統合失調症、寛解。当事者のエッセイ

統合失調症、みた幻覚

三つの婚姻届

カーテンに浮かんだもの、それは婚姻届だった。
幻聴が言うには、
「同級生と幼馴染みがベランダに遊びに来ていて、3つの婚姻届を残して去っていった」
というのだ。

一つめは、有名人と結ばれる婚姻届、二つ目は、幼馴染みと結ばれる婚姻届、三つ目は警官と結ばれる婚姻届

ということである。

そんなことあるわけもなく、僕は幻聴を一蹴しようとした。同級生の中に有名人がいるのだろうか。

という素朴な疑問は浮かばなかった。

病院に行く日にその幻覚をみたため、帰りになっても婚姻届が気になり、医者の発言に集中できなかった。

カーテンには婚姻届はなかった。「ベランダに飛び出せば本当に結ばれていた。」と幻聴は笑った。

その日は婚姻届について思考回路が集中し、家族の話を話半分に聞いていた。

「警官と結ばれる婚姻届って何」と幻聴に聞いてみたが明確な回答は得られなかった。

その日は本当に婚姻届に集中していた。よくみてみたら婚姻届とは名ばかりの四角い映像でしかなく、僕自身婚姻届について深く考えたことがなかったからだ。