ちいさな窓の、その目の前から。

篠宮 楓

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2.歯医者

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 現在、歯医者に通ってる。
 ここ数年、新たな病気が見つかったりしてバタバタしてたから、久しぶりに検診行ったら出てくる出てくる虫歯が。今さっきも、糸ようじしてたら取れてしまった。というか、欠けてしまった。隠れ虫歯が(笑
 治療個所が増えたよ……、おわんないなぁ。


 私は、電車に乗って3駅向こうの歯医者に通ってる。
 最初は近所に行ってたんだけど、麻酔を使う際、治療中の病気に関して先生に伝えなければならないから、ご近所さんに会わないように遠くに通うことに決めた。

 
 初めて通ったこの歯医者さん。とっっっ…ても優しい。どうしてくれようこんにゃろうめ! ってなぜかにやけながらバタバタしたくなるくらい優しい。


 1.説明が丁寧。
「ご病気の事はお伺いしました。あのですねー、僕が使っている麻酔はあまり影響が出ないと思うんですがー、一度、主治医の先生にお伺いしてみてくださいねー」
「あの、ここなんですが見えますかー。あ、はい手鏡見てくださいねー。見づらいですよね、すみませんー」

 2.治療が丁寧。
「あぁ、ずーっとお口開けていただいてるから、大変ですよね。辛かったら言ってくださいね!」
 これに関しては、チュイーンってしてる最中にどうやって声出すんだとは思ったけど、「んあい」って返事しておいた。

「あ、口角炎なんですね? お口にワセリン塗らせていただきますねー」
 先生に、指で唇にワセリンを塗られるという。ありがたいけど、ちょっと恥ずかしい!


 男の先生です。そして多分、同い年くらい。


 そして歯科衛生士さんもスタッフさんも、みんな優しい。
 私の持病の方についても話を聞いてくれる。
 


 そんな優しい先生に現在治療してもらっているのが、被せもの。銀の被せものが捲れてしまった場所があって、ちょうど金属アレルギーが勃発したところだしセラミックに変えてもらってる。はがしたら、虫歯になってたし。
 前回が、土台を作って型取りだったのね。

「はい、では型取りをしていきますねー。お口お疲れでしょうから、僕が押さえてますのでもうすこーし閉じても大丈夫ですよー」

 その言葉と共に、口の中に型取りする機材が入ってきて先生がぎゅっと指で押さえた。
 ここまでは、普通だ。
 うん。




「じゃ、この位、お口閉じていいですからねー」




「……!!!!!」



 私の顎に、そっと添えられる先生の手。

 思わずタオルの下で、目を見開いてしまった(笑

 すぐに離れるかと思ったその手は、結局型取りが終わるまで顎に添えられたままだった。
 口の中と顎の下を、挟まれてる感じ。

 私の脳内では、その状況が想像的俯瞰映像として流れている。


「……」

 
 いやいや、ちょっとまて! 恥ずかしいわ、さすがに恥ずかしいわ!
 顔が笑いそうになるのを阻止するために、ぎゅっと右手の甲をつねりまくった。見えないように。


「はい、お疲れさまでしたー。大変でしたねー」
「ど、どうも……」



 違う意味で大変でした、先生!



 思わず夜帰宅した相方に報告したら、「歯医者で何してんの?」と真顔で言われてしまった。
 先生の行動より、主に私の想像映像の方を。
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