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28 シャンリゼの花
しおりを挟むこれは、、••オレの記憶•••???
!? •••誰かが、、•••母上•••?••オレの手を握ってくれている•••暖かい•••記憶が混濁する、、•••まるで俺の中に、、何かの記憶が流れ込んでくるような、、••フローレンの川で採れた青い石?の記憶•••?
◇◇◇
•••13歳の時、屋敷に忍び込んできた男性は、兄イシュアだった••
「俺のことは覚えていないのか?•••そうか、、俺たちが襲われた時、お前は記憶を失ったまま、ここに連れてこられたのだろう。俺たちは、肌の色とお前の名前が縫い付けられたマフラーだけを頼りに、ずっと探してたんだ•••」
•• 今の育ての父上たちは、何も知らずに、傷だらけで倒れていたオレを助けて養子にしてくれたのだ•••。記憶を失っていた少年を、、、
かあさま•••と呼んでいた女性•••今の今まで顔も思い出せなかった•••
だが今は、魔力を示すオレとおなじ金色の瞳を、よく思い出せる、、母上の金の瞳の横には笑い皺ができていた、大きくて優しい瞳•••
病や怪我を治す能力が強いほど、その肌と瞳の色は、濃く生まれる•••母上も、その力を持っていたから、、ッ•••オレたちが襲われたように、何者かに拐われ殺された••
見つかった時には両腕をもがれ、道端に捨てられた状態だったと言う、、魔力が必死に身体を修復しようとしていたらしいが、いくら傷が治ると言っても不死身じゃない、、••!!!
•••首に蛇の刺青の男•••
そいつに気をつけるよう言い残して亡くなった、、、
ッ•••どうしてッ! こんな目に遭う?オレたちが何をした?どうしてあんなに優しい人が•••?
母上は、•••ただ、毎日料理を作り••編み物をして••子どもたちの世話をして••そんなどこにでもあるような毎日を過ごしていた人だ、、、
•••能力を使わせるために両腕を切り落とされたあの日、どれほど怖かったのだろう、、どれほど叫んだのだろう、、どれほど心残りがあったのだろう、、、ッふざけるなッ、、!!
『治したくなかったら?』
『そんなのもちろんしなくていいわよ。当たり前じゃない』
薄桃色の瞳をキョトンとさせてオレを見た後、はじけるように満開の笑顔を浮かべた女の子•••
どうして•••、、なぜ、今まで忘れていたんだろう•••あの女の子は、、姫さまだった•••!
少し変わった女の子、、、オレに、無理に能力を使う必要はないと言ってくれた、、水音のように心地よい響きの笑い声の女の子、、••
姫さまらしいや、、ハハッ
姫さまがオレのこと覚えていないのは当然だ、、マントを被り、魔力を隠す腕輪をつけ、褐色の肌を隠していたのだから、、•••
あの時のまた会おうという約束は、オレが記憶を失ったことで守れなかった、•••
あの日は、いつものように、フローレンの川辺に、薬草医だった父上が使う薬草を採りに行っていた。そして帰り道、淡い色のドレスを着て花飾りを付け、1人泣いていた女の子を見つけたんだ、、、
6歳の少年だったあの時、、•••いつもマントと腕輪で身を隠していたオレには、•••外の世界は怖かった、、だから、自分のように泣いている女の子を放っておけなかった•••
『治したくなかったら?』
『そんなのもちろんしなくていいわよ。当たり前じゃない』
あの少女の、、姫さまのあっけらかんとした笑顔と言葉は、今はその表情まではっきりと思い出せる•••!!!、、••外の世界は想像するほどそんなに怖いものじゃないのかもしれない、、••• オレたちの力を利用しようとする奴らばかりじゃないんだ、、、!! ッそうだ、••! その時初めて自分の境遇に希望が持てたんだ•••!!
•••転んで擦りむいた傷を治したら、心の底から嬉しそうに喜んでくれた、シャンリゼの花のような女の子、、•••ただ一緒に笑っているだけで幸せで•••初恋だったんだ、、!!! •••どうして今まで忘れていたんだろう、、••?
オレの心に、光のように灯っていた存在を•••!!
ウンディーネ国で、「悪魔の子」と陰口を叩かれ続けたオレに、あの人は言った、、
「あなた、初めて見るわね。
とても綺麗な肌の色をしているわ!
飾り立てなくても目立つのはあなたの武器だわ。」
あの人のまっすぐさが眩しかった、、•••
イシュア、•••兄がやってきて、母上のことを話した時、自分の無力さを恨んだ、、••もう大切な人をむざむざ死なせはしない、、!! 守りたい!大切だ!どんなにそう思っても自分に力がないと誰も守れない••••だからオレはそれまで以上に稽古に打ち込んだ、、もう二度と、大切な人を失わないために、、!!
「なあ、姫さま、今日はマナーの授業があるぞ。このままだと遅れるぞ」
「もう少しだけ!あともう少し剣の稽古をしたら終わるわ。」
「フェンリル様はとっくに帰ってるぞ••」
「フェンリルと一緒に稽古できるのは嬉しいけど、、フェンリルに認めてもらうためにも、もっと強くなりたいの!それに、私が強くなれば、父上や母上、フェンリルやカイル、私が皆のことを守ってあげられるでしょう?」
「姫さまは守られる方だろ?」
「守られるだけでは嫌よ。でもこんな風だから『最低姫』と呼ばれるのね•••。」
いつも明るい姫さまは、その時だけ少し寂しそうに見えた•••そう、•••「最低姫」のもとで働きたくない、と言っていた使用人たちが去るのを姫さまは許した•••王族の命令は絶対だから、使用人から辞めることはできない。だから必然的にクビという形となる。
「私のもとで働くのを望んでいないのに、かわいそうじゃない?人に強いたくはないわ。だからそういう人たちには父上のところに行ってもらっただけよ。」
ルイス王の元で働いた方が、当然待遇は良くなる。そういうことも姫さまは知っていたのだろうか•••。
「私のせいで悪く言われるのは可哀想だから•••」、とポロッとこぼした、•••とても•••不器用な人、、、•••そしてとても愛らしい人•••
そんな不器用で世間知らずでまっすぐな人だから、オレはこの力を姫さまのために使いたいと思ったんだ、、誰に強制されるのではなく、自らの意志で、、
姫さま•••オレに•••光を見せてくれた人••••
オレにあんたを守らせて。
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