「さざれ石」連続サギ事件簿

愛士徹流(あいし・てる)

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File 1. 糸島編

Episode 4. 海洋民族が運んだ文化とは?

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先ほど、私が偶然連れていかれた押戸石おしといしについてご紹介したが、あのような巨石は海洋民族が運んだのだという。そう主張していたハーバード大学の故バリー・フェル教授について、武内先生が教えてくれた。バリーフェル教授はさらに、巨石に関して「古いものほど大きく、重く、硬い」と言っていたそうだ。

現代の常識的な発想からすると、新しい時代になればなるほど技術が進み、より大きいものも楽に運べるようになるイメージがあるが、その発想を古代に当てはめようとしてはいけないらしい。確かに古代の遺物には、現在でも解明できていないような不思議なものが(オーパーツなども含め)いろいろと存在する。失われてしまったテクノロジーや、むしろ、人間が忘れてしまった潜在能力のようなものが実はあるのだろうか…?



とにかく、できるだけニュートラルな目で、様々なものをきちんと見られるように努力しようと思う。私が知りたいのは「真実」だからこそ、変な常識や偏見のせいで、目や思考が濁ってしまってはいけない。

さて、とにかく偶然か運命かは分からないが、今回見せてもらった巨石群は、現代の常識からすると、古代人が運ぶには大きすぎるような気がついしてしまうが、でもそれを言ったらエジプトのピラミッドも成り立たなくなってしまう。

まずは「巨石文化」は古代の海洋民族が運んだということを、現実だと仮定して受け止めよう。そして彼らは「夏至げし線」や「夏至の日の出」なども重視していたのだ。

そしてもう1つ、海洋民族が運んだ文化として、教えてもらったのが「盃状穴はいじょうけつ」である。私自身、初めて聞いた言葉であったが、読んで字のごとくさかずき状、つまり丸く、石に掘られた穴のことである。



画像は、熊本のこしき神社にある盃状穴である。ここまで大量に彫られているのはちょっと珍しいのだが、例えば神社の手水鉢ちょうずばちの周りに掘られているようなケースはよくある。以下は、渋谷にある金王こんのう八幡宮のものである。


<渋谷の金王こんのう八幡宮にある盃状穴>

そう、東京都内にも盃状穴は結構あるし、日本中に存在している……いや、それこそ盃状穴は世界中に散らばっている。最近、古代史界隈で話題になっているのが12000年前とも言われるトルコのギョベクリ・テペ遺跡であるが、そこで出土したT字型の巨石にもたくさんの盃状穴が存在していることを武内先生が発見している。


<ギョベクリ・テペ遺跡(トルコ)にある盃状穴>

一体、海洋民族はこのような盃状穴をどのように作り、そして、どんな用途に使っていたのだろうか?

その答えは、はっきり言って分かっていない。ただし、様々な推測はできる。まず、間違いなく言えるのは、海洋民族は盃状穴を「祭器」として使っていた――ということだ。

鉄も青銅も、金属器が存在しなかった古い時代から盃状穴は掘られている。そうすると、おそらく石棒せきぼうを使っていただろう。そして長い時間をかけて、祈るかのようにして、穴を削っていたのかもしれない。


<イメージ図(AIによる生成)>

また、さかずき状の穴には、例えば油を注いで火をつけていたとも考えられるし、あるところでは実際に護摩焚ごまだきに使われていたという証言や、ヨーロッパではへその緒を入れて儀式を行なったという話も伝わっているようだ。

……ということで、隠されてしまった歴史を知るための大事なキーワードが「海洋民族」なのだ。そして「巨石」や「夏至線」、「盃状穴」などがきっと目印となって、真実へと導いてくれることを信じよう。

それでは、サギ事件の舞台である糸島へと話を戻そう。
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