81 / 88
未来への助言
最近、僕は精神的にひどく疲れていた。その原因はわかっていたが、しかしどうしていいのか、その進むべき方向性というものがわからないでいた。なにをどうすれば、現状がよくなるのだろう。
そこで僕はある日の現場帰りに、巷で有名な「相談師」という人に会ってみることにした。相談師というのは、いってしまえば占い師のことで、人の過去と現在を見て、未来を占い、それに対する適切な助言を与えてくれるというものだった。
その相談師はあご髭を生やした、怪しい雰囲気の男だった。初めに握手を交わし、彼と僕は男二人で間に一つの机を挟み、向かい合わせに椅子に座った。
「正しく過去と現在を見るために、正確にお答えください。お名前は?」
「はい。えっと、高垣玲央といいます」
「現在のご職業は?」
「土木作業員ですが、いまは休職中です」
「ご出身は?」
「生まれも育ちも、東京の──」
その後、相談師はたくさんの質問を重ねていった。すぐに本題に入るべきではないかと思ったが、僕は言われるがまま正直に質問に答えていく。それが終わると、相談師はどこからか水晶玉を持ってきた。そこに手をかざし、じっと何かを見ようとしている。しばらく黙って見守っていると、
「おかしいですねえ」
と相談師は口を開いた。
「あなたが正確に答えていたことは、オーラを見ていたのでわかっています。ですが、変ですねえ。過去ははっきりと見えましたが、現在が全く見えません」
「どういうことですか?」
「つまり、死んでいるのと同じ状態だということです。これでは未来に対する助言ができません」
初めての事態です、と相談師が困惑している中、しかし僕にはすぐに理由がわかった。
僕は急いでその場を後にし、帰宅した。
【解説&ヒントは↓をスクロール】
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
〈ヒント「相談したのは仕事帰りだったのでは?」〉
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【解説】
なにかに悩んでいる主人公の男性が相談師の男に占ってもらった話ですが、さて、主人公はいったい何を悩んでいたのでしょう。そして、なぜ現在が見通せない状態になっていたのか。
もしかすると主人公はすでに死んでいて、幽霊としての今後をどう過ごせばいいのかわからなくなっていた、なんて想像した人もいるかもしれませんが、相談師と握手できていますから、そんなことはないでしょう。謎を読み解くヒントは、二人の問答にあります。仕事帰りの主人公は、「休職中」と答えています。これはどういうことでしょう。
土木作業員以外の別の仕事をしていた帰りか? いやいや、正確に答えてと言われていましたし、相談師もそれを認めていましたから、あの返事に嘘や誤りはなかったのでしょう。となれば、考えられるのは「別の人の情報を伝えていた」ということ。主人公は、初めから「その人物」の今後について占ってもらおうとしていたのです。
その人物は何かに悩んでいた。そして、主人公はどうアドバイスすればよいか悩んでいたのです。そして、その人物は「死んでいるのと同じ状態」というわけで……。
主人公が急いで帰っていることから、その相手は妻か、あるいは兄弟だったりするのでしょう。何事もなければいいのですが……。
そこで僕はある日の現場帰りに、巷で有名な「相談師」という人に会ってみることにした。相談師というのは、いってしまえば占い師のことで、人の過去と現在を見て、未来を占い、それに対する適切な助言を与えてくれるというものだった。
その相談師はあご髭を生やした、怪しい雰囲気の男だった。初めに握手を交わし、彼と僕は男二人で間に一つの机を挟み、向かい合わせに椅子に座った。
「正しく過去と現在を見るために、正確にお答えください。お名前は?」
「はい。えっと、高垣玲央といいます」
「現在のご職業は?」
「土木作業員ですが、いまは休職中です」
「ご出身は?」
「生まれも育ちも、東京の──」
その後、相談師はたくさんの質問を重ねていった。すぐに本題に入るべきではないかと思ったが、僕は言われるがまま正直に質問に答えていく。それが終わると、相談師はどこからか水晶玉を持ってきた。そこに手をかざし、じっと何かを見ようとしている。しばらく黙って見守っていると、
「おかしいですねえ」
と相談師は口を開いた。
「あなたが正確に答えていたことは、オーラを見ていたのでわかっています。ですが、変ですねえ。過去ははっきりと見えましたが、現在が全く見えません」
「どういうことですか?」
「つまり、死んでいるのと同じ状態だということです。これでは未来に対する助言ができません」
初めての事態です、と相談師が困惑している中、しかし僕にはすぐに理由がわかった。
僕は急いでその場を後にし、帰宅した。
【解説&ヒントは↓をスクロール】
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
〈ヒント「相談したのは仕事帰りだったのでは?」〉
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
【解説】
なにかに悩んでいる主人公の男性が相談師の男に占ってもらった話ですが、さて、主人公はいったい何を悩んでいたのでしょう。そして、なぜ現在が見通せない状態になっていたのか。
もしかすると主人公はすでに死んでいて、幽霊としての今後をどう過ごせばいいのかわからなくなっていた、なんて想像した人もいるかもしれませんが、相談師と握手できていますから、そんなことはないでしょう。謎を読み解くヒントは、二人の問答にあります。仕事帰りの主人公は、「休職中」と答えています。これはどういうことでしょう。
土木作業員以外の別の仕事をしていた帰りか? いやいや、正確に答えてと言われていましたし、相談師もそれを認めていましたから、あの返事に嘘や誤りはなかったのでしょう。となれば、考えられるのは「別の人の情報を伝えていた」ということ。主人公は、初めから「その人物」の今後について占ってもらおうとしていたのです。
その人物は何かに悩んでいた。そして、主人公はどうアドバイスすればよいか悩んでいたのです。そして、その人物は「死んでいるのと同じ状態」というわけで……。
主人公が急いで帰っていることから、その相手は妻か、あるいは兄弟だったりするのでしょう。何事もなければいいのですが……。
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
意味コワ! 10秒で読めるゾッとする話
絢郷水沙
ホラー
旧題:10秒で読めるちょっと怖い話。
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。
市立■■■中学校・三年一組を中心とした一連の怪奇現象についての報告書。
絢郷水沙
ホラー
ホラー小説を投稿しております、絢郷水沙と申します。この物語は、とある中学校を中心に起きている怪奇現象について調査し、まとめた報告書です。
※投稿済みのページの内容が断りなく作者の都合により移動・削除・変更される可能性があります。ご了承の上、読んでいただけると幸いです。