大人の読書感想文

水咲 ちひろ

文字の大きさ
12 / 14

あの夏の日、私は君になりたかった。

しおりを挟む
1、
 「いぬじゅん」氏の『あの夏の日、私は君になりたかった。』
 王道青春恋愛小説だ。

 著者は、ケータイ小説『野いちご』で活動されているそうだ。
 私も少女時代、『野いちご』には大いにお世話になったことを思い出した。


「めんどくさい。だるい。つまらない。」
 主人公の亜弥は、そう思って日々生活をしている。
 思春期の少女が感じる、自身や社会への小さな抵抗。漠然と感じるけだるさ。

「果てしなく退屈で、学校にいても家にいても逃げ出したい気持ちが、へどろみたいにしがみついていた。」


2、
「近付けばイヤな部分が見えるし、あいまいな距離だとうわべの対応がめんどくさくなる。」
「誰かと深い関係にならなければ、さみしくなることも悲しくなることもない。」
「大人はいつだって人によって真逆のことを言う。」

 深いようで浅い、浅いようで深い、大人が聞くとしょうもない些細な主張のようで、しかし納得できる、女子高生のリアルを表現している。
 大人になると忘れてしまって書けなくなるような、女子高生が感じる憂鬱がきれいに表現されていた。


3、
 そんな亜弥がいろんな人と出会い、変わっていく。
 その中でも特に、恋心を抱くようになる「リョウ」の存在は大きい。
 最初は、青春恋愛小説によくあるような、不良のヤンキーな少年なのかな、と思った。
 しかし、少し違った。それは、「Bar」だと思っていた彼の夜のバイト先だったり、明るい髪の理由だったり……で、分かってくる。


4、
 この小説には、小さな謎がたくさんちりばめられている。
「自分を助けられるようになること」って?
「深夜カフェ〝PAST〟」のもうひとつの意味は?
 うさぎさんとリョウの関係は?
 伊予さんは誰?
「強く引っ張って」って?


 高校時代の青春を感じられる1作であった。





いぬじゅん(2020)『あの夏の日、私は君になりたかった。』,スターツ出版株式会社
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...