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岩場の近くの霊の噂
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僕のじいちゃんが住む田舎は海の近くで、僕は長い休みのときじいちゃんの家に遊びに行くと、よく海に連れて行ってもらっていた。
じいちゃんはよく、こんなことを言っていた。
「あの先に見える岩場には近づくな」
理由を詳しく聞くと、曰く、あの岩場の近くで何人もの人が海に引きずり込まれるという体験をし、死んでしまった事故もあったらしい。
一説によると幽霊の仕業らしいけれど、僕は幽霊なんて信じちゃいない。たぶん海水の流れか何かが影響していると思う。
僕は気になりつつも、言いつけを守って近づかないようにしていた。にもかかわらず、僕が例の岩場近くの海でおぼれかけたのは、友だちのせいだった。
その田舎で唯一の僕の友達。
去年遊びに訪れた時に一人で遊んでいた僕に声をかけてくれて、そこから仲良くなった。同い年で、名前はタクちゃん。本名は聞いたけど、忘れちゃった。
今年も僕が一人で浜で遊んでいると、どこからともなくタクちゃんが現れて、声をかけてくれた。
しばらく一緒に遊んでいたんだけど、あるときふと目を離すと、タクちゃんが近くにいなくなっていた。で、辺りをきょろきょろと探してみると、例の岩場に人影を見つけた。その姿がタクちゃんだとわかると、僕は不思議に思った。
だって、タクちゃんは地元の人間で、だからその危険性は十分に知っているはずなのに、どうして近づいちゃダメだと言われている場所に行くんだろうって。
気になった僕は、海に入らなければ大丈夫だろうと思って、走って向かった。
岩場はごつごつしていて、歩きづらく、タクちゃんの姿も見失っていた。名前を叫んでも返事がない。僕は不安になってきた。
「あ!」
声を出した時は、もう遅かった。僕は足を滑らせて、海の中に落ちてしまった。
実を言うと、僕はそんなに泳ぎが上手くないのだ。必死になってもがいて、水上に顔を出そうとした。とにもかくにも、顔を出して息をしなければ、死んでしまう。でも焦りと不安とで上手くいかなかった。そんな時だった。
足を捕まれた感触がした。誰かが僕を引っ張っている。
幽霊の噂は本当だったんだって、僕はもう、死ぬんじゃないかって思った。意識が途切れて、気が付くと僕は寝っ転がっていた。
そこは、例の岩場から少し離れた平らなコンクリートの地面で、僕の隣には見ず知らずの大人の人がいた。どうやらこの大人の人が僕を掬い上げて、助けてくれたらしい。
でもどうしてこの人は、僕を助けてくれたんだろう。だって、あの岩場は誰も近づかなかったはず。僕はその人にお礼を言ってそんな疑問を訊ねると、こんな返答があった。
「卓司が教えてくれたんだ」
卓司って誰だろうと僕は思ったけど、正体は簡単にわかった。タクちゃんだ。曰く、この大人の人はタクちゃんのお父さんだそうだ。
タクちゃんがお父さんを呼んでくれたので僕が助かったというわけだった。そんなタクちゃんは、家で待っているらしい。
ふと見ると、僕の足には海藻が絡まっていた。ははは、なるほど、これが霊の噂の正体か。
【解説&ヒントは↓をスクロール】
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〈ヒント「タクちゃんの行動を順を追ってみると……」〉
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【解説】
主人公とタクちゃんが遊んでいる時、どうしてタクちゃんは突然いなくなって岩場に近づいたのでしょう。主人公が思っている通り、そこは危険な場所なので地元の人は近づかないはずです。それでも近づいたということは、そうしなければいけなかった何かしらの理由があったのでしょう。たとえば、誰かが溺れているのを目撃したとか。
それを確認するために、タクちゃんは岩場に近づき、溺れている人を見つけたので、大人の人を呼びに行ったとしたらどうでしょう。
おそらくタクちゃんのお父さんは、「子供が一人溺れていた!」とでも聞かされたのでしょう。そこで溺れている主人公を見つけて、救助した。
主人公は霊の噂の真相を海藻だと思っていますが、それは半分正しく、半分間違っています。主人公の足を掴んだのは、タクちゃんが見つけたという溺れている子供だったのです。その子は地元の子供じゃなかったので危険を知らなかったのでしょう。知らずに入って海藻に足を絡まれて溺れていたのです。そしてその子は今もまだ、海の中にいることでしょう。
じいちゃんはよく、こんなことを言っていた。
「あの先に見える岩場には近づくな」
理由を詳しく聞くと、曰く、あの岩場の近くで何人もの人が海に引きずり込まれるという体験をし、死んでしまった事故もあったらしい。
一説によると幽霊の仕業らしいけれど、僕は幽霊なんて信じちゃいない。たぶん海水の流れか何かが影響していると思う。
僕は気になりつつも、言いつけを守って近づかないようにしていた。にもかかわらず、僕が例の岩場近くの海でおぼれかけたのは、友だちのせいだった。
その田舎で唯一の僕の友達。
去年遊びに訪れた時に一人で遊んでいた僕に声をかけてくれて、そこから仲良くなった。同い年で、名前はタクちゃん。本名は聞いたけど、忘れちゃった。
今年も僕が一人で浜で遊んでいると、どこからともなくタクちゃんが現れて、声をかけてくれた。
しばらく一緒に遊んでいたんだけど、あるときふと目を離すと、タクちゃんが近くにいなくなっていた。で、辺りをきょろきょろと探してみると、例の岩場に人影を見つけた。その姿がタクちゃんだとわかると、僕は不思議に思った。
だって、タクちゃんは地元の人間で、だからその危険性は十分に知っているはずなのに、どうして近づいちゃダメだと言われている場所に行くんだろうって。
気になった僕は、海に入らなければ大丈夫だろうと思って、走って向かった。
岩場はごつごつしていて、歩きづらく、タクちゃんの姿も見失っていた。名前を叫んでも返事がない。僕は不安になってきた。
「あ!」
声を出した時は、もう遅かった。僕は足を滑らせて、海の中に落ちてしまった。
実を言うと、僕はそんなに泳ぎが上手くないのだ。必死になってもがいて、水上に顔を出そうとした。とにもかくにも、顔を出して息をしなければ、死んでしまう。でも焦りと不安とで上手くいかなかった。そんな時だった。
足を捕まれた感触がした。誰かが僕を引っ張っている。
幽霊の噂は本当だったんだって、僕はもう、死ぬんじゃないかって思った。意識が途切れて、気が付くと僕は寝っ転がっていた。
そこは、例の岩場から少し離れた平らなコンクリートの地面で、僕の隣には見ず知らずの大人の人がいた。どうやらこの大人の人が僕を掬い上げて、助けてくれたらしい。
でもどうしてこの人は、僕を助けてくれたんだろう。だって、あの岩場は誰も近づかなかったはず。僕はその人にお礼を言ってそんな疑問を訊ねると、こんな返答があった。
「卓司が教えてくれたんだ」
卓司って誰だろうと僕は思ったけど、正体は簡単にわかった。タクちゃんだ。曰く、この大人の人はタクちゃんのお父さんだそうだ。
タクちゃんがお父さんを呼んでくれたので僕が助かったというわけだった。そんなタクちゃんは、家で待っているらしい。
ふと見ると、僕の足には海藻が絡まっていた。ははは、なるほど、これが霊の噂の正体か。
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【解説】
主人公とタクちゃんが遊んでいる時、どうしてタクちゃんは突然いなくなって岩場に近づいたのでしょう。主人公が思っている通り、そこは危険な場所なので地元の人は近づかないはずです。それでも近づいたということは、そうしなければいけなかった何かしらの理由があったのでしょう。たとえば、誰かが溺れているのを目撃したとか。
それを確認するために、タクちゃんは岩場に近づき、溺れている人を見つけたので、大人の人を呼びに行ったとしたらどうでしょう。
おそらくタクちゃんのお父さんは、「子供が一人溺れていた!」とでも聞かされたのでしょう。そこで溺れている主人公を見つけて、救助した。
主人公は霊の噂の真相を海藻だと思っていますが、それは半分正しく、半分間違っています。主人公の足を掴んだのは、タクちゃんが見つけたという溺れている子供だったのです。その子は地元の子供じゃなかったので危険を知らなかったのでしょう。知らずに入って海藻に足を絡まれて溺れていたのです。そしてその子は今もまだ、海の中にいることでしょう。
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