけていないから、肌の美しさが引き立ちますわ!それに編み込んだ髪が艶々ですから、一輪だけの花の方が、余計に豪華に見えます!」
「フフッ、ありがとう。」
クレールの優しさに胸がジンッとする。そろそろ出掛けなければっと立ち上が•••る•••?
クレール??
「アネラ様!!これをっ。」
クレールが肩を震わせ、何やら手の中に、散り散りに破れた紙を持ち、こちらを振り返った。
まだ何かあったのだろうか???
「これは•••?」と小首を傾け、クレールの手の中の紙切れを見る。
「アネラ様宛の恋文ですわ!あの女、宝石を持ち去るだけでは飽き足らず、こんな嫌がらせまでしてッ!ほんッとに嫉妬深い女ですよッ!」クレールが口を尖らせ、プンスカっと湯気でも出しそうなほど怒っている。
私としては怒りよりも、手紙をそんなに細かく破る労力の方を心配してしまう。そんなことを考えながら、クレールの手の中のものを何となく見ていた。
突然、ある事を閃く。どうしても試してみたくなった私は、書棚にある本を一冊手に取った。机の上に分厚い書物を置き、「確か、この辺のページだった気がする•••。」と、一枚一枚ページを捲ると、クレールが机のそばに寄ってきて興味深そうに覗き込んできた。
「アネラ様、どうされたのですか?」
「ふふっ、実はね、これ見て!」
私はクレールにある絵柄を見せた。
「これはっ???」
目を丸くし、食い入るように見ているが、何だかよく分からないのだろう。初めて見るのだから仕方ない。
「これはね、隣国で行われている貴族の遊びなのよ。一枚の絵を、わざといろんな形に分割して、バラバラの状態から元の絵に戻す遊びなの!!!」
私は細切れになった紙を見て、一番最初にこの絵が思い浮かんだのだ。
「わざとぐちゃぐちゃにして、元の絵に戻す•••遊び•••?」
クレールは眉を下げ、肩をすくめる。あまり楽しそうとは思ってもらえてないみたいだ。
「クレール、私、大抵のことは楽しめるわ!! 起きてしまったことは仕方ないもの•••。せめて、頂いた方のお名前の部分だけでも一緒に復元してみましょう!! 流石に内容まで全部は難しいと思うけど•••。」
私はクレールの手の中にあるそれらを、少しずつ机の上の箱の中へ慎重に移動させていく。「クレール、風で飛ばないように窓を閉めてくれるかしら?? 時間があるときに一緒に手伝って欲しいわ!ねっ?」と、クレールを見ると、毒気を抜かれたように、先ほどの怒りはどこかへいってしまったようだ。「仕方ないですね。だから私は、そんなアネラ様が好きなんですよ!!」と、一緒にビリビリに破かれた紙を箱の中へ移してくれた。
今朝のことを思い出し、考えに耽っていると、「綺麗だ•••。あまり他の男に見せたくはないな。」と何やらユオンが呟いた。
「えっ?」
と意識を戻し、顔を上げると、こちらを優しく見つめる瑠璃色の瞳と目が合う。
「あなたのライラックの髪色に、ピンクの花が良く映える。とても、似合ってます•••。部屋のことは気にしないで•••。それよりもアネラ、この後はどうしますか?」
この後? 殺害現場も一応調べてみた。犯人の決定的証拠は見つからなかったけど、成果ゼロというわけでもない。それならこの後するべき事は•••。
「考えていたのだけれど、あの事件で一番得をしたのは、誰かしら?」
ユオンは、漆黒の黒髪が風にそよめくのに自由に任せ、心からの笑顔を見せる。
「それは、あの鬱陶しい殿下が、あなたを妃候補から外したのだから俺でしょう•••。」と、甘だるく溶けそうな声を出す。
「えっ?!」
私、そんなに妃に向いていないと思われていたの?? 妃候補から外れて喜んだのは事実だけれど、人からハッキリと言われるのは少しだけショックだわっ。
私の反応に、ユオンは慌てたように、「あ、いや、すまない•••。普通に考えれば、2人の妃候補の内、1人が殺され、もう1人がその殺人の容疑をかけられたとなれば、今実際に殿下の妃候補となっている女性だろう。」
ユオンは、私の義妹だから敢えて名前を出さずにいてくれているが、実は私も同じ事を考えた。確かにジェラリアは何としても自分が妃になりたいとは考えているだろうけど、人を殺すほどとは、あまり考えられないのだけれど•••。
でもいくら考えても、私もジェラリア以外に思いつかなかった。
「ただ、その日、ジェラリアは、昼以降はずっと郊外の高原にある別荘地に行っていて、城に戻って来たのがその2日後だったの。彼女に殺せる訳がないのよね。」
どんなにジェラリアに動機があっても、物理的に不可能だとすればお手上げだ。
(深く思考に入ろうとするけれど、全然集中できない。)
先ほどから周囲の視線が痛い。なぜかユオン目当ての女性だけでなく、チラチラと騎士たちもこちらを見ている。騎士たちはこちらを見ては頬を赤らめているが、訓練が余程辛いのだろうか?? 幸い、かなり距離があるため会話の内容までは聞かれていないけれど•••。
「一つ、俺から提案があるのですが•••。」
ユオンが、身を乗り出し改まった様子で、真剣な顔で迫る。
「提案•••?」
何かしら???
「その別荘とやらを調べに行くのはどうでしょう?」
「ふぇっ?でも、別荘って、日帰りではとても行ける距離じゃ••••。」ジェラリアが事件の日、行っていたというコテージのある場所は、とてもじゃないけれど馬車で半日はゆうにかかる。行くとなれば、泊まりがけだ!!
ユオンは、うっすら耳を赤くし、長い睫毛を伏せる。
「いや、決してやましい気持ちでは•••。一緒のベッドで寝たいとか、あなたを抱きしめたいとか、••••。」
最後の方はモゴモゴ独り言を話すように何を話しているのか分からない。
「ユ、オ、ン、さ、まッ」
クレールが私を遮るように前に出て、両腕を広げる。
「じ、冗談だ、、、!! まだ今は•••。」
私は、ユオン達のやり取りよりも、ジェラリアが事件の当日訪れていたというコテージを訪問する考えに、気を取られていた。
「それって良い案かもしれないっ!! だってこのままじゃ埒があかないもの。」
このままだと八方塞がりで、とても犯人が見つかるようには思えない•p。
クレールが、グリンッと私の方へ振り返り、
「!?•••••ア、アネラさま?」と、素っ頓狂な声をあげる。
ユオンはクレールの両腕を優しく下に降ろすと、自信満々に、「クレール、安心してくれ。俺がアネラを朝から晩まで、ずっと見ているから。」と、瞳は真っ直ぐと私を見つめる。
「だ、か、ら、ダメナンデスッ!」
クレールが降ろされた両腕を腰に当て、大声を上げる。
この2人、相性があまり良くないのかしら•••?
「まあまあ、クレール、私1人だと殿下もお許しにならないでしょうし。もちろん部屋は別だし、ユオンも仕事熱心なだけで、それほど怖い人ではないと思うわ!」
クレールはハァッ~と大きく息をつき、「仕事熱心なだけだと思ってるのはアネラ様だけです。」と、ギロっとユオンを牽制するように睨む。
ユオンは困ったように眉を垂らし、
「心配なら俺がアネラをずっと抱えて、どんな危険からもアネラを守ろ•••!」
??ユオンが突然振り返る。ユオンの視線の先を見ると、ジェラリアだった。相変わらず、宝石売りかと思うほどの宝石をつけて、身体のラインぴったりのドレスを着ている。
薄い唇に笑みを浮かべ、「姉様、私心配してましたのよ。窓からユオン様と話しているのが見えましたので、来てみたのですが、こんな所で何をしているのかしら?」とユオンのすぐ隣に立つ。
「ジェラリア•••、大したことは話してないわ。騎士の稽古を見せてもらっていただけよ。」
私は肩をすくめ、先ほどの会話の内容をボカす。
「ユオン様、騎士の稽古中に、姉様が邪魔してるみたいでごめんなさい。」と、ジェラリアがさり気なくユオンの腕を取った。
「いや、俺の方からアネラに話しかけたのです。」
ユオンは、極めて礼儀正しく対応する。
「ユオン様って、本当に逞しい身体をしてるわ。着痩せして
、羨ましいわ。」ジェラリアは、擦り付けるように、自分の豊満な身体をユオンの腕に沿わせる。
「•••」
ユオンは無表情で何を考えているのか、読み取れない。
ジェラリアはうっとりとユオンの顔を見つめ、
「近くで見ると、ハチミツのような肌に、空のように綺麗な瞳、女性に興味がないなんて勿体無くてよ。よければ私がいろいろ教えて差し上げるわ。」と媚を纏った声を出す。
俯いたユオンが、
「アネラの妹でなければ、我慢にも限界があるのだが•••。」とボソッと呟く。
「何?」ジェラリアがわざとらしく睫毛をバサバサッと動かし、頬をユオンの腕に寄せる。
ユオンはチラリッと横目でジェラリアに目をやり、「結構です。」とはっきり断る。
けれどジェラリアは、これ見よがしにユオンの腰に自らの手を伸ばし、「照れてるのかしら•••。この後、私の部屋に食事に来ませんこと?」と、めげることなく誘いを繰り返す。
とうとうユオンは、「お断りします。」と、俯いた額に片手を当てる。
ユオンが嫌がってるようだし、ここは助け舟を出した方が良いかしら?? などと考えていると、ジェラリア付きの侍女が息を切らせて駆けてきた。
「ジェラリア様ッ、こんなところに!シャーロウ王子が呼んでいます。」
ゼェゼェと肩で息をし、城内を余程探し回っていたのだろう。
「後にしてもらって。今忙しいのよ。」ジェラリアは侍女の顔を見ることもなく、尖った声を出す。
侍女は困惑したように、
「ジェラリア様が以前から殿下に頼んでいた宝石商が来たのですが•••。」と用件を伝えると、ジェラリアは分かりやすくパッと顔を明るくし、「すぐ行くわ。案内なさいッ。•••ユオン様、ごめんあそばせ。用事ができてしまったみたいなの。」と、最後までユオンにベッタリとひっつきながら甘えた声を出す。
「は?••••はあ•••。」
侍女も、先ほどまで忙しいと言っていた当人が、宝石商の名を出した途端に、態度が変わったことに呆れたのか、つい素がでていた。
ジェラリアは、帰り際、私の耳元で、「ちょっと良い男を見つけるとすぐに色目を使って誑かして、どこまでも邪魔な女ねッ。」と、捨て台詞を吐いて去って行った。
私が邪魔をしてる??
邪魔も何も、ジェラリア、あなたは我が道を十分進みすぎるほどに進んでいると思うのだけれど???
近づくと、良家の子女たちが黄色い歓声を上げ、熱心にある一点を凝視している。手には、贈り物だろうか、、高そうな包みや手紙やらを手に握り締め、頬を赤らめている。
彼女たちの視線の先には、輝くばかりの美貌と鍛えた肉体で、騎士たちに稽古をつけるユオンがいた。柔らかそうな黒髪が陽に透けて、紺碧の瞳をより魅力的に見せている。だがその儚げな顔立ちと似合わぬほど、見事な剣捌きで一人、また一人と騎士たちを倒し圧倒的な強さを見せるたび、女性たちは「キャーッ」と興奮し、中には真っ赤になって視線を釘付けにし胸を押さえている者もいる。
「あの人、モテるのねえ。」
私は知らなかったけれど、ユオンは城内では結構な有名人らしかった。貴族でありながら家督を継ぐのを放棄し、15歳で騎士団に入団したかと思うと、メキメキと頭角を表し、生来の魔力の高さもあり、18歳という若さで隊を纏める騎士団長となった。
もちろん、歴戦名だたる騎士たちは皆彼より年上だが、今現在、強さで彼に敵うものはいないのでは、とも言われてるそう•••。
クレールも頷きながら、苦笑している。本当にすごい人気だ!!!
「シャーロウ殿下も、彼の方にはなぜか頭が上がらないようですからね。あれだけ見目も良く、騎士団長となればモテるのは分かりますわ。ただ、アネラ様は渡しませんが。」クレールが、任せて下さい!とでも言うように自分の胸をドンッと叩く。
(んっ?いったい何の宣言???)
私たちが騎士団の訓練を眺めていると、ツンツンと立った短めの赤髪に爽やかな笑顔を浮かべた騎士が1人近づいて来た。
「アネラ嬢ですか?お初にお目にかかります。どなたかお探しですか?よければお呼びしましょう。僕は騎士のエドワードと言います。以後、お見知り置きを•••。」そして、私の目を見つめたまま優雅なお辞儀をした。
笑顔の似合う好青年だ。この人は防御の魔力を施した金細工が片耳にだけ付いているから、小隊長あたりだろうか。金細工の飾りを賜るのは、例え片耳であっても、騎士の中では10本の指に入るほどの実力だろうから、この人も強そうだ。
「何故、私のことを?」
初めてお会いするはずだけど•••。
エドワード様は、私の言葉に、秘密を打ち明けるように、少し腰を屈め、手を口元に当て声を潜める。
「あなたのような美しい女性は、僕たちの間ではちょっとした有名人なんですよ! そんなに刺激的な格好で騎士たちのいるところに来たら、まるでオオカミの群れに羊を投げ込むようなもんだ。あっ、、!! あなたは羊というよりは子猫かな? ハハッ••••正直、殿下の婚約者でなければ僕がプロポーズしてました。」と、話終わると片目をウインクさせた。
(随分と気さくな人だ。)
殿下と婚約破棄になったことは聞いていないのだろうか。あくまで殿下と彼の私兵が暴走しただけで、一部の貴族以外には、まだ知られていないのかもしれない。
突然、エドワード様が血の気が引いた顔色で、「ヒッ•••!!」と悲鳴を上げたかと思うと、両腕を指先まで張り詰めて•••硬直、している???
「お前、訓練サボって良い度胸だな。」
氷のように冷たい声が響いた。
!?
(いつの間に???)
ユオンがエドワードの隣で、黒いオーラを出している!,! だってさっきまで、あちらで剣の稽古をしていたはず•••。
一瞬の間に、黒焦げになった道が エドワード様のすぐ真後ろまで出来ていた。
(こ、これって•••。一つ間違えばエドワード様が黒焦げになっていたのでは??? )
ヒヤリッと、冷気に似たものが背筋を走る。
エドワード様が、目だけでユオンを見て、顔を引き攣らせ、「ユ、ユオンッ!誤解だッ!たっ、ただ、挨拶していただけで•••」と、声を何とか絞り出す。
思わずエドワード様を庇うように、彼の腕を掴み、
「ユ、ユオンッ! エドワード様とは今お話したばかりで、、、」とユオンの目を見ると、目が据わってるっ。まるで薄い刃物で背を撫でられるようで、ゾワリッとする。
「氷の騎士•••。」
クレールが後ろでポツリと呟いた。クレールから、ユオンが女性からのアプローチが絶えないことや、一部騎士たちの間では『氷の騎士』と呼ばれている事などを聞いて、疑問に思ったものだ。だって、ユオンは、火の魔力使いなのに、なぜ氷なのかしら???
(けれど、身体の芯から冷えるような恐ろしさは、確かにその名を違えないわっ!!! )
ユオンが、エドワード様の腕を掴んでいる私の手に視線を落としながら、「アネラ、随分と親しげに名を呼び合う仲なのですね」と、形の良い唇の端を上げて微笑む。
ユオンッ!笑ってるけど、目が怖いっ!! なんだか黒いオーラまで出ているような気がする。
訓練をサボってるから怒ってる??
「あまりエドワード様を怒らないであげて!お願いっ!!」泡立つ心臓を落ち着かせるように、ゆっくりと声を出す。
ボワリッとまたユオンの足元から炎が立ち上がる!
「ホォゥ、アネラがどうしてお前のこと庇ってるんだ?」
こっ、こわいっ!!! この人、顔だけは虫も殺しません的な繊細な美青年なのに、やってることはかなりエグいわっ!
(ほらっ、エドワード様が今にも死にそうな顔してるじゃない??? そんなに訓練サボられるのが嫌だったのかしら??)
エドワード様が、ジリジリと後ずさりながら、敬礼し、大声で叫ぶ。
「だ、団長ッ!訓練に戻りますッ!アネラ嬢、それではまた!!」と、そのまま警戒を解かず、一目散に訓練に戻っていった。
何だか少し気の毒だ。
そう言えばッ•••!! ユオンの顔を見て思い出した!!
「ユオンッ!部屋のこと、ありがとう!!」
ユオンが直接殿下にかけ合い、元の部屋に戻れるようにしてくれたのだ。髪飾りだけでは証拠に欠けるから、と説得してくれたようだ。その代わり、ユオンが私の監視につくことになったらしい。今日の訓練を最後に、しばらく騎士の職務は休みを貰えるらしいけど•••。
ただ、軟禁状態から自分の部屋に戻った時、クレールが、「これはッ,!」と、口に手を当てしばらく言葉を失うほど、部屋の中は酷い惨状だった。
部屋中の金目のもの、特に宝石類は全て持ち去られた後だったからだ。引き出しは無造作に開けられ、細工の施した箱も裏返されていた。
「あの女ッ!!」クレールが歯軋りをして、手を握り締め怒りに声を震わせる。私の部屋に自由に出入りして、こんなことができるのは義妹のジェラリアであることは明らかだった。
もちろん殿下も入れるだろうが、女以外には全く興味のない彼が、こんな面倒なことするはずもない。
「クレール、そんなに怒るものではないわ。あなたが怒っても、ジェラリアの方は痛くも痒くもないでしょう。こうなったら仕方ないわ。普段より肌をわざと出して、スッキリさせましょう。そして、髪も編み込んでもらえるかしら?」
通常貴族にとってドレス姿で、宝石を一切つけていないのは、見窄らしく思われる。けれどもっと自由で良いと思うの。
「今日1日、私と共に居てね。」そっと語りかけ、花瓶にそのまま活けてあった色鮮やかなピンクのスプレーマムと呼ばれる花を、一輪だけ編み込んだ髪に差す。
私の姿を見たクレールが、
「アネラ様、本当っにお綺麗です! アクセサリーをつけていないから、肌の美しさが引き立ちますわ!それに編み込んだ髪が艶々ですから、一輪だけの花の方が、余計に豪華に見えます!」
「フフッ、ありがとう。」
クレールの優しさに胸がジンッとする。そろそろ出掛けなければっと立ち上が•••る•••?
クレール??
「アネラ様!!これをっ。」
クレールが肩を震わせ、何やら手の中に、散り散りに破れた紙を持ち、こちらを振り返った。
まだ何かあったのだろうか???
「これは•••?」と小首を傾け、クレールの手の中の紙切れを見る。
「アネラ様宛の恋文ですわ!あの女、宝石を持ち去るだけでは飽き足らず、こんな嫌がらせまでしてッ!ほんッとに嫉妬深い女ですよッ!」クレールが口を尖らせ、プンスカっと湯気でも出しそうなほど怒っている。
私としては怒りよりも、手紙をそんなに細かく破る労力の方を心配してしまう。そんなことを考えながら、クレールの手の中のものを何となく見ていた。
突然、ある事を閃く。どうしても試してみたくなった私は、書棚にある本を一冊手に取った。机の上に分厚い書物を置き、「確か、この辺のページだった気がする•••。」と、一枚一枚ページを捲ると、クレールが机のそばに寄ってきて興味深そうに覗き込んできた。
「アネラ様、どうされたのですか?」
「ふふっ、実はね、これ見て!」
私はクレールにある絵柄を見せた。
「これはっ???」
目を丸くし、食い入るように見ているが、何だかよく分からないのだろう。初めて見るのだから仕方ない。
「これはね、隣国で行われている貴族の遊びなのよ。一枚の絵を、わざといろんな形に分割して、バラバラの状態から元の絵に戻す遊びなの!!!」
私は細切れになった紙を見て、一番最初にこの絵が思い浮かんだのだ。
「わざとぐちゃぐちゃにして、元の絵に戻す•••遊び•••?」
クレールは眉を下げ、肩をすくめる。あまり楽しそうとは思ってもらえてないみたいだ。
「クレール、私、大抵のことは楽しめるわ!! 起きてしまったことは仕方ないもの•••。せめて、頂いた方のお名前の部分だけでも一緒に復元してみましょう!! 流石に内容まで全部は難しいと思うけど•••。」
私はクレールの手の中にあるそれらを、少しずつ机の上の箱の中へ慎重に移動させていく。「クレール、風で飛ばないように窓を閉めてくれるかしら?? 時間があるときに一緒に手伝って欲しいわ!ねっ?」と、クレールを見ると、毒気を抜かれたように、先ほどの怒りはどこかへいってしまったようだ。「仕方ないですね。だから私は、そんなアネラ様が好きなんですよ!!」と、一緒にビリビリに破かれた紙を箱の中へ移してくれた。
今朝のことを思い出し、考えに耽っていると、「綺麗だ•••。あまり他の男に見せたくはないな。」と何やらユオンが呟いた。
「えっ?」
と意識を戻し、顔を上げると、こちらを優しく見つめる瑠璃色の瞳と目が合う。
「あなたのライラックの髪色に、ピンクの花が良く映える。とても、似合ってます•••。部屋のことは気にしないで•••。それよりもアネラ、この後はどうしますか?」
この後? 殺害現場も一応調べてみた。犯人の決定的証拠は見つからなかったけど、成果ゼロというわけでもない。それならこの後するべき事は•••。
「考えていたのだけれど、あの事件で一番得をしたのは、誰かしら?」
ユオンは、漆黒の黒髪が風にそよめくのに自由に任せ、心からの笑顔を見せる。
「それは、あの鬱陶しい殿下が、あなたを妃候補から外したのだから俺でしょう•••。」と、甘だるく溶けそうな声を出す。
「えっ?!」
私、そんなに妃に向いていないと思われていたの?? 妃候補から外れて喜んだのは事実だけれど、人からハッキリと言われるのは少しだけショックだわっ。
私の反応に、ユオンは慌てたように、「あ、いや、すまない•••。普通に考えれば、2人の妃候補の内、1人が殺され、もう1人がその殺人の容疑をかけられたとなれば、今実際に殿下の妃候補となっている女性だろう。」
ユオンは、私の義妹だから敢えて名前を出さずにいてくれているが、実は私も同じ事を考えた。確かにジェラリアは何としても自分が妃になりたいとは考えているだろうけど、人を殺すほどとは、あまり考えられないのだけれど•••。
でもいくら考えても、私もジェラリア以外に思いつかなかった。
「ただ、その日、ジェラリアは、昼以降はずっと郊外の高原にある別荘地に行っていて、城に戻って来たのがその2日後だったの。彼女に殺せる訳がないのよね。」
どんなにジェラリアに動機があっても、物理的に不可能だとすればお手上げだ。
(深く思考に入ろうとするけれど、全然集中できない。)
先ほどから周囲の視線が痛い。なぜかユオン目当ての女性だけでなく、チラチラと騎士たちもこちらを見ている。騎士たちはこちらを見ては頬を赤らめているが、訓練が余程辛いのだろうか?? 幸い、かなり距離があるため会話の内容までは聞かれていないけれど•••。
「一つ、俺から提案があるのですが•••。」
ユオンが、身を乗り出し改まった様子で、真剣な顔で迫る。
「提案•••?」
何かしら???
「その別荘とやらを調べに行くのはどうでしょう?」
「ふぇっ?でも、別荘って、日帰りではとても行ける距離じゃ••••。」ジェラリアが事件の日、行っていたというコテージのある場所は、とてもじゃないけれど馬車で半日はゆうにかかる。行くとなれば、泊まりがけだ!!
ユオンは、うっすら耳を赤くし、長い睫毛を伏せる。
「いや、決してやましい気持ちでは•••。一緒のベッドで寝たいとか、あなたを抱きしめたいとか、••••。」
最後の方はモゴモゴ独り言を話すように何を話しているのか分からない。
「ユ、オ、ン、さ、まッ」
クレールが私を遮るように前に出て、両腕を広げる。
「じ、冗談だ、、、!! まだ今は•••。」
私は、ユオン達のやり取りよりも、ジェラリアが事件の当日訪れていたというコテージを訪問する考えに、気を取られていた。
「それって良い案かもしれないっ!! だってこのままじゃ埒があかないもの。」
このままだと八方塞がりで、とても犯人が見つかるようには思えない•p。
クレールが、グリンッと私の方へ振り返り、
「!?•••••ア、アネラさま?」と、素っ頓狂な声をあげる。
ユオンはクレールの両腕を優しく下に降ろすと、自信満々に、「クレール、安心してくれ。俺がアネラを朝から晩まで、ずっと見ているから。」と、瞳は真っ直ぐと私を見つめる。
「だ、か、ら、ダメナンデスッ!」
クレールが降ろされた両腕を腰に当て、大声を上げる。
この2人、相性があまり良くないのかしら•••?
「まあまあ、クレール、私1人だと殿下もお許しにならないでしょうし。もちろん部屋は別だし、ユオンも仕事熱心なだけで、それほど怖い人ではないと思うわ!」
クレールはハァッ~と大きく息をつき、「仕事熱心なだけだと思ってるのはアネラ様だけです。」と、ギロっとユオンを牽制するように睨む。
ユオンは困ったように眉を垂らし、
「心配なら俺がアネラをずっと抱えて、どんな危険からもアネラを守ろ•••!」
??ユオンが突然振り返る。ユオンの視線の先を見ると、ジェラリアだった。相変わらず、宝石売りかと思うほどの宝石をつけて、身体のラインぴったりのドレスを着ている。
薄い唇に笑みを浮かべ、「姉様、私心配してましたのよ。窓からユオン様と話しているのが見えましたので、来てみたのですが、こんな所で何をしているのかしら?」とユオンのすぐ隣に立つ。
「ジェラリア•••、大したことは話してないわ。騎士の稽古を見せてもらっていただけよ。」
私は肩をすくめ、先ほどの会話の内容をボカす。
「ユオン様、騎士の稽古中に、姉様が邪魔してるみたいでごめんなさい。」と、ジェラリアがさり気なくユオンの腕を取った。
「いや、俺の方からアネラに話しかけたのです。」
ユオンは、極めて礼儀正しく対応する。
「ユオン様って、本当に逞しい身体をしてるわ。着痩せして
、羨ましいわ。」ジェラリアは、擦り付けるように、自分の豊満な身体をユオンの腕に沿わせる。
「•••」
ユオンは無表情で何を考えているのか、読み取れない。
ジェラリアはうっとりとユオンの顔を見つめ、
「近くで見ると、ハチミツのような肌に、空のように綺麗な瞳、女性に興味がないなんて勿体無くてよ。よければ私がいろいろ教えて差し上げるわ。」と媚を纏った声を出す。
俯いたユオンが、
「アネラの妹でなければ、我慢にも限界があるのだが•••。」とボソッと呟く。
「何?」ジェラリアがわざとらしく睫毛をバサバサッと動かし、頬をユオンの腕に寄せる。
ユオンはチラリッと横目でジェラリアに目をやり、「結構です。」とはっきり断る。
けれどジェラリアは、これ見よがしにユオンの腰に自らの手を伸ばし、「照れてるのかしら•••。この後、私の部屋に食事に来ませんこと?」と、めげることなく誘いを繰り返す。
とうとうユオンは、「お断りします。」と、俯いた額に片手を当てる。
ユオンが嫌がってるようだし、ここは助け舟を出した方が良いかしら?? などと考えていると、ジェラリア付きの侍女が息を切らせて駆けてきた。
「ジェラリア様ッ、こんなところに!シャーロウ王子が呼んでいます。」
ゼェゼェと肩で息をし、城内を余程探し回っていたのだろう。
「後にしてもらって。今忙しいのよ。」ジェラリアは侍女の顔を見ることもなく、尖った声を出す。
侍女は困惑したように、
「ジェラリア様が以前から殿下に頼んでいた宝石商が来たのですが•••。」と用件を伝えると、ジェラリアは分かりやすくパッと顔を明るくし、「すぐ行くわ。案内なさいッ。•••ユオン様、ごめんあそばせ。用事ができてしまったみたいなの。」と、最後までユオンにベッタリとひっつきながら甘えた声を出す。
「は?••••はあ•••。」
侍女も、先ほどまで忙しいと言っていた当人が、宝石商の名を出した途端に、態度が変わったことに呆れたのか、つい素がでていた。
ジェラリアは、帰り際、私の耳元で、「ちょっと良い男を見つけるとすぐに色目を使って誑かして、どこまでも邪魔な女ねッ。」と、捨て台詞を吐いて去って行った。
私が邪魔をしてる??
邪魔も何も、ジェラリア、あなたは我が道を十分進みすぎるほどに進んでいると思うのだけれど???
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