真実を紡がない唇は切っておしまい!!真実の魔女は悪女です??

城咲美月

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「我が家」ってジュリアス様の家ですか。

今度はこちらが動きが止まったように、意識とは反対の手だけは自分のほっぺたをむにゅーと伸ばす。

「君は何をやっているんだ」と呆れるジュリアス様の言葉に
「いたいれす」と涙声でいう私。

目の前で指をぱちんと鳴らすとスッと痛みは消えた。

「これも魔法なんですか、すごいですね」と思った事を口にしただけなのに非常に驚いた表情をした後に
何でもないように表情が戻ったジュリアス様。


「もう何年も帰ってないがね」とまた事も投げに言うけれど
「住めるんですか」とするりとまたしても
私の口から言葉が勝手に漏れている。

さあーーーー。と血の気が引く。
けれどもまたもやジュリアス様は、「あはは!」と笑うのだった。


この日の光の塔で起こった出来事、ジュリアス様の笑い声を聞いた人々はこう思ったと言う。

「あの人も笑う事があるんだ」とーーーーーー。



*******






「それはさておき」
いや!さておいちゃダメでしょ!とツッコミを入れる。
が。

「住むかどうか、君の同意が必要なのだけどね」と
至極真っ当な事を言った。



えーーー、ジュリアスの家ってどんな所?
数年ぶりに帰る家を想像していると
「綺麗だと思うよ、魔法で保っているから朽ちてもいないしカビや虫だって湧いてない」

綺麗!朽ちてない!その言葉に
「はい!行きます!!」とシュバッと手を挙げた。



私は、この時速攻で答えたのを自分自身を恨むことになるとは思わなかった。

冷静になって考えれば分かるはずだったのに、
と悔やまれる。


エリアス様も妙に静かだった、と気づいていれば。




「よし、じゃあ気が変わらないうちに」と、
準備するからと、ジュリアス様の私室と思われる
物を片っ端から、何もないところに放り投げている。

そしてみるみるうちに何もなくなった。
家具は置いてあったけれど、あんなに豊富にあった本や
何か分からない薬草や危険物だと思われる何かの物体や
瓶を

次々と放り投げては消えていく瞬間を目にすれば。

もしかして、私は判断を誤ったのでは。と冷や汗をかく。

そうこうしているうちに私は、部屋の外に出ていて
ジュリアス様はドアの前に何か、オフダを取り出してぺたりと貼り付ける。


それは一瞬にして消えてなくなり、ドアさえも
そこにあると認識はなくなっていた。

目の錯覚なんかじゃない。
よく見ればそこにドアがあるのだと、トッテのついたドアノブが、壁に埋まっているかのように見えるだけ。

まるで痕跡を消すかのようだと私は思った。

 


それはジュリアス様しか出来ない芸道だと理解した。

「さすがね」とエリアス様が言えば


「年の功ですよ」と笑って答えるジュリアス様。


ジュリアス様が先に行くのを私は後から付いていく。



行く時には気にならなかった人々の話し声は、こちらまで聞こえるほどの「やっと出ていくんだ」
「役立たずエルフ」それは悪口で。

いや、わざと聞かせているんだ。
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべて、人々が噂をする顔はどこへ行っても同じだと思い知らされる。

またここでも同じーーーー。
コソコソと口に手を当てながら横目で見てくる視線と
愉快で堪らないと言うような、目の笑い方に
歪んだ口元。
心底汚いと思っているんだろう。

そんな視線に際まれながら進む足取りは、案外軽いものだった。

人々にとって欠かせない生活魔法は、一変して

「魔女に取り憑かれた悪い物」として人々は魔法を使わなくなっていた。
そう王族が発表して魔女狩りが起こった時から
血の粛清の発端を唆したとされるジュリアス様は、
それでも死罪を免れたのはそれでも、人々の生活が豊かになった「功績」として光の塔に入るーーー。
魔法の代わりになる魔法石を作る事で幽閉される事が罰だとされていた。

そう、エルフの寿命は長いその意味を知る人々からは
絶賛の声が上がったと言う。


光の塔に入ることで衣食住を補填する代わりに

死ぬまで、生活に欠かせない魔法石を作る事で罪を許してやろう、それがジュリアス様にかけられた罰。

それが「王族の優しさ」だと言うのだから笑っちゃう。


ジュリアス様が、光の塔の移監審問官にピラっと紙を見せて判子を貰っていた。

それをジュリアス様はくるくると巻いて大事そうに服の内側にしまっている。


ねえ「優しさ」ってなんだろうね?

エリアス様とジュリアス様が立ち止まって、振り返って笑顔を見せてくれる。

この時の笑顔のほうが私にはとても喜ばしい出来事なのだ。

ジュリアス様が向かった先には、何も変哲ない石が置いてある場所だった。

こちらも草が生い茂り、私達を上手く隠している。
「ジュリアス様、こちらに用があるのですか?」


「うん。ここから家に帰るんだよ」
とまた事も投げに言う。

トントン。と足元を指す仕草をしているので目線は自ずと足元に。

何かの文字が刻まれている石板のようだった
それをジュリアス様は最も簡単に草を払い除ける。

「酔うといけないからこれ食べて」と手渡されたのは、
何かのカプセル。じっと見つめる。

「エリ、大丈夫よこれは転移の酔い止めなの」
とエリアス様の説明が無ければ私は疑心暗鬼のままだっただろう。

得体の知れない
何も知らないまま薬を飲むのは怖いけど、「エリはまだ魔力に馴染んでないから酷く酔うと思うわ」

とエリアス様の心配そうな顔を見なければ飲まなかったであろう薬。
手元にある薬をまじまじと眺め、じーーーーと見つめる。

「怪しくない!」などとジュリアス様の必死に弁解する様子がますます怪しい。
「エリ、大丈夫よ私が保証する」と「3つ目のダイヤルを回してみて」と言われるがまま
ダイヤルを回してメガネを掛け直すと
「鑑定 酔い止めの薬」と本当に書いてあった。

だから渋々飲んだのだ。

飲んでいて良かったと後から思い知る。




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