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防〜ルドガー〜
しおりを挟む従妹のニーナから寄せられる好意。
それが身内に対する憧れや親しみではなく、異性に対するそれだと気がついたのは恥ずかしながら最近の事だった。
いや、気がついたというのも間違いか。
はっきりと愛を乞われた瞬間、思い切りぶん殴られたような衝撃を感じたのだから。
「兄様のお嫁さんにしてください」
これ以上ないほど緊張した面持ちに、真剣な眼差し。
胸の前で組み合わされた手は、ガチガチに力が入っていて。
これが冗談や親愛の情だと言う奴はどうかしていると思える程、真摯な姿に…しかし沸き起こったのは冷え冷えとした、冷笑とも言える感情だった。
随分と慕ってくれているらしいニーナだが、私の一体“何”を知っているのか。
人当たりよく、いつも微笑みを浮かべている姿だけを見て、私を知ったつもりになったのなら、それは大きな間違いだ。
泣きたくはないのだろう。
あるいは泣き落としという、女性ならではの手は使いたくないのか。
大きな瞳に涙を浮かべ、それでも精一杯堪えているニーナの唇を噛み締める姿に、不意に体の奥底に火が灯った…気がした。
——今ここで、めちゃくちゃに抱いてやったら。
泣いても嫌がっても、怖がってもやめてやらなければ、それでもこの子は私の事を好きだと、まだ言うのだろうか。
ふと沸き起こった衝動は、昏く歪んだもので。
それを表には出さぬよう、そして間違っても実行しないようすべての表情を消し、黙ってニーナが立ち去るのを待った。
*
実の妹のような従妹に抱いた衝動に、驚きながらも何とか誤魔化しきったその数日後。
深夜とも言える時間にドアがノックされた時、不思議な予感があった。
——ニーナだ、と。
案の定、薄く開いた扉の隙間からスルリと部屋の中に忍び込んできたニーナは、ひどく思い詰めた顔をしていて。
「どうか、したのかい?」
ことさら優しく尋ねた私の目を真っ直ぐに見つめ
「淑女らしからぬ事をしに参りましたの」
とニーナは言葉を絞り出した。
「…は?」
思いがけない言葉に、間抜けにも聞き返した私に見せつけるよう、ニーナは隠し持っていた何かを取り出した。
液体らしきものが入った小瓶。
それが何なのか確かめようと、ニーナの顔をじっと見つめ
「それは…?」
と尋ねたが、返ってきたのは
「わたくしの想いを信じていただくためにはこれしかないと思いましたの」
要領を得ない答えだった。
ちゃぷと揺れる液体は、薄暗い室内で鮮血のように鮮やかに見え。
その色合いに、警戒するようにニーナを問い詰める。
「何をするつもりだ?」
「こうするのですわ」
密やかに笑ったニーナは、おもむろに蓋を開け一気に煽った。
「ニーナっ!」
慌てて手を伸ばした私の手を逆に取り、そのまま顔を両手で押さえ唇を合わせ。
僅かな隙間から液体を流し込まれ、驚きのあまりそのまま飲み下してしまった。
——しまった!
と思ったのも束の間。
艶やかに微笑みながら、口内に残った液体を飲み干すニーナに、思わず目を奪われる。
「ニーナ、今のは何だ?何を飲ませた?」
問い詰める声も力が入らず、どこかグラグラと視界が揺れてきて。
「じんわりと体の奥から熱くなってきておりませんか」
何かを確かめるようなニーナの声に、体の奥に再び火が灯るのを感じた。
「ニーナ!」
焦りから加減をせずに掴んだ手を握り込まれ、頭をゆるく抱え込まれる。
「媚薬、ですわ」
吐息ごと、ニーナの熱を吹き込むよう耳元で囁かれ、大袈裟なほど身体が跳ねる。
紛れもなく欲望に塗れた声に、押さえつけていた衝動がゾロリと頭をもたげた。
「兄様、わたくしのものになって」
掠れた声に、熱を帯びた眼差しに抗う事など出来なかった。
*
膝立ちになり、ぎこちない手つきで1つ1つシャツのボタンを外してゆくニーナのまろい尻を両手で撫でさすり、もみしだく。
「…っ!」
ベッドボードに枕を重ね、背を預けた状態で投げ出した足に跨るニーナは、どこもかしこも熱くて柔らかくて。
元から無いこちらの理性と主導権を奪うようなキスを仕掛けてくる。
柔らかい唇を押し当てるだけの子供のようなキスから、一転。
こちらの唇を甘噛みし、ねぶり、開いた隙間から舌を差し入れ絡め合う。
その合間にも、子供と大人の狭間で発達途中の華奢な体には似つかわしくないほど張り出した胸を私の胸板に押し当て、先端の尖りを擦り付ける。
それだけで腰にゾクゾクと痺れが溜まってゆく。
「はっ…あぁ」
「いけない子だ、どこでこんな事を?」
拙いながらも懸命に首筋や鎖骨に唇を押し当て、私の欲を引き出そうとする動きにそう詰ると、ニーナは上目遣いに微笑んだ。
「わたくしで気持ち良くなってほしくて、色々と勉強しましたの」
——いったい、どんな勉強なのやら。
艶やかな唇の赤さに視線を奪われながらも、彼女の細い腰を支え再び膝立ちにさせる。
「兄…様?」
僅かに首を傾げるニーナの視線を意識しながら、豊かな胸に指を沈め先端の飾りに唇を寄せた。
「はぅ…んんっ!」
堪えきれずに声を上げ、恥じらうように身体をくねらせるニーナにあっという間に下半身が痛いほど張り詰める。
「甘い、な」
弾力のある張り詰めた胸も。
しっとりとした首筋も余計な肉のついてない背中も、引き締まった腰も程よく筋肉のついたしなやかな脚も。
至る所に口づけ啼かせたおかげで、ニーナの体から力が抜け切っている。
それでも。
初めてだと言っていたから多少は痛みを伴うだろうが…だからと言ってやめてやる気は端からなかった。
* * *
作者としては徹底抗戦!断固拒否!で、そこから始まる関係⁈のつもりだったのに…何故やる気になっているのかわからないルドガー💦
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