うちのダンナはぽっちゃり男子

つづれ しういち

文字の大きさ
2 / 315

2 慣れとはなんぞや

しおりを挟む


 こんなエッセイを書くぐらいやから、「ああこの人、デブ専なんや」って、読者のみなさんから「可哀想にね」っていう生暖かい目で見られているであろうことは百も承知なんですが。

 いえ、ちゃいます。
 特に二次元では、ちゃいます。

 逆三角形の背中萌えとか上腕二頭筋萌えとかは暑苦しいぐらい持ってますが、そもそも下半身に重心がくるタイプの男子の体型に萌えた覚えなど、この人生で一度もございません。
 性格的なことも、うちのダンナとは真逆の男子のほうがはるかに好みだということは、私の小説に接してくださったことのある方にはもう十分にお分かりいただけることでしょう……って、いやいや、「だから読んで」とか申し上げているわけではありませんので、誤解のなきように!

 そもそもあれです、もともとは私は猫を飼ってた人間で。
 実家で飼っていた猫でしたが、家族の中でいちばん私に懐いていたということもあって、一人暮らしをする時、そのまま連れて出たわけです。それで、そのまま結婚するときも「連れ子」よろしく一緒に貰っていただいたと。
 やがて子供も生まれまして、猫のほうはまあ二十年以上も生きてくれた結果、大往生したわけなのですが。

 猫ってほら、撫でると気持ちいいやないですか。
 それはわんこも同じですよね。
 なんやっけ、アルファ波たらいうのが出るんやったっけ。
 撫でてると気持ちが落ち着くでしょう?

 んで、猫が天国にいってしもうてから、ふと隣を見たらですね。
 ……いたんですわ。
 なんやしらん、結婚したときにはなかったはずのぽっちゃりしたもんが、隣に。
 前回も申しましたとおり、そらもう綺麗なぷりぷりお肌のぽっちゃりしたお肉が、隣に……。

 あれですね、あとで聞いたら、結婚前はダンナなりに、色々努力してダイエットしてたって言うんですわ。
 なんやっけ、ヨーグルトダイエット?
 もう夜中、食べ物の夢しか見られへんぐらいになるまで努力したらしい。
 うわ~、泣けるわあ。

 その頃の私の仕事が、ちょっと夜遅く帰ってくるやつやったもんで、夜の十一時とかに夕食になってしもうてて。それをこの超絶さびしがりや野郎が「だって一緒にゴハン食べたいもん!」って言うので一緒に食べていたらですね。
 あら不思議。
 ほんの二年ぐらいで、みごとなぽっちゃりが出現しておりました。
 私のほうは別に体型変化などはなかったのに。
 こればっかりは、新陳代謝の差のようです。
 ダンナは「幸せ太りやから」とか胸を張ってましたけどね。
 いや、どんなに胸はっても最も出てるのはおなかやけども。

 ま、とにかく。
 無意識にそれが始まりました。

 もみもみもみ。
「きゃあ、やめて!」
 もみもみもみもみ。
「いやあ、くすぐったい!」
 もみもみもみもみもみもみ。
「やあん、●さん(私の名前)、もう許してえ!」

 もうあきません。
 ドSに火がつく、ってこのことですな。
 なにしろダンナはくすぐったがりで。接骨院とか行っても、施術の間、必死で叫び声をあげそうなのを我慢するぐらいでしたもんで。
 その反応が楽しくてどんどんもみまくっていたら、あれ、不思議なもんですね。
 人間、やっぱり慣れるらしい。

 前はわき腹とかちょっと揉むだけで「ひゃあん!」とか言ってたのが、だんだん感じなくなって平気になってきたんですね。
 こうなってくると、私はつまらん。
 無反応でされるがままって、なんかちっとも面白くない。 

「つまらん!」
「萎える!」
「ち~っとも、面白くない!」

 と叫ぶことがしばらく続いたら。
 今度は次の手が始まった。

 もみもみ。
「…………」
 五秒ぐらいしてからやっと、
「いやん、ヤメテ」

「…………」
 その時間差がもう、許せません。
「なんやねん、今の」
 私の声、地をはってると思ってください。
「え? だって反応がないと●さんすぐ『つまらん! 面白くない!』って言うやん」
「……は?」
「いや、だからちょっと反応を……」

 なんですか。
 演技ですか?
 いや、演技なら演技でもええけども。
 それならそれで、もっとちゃんとやらんかい!

 以後、私たち夫婦の間ではよくこういうやりとりが続いております。

「……いやん、あはん」
「せやから。三億五千万年前のやつは要らんっちゅうてるやん!」
「……生まれてへんし」

 あ、最後のセリフは小学生の娘のやつです。
 娘はこんな親のやりとりにすっかり慣れきっているために、そのすぐ横で平気で宿題やったり漫画かいたりしておりますんで。

 近頃の私は、だからよりきわどいところまでもみに走っているため、詳しくはここで言及できませんが。

「さ、さすがにソコはダメ! もうボクの身体、ほとんどサンクチュアリがなくなってるし! もうこんっくらい、五円玉ぐらいしか残ってへんし!」

 しまいめに涙目でそこまで言わせなくては止まれなくなってきた今日この頃の私。

 しかし、「聖域サンクチュアリ」とはこれいかに。
 まあBL書きで紛れもない腐のヨメを貰ってしまったダンナには、色々あきらめてもらうしか仕方があるまい。

 そう、イロイロとね。
 うふふふ……。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

月の綺麗な夜に終わりゆく君と

石原唯人
恋愛
ある日、十七才の春に僕は病院で色のない少女と出会う。 それは、この場所で出会わなければ一生関わる事のなかった色のない彼女とモノクロな僕の 秘密の交流。 彼女との交流によって諦観でモノクロだった僕の世界は少しずつ色づき始める。 十七歳、大人でも子どもでもないトクベツな時間。 日常の無い二人は限られて時間の中で諦めていた当たり前の青春へと手を伸ばす。 不器用な僕らの織り成す物語。

私がガチなのは内緒である

ありきた
青春
愛の強さなら誰にも負けない桜野真菜と、明るく陽気な此木萌恵。寝食を共にする幼なじみの2人による、日常系百合ラブコメです。

名称不明なこの感情を表すために必要な2万文字。

春待ち木陰
青春
 高校一年生の女の子である『私』はアルバイト先が同じだった事から同じ高校に通う別のクラスの男の子、杉本と話をするようになった。杉本は『私』の親友である加奈子に惚れているらしい。「協力してくれ」と杉本に言われた『私』は「応援ならしても良い」と答える。加奈子にはもうすでに別の恋人がいたのだ。『私』はそれを知っていながら杉本にはその事を伝えなかった。

丘の上の王様とお妃様

よしき
恋愛
木崎珠子(35才)は、大学を卒業後、帝国財閥の子会社に勤めていた、ごくごく平凡なOLだった。しかし、同じ職場の彼に二股をかけられ、職場にも居づらくなり、あげくに両親が交通事故でいっぺんに他界。結局会社を退職し、両親がやっていた喫茶店「坂の上」を引き継ごうと、地元へ帰ってくる。喫茶店の仕事は、会社務めに比べると、珠子にはなんとなくあっているようで...ご近所さんを相手にユルくやっていた。そんな珠子が地元へ戻ってから半年ほどして、喫茶店「坂の上」の隣にある、通称「お化け屋敷」と呼ばれる大豪邸に、帝国財閥の偉い人が越してくると話題になる。珠子は、「別の世界の人間」だからと、あまり意識をしていなかったのだか... 「お化け屋敷」の噂からひと月後。いつもは見ない紳士が、喫茶「坂の上」によってきて。そこから始まる現代シンデレラ物語

処理中です...