世界一優しい死神さん

杜鵑花

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余命7日

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 俺は今日、病院で余命宣告された。
俺の命は後7日しかないらしい。正直に言うとまだ生きられると思っていた。
しかし、現実は非情で、生きる事を許されなかった。
俺は医者に無理言って最期の7日間は自由に暮らせるように退院させてもらった。
そして俺は今、自宅でとんでもないことに遭遇してしまった。
なんと!自宅に大きなカマを持った不審者がいたのだ!

「あぁ……遂に幻覚まで見えるようになったか……」

俺がそう言うと目の前の不審者が慌てて言った。

「いやいやいや……私は幻覚じゃないから!」

「え!幻覚が喋った!遂に末期か……最期の7日間は普通に暮らしたかった……」

「いやいや何もう死ぬと思ってるのよ!まだ7日は生きれるから!」

「じゃあお前は何なんだ!?」

「そうそう。その質問を待っていたよ。聞いて驚かないでね……私は死神!貴方の命を貰いに来た!まっ!君の寿命はまだ7日残っているからまだ命は取らないけど……」

「それは本当か?嘘だったら勝手に人の家に侵入してきた厨二病のイタイ子なんだが……」

「本当だよ~証拠にこのカマ!どう見ても本物でしょ?」

死神はギラリと光るカマを見せてきた。
どうやら本物のようだ。

「そうだな……一旦は信じておこう。でも何故7日も前に来たんだ?」

率直な疑問だ。死神なら寿命が来た日に来ればいいのだから……

「それはね~私が優しい死神だからだよ。私は寿命が来る人の最期をキッチリ見守るからね~その人がどんな事をするのかを見るのが面白いんだよ。」

「俺は病気で体が思うように動かないからベッドで寝てるだけになりそうだが……」

現に今も立ったまま話しているので凄く疲れる。

「そこら辺は心配ないよ。私は優しいから寿命で死ぬまでは体を普通に動かせるようにしてあげる。命は頂くけど……ほら!もう普通に動かせるでしょ?」

気付くと、さっきまでの疲労が噓のように消え去っていた。

「ほんとだ……」

「じゃあ!今日はもう良いかな……」

「帰るのか?」

「うん!でも……いつも見てるからね。」

「あぁそうか……恐ろしいな。」

いつも見られてるなんて恐怖でしか無い。

「そんなに言わなくてもいいじゃない……まぁでもせいぜい頑張って生きてね。」

「あぁありがとな。」

言い終わると死神は消えた。でも多分まだ何処かで見てるんだろう。

「それにしても今日入れてあと7日何に使おうかな。」

俺は1日を使ってそれを考えるのだった。
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