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21話
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「まてまて待て待てっ!!!」叫びながら乱入してきた男が言う
此方を見ながら
「街ではないとしてもキャンプの中で剣を抜くのはどうか止めてくれ!」と、いい
上官に向かっては
「この国では異種族間での恋愛は普通の事だから差別的な発言をするなら自国へと帰ってくれ!」
っと叫んだ
「んー?コージ、この人…どっかで会ったよ?多分だけど…」とシノ
俺は剣鉈を鞘に納めながら上官から目を離さないまま「そうなのか?」と乱入男を見上げる
「あっー野営中にシノに襲い掛かった冒険者じゃないか?」
「え。いや、確かに襲い掛かったけど原型だったからだろ⁉」と狼狽える男
「人型に戻ってから襲い掛かったから油断しない様に徹夜で対応してたとおもうが?」と、俺
「あれってそーいう意味だったの⁉てっきり酒好きなだけかと思ってたわ‼」っと、今知って吃驚している
「分かってて嫌味言われたと思ってた」
何それショック‼って顔で額を抑える男
「一応Cランクだから変な事なんてしねーよ!」
冒険者ギルド厳しいんだぞ!と呆れていた
「まぁ、いーよ。誤解溶けたんだろ?お互い…」
っと、去ろうとしたら
「コッチの話が終わってないのに何去ろうとしてるんだ!!」と騒ぐ先程の兵士の雇い主
「終わったよな?」と上官に聴くと
「すまなかった!」と俺に謝った
「此方も熱くなったすまんな」と頭を下げた
これで話は済んだなって事で去ろうとしたら
「だから何故去ろうとするんだ!コチラの話を聴くべきだろうが!!」と、怒鳴りだした
「なぜ俺がアンタの話を聞かなければならないのか?いやいや、説明は要らん。俺はアンタに話は無い。分かるか?分かれよ、って事で終わりだ」
今度こそ手を振ってシノを連れてその場を後にした
「いいの?コージ…」執拗そうだよ?あの人
というが、面倒くさい奴と話しても詰まらないだろ?って言って宿家探しを続けた
「おおーい!コージ!待てよー!」と追い縋る
前に会った…あー…ヴァリ…ヴァル…
「もうヴァでいーか?」と聴くと
「なんで【ヴァ】だけなんだよ!」
ヴァリスだよ!!憶えろ!っと突っ込まれた
「おー!そーそーそんな名前だった気がする」
「なんかお前俺の扱い雑じゃね?」
っといじけるので
「1回しか会ったことないしな」仕方ない仕方ないと宥めてやる
「所でこの辺に良い宿ないか?」とヴァリスに聴くと
あるけど流石にこの時間は埋まってるという
「しゃーねーなぁ。野宿でもするか…」
二徹までなら耐えられるし
「いや、どーせならウチくるか?」と誘われた
シノ居るから助かるわと頭を下げた
ヴァリスの跡を付いて歩いて行くと
見た事あるテントに辿り着いた
「あれー?此処って…」と何かに気付いたシノは
不安そうに俺を見る
剣鉈の柄に手を置き何時でも抜ける姿勢になると
「王族関係者とは見抜けなかったな」と俺
「いやまぁ言ってなかったけど、剣の柄を握るのは止めてくれ!」血の気多くない?君…そんなキャラだったっけ?と言った
その言葉に訝しんだ俺は少し剣を抜き構える
と…
「…転生者か?」と呟きながら柄を握る力が強くなった
「なんでそれだけで分かんだよ…」と苦笑い
まぁ詳しい話は奥で頼むよ…と、ヴァリスの部屋へと入っていった
「何か飲むかい?」っと紅茶だろうか?良い香りの茶を淹れて持ってきた
それを受け取りズズっと啜ったシノが声を出す
「わぁっ!美味しい!」
絶賛するとは珍しいね?と、呟いて
飲んで見る
薫りもさる事ながら砂糖を使った訳じゃないのに
仄かに甘い、飲んでる途中に少し渋みがくるが、飲み終わるとすっきり爽やかという
「へぇっ!美味いね!」
俺はどちらかと言うと緑茶派だが
これなら普段飲みにでも欲しいくらいだ
「おっ!良かった!高評価だね!これは俺のとびっきりでね!他で飲むと一杯金貨一枚はいくって代物さ」
ゴフッと吐きそうになるのを無理矢理抑えて
口と鼻を抑えて溢れない様にした
隣でもゴフッと吐きそうになったらしく…いや、鼻から溢れたらしく、顔を青くしていた
「あ…いや済まない吹き出させてしまったな」と、これまた高そうなハンカチが出て来て
シノブの口元を拭こうとしたが
更に顔を白くしたシノは手を振って断ってた
そんな高級そうなハンカチで口を吹いたら
違う物まで出てきて悲惨な事になりかねん
「あ、すまん止めてあげて?」
うちは余り高級な物に耐性が無いんでっとハンカチを仕舞ってもらった
「意外だな?もっと贅沢してると思っていたのに紳士でも目指してんのか?」
イギリス紳士が質素を好んで居たのを知ってるあたり、やはり俺みたいな転移か転生者の様だ
顔の作りから推測すると転生だろう
顔が美し過ぎる ロシアの女性を男装させた感じといえば分かりやすいだろうか?
これで声が高かったら麗人と間違うところだが、声は低いというか、イケボと言われる方々と遜色ないだろう
これで現代に行ったらEasyな人生に成りそうだ
「紳士は目指してはいないが、そんなに贅沢はしてないよ」貧乏暇無しって奴さと笑う
「君が貧乏なら、世の金持ちは皆スラムに住む事になるぞ?」と、呆れる
「何を持って俺を金持ちと呼ぶのかが分からん」
本当に分からないから腹芸のしようが無かったり
「何をって味塩胡椒を売ってるからだよ!」
それ以外何があるんだ?心底疑問だと言いたそう…
金貨2枚で売ったからか?だから金持ちってこと?
「え。」聞き間違いかな…と頭を抱え始めた
「やはり、高かったか?」ならもう少し値下げして…と言いかけると
「安すぎるわ!!!ダボが!!!!」
エッー
二回目にして気付かされる事実
味塩胡椒は転売されて1個金貨10枚で取引されてるそうな
それでも安いと言われてるくらいなのに、2枚⁉
もっと物価を知ってから売れ!!と怒られた…
買った客は仕入れ値の5倍以上で売れるのか…
そりゃすぐ売り切れる訳だ
「常識が無いとは思ってたがそこまでとは…」
やってらんねーなおい…とブツブツ言い始めた
聴けば彼も商売人で王家の出入り業者なのだそうだ
つまり先程呑んだお茶は王様も呑んでると言う事に
あ、シノの顔色が更に悪くなった…
「済まないが嫁が疲れてしまって居るので先に休ませてやりたいんだが…」部屋どこ?安全?
っと言うと
パンパンと柏でを打つと何処からともなくメイドが現れてシノを連れて行った
これっぽっちも無駄な所作が無かったが
少し殺気が漏れ出ていたので
殺さないでくださいね?っとニッコリ威圧を加えて感謝しておいた
「さて…そろそろ本題に入るのかな?」と聞いてみると
「はは、まぁ何だ…本題というかお願いかな?」
と、言うやいなや土下座を始めた
「な、なな何してんの?」それ知ってる?最大限の威圧なのよ?
「味塩胡椒を売るのは辞めてください!」と叫びだした
かなり必死に…
店が傾く程の胡椒を買い付けて都に卸しに行き
(前回)
売ってる最中に味塩胡椒が売り主側の手に渡り
味塩胡椒に嵌まった売手が渋り始め
値切られるという事態になってるらしく…このままでは破産まっしぐらなのだそうだ
「それなら作り方が分かるようにそっちに渡すから、それを元に作ったらどーだ?」
はいっと味見用で開けた一つを取り出して渡す
「え。そんな簡単にいーのか?」と味塩胡椒を両手で持ちながら聞いてくる
素直に渡した事に驚いているようだ
「うん、構わないよー売り物が無くなった訳じゃないからね」とサラマンの粉とドライアドの塗り薬を見せてやる
次の中心販売はこれだよーと水を持ってきてもらい実演してやった
それを見た男は「何そのチート」と怒り出した
さっきから怒られてばかりだな…
「君もあの勇者みたいにチート持ちなんだな!」と言い出した
あの勇者…勇者といえばアイツしか思い浮かばない
試しに他にも勇者が居るか聞いてみたが
「勇者は天蓋の勇者しか居ないよ!」といわれ
…親父ってチート野郎だったんだ…と呟いた
「え!なに!?父親なの!?」と更に驚愕し
親子で転生なんてあんのかよ!!!と喚き出した
「すまん!転移ね多分だけど…」
なんで自信ないんだよ!!と更に怒られたので
霧の森の中の話をしてあげた
椅子に座り直した彼は頭を抑えて呻き出し
「今までの俺の苦労は何だったんだ…」と泣き出した
小一時間程泣いて(泣き過ぎだろ)
はぁー…と溜息を吐き出すと
「私はもう結婚もしているし、今更現代には帰れない、だが仕入先があるなら私は商売がしたい」と言って、俺の手を握り買いたい物がある!っと言い出した
「誰も取引するとは言ってないんだか…」と呟いてみても、彼の耳には届かない様だった
「実は…チロ○チョコが食べたい」と頬を紅くさせて言う
その姿は声を出さなければ女の子の様で
もし俺が好き者の類だったら拐って娘として永遠に愛でて暮らしたくなる程可憐であった
(例えが気持ち悪い…)
チロ○チョコ
ひと粒10円ないし20円のそのチョコレートは
子供から大人まで楽しめる大人気菓子の一つで
恐ろしいのはその値段にある
100円あれば満足する程買えるのに、味は高級チョコレートと遜色ない程美味いのだ
こんな素晴らしいチョコレートを私は知らない
世界中を探しても見つからなかったし!
異世界中を探しても見付からなかった!
あんなに美味しいのに!
世界各地で売りに出されても問題ないのに!
なぜ近所のスーパーが仕入れてないんだ!!
あの有名な鳥のマークのネットスーパーですら
最初だけだった!!担当呼び出して巫山戯んな!!!なんで仕入れないんだ!!!と怒鳴ったものだ
キット○ットも他のチョコレートも沢山あるのに
何故チロ○チョコが無いんだ!!!!
近所のウ○ルシアにも無かった!!!!
舐めてるのか!!!!思わず店員に怒り店を出禁にされるかも知れないくらい迫ったのに!!!!
マル○ツで見付けてバックヤード含めて全て買い占めたら怒られるってなんだ!!!!
他でも買える商品ですから、買い占めは困ります…だと!!?
他に売ってないから仕方ないだろーがァァァ!!!!!
箱で売ってるのを箱で買って何が悪いんじゃああああああああああああああああああっ!!!!!!
作者の叫びも混ざってるって程の叫びだった
少し落ち着くまで彼を待つことになった
ズズ‥‥と冷めた紅茶を啜る男を見る
瞼が赤く腫れてしまっていた
かなり泣いたからだろう…
俺はメンタームを取り出し二枚貝(アサリ)に挟むと手渡した
男は無言で受け取ると目礼して瞼に塗り始めた
効能は覿面で塗った側から治っていくので驚いていた(チート…)とポソリと言った言葉は聴こえないふりをした
ようやく落ち着いてきたようなので
俺の背負子から緑茶をだし
急須が無かったので紅茶用のポットを借りて
緑茶を淹れた
それを紅茶用のカップに注ぎ
熱い内にどーぞと手渡した
俺と男は暫く緑茶を楽しんで
おもむろに此方を見て謝った
「取り乱してすまなかった…」
だが、私の思いは伝わっただろう?
そう目で訴えていた
「…貴方の熱いチロ○チョコ愛は伝わった、確かにそれを取引する事は可能だし、箱で買う事も可能だろう」と伝えてやると
目が明らかにキラキラと輝き
俺の手を取り胸に抱き娘の如く輝きを放ちながら
強く頷いて「宜しく頼む!!!!」と一言言った
その夜はそのままシノの休む部屋へと案内され
疲れもあったので寝る事にした
次の朝目が覚めると
右から左の大騒ぎになっていた
忙しく働く店主を捕まえて
朝から何事か聴いてみれば
貰った味塩胡椒を作る為にこの場所を改造するべく動いているらしい
何はともあれコレで商会も立ち直れると
本当に助かったとお礼を言われた
キャンプの外まで送ってもらうと
そーだ!とばかりにハマグリの二枚貝を出し
其処にドライアドのメンタームをタップリくっつけ何個か手渡した
目を剥いて「良いのか!?」というので
「おう!これからも宜しくな!」と伝えて
その場を後にした
「味塩コショーもう売らないの?」と聴くシノに
「売らないよー」と答えそのかわり…と続ける
他の物を売る良い情報を貰ったからな!
と続ける
「ふーん売れると良いねぇ♪」と言って笑った
今度街に行ったとき…ブラッ○○ンダー
を箱で買ってきて、それを店で売り
チロ○チョコを店主に売れば中々良い稼ぎになりそうだ!とほくそ笑んだ
その後村に戻る途中で河童に会った
その河童は片手にきゅうりを持っていた
畑から盗んで来たようだ
そのきゅうりをどーするのか見ていると
嘴の中央に穴が開いていて
其処に突っ込んで食べていた
それしか食べられなそうで不憫に思ったが
所詮ゴブリンか…と、無視する事にした
今日も遠くの空では白銀の竜が飛んでおり
いつもの如く聖水を垂れ流し
後ろに雲を作りながら飛んでいった
此方を見ながら
「街ではないとしてもキャンプの中で剣を抜くのはどうか止めてくれ!」と、いい
上官に向かっては
「この国では異種族間での恋愛は普通の事だから差別的な発言をするなら自国へと帰ってくれ!」
っと叫んだ
「んー?コージ、この人…どっかで会ったよ?多分だけど…」とシノ
俺は剣鉈を鞘に納めながら上官から目を離さないまま「そうなのか?」と乱入男を見上げる
「あっー野営中にシノに襲い掛かった冒険者じゃないか?」
「え。いや、確かに襲い掛かったけど原型だったからだろ⁉」と狼狽える男
「人型に戻ってから襲い掛かったから油断しない様に徹夜で対応してたとおもうが?」と、俺
「あれってそーいう意味だったの⁉てっきり酒好きなだけかと思ってたわ‼」っと、今知って吃驚している
「分かってて嫌味言われたと思ってた」
何それショック‼って顔で額を抑える男
「一応Cランクだから変な事なんてしねーよ!」
冒険者ギルド厳しいんだぞ!と呆れていた
「まぁ、いーよ。誤解溶けたんだろ?お互い…」
っと、去ろうとしたら
「コッチの話が終わってないのに何去ろうとしてるんだ!!」と騒ぐ先程の兵士の雇い主
「終わったよな?」と上官に聴くと
「すまなかった!」と俺に謝った
「此方も熱くなったすまんな」と頭を下げた
これで話は済んだなって事で去ろうとしたら
「だから何故去ろうとするんだ!コチラの話を聴くべきだろうが!!」と、怒鳴りだした
「なぜ俺がアンタの話を聞かなければならないのか?いやいや、説明は要らん。俺はアンタに話は無い。分かるか?分かれよ、って事で終わりだ」
今度こそ手を振ってシノを連れてその場を後にした
「いいの?コージ…」執拗そうだよ?あの人
というが、面倒くさい奴と話しても詰まらないだろ?って言って宿家探しを続けた
「おおーい!コージ!待てよー!」と追い縋る
前に会った…あー…ヴァリ…ヴァル…
「もうヴァでいーか?」と聴くと
「なんで【ヴァ】だけなんだよ!」
ヴァリスだよ!!憶えろ!っと突っ込まれた
「おー!そーそーそんな名前だった気がする」
「なんかお前俺の扱い雑じゃね?」
っといじけるので
「1回しか会ったことないしな」仕方ない仕方ないと宥めてやる
「所でこの辺に良い宿ないか?」とヴァリスに聴くと
あるけど流石にこの時間は埋まってるという
「しゃーねーなぁ。野宿でもするか…」
二徹までなら耐えられるし
「いや、どーせならウチくるか?」と誘われた
シノ居るから助かるわと頭を下げた
ヴァリスの跡を付いて歩いて行くと
見た事あるテントに辿り着いた
「あれー?此処って…」と何かに気付いたシノは
不安そうに俺を見る
剣鉈の柄に手を置き何時でも抜ける姿勢になると
「王族関係者とは見抜けなかったな」と俺
「いやまぁ言ってなかったけど、剣の柄を握るのは止めてくれ!」血の気多くない?君…そんなキャラだったっけ?と言った
その言葉に訝しんだ俺は少し剣を抜き構える
と…
「…転生者か?」と呟きながら柄を握る力が強くなった
「なんでそれだけで分かんだよ…」と苦笑い
まぁ詳しい話は奥で頼むよ…と、ヴァリスの部屋へと入っていった
「何か飲むかい?」っと紅茶だろうか?良い香りの茶を淹れて持ってきた
それを受け取りズズっと啜ったシノが声を出す
「わぁっ!美味しい!」
絶賛するとは珍しいね?と、呟いて
飲んで見る
薫りもさる事ながら砂糖を使った訳じゃないのに
仄かに甘い、飲んでる途中に少し渋みがくるが、飲み終わるとすっきり爽やかという
「へぇっ!美味いね!」
俺はどちらかと言うと緑茶派だが
これなら普段飲みにでも欲しいくらいだ
「おっ!良かった!高評価だね!これは俺のとびっきりでね!他で飲むと一杯金貨一枚はいくって代物さ」
ゴフッと吐きそうになるのを無理矢理抑えて
口と鼻を抑えて溢れない様にした
隣でもゴフッと吐きそうになったらしく…いや、鼻から溢れたらしく、顔を青くしていた
「あ…いや済まない吹き出させてしまったな」と、これまた高そうなハンカチが出て来て
シノブの口元を拭こうとしたが
更に顔を白くしたシノは手を振って断ってた
そんな高級そうなハンカチで口を吹いたら
違う物まで出てきて悲惨な事になりかねん
「あ、すまん止めてあげて?」
うちは余り高級な物に耐性が無いんでっとハンカチを仕舞ってもらった
「意外だな?もっと贅沢してると思っていたのに紳士でも目指してんのか?」
イギリス紳士が質素を好んで居たのを知ってるあたり、やはり俺みたいな転移か転生者の様だ
顔の作りから推測すると転生だろう
顔が美し過ぎる ロシアの女性を男装させた感じといえば分かりやすいだろうか?
これで声が高かったら麗人と間違うところだが、声は低いというか、イケボと言われる方々と遜色ないだろう
これで現代に行ったらEasyな人生に成りそうだ
「紳士は目指してはいないが、そんなに贅沢はしてないよ」貧乏暇無しって奴さと笑う
「君が貧乏なら、世の金持ちは皆スラムに住む事になるぞ?」と、呆れる
「何を持って俺を金持ちと呼ぶのかが分からん」
本当に分からないから腹芸のしようが無かったり
「何をって味塩胡椒を売ってるからだよ!」
それ以外何があるんだ?心底疑問だと言いたそう…
金貨2枚で売ったからか?だから金持ちってこと?
「え。」聞き間違いかな…と頭を抱え始めた
「やはり、高かったか?」ならもう少し値下げして…と言いかけると
「安すぎるわ!!!ダボが!!!!」
エッー
二回目にして気付かされる事実
味塩胡椒は転売されて1個金貨10枚で取引されてるそうな
それでも安いと言われてるくらいなのに、2枚⁉
もっと物価を知ってから売れ!!と怒られた…
買った客は仕入れ値の5倍以上で売れるのか…
そりゃすぐ売り切れる訳だ
「常識が無いとは思ってたがそこまでとは…」
やってらんねーなおい…とブツブツ言い始めた
聴けば彼も商売人で王家の出入り業者なのだそうだ
つまり先程呑んだお茶は王様も呑んでると言う事に
あ、シノの顔色が更に悪くなった…
「済まないが嫁が疲れてしまって居るので先に休ませてやりたいんだが…」部屋どこ?安全?
っと言うと
パンパンと柏でを打つと何処からともなくメイドが現れてシノを連れて行った
これっぽっちも無駄な所作が無かったが
少し殺気が漏れ出ていたので
殺さないでくださいね?っとニッコリ威圧を加えて感謝しておいた
「さて…そろそろ本題に入るのかな?」と聞いてみると
「はは、まぁ何だ…本題というかお願いかな?」
と、言うやいなや土下座を始めた
「な、なな何してんの?」それ知ってる?最大限の威圧なのよ?
「味塩胡椒を売るのは辞めてください!」と叫びだした
かなり必死に…
店が傾く程の胡椒を買い付けて都に卸しに行き
(前回)
売ってる最中に味塩胡椒が売り主側の手に渡り
味塩胡椒に嵌まった売手が渋り始め
値切られるという事態になってるらしく…このままでは破産まっしぐらなのだそうだ
「それなら作り方が分かるようにそっちに渡すから、それを元に作ったらどーだ?」
はいっと味見用で開けた一つを取り出して渡す
「え。そんな簡単にいーのか?」と味塩胡椒を両手で持ちながら聞いてくる
素直に渡した事に驚いているようだ
「うん、構わないよー売り物が無くなった訳じゃないからね」とサラマンの粉とドライアドの塗り薬を見せてやる
次の中心販売はこれだよーと水を持ってきてもらい実演してやった
それを見た男は「何そのチート」と怒り出した
さっきから怒られてばかりだな…
「君もあの勇者みたいにチート持ちなんだな!」と言い出した
あの勇者…勇者といえばアイツしか思い浮かばない
試しに他にも勇者が居るか聞いてみたが
「勇者は天蓋の勇者しか居ないよ!」といわれ
…親父ってチート野郎だったんだ…と呟いた
「え!なに!?父親なの!?」と更に驚愕し
親子で転生なんてあんのかよ!!!と喚き出した
「すまん!転移ね多分だけど…」
なんで自信ないんだよ!!と更に怒られたので
霧の森の中の話をしてあげた
椅子に座り直した彼は頭を抑えて呻き出し
「今までの俺の苦労は何だったんだ…」と泣き出した
小一時間程泣いて(泣き過ぎだろ)
はぁー…と溜息を吐き出すと
「私はもう結婚もしているし、今更現代には帰れない、だが仕入先があるなら私は商売がしたい」と言って、俺の手を握り買いたい物がある!っと言い出した
「誰も取引するとは言ってないんだか…」と呟いてみても、彼の耳には届かない様だった
「実は…チロ○チョコが食べたい」と頬を紅くさせて言う
その姿は声を出さなければ女の子の様で
もし俺が好き者の類だったら拐って娘として永遠に愛でて暮らしたくなる程可憐であった
(例えが気持ち悪い…)
チロ○チョコ
ひと粒10円ないし20円のそのチョコレートは
子供から大人まで楽しめる大人気菓子の一つで
恐ろしいのはその値段にある
100円あれば満足する程買えるのに、味は高級チョコレートと遜色ない程美味いのだ
こんな素晴らしいチョコレートを私は知らない
世界中を探しても見つからなかったし!
異世界中を探しても見付からなかった!
あんなに美味しいのに!
世界各地で売りに出されても問題ないのに!
なぜ近所のスーパーが仕入れてないんだ!!
あの有名な鳥のマークのネットスーパーですら
最初だけだった!!担当呼び出して巫山戯んな!!!なんで仕入れないんだ!!!と怒鳴ったものだ
キット○ットも他のチョコレートも沢山あるのに
何故チロ○チョコが無いんだ!!!!
近所のウ○ルシアにも無かった!!!!
舐めてるのか!!!!思わず店員に怒り店を出禁にされるかも知れないくらい迫ったのに!!!!
マル○ツで見付けてバックヤード含めて全て買い占めたら怒られるってなんだ!!!!
他でも買える商品ですから、買い占めは困ります…だと!!?
他に売ってないから仕方ないだろーがァァァ!!!!!
箱で売ってるのを箱で買って何が悪いんじゃああああああああああああああああああっ!!!!!!
作者の叫びも混ざってるって程の叫びだった
少し落ち着くまで彼を待つことになった
ズズ‥‥と冷めた紅茶を啜る男を見る
瞼が赤く腫れてしまっていた
かなり泣いたからだろう…
俺はメンタームを取り出し二枚貝(アサリ)に挟むと手渡した
男は無言で受け取ると目礼して瞼に塗り始めた
効能は覿面で塗った側から治っていくので驚いていた(チート…)とポソリと言った言葉は聴こえないふりをした
ようやく落ち着いてきたようなので
俺の背負子から緑茶をだし
急須が無かったので紅茶用のポットを借りて
緑茶を淹れた
それを紅茶用のカップに注ぎ
熱い内にどーぞと手渡した
俺と男は暫く緑茶を楽しんで
おもむろに此方を見て謝った
「取り乱してすまなかった…」
だが、私の思いは伝わっただろう?
そう目で訴えていた
「…貴方の熱いチロ○チョコ愛は伝わった、確かにそれを取引する事は可能だし、箱で買う事も可能だろう」と伝えてやると
目が明らかにキラキラと輝き
俺の手を取り胸に抱き娘の如く輝きを放ちながら
強く頷いて「宜しく頼む!!!!」と一言言った
その夜はそのままシノの休む部屋へと案内され
疲れもあったので寝る事にした
次の朝目が覚めると
右から左の大騒ぎになっていた
忙しく働く店主を捕まえて
朝から何事か聴いてみれば
貰った味塩胡椒を作る為にこの場所を改造するべく動いているらしい
何はともあれコレで商会も立ち直れると
本当に助かったとお礼を言われた
キャンプの外まで送ってもらうと
そーだ!とばかりにハマグリの二枚貝を出し
其処にドライアドのメンタームをタップリくっつけ何個か手渡した
目を剥いて「良いのか!?」というので
「おう!これからも宜しくな!」と伝えて
その場を後にした
「味塩コショーもう売らないの?」と聴くシノに
「売らないよー」と答えそのかわり…と続ける
他の物を売る良い情報を貰ったからな!
と続ける
「ふーん売れると良いねぇ♪」と言って笑った
今度街に行ったとき…ブラッ○○ンダー
を箱で買ってきて、それを店で売り
チロ○チョコを店主に売れば中々良い稼ぎになりそうだ!とほくそ笑んだ
その後村に戻る途中で河童に会った
その河童は片手にきゅうりを持っていた
畑から盗んで来たようだ
そのきゅうりをどーするのか見ていると
嘴の中央に穴が開いていて
其処に突っ込んで食べていた
それしか食べられなそうで不憫に思ったが
所詮ゴブリンか…と、無視する事にした
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追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
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王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
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王太子レオンの盲信。
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そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
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《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
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数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
日曜日以外、1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
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2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております!
こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!!
2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?!
なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!!
こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。
どうしよう、欲が出て来た?
…ショートショートとか書いてみようかな?
2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?!
欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい…
2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?!
どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
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田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
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