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三章 女神教
41. は?????????
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「あら、ショウネシー子爵家ってとっても貧乏なんでしょう? だから教会に連れて行ってもらえなかったんですの?」
レベッカが可愛いらしく首を傾げる。
言ってる事は、全く可愛くなかったが。
教室が爆笑に包まれ、マグダリーナは広角を上げた。
(いま笑ってるやつらに、絶対負けてなんかやらないわ!)
「こら、品のない事を言うな! ショウネシーは魔力暴走の後遺症で魔法が使えなくなったんだ。笑ったやつも王国貴族として恥ずかしいと思いなさい!!」
アーロン先生が怒鳴りつけて、教室にまた静かさが戻った。
レベッカに睨みつけられたが、知ったこっちゃない。
アーロン先生が、明日はまずテストがあると言いながら時間割を配る。
テストの結果飛び級出来る授業もあるとのこと。
「アーロン先生、学年も飛び級出来ますか?」
ライアンがマグダリーナの知りたかったことを聞いてくれる。彼はヴェリタスより年上だから、飛び級を狙ってるのかも知れない。
「芸術と体育とダンス以外の全教科で合格証を貰えれば学年の飛び級も可能です」
必ず飛び級してやるともと、固く誓った入学初日だった。
この日はどの学年も午前で終わり、貰った時間割を鞄にしまって、帰る準備をする。
エステラが作ってくれた収納魔法付き鞄は、手提げにも肩掛けにも出来る、ヴェリタスとお揃いの鞄だった。
もっともヴェリタスの鞄には、オプションで茶マゴーをセットするポケットがついていたが。
「マグダリーナ・ショウネシー、少しいいか?」
帰ろうと思ったら、声をかけたれた。
第二王子からだった。
「何かご用でしょうか?」
「うむ、お前は上手く父上に目をかけられてるようだが、俺は魔法も使えぬお前と婚約する気など一切ない! これからはその事をわきまえて行動しろ」
(は?????)
(は???????)
(は?????????)
(婚約とか言った? 何にも聞いてないんだけど、まさかよね? ありえないわよね!)
「……一体? 何のことでしょう?? よく分かりませんが、うちは子爵家ですし、普通にあり得ないお話かと?」
「一応はわきまえているようだな。だが俺は強いやつしか興味がない」
「はあ……ではこの会話のお時間は、これ以上はお互い無駄ですわね。お先に失礼します」
向こうが何か言う前に、マグダリーナは早足でその場を去った。
急いでショウネシー家のコッコ車に乗り込み、先に中でくつろいで薄い冊子を読んでいるダーモットに話しかけた。
冊子は冊子状なので書類にカウントされず、ダーモットの妖精のいたずらで、無残な姿になることはなかった。
「お父さま、第二王子様から信じられない事を、耳にしました」
「何だい?」
「私に第二王子様と婚約のお話があるとか?」
ダーモットは冊子から顔を上げ、娘の顔を見た。
「一応まだ、私のところに届いてない話しだね」
「一応……?」
ダーモットは読んでいた二冊の冊子を、マグダリーナに見せた。
陛下からの宿題で、提出したものだ。
「リーナは、やれば出来る子だと知っていたけど、これは予想以上によく出来てる。頑張ったね」
突然褒められて、マグダリーナは鼻白んだ。
「私一人の力ではありません。一冊はエステラに任せたものですし、シャロン伯母様も手伝って下さいました」
「それでも、こちらの文章を作成したのはリーナだ。とても読みやすく、読んだものが理解しやすい工夫がされている。もちろん内容もかなり具体的で実現性がある」
多分それは前世の事務スキルのお陰だろう。マグダリーナは社内資料作成の要領で書いていたのだから。
「まあ、だからね……セドリックはかなりリーナを気に入っちゃったんだな。私としては男爵位に陞爵くらいを狙ってたんだけどなぁ」
最後はポツリと、ダーモットは言う。
父が陛下の話を聞かない素振りをしてたのは、そういうことだったのか。
ダーモットはダーモットなりに傷物になった娘の将来を心配して爵位を上げようとしていたのだ。
が。
「第二王子がそう言ってたんだったら、そのうち正式な打診がくるはずだよ」
「断れますよね?」
「陛下がくれるって言うなら、とりあえず貰っておけばいいんじゃないかなぁ」
「なんですか、それ」
「第一王子に何かない限り、王位なんてそうそう回ってくるもんじゃないからね。与えられる領地も、都合よく空いてる訳じゃないしさ。となると第二王子の将来は、それなりの爵位だけ貰って王都に邸宅を建てて暮らすか、妻の実家にお世話になる事になる。セドは後者を狙ってるんだよ」
「うちの領に王族置いて、監視したい的な?」
「それもあるだろうけど、今回の功績の褒美の意味もあるんじゃないかな。栄誉的なあれで」
マグダリーナは頭を抱えた。
つい最近、第一王子に何かあったではないか。
それに褒美なら、もっと他のものがいい。
「それなら、トニーのお嫁さんに王女をいただいた方がいいじゃないですか?」
「王女は大抵、他国の王族に嫁がされるね。まあ今は三人もいるし、一人くらいは国に残しておく可能性もあるけど、その場合はお相手は上位貴族かな」
「王子のお相手も上位貴族でしょう?!」
「まあ普通はそうなんだけどねぇ」
「だいたい、第二王子と婚約して、我が家と領の得になることってありますか?」
「リーナが公爵夫人になれるかも知れないってことかな」
「そんな大層な身分はいりません!」
「じゃあ打診が来たときは、断っておくよ」
「お願いします」
今日の半日でどっと疲れた。
マグダリーナは昼食後に、明日のテスト勉強をしようと思ったが、どうにも集中出来なかった。
外からコッコの声も聞こえるし、気になって見にいくと、アンソニーとグレイが冒険者の格好でコッコ(オス)に鞍をつけている。
「どこかに討伐に行くの?」
「あっ、お姉さま! 熊を狩ってきます」
「熊ってまさか、四つ手熊?!」
「はい! あれを単独討伐してDランクになれるよう、まず修業をつけて貰ってきます!」
「誰に?」
「熊にです! あ、ちゃんとアーベル師匠にも同行してもらいますから」
アーベル・ブートキャンプだった……
「あれ? リーナも行くの? 明日のテスト勉強はいいの?」
エステラがアーベルとヴェリタスと一緒に、ササミ(オス)に乗ってやってきた。
どうやら明日のテストを気遣って、マグダリーナは誘われなかったらしい。
そもそも誘われても微妙だが、誘われたら行く。
やっぱり心配だからね。
「色々ありすぎて、勉強が手につかないから、一緒に行くわ」
レベッカが可愛いらしく首を傾げる。
言ってる事は、全く可愛くなかったが。
教室が爆笑に包まれ、マグダリーナは広角を上げた。
(いま笑ってるやつらに、絶対負けてなんかやらないわ!)
「こら、品のない事を言うな! ショウネシーは魔力暴走の後遺症で魔法が使えなくなったんだ。笑ったやつも王国貴族として恥ずかしいと思いなさい!!」
アーロン先生が怒鳴りつけて、教室にまた静かさが戻った。
レベッカに睨みつけられたが、知ったこっちゃない。
アーロン先生が、明日はまずテストがあると言いながら時間割を配る。
テストの結果飛び級出来る授業もあるとのこと。
「アーロン先生、学年も飛び級出来ますか?」
ライアンがマグダリーナの知りたかったことを聞いてくれる。彼はヴェリタスより年上だから、飛び級を狙ってるのかも知れない。
「芸術と体育とダンス以外の全教科で合格証を貰えれば学年の飛び級も可能です」
必ず飛び級してやるともと、固く誓った入学初日だった。
この日はどの学年も午前で終わり、貰った時間割を鞄にしまって、帰る準備をする。
エステラが作ってくれた収納魔法付き鞄は、手提げにも肩掛けにも出来る、ヴェリタスとお揃いの鞄だった。
もっともヴェリタスの鞄には、オプションで茶マゴーをセットするポケットがついていたが。
「マグダリーナ・ショウネシー、少しいいか?」
帰ろうと思ったら、声をかけたれた。
第二王子からだった。
「何かご用でしょうか?」
「うむ、お前は上手く父上に目をかけられてるようだが、俺は魔法も使えぬお前と婚約する気など一切ない! これからはその事をわきまえて行動しろ」
(は?????)
(は???????)
(は?????????)
(婚約とか言った? 何にも聞いてないんだけど、まさかよね? ありえないわよね!)
「……一体? 何のことでしょう?? よく分かりませんが、うちは子爵家ですし、普通にあり得ないお話かと?」
「一応はわきまえているようだな。だが俺は強いやつしか興味がない」
「はあ……ではこの会話のお時間は、これ以上はお互い無駄ですわね。お先に失礼します」
向こうが何か言う前に、マグダリーナは早足でその場を去った。
急いでショウネシー家のコッコ車に乗り込み、先に中でくつろいで薄い冊子を読んでいるダーモットに話しかけた。
冊子は冊子状なので書類にカウントされず、ダーモットの妖精のいたずらで、無残な姿になることはなかった。
「お父さま、第二王子様から信じられない事を、耳にしました」
「何だい?」
「私に第二王子様と婚約のお話があるとか?」
ダーモットは冊子から顔を上げ、娘の顔を見た。
「一応まだ、私のところに届いてない話しだね」
「一応……?」
ダーモットは読んでいた二冊の冊子を、マグダリーナに見せた。
陛下からの宿題で、提出したものだ。
「リーナは、やれば出来る子だと知っていたけど、これは予想以上によく出来てる。頑張ったね」
突然褒められて、マグダリーナは鼻白んだ。
「私一人の力ではありません。一冊はエステラに任せたものですし、シャロン伯母様も手伝って下さいました」
「それでも、こちらの文章を作成したのはリーナだ。とても読みやすく、読んだものが理解しやすい工夫がされている。もちろん内容もかなり具体的で実現性がある」
多分それは前世の事務スキルのお陰だろう。マグダリーナは社内資料作成の要領で書いていたのだから。
「まあ、だからね……セドリックはかなりリーナを気に入っちゃったんだな。私としては男爵位に陞爵くらいを狙ってたんだけどなぁ」
最後はポツリと、ダーモットは言う。
父が陛下の話を聞かない素振りをしてたのは、そういうことだったのか。
ダーモットはダーモットなりに傷物になった娘の将来を心配して爵位を上げようとしていたのだ。
が。
「第二王子がそう言ってたんだったら、そのうち正式な打診がくるはずだよ」
「断れますよね?」
「陛下がくれるって言うなら、とりあえず貰っておけばいいんじゃないかなぁ」
「なんですか、それ」
「第一王子に何かない限り、王位なんてそうそう回ってくるもんじゃないからね。与えられる領地も、都合よく空いてる訳じゃないしさ。となると第二王子の将来は、それなりの爵位だけ貰って王都に邸宅を建てて暮らすか、妻の実家にお世話になる事になる。セドは後者を狙ってるんだよ」
「うちの領に王族置いて、監視したい的な?」
「それもあるだろうけど、今回の功績の褒美の意味もあるんじゃないかな。栄誉的なあれで」
マグダリーナは頭を抱えた。
つい最近、第一王子に何かあったではないか。
それに褒美なら、もっと他のものがいい。
「それなら、トニーのお嫁さんに王女をいただいた方がいいじゃないですか?」
「王女は大抵、他国の王族に嫁がされるね。まあ今は三人もいるし、一人くらいは国に残しておく可能性もあるけど、その場合はお相手は上位貴族かな」
「王子のお相手も上位貴族でしょう?!」
「まあ普通はそうなんだけどねぇ」
「だいたい、第二王子と婚約して、我が家と領の得になることってありますか?」
「リーナが公爵夫人になれるかも知れないってことかな」
「そんな大層な身分はいりません!」
「じゃあ打診が来たときは、断っておくよ」
「お願いします」
今日の半日でどっと疲れた。
マグダリーナは昼食後に、明日のテスト勉強をしようと思ったが、どうにも集中出来なかった。
外からコッコの声も聞こえるし、気になって見にいくと、アンソニーとグレイが冒険者の格好でコッコ(オス)に鞍をつけている。
「どこかに討伐に行くの?」
「あっ、お姉さま! 熊を狩ってきます」
「熊ってまさか、四つ手熊?!」
「はい! あれを単独討伐してDランクになれるよう、まず修業をつけて貰ってきます!」
「誰に?」
「熊にです! あ、ちゃんとアーベル師匠にも同行してもらいますから」
アーベル・ブートキャンプだった……
「あれ? リーナも行くの? 明日のテスト勉強はいいの?」
エステラがアーベルとヴェリタスと一緒に、ササミ(オス)に乗ってやってきた。
どうやら明日のテストを気遣って、マグダリーナは誘われなかったらしい。
そもそも誘われても微妙だが、誘われたら行く。
やっぱり心配だからね。
「色々ありすぎて、勉強が手につかないから、一緒に行くわ」
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