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一章 ナイナイづくしの異世界転生
4. 妖精の悪戯
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魔法の存在するこの世界には、魔獣の他に、精霊と妖精という神秘に分類される存在がいる。
気位の高い精霊と違って、妖精達は悪戯好きで、好奇心旺盛だ。
妖精が人に行う行動は、一様に《妖精のいたずら》と呼ばれている。
その中でも一番多く伝承に残っているのが、花やキノコ、そして石などで真円を描き、中に踏み込んだ者を別の場所に一方的に飛ばすというものだ。
エステラからそう説明されて、マグダリーナは心当たりしかなく、頭を抱えた。
アンソニーは父と同じく読書家だったので、妖精のいたずらの知識はあり、マグダリーナを止めようとして巻き込まれてしまったのだ。
落ち込むマグダリーナの膝の上に、エステラの肩の上からぽよよんと青っぽい輝きのスライム、ヒラが飛び乗った。
そして大人の拳程の大きさから、小型犬程の大きさに変わる。重さは殆ど感じない。
「大丈夫ぅ? ヒラのこと揉むぅ?」
可愛い上目遣いで言われては、逆らえない。
「揉む……」
スライム優しい……そう思いながら、マグダリーナは遠慮なく、スライムボディを揉んだ。
――っ、なにこれ、想像以上に気持ちいい!
ふわんと優しくマグダリーナの手を受け入れながらも、むちっと極上の弾力をもって返して来る。
つるつるすべすべでありながら肌にぺとつくこともなく、さらりと気持ちいい。
宝石のような表面の光沢は揉まれることにより、多彩な輝きと色彩の変化を見せてくる。
そしてふわんふわんと光の粒が弾ける……触感と視覚を虜にする魅惑のスライムボディだ。癒しはここにあった。
うっとりとヒラを揉むマグダリーナを、羨ましそうに見つめるアンソニーの視線に気づき、ヒラは触手のように腕(?)を出してアンソニーの所まで伸ばす。
アンソニーは恐る恐る小さな手でヒラの手に触れると、直ぐに無心に揉み出した。
「こうやってヒラのぉ、可愛さを堪能出来るからぁ、妖精のいたずらも悪いことばかりじゃぁないよぉ」
スライム優しい……
「タラもぉ、おかあさんが妖精のいたずらで、おばあちゃんと出会ったからぁ、産まれたんだよねぇ?」
タラはエステラの愛称らしい。
「おかあさんとおばあちゃんが……?」
この異世界、同性同士で子供が出来る……の???
マグダリーナの顔を見て、エステラは首を横に振った。
「私がお腹の中にいるときに、母は妖精のいたずらで、遠くの国からこの国に飛ばされて来たのです。運良く長命種の魔法使いの女性に助けられ、衣食住の面倒を見る交換条件として、私は母のお腹にいる時から魔法使いの弟子になりました」
「お腹の中にいた時から弟子入りなんて可能なの?!」
エステラは少し遠くを見るような顔をして、それから頷いた。
「色々規格外な人でしたから」
マグダリーナは重要なことに気づいて、顔を上げた。
「それじゃあ、教会に金貨を払わなくても魔法が使えるようになるの?!」
「はい、魔法は師が優秀だと、教会に一エルも支払う必要はありません」
「いちエル……」
満足してヒラの手を離したアンソニーが、そっと教えてくれる。
「お姉さまは令嬢なので誰もお教えしてないと思いますが、お金の単位です」
それが聞こえて、エステラも目を瞬かせる。
「えっと、私は平民だから、貴族の教育について知らないのですけど、女の子はお金の事を教えてもらえないの……ですか?」
マグダリーナは頷いた。
「令嬢のうちは、お金のことを口にするのは、はしたない事だと言われています」
「そうだとしても、何も知らなかったら大人になってから苦労しちゃうわ……これは村長様や領主様に預けておく場合じゃないわね……マグダリーナさん、アンソニーさん、ご不便でしょうが村にいる間は、私の家で過ごしませんか? 昨年師匠と母が亡くなって、私の保護者になってくれた師匠の甥と二人で暮らしてます。彼も長命種で長く生きているので、世情には私より詳しいです。色々お教えできることがあるかも知れません。アッ、ご安心を! ご令嬢に手を出すようなこともしません。既に私が彼の身体を全身脱毛したので!」
「は?」
「どこもかしこもツルッツルです! ムダ毛は一つもありません! VIOまで完璧に仕上げたんです!! でもまだ世間では受け入れられないみたいで……」
(待って、それいらない情報ぅぅ!!!)
これからしばらく顔を合わせるその人を見るたびに、あ、この人、生えてないんだ。って思ってしまう。
……思ってしまうよ! 気まずい。
「あの……」
アンソニーが、こてんと首を傾げて聞いた。
「脱毛って、身体の毛を無くす事ですか? お父さまの腕の毛みたいな? 何でそんなことをされたんですか? それにぶいあいおーとは何ですか?」
エステラも真剣な顔をした。
「大人の女性の身だしなみの一つに、体毛の処理があります。一般的なのは刃物や薬での処理ですが、それでは肌を痛めてしまうので、より安全で確実、そしてより美しい仕上がりの魔法を私は開発しました。彼はその魔法の効果を確認するのに、貢献してくれたのです。あ、VIOは生殖器周辺の毛が生える範囲のことです。アンソニーさんは生殖器ってわかりますか? まだご存知なかったら、大人になるにつれ理解できると思いますので、自然に任せてください」
(ちょ……っ、天使の顔でなんてこと言うの?!)
あれ? 異世界でもVIOなんて言うの?
マグダリーナがそう考えていると、エステラの綺麗な顔が近付いて、そっとマグダリーナに囁いた。
「マグダリーナさん、この世界には、天使、という概念はありません」
マグダリーナはハッとしてエステラを見た。
気位の高い精霊と違って、妖精達は悪戯好きで、好奇心旺盛だ。
妖精が人に行う行動は、一様に《妖精のいたずら》と呼ばれている。
その中でも一番多く伝承に残っているのが、花やキノコ、そして石などで真円を描き、中に踏み込んだ者を別の場所に一方的に飛ばすというものだ。
エステラからそう説明されて、マグダリーナは心当たりしかなく、頭を抱えた。
アンソニーは父と同じく読書家だったので、妖精のいたずらの知識はあり、マグダリーナを止めようとして巻き込まれてしまったのだ。
落ち込むマグダリーナの膝の上に、エステラの肩の上からぽよよんと青っぽい輝きのスライム、ヒラが飛び乗った。
そして大人の拳程の大きさから、小型犬程の大きさに変わる。重さは殆ど感じない。
「大丈夫ぅ? ヒラのこと揉むぅ?」
可愛い上目遣いで言われては、逆らえない。
「揉む……」
スライム優しい……そう思いながら、マグダリーナは遠慮なく、スライムボディを揉んだ。
――っ、なにこれ、想像以上に気持ちいい!
ふわんと優しくマグダリーナの手を受け入れながらも、むちっと極上の弾力をもって返して来る。
つるつるすべすべでありながら肌にぺとつくこともなく、さらりと気持ちいい。
宝石のような表面の光沢は揉まれることにより、多彩な輝きと色彩の変化を見せてくる。
そしてふわんふわんと光の粒が弾ける……触感と視覚を虜にする魅惑のスライムボディだ。癒しはここにあった。
うっとりとヒラを揉むマグダリーナを、羨ましそうに見つめるアンソニーの視線に気づき、ヒラは触手のように腕(?)を出してアンソニーの所まで伸ばす。
アンソニーは恐る恐る小さな手でヒラの手に触れると、直ぐに無心に揉み出した。
「こうやってヒラのぉ、可愛さを堪能出来るからぁ、妖精のいたずらも悪いことばかりじゃぁないよぉ」
スライム優しい……
「タラもぉ、おかあさんが妖精のいたずらで、おばあちゃんと出会ったからぁ、産まれたんだよねぇ?」
タラはエステラの愛称らしい。
「おかあさんとおばあちゃんが……?」
この異世界、同性同士で子供が出来る……の???
マグダリーナの顔を見て、エステラは首を横に振った。
「私がお腹の中にいるときに、母は妖精のいたずらで、遠くの国からこの国に飛ばされて来たのです。運良く長命種の魔法使いの女性に助けられ、衣食住の面倒を見る交換条件として、私は母のお腹にいる時から魔法使いの弟子になりました」
「お腹の中にいた時から弟子入りなんて可能なの?!」
エステラは少し遠くを見るような顔をして、それから頷いた。
「色々規格外な人でしたから」
マグダリーナは重要なことに気づいて、顔を上げた。
「それじゃあ、教会に金貨を払わなくても魔法が使えるようになるの?!」
「はい、魔法は師が優秀だと、教会に一エルも支払う必要はありません」
「いちエル……」
満足してヒラの手を離したアンソニーが、そっと教えてくれる。
「お姉さまは令嬢なので誰もお教えしてないと思いますが、お金の単位です」
それが聞こえて、エステラも目を瞬かせる。
「えっと、私は平民だから、貴族の教育について知らないのですけど、女の子はお金の事を教えてもらえないの……ですか?」
マグダリーナは頷いた。
「令嬢のうちは、お金のことを口にするのは、はしたない事だと言われています」
「そうだとしても、何も知らなかったら大人になってから苦労しちゃうわ……これは村長様や領主様に預けておく場合じゃないわね……マグダリーナさん、アンソニーさん、ご不便でしょうが村にいる間は、私の家で過ごしませんか? 昨年師匠と母が亡くなって、私の保護者になってくれた師匠の甥と二人で暮らしてます。彼も長命種で長く生きているので、世情には私より詳しいです。色々お教えできることがあるかも知れません。アッ、ご安心を! ご令嬢に手を出すようなこともしません。既に私が彼の身体を全身脱毛したので!」
「は?」
「どこもかしこもツルッツルです! ムダ毛は一つもありません! VIOまで完璧に仕上げたんです!! でもまだ世間では受け入れられないみたいで……」
(待って、それいらない情報ぅぅ!!!)
これからしばらく顔を合わせるその人を見るたびに、あ、この人、生えてないんだ。って思ってしまう。
……思ってしまうよ! 気まずい。
「あの……」
アンソニーが、こてんと首を傾げて聞いた。
「脱毛って、身体の毛を無くす事ですか? お父さまの腕の毛みたいな? 何でそんなことをされたんですか? それにぶいあいおーとは何ですか?」
エステラも真剣な顔をした。
「大人の女性の身だしなみの一つに、体毛の処理があります。一般的なのは刃物や薬での処理ですが、それでは肌を痛めてしまうので、より安全で確実、そしてより美しい仕上がりの魔法を私は開発しました。彼はその魔法の効果を確認するのに、貢献してくれたのです。あ、VIOは生殖器周辺の毛が生える範囲のことです。アンソニーさんは生殖器ってわかりますか? まだご存知なかったら、大人になるにつれ理解できると思いますので、自然に任せてください」
(ちょ……っ、天使の顔でなんてこと言うの?!)
あれ? 異世界でもVIOなんて言うの?
マグダリーナがそう考えていると、エステラの綺麗な顔が近付いて、そっとマグダリーナに囁いた。
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マグダリーナはハッとしてエステラを見た。
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