2 / 6
02.またしてもお嬢様
しおりを挟む
森に放り出されたら、速攻降ろされたばかりの馬車にへばりついてUターンしようと目論んでいたけれど。
お腹が減ってへろへろで、ぼーっと見送る事しかできなかった。
ところで、 魔物の姿は千差万別。人に近い容姿だったり、獣だったり植物のようだったり。
わたしを最初に見つけたのが、人に近い彼女じゃなければ、出会い頭に齧られていただろう。
まず、これが生存に必須の第一条件だったと思われる。
「見て見て~可愛いでしょう!お姫様みたーい!」
荷物をまとめる間もなく馬車に詰め込まれて、丸二日監禁状態で魔物の住む森のどこかで降ろされた私。
世界がモノクロになったような、木も葉も草も黒い、黒の森。
呆然と360度見まわして、正面に顔を戻したときには既に彼女は目の前に居た。
一瞬で小脇に抱えられ、気付いた時には上品な淡いピンクで統一された豪華な部屋の中だった。
「この毛、凄いわね変わってるわ~まるで服を着ているみたい!つるつるでひらひらだから、体毛じゃないわよね、葉っぱかな。マンドレイクの子供かしら?」
お嬢様が10歳の時に着ていたというドレスは、14のクセに140㎝ちょっとしかない私にピッタリだ。
魔物から見てお姫様のようならば、もし出会っていればドラゴンも騙せたかもしれない。
お嬢様情報が正しければ、の話だけど。
「お嬢、また拾ってきたんですか?」
「最近多いのよねー育児放棄。捨てるぐらいなら、産まなきゃいいのに。キモチイイ事がしたいなら、お腹にいる間出来ないわけだし、ホント意味分かんない」
どうやら私は、魔物の子供だと思われているらしい。まぁこのお嬢、2m近くあるから私なんて子供サイズなんだろうなぁ。
ちなみにお嬢も、執事ポジションみたいな男も、服は着ている。
でも何故か私の服は服だと認識されてないっぽい…魔物の基準は良く分からないけど。
「あなた、お名前は?」
すいませんけど。脇の下を支えられて、激しく上下に高い高いされてるとね、首がくがくで話せないですわ。
「まだお話できないのね、いいわ。体がまるでフリルのようだから、リルちゃんにしましょう」
まさかの、ほぼ本名!さすが魔物、なんか…すごい。
「それにしても、まるで羽のように軽いわ…すぐに食事にしましょう」
「何をご用意致しましょう」
「お水?ミルク?はちみつ?…お父様は血がお好きよね」
私をベッド…いや違う、これソファーか。ソファーにおろして、二人で相談しながら部屋を出て行った。
改めて、周囲を観察する。広々とした部屋には、上品な淡いピンクで統一された調度品。
ベルベットのような手触りのいいソファーは、降りてみると私の胸ぐらいの高さだった。全体的にサイズ感がおかしい。
さて、今のところ魔物だと思われてて安全だし、まだ逃げなくてもいいかな?
逃げたところで森を抜けられるのかって話だけどね。
「わんわんっ」
犬も飼ってるのか。近くで鳴き声が聞こえる。
「わん!」
「うわっ!?」
急に飛び掛かって来たのは、犬みたいな耳としっぽが生えた小さな男の子。よちよち歩きの2歳ぐらい?
大きな釣り目がキリっとしてて、日に焼けたような肌と銀の髪をしている。裸でころころ転がっているけれど、魔物はすっぱだかがデフォルトなのかしら。
寒くない?オムツもしてないけど大丈夫?
「あらリオ起きたのね。その子はリルよ、仲良くしてあげてね」
戻ってくるの早っ!
っていうかこの、リオくん?ぐらいの大きさの生肉抱えてるのが気になるんですけど…。
「きゅーーん!」
あ、この子のご飯か。ワイルドぉ…。勢いよく齧り付き、血が滴り、飛び散る。
肉っていうか皮を剥いだだけの生き物。内臓処理もしてない…あぁグロ…無理ぃ…!
見ていられなくて、近くに寄れなくて。ソファーの陰に隠れて震える。
「まぁリルちゃん、もう歩けたの?こっちまで来れるかしら?あんよが上手ね~。お肉は苦手なのかしら」
血みどろ事件現場を避けて、よろよろとお嬢と呼ばれる魔物に近づく。
魔物なんだろうけど今の所この人が一番友好的で安全そうだわ…見た目も人で安心感があるし。
うん、ちょっと巨人なだけで!
「どう?いっぱい持ってきてみたけど…どれか食べられそうかしら?」
いつの間にか執事(仮)さんが、テーブルの上にコップや瓶をたくさん並べていた。
もちろん、私じゃ立っていてもテーブルの上は見えない。ので、再びお嬢に抱えられている。
また脇の下で支えられているので、猫扱いな気がしてきた。
「……ん」
下手に話せることがバレると、魔物の子供という認識が壊れそうなので、あえて言葉にはしない。
青赤黄色緑色。様々な色の謎の液体の中から、話にも出ていたので恐らくミルクであろう白いものを指さす。
「どうやって飲むのかしら。お口から?お手々から?お父様は…棘から吸うわよね」
「お嬢、口をぱくぱくしていますよ」
「それなら私に近いわね、ケーキも好きかしら?うふふ、はーいちゅうちゅう」
ミルクが入ったカップに、ストローをさしてくれた。ちゅーちゅー。
これで喉の渇きは潤ったけど、腹減り具合はどうにもならない。
どうにかしてケーキにもありつけないかな…いや、そんな甘い物じゃなくてガッツリ肉とか食べたいんだけどね。
生肉は絶対無理だけど!
お腹が減ってへろへろで、ぼーっと見送る事しかできなかった。
ところで、 魔物の姿は千差万別。人に近い容姿だったり、獣だったり植物のようだったり。
わたしを最初に見つけたのが、人に近い彼女じゃなければ、出会い頭に齧られていただろう。
まず、これが生存に必須の第一条件だったと思われる。
「見て見て~可愛いでしょう!お姫様みたーい!」
荷物をまとめる間もなく馬車に詰め込まれて、丸二日監禁状態で魔物の住む森のどこかで降ろされた私。
世界がモノクロになったような、木も葉も草も黒い、黒の森。
呆然と360度見まわして、正面に顔を戻したときには既に彼女は目の前に居た。
一瞬で小脇に抱えられ、気付いた時には上品な淡いピンクで統一された豪華な部屋の中だった。
「この毛、凄いわね変わってるわ~まるで服を着ているみたい!つるつるでひらひらだから、体毛じゃないわよね、葉っぱかな。マンドレイクの子供かしら?」
お嬢様が10歳の時に着ていたというドレスは、14のクセに140㎝ちょっとしかない私にピッタリだ。
魔物から見てお姫様のようならば、もし出会っていればドラゴンも騙せたかもしれない。
お嬢様情報が正しければ、の話だけど。
「お嬢、また拾ってきたんですか?」
「最近多いのよねー育児放棄。捨てるぐらいなら、産まなきゃいいのに。キモチイイ事がしたいなら、お腹にいる間出来ないわけだし、ホント意味分かんない」
どうやら私は、魔物の子供だと思われているらしい。まぁこのお嬢、2m近くあるから私なんて子供サイズなんだろうなぁ。
ちなみにお嬢も、執事ポジションみたいな男も、服は着ている。
でも何故か私の服は服だと認識されてないっぽい…魔物の基準は良く分からないけど。
「あなた、お名前は?」
すいませんけど。脇の下を支えられて、激しく上下に高い高いされてるとね、首がくがくで話せないですわ。
「まだお話できないのね、いいわ。体がまるでフリルのようだから、リルちゃんにしましょう」
まさかの、ほぼ本名!さすが魔物、なんか…すごい。
「それにしても、まるで羽のように軽いわ…すぐに食事にしましょう」
「何をご用意致しましょう」
「お水?ミルク?はちみつ?…お父様は血がお好きよね」
私をベッド…いや違う、これソファーか。ソファーにおろして、二人で相談しながら部屋を出て行った。
改めて、周囲を観察する。広々とした部屋には、上品な淡いピンクで統一された調度品。
ベルベットのような手触りのいいソファーは、降りてみると私の胸ぐらいの高さだった。全体的にサイズ感がおかしい。
さて、今のところ魔物だと思われてて安全だし、まだ逃げなくてもいいかな?
逃げたところで森を抜けられるのかって話だけどね。
「わんわんっ」
犬も飼ってるのか。近くで鳴き声が聞こえる。
「わん!」
「うわっ!?」
急に飛び掛かって来たのは、犬みたいな耳としっぽが生えた小さな男の子。よちよち歩きの2歳ぐらい?
大きな釣り目がキリっとしてて、日に焼けたような肌と銀の髪をしている。裸でころころ転がっているけれど、魔物はすっぱだかがデフォルトなのかしら。
寒くない?オムツもしてないけど大丈夫?
「あらリオ起きたのね。その子はリルよ、仲良くしてあげてね」
戻ってくるの早っ!
っていうかこの、リオくん?ぐらいの大きさの生肉抱えてるのが気になるんですけど…。
「きゅーーん!」
あ、この子のご飯か。ワイルドぉ…。勢いよく齧り付き、血が滴り、飛び散る。
肉っていうか皮を剥いだだけの生き物。内臓処理もしてない…あぁグロ…無理ぃ…!
見ていられなくて、近くに寄れなくて。ソファーの陰に隠れて震える。
「まぁリルちゃん、もう歩けたの?こっちまで来れるかしら?あんよが上手ね~。お肉は苦手なのかしら」
血みどろ事件現場を避けて、よろよろとお嬢と呼ばれる魔物に近づく。
魔物なんだろうけど今の所この人が一番友好的で安全そうだわ…見た目も人で安心感があるし。
うん、ちょっと巨人なだけで!
「どう?いっぱい持ってきてみたけど…どれか食べられそうかしら?」
いつの間にか執事(仮)さんが、テーブルの上にコップや瓶をたくさん並べていた。
もちろん、私じゃ立っていてもテーブルの上は見えない。ので、再びお嬢に抱えられている。
また脇の下で支えられているので、猫扱いな気がしてきた。
「……ん」
下手に話せることがバレると、魔物の子供という認識が壊れそうなので、あえて言葉にはしない。
青赤黄色緑色。様々な色の謎の液体の中から、話にも出ていたので恐らくミルクであろう白いものを指さす。
「どうやって飲むのかしら。お口から?お手々から?お父様は…棘から吸うわよね」
「お嬢、口をぱくぱくしていますよ」
「それなら私に近いわね、ケーキも好きかしら?うふふ、はーいちゅうちゅう」
ミルクが入ったカップに、ストローをさしてくれた。ちゅーちゅー。
これで喉の渇きは潤ったけど、腹減り具合はどうにもならない。
どうにかしてケーキにもありつけないかな…いや、そんな甘い物じゃなくてガッツリ肉とか食べたいんだけどね。
生肉は絶対無理だけど!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
黒騎士団の娼婦
星森 永羽
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる