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空高く、天を仰ぐ
第42話 霧が澄み、光も留めて邁進す
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「奈穂さん!一旦話をしよう、それからでも遅くはないだろう?」
「...済まないが聞き入れられない。坂下の伝言だが、一つ気になった点がある。『何故、直接私に連絡をしなかったのだろう』とね。そこで、一つ思い浮かんだ。貴方がそちら側についているんじゃないかってね。」
【霞城流 煌々流転】
霞城流の基本刀術その参、煌々流転。聖夜前災の時に車を両断したその技は、刀の鍔のあたりを軸に縦に回転をかけることで振り下ろしに指数関数的な威力を増加する。車ですら両断するその威力、人に当たりでもすればただじゃすまない。そんな攻撃が光に向かってうち込まれようとする。
私を含めた誰もがその攻撃に割り込めず、コンマ数秒で接触しようとした瞬間ガンッと金属がぶつかる音がする。
「僕の試作品の中でも結構な強度があるんだが、なんという馬鹿力なんだ!」
【細胞機械 試作品 4号】
伶が黒い機械群が纏わりついている右腕で奈穂さんの一撃を耐え、光を守る。
伶の発明品である細胞機械は電気信号を介して様々な恩恵を使用者にもたらす機械だ。試作品の中でも4号は防御力に特化させ使用者の負傷を対策するために作っていたものみたいだが、あの奈穂さんの一撃を受け止めることができるというのは予想外ではあった。
だが、おかげで一瞬の隙ができた。本当は荷物を運ぶために用意していたドローンを付近まで飛ばすことができた。あとは、ドローンでどうやって回収するかだ。
「邪魔をするな。」
今までで聞いたことのないほど低い声が奈穂さんの口から漏れ出る。
【霞城流 木霊討】
【細胞機械 試作品 6号】
奈穂さんは、一瞬刀を引きそして素早く突き出す。それに対して伶の左の袖の中から黒い触手のようなものが左腕に巻き付くように出現し、奈穂さんの刀の先と激突する。金属同士がぶつかり合い、火花が飛び散る。
しかし、これは好都合だ。ドローンを私と伶以外の全員の上に移動させる。そして、底からロープを開放し、それぞれの体に巻き付かせる。
「逃がすかっ!」
「させるわけないだろ!」
【霞城流 旋遁破】
【細胞機械 試作品 6号】
「サンキュー伶ちゃん!」
全員に巻き付いたのを確認できた瞬間に、上空へと飛ばす。光は波留にしっかりとしがみついていたようで一緒に飛んで行った。このまま自動飛行で私の倉庫に移動するだろう。
「さて、奈穂さん。ちゃんと話を聞いてください。」
「あの存在に手を差し伸べるなんて、あなた、気でも狂ったんじゃないのかしら。」
「そんなわけないでしょ。少なくともあれは聖夜前災とは違う。刺激をしたらあの時以上の大事件が起こる可能性だってある。」
「だからって、アレを野放しにする方が危険じゃないかしら。」
「少なくとも彼らと行動を共にしているときは安定している。崩壊を早めさせる気なのか?」
「そんなわけ無いでしょ。あなたも同じ死地を潜ったでしょう、あの怪物の災いを。」
「もちろん、忘れるわけがないさ。だが、今は互いに冷静になろう。私たちが成長したのと共に、アレも変化している。それを理解できていないわけではないだろう?」
「もちろん理解はしている。だが、理解だけがすべてではないのは君も分かっているだろう。」
私と奈穂さんが互いに一歩も引かない水掛け論をする。無意味、だが、時間稼ぎと考えれば無意味であるとは言い切れないだろう。しかし、奈穂さんの言いたいことも分かる。実際、光を野放しにすることは多少なりとも危険性が存在するということを理解はしている。だがそれでも、何か変化が起こるのではないかという期待が上回る。やはりこれが、科学者の性というものだろうか。
私たちが睨み合い、一触即発の空気が場を支配していたその場に、数人の人影が山道の階段から現れる。その人影に見覚えがあった。
「燈樫に、凩...君...。それと...」
そこには私の友人である小熊燈樫と、過去の聖夜前災で共闘した凩和葉。そして、もう一人。
「鴻...凰。」
海上研究要塞メルクリウス跡地にて出会った鴻と言う人物と再び出会うこととなったのだった。
「...済まないが聞き入れられない。坂下の伝言だが、一つ気になった点がある。『何故、直接私に連絡をしなかったのだろう』とね。そこで、一つ思い浮かんだ。貴方がそちら側についているんじゃないかってね。」
【霞城流 煌々流転】
霞城流の基本刀術その参、煌々流転。聖夜前災の時に車を両断したその技は、刀の鍔のあたりを軸に縦に回転をかけることで振り下ろしに指数関数的な威力を増加する。車ですら両断するその威力、人に当たりでもすればただじゃすまない。そんな攻撃が光に向かってうち込まれようとする。
私を含めた誰もがその攻撃に割り込めず、コンマ数秒で接触しようとした瞬間ガンッと金属がぶつかる音がする。
「僕の試作品の中でも結構な強度があるんだが、なんという馬鹿力なんだ!」
【細胞機械 試作品 4号】
伶が黒い機械群が纏わりついている右腕で奈穂さんの一撃を耐え、光を守る。
伶の発明品である細胞機械は電気信号を介して様々な恩恵を使用者にもたらす機械だ。試作品の中でも4号は防御力に特化させ使用者の負傷を対策するために作っていたものみたいだが、あの奈穂さんの一撃を受け止めることができるというのは予想外ではあった。
だが、おかげで一瞬の隙ができた。本当は荷物を運ぶために用意していたドローンを付近まで飛ばすことができた。あとは、ドローンでどうやって回収するかだ。
「邪魔をするな。」
今までで聞いたことのないほど低い声が奈穂さんの口から漏れ出る。
【霞城流 木霊討】
【細胞機械 試作品 6号】
奈穂さんは、一瞬刀を引きそして素早く突き出す。それに対して伶の左の袖の中から黒い触手のようなものが左腕に巻き付くように出現し、奈穂さんの刀の先と激突する。金属同士がぶつかり合い、火花が飛び散る。
しかし、これは好都合だ。ドローンを私と伶以外の全員の上に移動させる。そして、底からロープを開放し、それぞれの体に巻き付かせる。
「逃がすかっ!」
「させるわけないだろ!」
【霞城流 旋遁破】
【細胞機械 試作品 6号】
「サンキュー伶ちゃん!」
全員に巻き付いたのを確認できた瞬間に、上空へと飛ばす。光は波留にしっかりとしがみついていたようで一緒に飛んで行った。このまま自動飛行で私の倉庫に移動するだろう。
「さて、奈穂さん。ちゃんと話を聞いてください。」
「あの存在に手を差し伸べるなんて、あなた、気でも狂ったんじゃないのかしら。」
「そんなわけないでしょ。少なくともあれは聖夜前災とは違う。刺激をしたらあの時以上の大事件が起こる可能性だってある。」
「だからって、アレを野放しにする方が危険じゃないかしら。」
「少なくとも彼らと行動を共にしているときは安定している。崩壊を早めさせる気なのか?」
「そんなわけ無いでしょ。あなたも同じ死地を潜ったでしょう、あの怪物の災いを。」
「もちろん、忘れるわけがないさ。だが、今は互いに冷静になろう。私たちが成長したのと共に、アレも変化している。それを理解できていないわけではないだろう?」
「もちろん理解はしている。だが、理解だけがすべてではないのは君も分かっているだろう。」
私と奈穂さんが互いに一歩も引かない水掛け論をする。無意味、だが、時間稼ぎと考えれば無意味であるとは言い切れないだろう。しかし、奈穂さんの言いたいことも分かる。実際、光を野放しにすることは多少なりとも危険性が存在するということを理解はしている。だがそれでも、何か変化が起こるのではないかという期待が上回る。やはりこれが、科学者の性というものだろうか。
私たちが睨み合い、一触即発の空気が場を支配していたその場に、数人の人影が山道の階段から現れる。その人影に見覚えがあった。
「燈樫に、凩...君...。それと...」
そこには私の友人である小熊燈樫と、過去の聖夜前災で共闘した凩和葉。そして、もう一人。
「鴻...凰。」
海上研究要塞メルクリウス跡地にて出会った鴻と言う人物と再び出会うこととなったのだった。
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