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40話
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「コチラ15771部隊感度良好! どうぞ! 」
「コチラ15771部隊感度良好! どうぞ! 」
「コチラ15771部隊感度良好! どうぞ! 」
「ちょっといいかな? 」
「なんですか? 」
「なんでしょう? 」
「僕達で名付けしないか? 」
「え? どーゆーことだ? 」
「妖精同士で名付け? 」
「そうだ! 名前が無いから誰が何を言ってるか理解されないと思うんだ! 」
「確かに誰が言ったか分からないね 」
「それは分かるけど、名付け出来るのか? 」
「言い出しっぺの僕がお前に名付ける!お前は【えー】だ!これからえーと名乗れ!」
「名付け確認しました!コレから僕はAと名乗ろう!」
「Aの僕がお前に名付ける!お前は【びー】だ!これからびーと名乗れ!」
「名付け確認しました!コレから僕はびーと名乗ります!」
「びーの僕がお前に名付ける!お前は【クニクニ】だ!コレからお前はクニクニと名乗れ!」
「名付け確認しました!コレから僕は…僕は…何で僕だけクニクニなんだ?」
「おい!びー!何で僕だけ違うんだ!差別やめろ!」
「何だと‼僕の好きな言葉をお前に送っただけじゃないか!いーからクニクニって呼ばれろ!」
「なっ!巫山戯るな!お前は良いよな!びーって名前で!僕なんてクニクニだぞ!言いにくいだろうが‼」
「まぁまぁ二人とも、所詮名前じゃないか?気にし過ぎだって」
「「えーは黙ってろ」」
「えー……」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
名も無き妖精隊村長探索班572583部隊
コチラ572583部隊酒造待機班視界良好!村長は見当たりません!どうぞー♪
コチラ572583部隊トマト村待機班視界良好!村長は見当たりません!どうもぐもぐ!
コチラ572583部隊宿屋待機班視界良好!村長見当たりません!もぐもぐもぐもぐ!
あんたち何してんだい?
「村長の捜索です!もぐもぐもぐもぐ」
そ、そうかい…が、頑張るんだよ?
「応援ありがとう御座います!たくあんおかわり貰っても宜しいですか?」
え?あ、ああ……好きなだけ食べな?……
ところで村長は異世界に行ったんじゃないのかい?
「村長のことだから帰ってくるかもしれません!なので、ここで待機するのです!」
あ、ああ…そうなのかい?
「そうなのです!あ、ご飯のおかわり宜しいですか?」
え?ああ、うん。一杯食べな?
(シルフも大変なのねぇ……)
と、しみじみ思う満《みちる》だった。
△▼△▼△▼△▼△
翅妖精外縁部村長捜索班995153部隊
こちらー……えーっと捜索班……ムニャムニャ
いじょうなーし……グゥグゥ
んー……Zz‥
「どしたん?トマコさん?」
え?いえ、この子達何で隣町で寝てるのかなぁって……
「ああ、何でも村長が家出したから此処にも来るかもって事で来たけど疲れたから寝ますって、昨晩からずーっと寝たままなのよ」
起こすのも可哀想かな?って…
(魔王の家出……創作威力湧きますわね……)
次の絵本のネタにしようかしら……
「トマコさんや、美味しそうな肥料見付けたので如何だろうか」満面の笑みで善治さんが持ってくる
まぁ!美味しそう!いつも有難うございます!善治様♪トマコは幸せですわ♫
「いやーえへへ」っと照れる爺さん
(全くトマコさん来ると駄目ねこの男は……)
鼻の下伸ばしちゃって全く…
帝国領カレーオ城の長い廊下を小走りで歩む者が朝から大声で叫ぶ、そして、皇帝専用執務室の扉をドンドンと叩き返事を待たずにガチャリと開ける
「殿下!! 殿下‼ 報告です‼ 妖精の目撃情報が増えてます!! 」
そう叫びながら、報告するのはこの国の宰相で
リンツ・ド・ゴニーハチミであった
帝国では数年ぶりの目撃情報で浮かれに浮かれた為の暴走であったが、誰も咎める者などおらず、寧ろ大いに喜ぶ自体であった
「それは、本当か‼ ならば良い! 早速聖女に報告をしてあげてください‼ これで、契約でもして頂く事さえ出来れば、帝国は安泰出来ます!! 私の事は方って置いて構いません!! 先に聖女へ!! 頼みますよ?
リンツ宰相」休憩中にお茶を呑んでいた殿下は、そう言って喜んだ
「はっ‼ 殿下!! その様に致します‼ ですが三体づつの報告で何か組織めいてるという報告もあるんですが…大丈夫でしょうか……」
汗を拭きながら、殿下に心配事を伝える
「なに、大丈夫であろ? 少なからず悪い方向には進まないでしょう? 何せ数年ぶりの吉報ですよ? きっと良い報告が続きますとも!! 」
満面の笑みで手放しで喜ぶ殿下に水を指す訳にもいかないと、執務室を跡にする。
些細な心配事など聖女にさえ伝えれば全ては好転する筈と、言い聞かせて教会へと向かう宰相の顔は不安顔であったそうだ
ここは、5年前に帝国領で召喚した聖女が住む教会、聖女の名は黒田シロコ(19)(召喚時14歳中3)
シロコは先程からフワフワと果物の回りを飛んでいる光を見ていた。最初は妖精かと思って喜んだが、見た感じはコロコロとして丸く、可愛いかも知れないが、彼女の目には小さなオークと変わらない用に見えていた
それもその筈、帝国領に辿り付く迄に摘み食いをしまくったお陰でプクプクに膨れた翅妖精達は特に重さを感じない所以に際限無く肥るに太っていた
今では原型など跡形も無い。コレを翅妖精と断言しても良いのか、聖女には判断できなかったし
ましてや、身も心も捧ぐ契約なんて到底出来るものでは無かった。
「うぅぅ……コレと契約しろですって⁉ 冗談じゃないわよ! ティンカー○ルならまだしも……こんなチビオーク何かと契約なんてしたらその日に妊娠するわよっ!!! 」と、嘆く。
そんなのは全く関係無いよとばかりに果物を物色する妖精達は「良い香り」とか「美味しそう」などとしか言わなかった。だが……。
此方!! 村長捜索班1001部隊である! 教会班報告を求む!! 」
「ハイハイ!! 此方そんちょー捜索班575部隊教会内探索:田螺《たにし》の宴‼ 聖女の寝室で果物発見‼ どうぞー! 」
「出来したであります!!! 直ちに向かう!!! 暫し待たれよ!!! 」と、最早果物探しに成ってるオーク翅妖精
6000人のオーク翅妖精はこの跡数百年間に渡ってこの地に住み、多くの聖女を絶望の内に沈めたと同時に果物の豊作に貢献したそうだ。
だが今はその事を誰も知らない……
霧森に入って4日目……やっと出れた
俺は迷子になっている。
何故か出た先が何時もと違う雰囲気の場所だったからだ
現世でも異世界でも見た事も無いような草花が咲き乱れ、池にはキラキラした者達が舞い踊り、花に関しては歌い踊っている。
正しくここはメルヘンをそのまま飛び出した様な世界が広がっていた。
道なき道を進み、足元を見れば「ちょっとあんた! 踏んでる! 踏んでるって! 痛い! 痛いよ! 」と叫ばれる始末
最初こそ1歩1歩確認して歩んでいたが、途中からどうでも良くなって、今は気にせず踏みしめて歩いてる。
なので足元からは「ギャー! 」とか「ヒィィ!? 」とか悲鳴が凄い事に成っていた。 そして、面白そうな物を見付けたら、ダッシュして向かうもんだから
地を蹴る圧力で「グギャ!? 」や「グウギョ!? 」等の異音が足音の様に花園に響いていった。
それを見兼ねた花の女王は彼に話しかけて止めさせようと試みたのだが
「もしもし? そこなお方、どうか私の話を聴いては貰えませんか? 」
と、最初話しかけたがスルーされて通り過ぎていかれた。
今度は口調を変えて
「ちょっとあんた!! 待ちなさいよ!! 何通り過ぎてんのよ!!? アンタ!!! ちょっと!! 聴いてるの!!? 」
だが、全く聴いて貰えない……
この花の女王はラフレシアで生えてる場所が遠くにある為、近くの昆虫に憑依して話し掛けていた。
その昆虫が、【蚊】であったものだから全く声が聴こえていなかった。
そんな事は理解出来ない花の女王は彼の耳元で話し掛けようと試みた。のがいけなかった様で……プィィン「ちょっ……パチンッ! 」と、一発で死んでしまった。
「んなっ!? 何て乱暴な訪問者か!!! 」と、激怒し、全昆虫に攻撃命令が下ったのだった
そんな事に成ってるとは露知らず、草花を踏み潰しながら蹂躙していると、とある広場が見えて来たので、走り寄って行く。
其処には草原が広がり、一本の大きな樹木がそびえ立っていた。
「おおっ‼ でかっ‼ すげぇっ‼ 住みたい‼ 住もう!! 」
という、短絡的な思考から此処を拠点にして住み込もうと決めたのだった。
この木には名前があった
【世界樹】
それがこの木の名前だった
そんなもん知らなかった村長はスルスルと登っていき
(……む? 誰じゃ? 儂の眠りを妨げる者は? )
一番広そうな枝で止まると幹を調べ始めた。
(誰じゃと申すに‼ )
そして……剣鉈を取り出すと思いっ切り剣先を叩き込んだ
(うぎゃっ⁉ な、なにを⁉ )
「ガッ‼ ガッ‼ ザクッ!! ザックッ‼ ザックッ‼ 」
(ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあっ!!? )
その音は半日程続き小さい穴が洞穴の様に広がった頃にようやく止まった。
(ぁあ‥あが‥‥ )
ザクザクと削ったもんだから壁が針のようで痛々しかったので、布にウンディーネの水を浸すと撫でていった。
こうすると、削った部分が癒やされて平らになるのだ。
(ぉ? ぉおお…痛みが引いて行く…ぁあ‥癒やされる‥‥何と慈悲深い者なのじゃ…)
住みやすい様に削り取った破片で机を作ったり椅子を作ったり棚やドアを付けていった。
そして外にも露天風呂を作った。
ドアには光取りが付けられ昼間はドアを開けずとも明るい部屋に成った。
(慈悲深い者よ……我が痛みを癒やしてくれた礼に儂の加護を与えよう)
(フフ‥ 聴こえぬか……まぁ良いわ好きに使え)
と、また長い眠りに付いた世界樹であった
風呂とは反対方向の木の凹み部分に下の地面から砂というか、土を大量に運び込み水を撒いて湿らせる
その上に乾いた土をサラサラと乗せて厚みを作り、その上に大き目の石やらを使って竈を作る
木に熱があまり伝わらない様にするのが決め手だ
その上ならば木の上でも火が使えるからな。
竈を作ったら、昨日砕いた木の破片を種火にして火を付けるもっくもくと煙が出て来たら枯れ木の細い奴を入れて燃やし、段々太い枯れ枝を入れて炭が出来始めたら、太い薪を入れて行く
あとはもう放置して、網を置いて壺から兎肉を焼いて行く。表面に油が浮いて来たら、ひっくり返し
て、また焼いていく。良い匂いがしてきたら塩をパラパラと掛けて、あとは齧り付くだけ!
あ~美味いね!飽きのこない肉はやっぱり兎肉しかないねー。あの村に来てからずーっと食ってる気がするけど、飽きた事がない。本当に良い肉だよ
油も適量でしつこくないし、赤身も噛めば噛むほど旨味が出る。「ん~♡」
「随分美味そうに肉を食う奴だな貴方様は」
っと、声がしたので振り向くが居ない
「あれ?どこだ?」と、聴いてみると
「上ですよ上」というので、頭を上に見るが居ない
「揶揄うなよ居ねーじゃねーか」
「上と言っても頭の上ですよ貴方様よ」
と、言われたので
「そんなとこに居ねーで、降りてこいよ。顔も見えねーんじゃ話も出来ないだろ?」
「そうですね、これは失敬」と、ブゥん‥と鈍い羽音がしたと思ったら横に降りてきた
「これはまたでかい蜂がきたな」と、皿を出して「蜜がいいかい?それとも酒かい?日本酒がお勧めだが、蜂蜜酒もあるよ?」と聴く
「おやおや、それじゃ蜂蜜酒を貰おうかな」
日本酒は知らんようだ
俺特性の蜂蜜酒を皿に出してやる
「やっ!忝い!」そう言って呑みだした(侍か!)
「おおっこれはまた美味い蜂蜜酒ですね!」
「お褒めに預かり光栄です」
そう言って残りの肉を頬張る。
ご馳走様でした!今日もうまかったです
っと、合掌すると
俺もグラスを出して蜂蜜酒をやる
「うん。今年の蜂蜜酒も美味く出来たな」
と、頷きながらクピクピと飲む
グビグビは呑まない。すぐ無くなるし、酔も回るからね
「もう一杯呑むかい?」と聴くと
「イヤイヤ、忝い!」と、皿に注ぐ
だいぶ落ち着いたかなぁっと思った所で
「所で蜂さんや」
「ハイハイなんざんしょにぃさん」
「俺はコージって言います、貴方は?」
と、最初に聞けよ!っと突っ込まれそうな話をしてみる
「いやいや、今更かいにぃさん。儂は昆虫王のマーヤと申します、お見知りおきを」
「そうかい、マーヤさんかよろしくな」
「はい、こちらこそ宜しくです」
「で?何ぞ用かい?」
「あはははっ器がデカいのか何なのか分からない人ですな」
「褒め言葉として受け取っておくよ。で?」
「花の女王から暗殺の依頼があったんですがね?
よく見りゃ、貴方様は世界樹の加護持ちと来た、むやみに殺す事が出来なくなりましてね?さて、どーしようかと困ってたところで」
「ナルホドねー。所で何で花の女王から?」
「何でも蚊に憑依して話し掛けたが、無視されたばかりか殺されたそうで」
「蚊で話し掛けられたって人には聴こえねーよ、それに蚊は人の世界じゃ害虫でな?殺さないと血を吸われるから、そりゃ仕方ない」
「なるほど!では、その様に伝えておきますよ」
「うん、よろしくね」
「いえいえ、美味い酒も飲ませてもらいましたしね。その礼ですよ」
「しかし、世界樹が加護を与えるなんて初めてですな」
「そうなのか?いつ貰ったか知らんのだけど」
「ほうほう、それだと寝る前に付けたんでしょうね」
「そうなのか?」
「ええ…いや、しかしそれだと…兄さんステータスオープンて、唱えて見てくれませんかね?」
「うん?ステータスオープン!」
「頭に浮かんでる加護の前に全権代理とか出てませんか?」
「ちっと待ってな…えーっと…おー、出てるね」
「全権代理者強加護って出てるね」
「あらあら強まで出てるんですかい…」
「何かあるのか?」
「そ~ですね、簡単に言いますと各王と同等の格を任されたって事ですよ。精霊に関しては、精霊王の上ですね」
呑んでた酒を吹き出したわ!!!!
「コチラ15771部隊感度良好! どうぞ! 」
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「ちょっといいかな? 」
「なんですか? 」
「なんでしょう? 」
「僕達で名付けしないか? 」
「え? どーゆーことだ? 」
「妖精同士で名付け? 」
「そうだ! 名前が無いから誰が何を言ってるか理解されないと思うんだ! 」
「確かに誰が言ったか分からないね 」
「それは分かるけど、名付け出来るのか? 」
「言い出しっぺの僕がお前に名付ける!お前は【えー】だ!これからえーと名乗れ!」
「名付け確認しました!コレから僕はAと名乗ろう!」
「Aの僕がお前に名付ける!お前は【びー】だ!これからびーと名乗れ!」
「名付け確認しました!コレから僕はびーと名乗ります!」
「びーの僕がお前に名付ける!お前は【クニクニ】だ!コレからお前はクニクニと名乗れ!」
「名付け確認しました!コレから僕は…僕は…何で僕だけクニクニなんだ?」
「おい!びー!何で僕だけ違うんだ!差別やめろ!」
「何だと‼僕の好きな言葉をお前に送っただけじゃないか!いーからクニクニって呼ばれろ!」
「なっ!巫山戯るな!お前は良いよな!びーって名前で!僕なんてクニクニだぞ!言いにくいだろうが‼」
「まぁまぁ二人とも、所詮名前じゃないか?気にし過ぎだって」
「「えーは黙ってろ」」
「えー……」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
名も無き妖精隊村長探索班572583部隊
コチラ572583部隊酒造待機班視界良好!村長は見当たりません!どうぞー♪
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コチラ572583部隊宿屋待機班視界良好!村長見当たりません!もぐもぐもぐもぐ!
あんたち何してんだい?
「村長の捜索です!もぐもぐもぐもぐ」
そ、そうかい…が、頑張るんだよ?
「応援ありがとう御座います!たくあんおかわり貰っても宜しいですか?」
え?あ、ああ……好きなだけ食べな?……
ところで村長は異世界に行ったんじゃないのかい?
「村長のことだから帰ってくるかもしれません!なので、ここで待機するのです!」
あ、ああ…そうなのかい?
「そうなのです!あ、ご飯のおかわり宜しいですか?」
え?ああ、うん。一杯食べな?
(シルフも大変なのねぇ……)
と、しみじみ思う満《みちる》だった。
△▼△▼△▼△▼△
翅妖精外縁部村長捜索班995153部隊
こちらー……えーっと捜索班……ムニャムニャ
いじょうなーし……グゥグゥ
んー……Zz‥
「どしたん?トマコさん?」
え?いえ、この子達何で隣町で寝てるのかなぁって……
「ああ、何でも村長が家出したから此処にも来るかもって事で来たけど疲れたから寝ますって、昨晩からずーっと寝たままなのよ」
起こすのも可哀想かな?って…
(魔王の家出……創作威力湧きますわね……)
次の絵本のネタにしようかしら……
「トマコさんや、美味しそうな肥料見付けたので如何だろうか」満面の笑みで善治さんが持ってくる
まぁ!美味しそう!いつも有難うございます!善治様♪トマコは幸せですわ♫
「いやーえへへ」っと照れる爺さん
(全くトマコさん来ると駄目ねこの男は……)
鼻の下伸ばしちゃって全く…
帝国領カレーオ城の長い廊下を小走りで歩む者が朝から大声で叫ぶ、そして、皇帝専用執務室の扉をドンドンと叩き返事を待たずにガチャリと開ける
「殿下!! 殿下‼ 報告です‼ 妖精の目撃情報が増えてます!! 」
そう叫びながら、報告するのはこの国の宰相で
リンツ・ド・ゴニーハチミであった
帝国では数年ぶりの目撃情報で浮かれに浮かれた為の暴走であったが、誰も咎める者などおらず、寧ろ大いに喜ぶ自体であった
「それは、本当か‼ ならば良い! 早速聖女に報告をしてあげてください‼ これで、契約でもして頂く事さえ出来れば、帝国は安泰出来ます!! 私の事は方って置いて構いません!! 先に聖女へ!! 頼みますよ?
リンツ宰相」休憩中にお茶を呑んでいた殿下は、そう言って喜んだ
「はっ‼ 殿下!! その様に致します‼ ですが三体づつの報告で何か組織めいてるという報告もあるんですが…大丈夫でしょうか……」
汗を拭きながら、殿下に心配事を伝える
「なに、大丈夫であろ? 少なからず悪い方向には進まないでしょう? 何せ数年ぶりの吉報ですよ? きっと良い報告が続きますとも!! 」
満面の笑みで手放しで喜ぶ殿下に水を指す訳にもいかないと、執務室を跡にする。
些細な心配事など聖女にさえ伝えれば全ては好転する筈と、言い聞かせて教会へと向かう宰相の顔は不安顔であったそうだ
ここは、5年前に帝国領で召喚した聖女が住む教会、聖女の名は黒田シロコ(19)(召喚時14歳中3)
シロコは先程からフワフワと果物の回りを飛んでいる光を見ていた。最初は妖精かと思って喜んだが、見た感じはコロコロとして丸く、可愛いかも知れないが、彼女の目には小さなオークと変わらない用に見えていた
それもその筈、帝国領に辿り付く迄に摘み食いをしまくったお陰でプクプクに膨れた翅妖精達は特に重さを感じない所以に際限無く肥るに太っていた
今では原型など跡形も無い。コレを翅妖精と断言しても良いのか、聖女には判断できなかったし
ましてや、身も心も捧ぐ契約なんて到底出来るものでは無かった。
「うぅぅ……コレと契約しろですって⁉ 冗談じゃないわよ! ティンカー○ルならまだしも……こんなチビオーク何かと契約なんてしたらその日に妊娠するわよっ!!! 」と、嘆く。
そんなのは全く関係無いよとばかりに果物を物色する妖精達は「良い香り」とか「美味しそう」などとしか言わなかった。だが……。
此方!! 村長捜索班1001部隊である! 教会班報告を求む!! 」
「ハイハイ!! 此方そんちょー捜索班575部隊教会内探索:田螺《たにし》の宴‼ 聖女の寝室で果物発見‼ どうぞー! 」
「出来したであります!!! 直ちに向かう!!! 暫し待たれよ!!! 」と、最早果物探しに成ってるオーク翅妖精
6000人のオーク翅妖精はこの跡数百年間に渡ってこの地に住み、多くの聖女を絶望の内に沈めたと同時に果物の豊作に貢献したそうだ。
だが今はその事を誰も知らない……
霧森に入って4日目……やっと出れた
俺は迷子になっている。
何故か出た先が何時もと違う雰囲気の場所だったからだ
現世でも異世界でも見た事も無いような草花が咲き乱れ、池にはキラキラした者達が舞い踊り、花に関しては歌い踊っている。
正しくここはメルヘンをそのまま飛び出した様な世界が広がっていた。
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最初こそ1歩1歩確認して歩んでいたが、途中からどうでも良くなって、今は気にせず踏みしめて歩いてる。
なので足元からは「ギャー! 」とか「ヒィィ!? 」とか悲鳴が凄い事に成っていた。 そして、面白そうな物を見付けたら、ダッシュして向かうもんだから
地を蹴る圧力で「グギャ!? 」や「グウギョ!? 」等の異音が足音の様に花園に響いていった。
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「もしもし? そこなお方、どうか私の話を聴いては貰えませんか? 」
と、最初話しかけたがスルーされて通り過ぎていかれた。
今度は口調を変えて
「ちょっとあんた!! 待ちなさいよ!! 何通り過ぎてんのよ!!? アンタ!!! ちょっと!! 聴いてるの!!? 」
だが、全く聴いて貰えない……
この花の女王はラフレシアで生えてる場所が遠くにある為、近くの昆虫に憑依して話し掛けていた。
その昆虫が、【蚊】であったものだから全く声が聴こえていなかった。
そんな事は理解出来ない花の女王は彼の耳元で話し掛けようと試みた。のがいけなかった様で……プィィン「ちょっ……パチンッ! 」と、一発で死んでしまった。
「んなっ!? 何て乱暴な訪問者か!!! 」と、激怒し、全昆虫に攻撃命令が下ったのだった
そんな事に成ってるとは露知らず、草花を踏み潰しながら蹂躙していると、とある広場が見えて来たので、走り寄って行く。
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「おおっ‼ でかっ‼ すげぇっ‼ 住みたい‼ 住もう!! 」
という、短絡的な思考から此処を拠点にして住み込もうと決めたのだった。
この木には名前があった
【世界樹】
それがこの木の名前だった
そんなもん知らなかった村長はスルスルと登っていき
(……む? 誰じゃ? 儂の眠りを妨げる者は? )
一番広そうな枝で止まると幹を調べ始めた。
(誰じゃと申すに‼ )
そして……剣鉈を取り出すと思いっ切り剣先を叩き込んだ
(うぎゃっ⁉ な、なにを⁉ )
「ガッ‼ ガッ‼ ザクッ!! ザックッ‼ ザックッ‼ 」
(ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあっ!!? )
その音は半日程続き小さい穴が洞穴の様に広がった頃にようやく止まった。
(ぁあ‥あが‥‥ )
ザクザクと削ったもんだから壁が針のようで痛々しかったので、布にウンディーネの水を浸すと撫でていった。
こうすると、削った部分が癒やされて平らになるのだ。
(ぉ? ぉおお…痛みが引いて行く…ぁあ‥癒やされる‥‥何と慈悲深い者なのじゃ…)
住みやすい様に削り取った破片で机を作ったり椅子を作ったり棚やドアを付けていった。
そして外にも露天風呂を作った。
ドアには光取りが付けられ昼間はドアを開けずとも明るい部屋に成った。
(慈悲深い者よ……我が痛みを癒やしてくれた礼に儂の加護を与えよう)
(フフ‥ 聴こえぬか……まぁ良いわ好きに使え)
と、また長い眠りに付いた世界樹であった
風呂とは反対方向の木の凹み部分に下の地面から砂というか、土を大量に運び込み水を撒いて湿らせる
その上に乾いた土をサラサラと乗せて厚みを作り、その上に大き目の石やらを使って竈を作る
木に熱があまり伝わらない様にするのが決め手だ
その上ならば木の上でも火が使えるからな。
竈を作ったら、昨日砕いた木の破片を種火にして火を付けるもっくもくと煙が出て来たら枯れ木の細い奴を入れて燃やし、段々太い枯れ枝を入れて炭が出来始めたら、太い薪を入れて行く
あとはもう放置して、網を置いて壺から兎肉を焼いて行く。表面に油が浮いて来たら、ひっくり返し
て、また焼いていく。良い匂いがしてきたら塩をパラパラと掛けて、あとは齧り付くだけ!
あ~美味いね!飽きのこない肉はやっぱり兎肉しかないねー。あの村に来てからずーっと食ってる気がするけど、飽きた事がない。本当に良い肉だよ
油も適量でしつこくないし、赤身も噛めば噛むほど旨味が出る。「ん~♡」
「随分美味そうに肉を食う奴だな貴方様は」
っと、声がしたので振り向くが居ない
「あれ?どこだ?」と、聴いてみると
「上ですよ上」というので、頭を上に見るが居ない
「揶揄うなよ居ねーじゃねーか」
「上と言っても頭の上ですよ貴方様よ」
と、言われたので
「そんなとこに居ねーで、降りてこいよ。顔も見えねーんじゃ話も出来ないだろ?」
「そうですね、これは失敬」と、ブゥん‥と鈍い羽音がしたと思ったら横に降りてきた
「これはまたでかい蜂がきたな」と、皿を出して「蜜がいいかい?それとも酒かい?日本酒がお勧めだが、蜂蜜酒もあるよ?」と聴く
「おやおや、それじゃ蜂蜜酒を貰おうかな」
日本酒は知らんようだ
俺特性の蜂蜜酒を皿に出してやる
「やっ!忝い!」そう言って呑みだした(侍か!)
「おおっこれはまた美味い蜂蜜酒ですね!」
「お褒めに預かり光栄です」
そう言って残りの肉を頬張る。
ご馳走様でした!今日もうまかったです
っと、合掌すると
俺もグラスを出して蜂蜜酒をやる
「うん。今年の蜂蜜酒も美味く出来たな」
と、頷きながらクピクピと飲む
グビグビは呑まない。すぐ無くなるし、酔も回るからね
「もう一杯呑むかい?」と聴くと
「イヤイヤ、忝い!」と、皿に注ぐ
だいぶ落ち着いたかなぁっと思った所で
「所で蜂さんや」
「ハイハイなんざんしょにぃさん」
「俺はコージって言います、貴方は?」
と、最初に聞けよ!っと突っ込まれそうな話をしてみる
「いやいや、今更かいにぃさん。儂は昆虫王のマーヤと申します、お見知りおきを」
「そうかい、マーヤさんかよろしくな」
「はい、こちらこそ宜しくです」
「で?何ぞ用かい?」
「あはははっ器がデカいのか何なのか分からない人ですな」
「褒め言葉として受け取っておくよ。で?」
「花の女王から暗殺の依頼があったんですがね?
よく見りゃ、貴方様は世界樹の加護持ちと来た、むやみに殺す事が出来なくなりましてね?さて、どーしようかと困ってたところで」
「ナルホドねー。所で何で花の女王から?」
「何でも蚊に憑依して話し掛けたが、無視されたばかりか殺されたそうで」
「蚊で話し掛けられたって人には聴こえねーよ、それに蚊は人の世界じゃ害虫でな?殺さないと血を吸われるから、そりゃ仕方ない」
「なるほど!では、その様に伝えておきますよ」
「うん、よろしくね」
「いえいえ、美味い酒も飲ませてもらいましたしね。その礼ですよ」
「しかし、世界樹が加護を与えるなんて初めてですな」
「そうなのか?いつ貰ったか知らんのだけど」
「ほうほう、それだと寝る前に付けたんでしょうね」
「そうなのか?」
「ええ…いや、しかしそれだと…兄さんステータスオープンて、唱えて見てくれませんかね?」
「うん?ステータスオープン!」
「頭に浮かんでる加護の前に全権代理とか出てませんか?」
「ちっと待ってな…えーっと…おー、出てるね」
「全権代理者強加護って出てるね」
「あらあら強まで出てるんですかい…」
「何かあるのか?」
「そ~ですね、簡単に言いますと各王と同等の格を任されたって事ですよ。精霊に関しては、精霊王の上ですね」
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ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
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