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閑話 クリスマス
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「クリスマスに練習試合ってないわ~」
「まあまあそんなこと言わずにさ。今日の練習試合終わったら明日はオフなんだから」
部活友達を慰めながら準備運動をする貴史。
「部長はお堅いよな~。でも良い情報を聞いたぜ。なんと隣で女子の練習試合もあるそうなんだよ」
周りからは歓声が上がる。
これは女子がいて嬉しいという声ではない。
女子が練習試合をするということはそれだけコートが減り各々の試合数が減るのだ。
「今、歓声あげた奴外周プラス1周で」
「ちょ、貴史それはないって」
「そうですよ。部長だって嬉しいでしょ?」
「試合数が減るのはなぁ」
皆が少しの間沈黙を貫く。
「貴史に聞くのは間違いだって。テニス大好き人間なんだから。俺たちは俺たちで喜びを分かち合おうぜ」
その声にそうだなとか色々賛同の声をあげながら丁度来た先生の車に皆は向かっていく。
それを見ながらため息をつく貴史。
「まあ、こういういつ通りの感じで練習試合とか本番にも挑めるのが僕たちの良いところだしこれで良いと思うよ?」
貴史の横から声をかけたのは彼のペアだ。
「それもそっか」
貴史もそれには同意する。
本番の時もこういう雰囲気のため緊張していてもいつの間にかほぐれているという経験は彼の中にもあった。
◆
始めに相手の学校とこちらの学校それぞれが1コートずつ使いアップを始める。
今回は全5コートのテニスコート場の内3コートを使かえることになっている。
女子の方がペア数が少なかったそうでこちらの方が1面多く使えるようになったらしい。
印象的だったのが監督が女子チームの監督と仲良さげに話していたことだった。
監督は練習試合の申し込みなども行うため男子チームの監督と仲が良いのはわかるのだが、女子チームの監督とも仲が良いのは以外だった。
もしかすると前に同じ学校で勤めていたことがあるのかもしれないなと考えその思考を中断する。
◆
それは突然起こった。
貴史のペアが練習試合の途中に軽い捻挫をしてしまったのだ。
軽度のものであったが無理をして悪化してもいけないため貴史のペアは途中から見学ということになる。
必然的に貴史も試合は出来なくなるため審判をしていた。
こういうときは人数が奇数であれば余っている人と組めるのだが、今は偶数のため貴史が一人になってしまったのだ。
審判台に座り審判をしていると先程のように監督と女子チームの監督が話をしているのが見えた。
「ゲームカウント」
「部長、交代です」
ゲームを進行するためにコールしようとしたとき審判台の下から後輩に声をかけられた。
「?・・・・・・ありがとう。ゲームカウント2ー3ね」
「了解です」
なぜ交代するのかは分からなかったが後輩の厚意の可能性も考えられるため素直に感謝を述べ審判台から降りる。
◆
すると、監督が自分を呼んでいるのがわかった。
「広川、早速だが、女子の方に一人余りがいるらしくてな。その子と組めば試合ができるぞ」
皆からドンマイという視線が向けられているのを貴史は気づいた。
男子一人女子の中に入るのは確かに抵抗感はあるが、貴史にとってはこれからほとんど審判になる未来か女子の中に一人入って試合をする未来しかなかった。
「やってみます」
「わかった。一応話は通してあるからむこうの白髪の男の先生に話してこい。それと白髪は弄るなよ」
監督は時々そういう冗談をいうのは周知の事実であったため今さら驚くことはなかった。
水筒やラケットなどを持っていくために一度ベンチの所に向かう。
「ごめん、僕のせいで」
捻挫をしてしまったペアに謝られたが、貴史的には謝られる事ではなかった。
「別に良いって。早く治せよ」
「うん、ありがとう」
◆
監督に言われた通り白髪の先生の所に向かっていると途中でこちらに気付いたようでこっちこっちと手招きをされた。
「広川君だったね。先生から余計なことを言われなかった?」
一声聞いただけで温厚な先生だと分かった。
「・・・・・・」
「その間は言われたようだね。何て言われたんだい?」
「白髪はいじるなと」
その声にいち早く反応したのは白髪の先生の隣にいた女子であった。
「こら、中野。笑う所じゃないぞ」
怒るというよりも注意するという感じだった。
「コホン。教えてくれてありがとね。改めてだが、広川君と組む予定の中野だ」
先程笑っていた子がペアを組む子らしい。
「うちの一番手なんだけどペアが休んじゃってね。
大会も近いから他の子達もちゃんと試合をさせてあげたくて困ってたんだよ」
◆
「中野沙羅です。後衛です。よろしくお願いします」
「広川貴史です。前衛をしてます。お願いします」
なぜこんな堅苦しい挨拶なのかというと先程の白髪の先生の前で自己紹介をしているからである。
「お、丁度コートが空いたね。入ってみるかい?」
『はい』
これが二人の出会いであった。
「まあまあそんなこと言わずにさ。今日の練習試合終わったら明日はオフなんだから」
部活友達を慰めながら準備運動をする貴史。
「部長はお堅いよな~。でも良い情報を聞いたぜ。なんと隣で女子の練習試合もあるそうなんだよ」
周りからは歓声が上がる。
これは女子がいて嬉しいという声ではない。
女子が練習試合をするということはそれだけコートが減り各々の試合数が減るのだ。
「今、歓声あげた奴外周プラス1周で」
「ちょ、貴史それはないって」
「そうですよ。部長だって嬉しいでしょ?」
「試合数が減るのはなぁ」
皆が少しの間沈黙を貫く。
「貴史に聞くのは間違いだって。テニス大好き人間なんだから。俺たちは俺たちで喜びを分かち合おうぜ」
その声にそうだなとか色々賛同の声をあげながら丁度来た先生の車に皆は向かっていく。
それを見ながらため息をつく貴史。
「まあ、こういういつ通りの感じで練習試合とか本番にも挑めるのが僕たちの良いところだしこれで良いと思うよ?」
貴史の横から声をかけたのは彼のペアだ。
「それもそっか」
貴史もそれには同意する。
本番の時もこういう雰囲気のため緊張していてもいつの間にかほぐれているという経験は彼の中にもあった。
◆
始めに相手の学校とこちらの学校それぞれが1コートずつ使いアップを始める。
今回は全5コートのテニスコート場の内3コートを使かえることになっている。
女子の方がペア数が少なかったそうでこちらの方が1面多く使えるようになったらしい。
印象的だったのが監督が女子チームの監督と仲良さげに話していたことだった。
監督は練習試合の申し込みなども行うため男子チームの監督と仲が良いのはわかるのだが、女子チームの監督とも仲が良いのは以外だった。
もしかすると前に同じ学校で勤めていたことがあるのかもしれないなと考えその思考を中断する。
◆
それは突然起こった。
貴史のペアが練習試合の途中に軽い捻挫をしてしまったのだ。
軽度のものであったが無理をして悪化してもいけないため貴史のペアは途中から見学ということになる。
必然的に貴史も試合は出来なくなるため審判をしていた。
こういうときは人数が奇数であれば余っている人と組めるのだが、今は偶数のため貴史が一人になってしまったのだ。
審判台に座り審判をしていると先程のように監督と女子チームの監督が話をしているのが見えた。
「ゲームカウント」
「部長、交代です」
ゲームを進行するためにコールしようとしたとき審判台の下から後輩に声をかけられた。
「?・・・・・・ありがとう。ゲームカウント2ー3ね」
「了解です」
なぜ交代するのかは分からなかったが後輩の厚意の可能性も考えられるため素直に感謝を述べ審判台から降りる。
◆
すると、監督が自分を呼んでいるのがわかった。
「広川、早速だが、女子の方に一人余りがいるらしくてな。その子と組めば試合ができるぞ」
皆からドンマイという視線が向けられているのを貴史は気づいた。
男子一人女子の中に入るのは確かに抵抗感はあるが、貴史にとってはこれからほとんど審判になる未来か女子の中に一人入って試合をする未来しかなかった。
「やってみます」
「わかった。一応話は通してあるからむこうの白髪の男の先生に話してこい。それと白髪は弄るなよ」
監督は時々そういう冗談をいうのは周知の事実であったため今さら驚くことはなかった。
水筒やラケットなどを持っていくために一度ベンチの所に向かう。
「ごめん、僕のせいで」
捻挫をしてしまったペアに謝られたが、貴史的には謝られる事ではなかった。
「別に良いって。早く治せよ」
「うん、ありがとう」
◆
監督に言われた通り白髪の先生の所に向かっていると途中でこちらに気付いたようでこっちこっちと手招きをされた。
「広川君だったね。先生から余計なことを言われなかった?」
一声聞いただけで温厚な先生だと分かった。
「・・・・・・」
「その間は言われたようだね。何て言われたんだい?」
「白髪はいじるなと」
その声にいち早く反応したのは白髪の先生の隣にいた女子であった。
「こら、中野。笑う所じゃないぞ」
怒るというよりも注意するという感じだった。
「コホン。教えてくれてありがとね。改めてだが、広川君と組む予定の中野だ」
先程笑っていた子がペアを組む子らしい。
「うちの一番手なんだけどペアが休んじゃってね。
大会も近いから他の子達もちゃんと試合をさせてあげたくて困ってたんだよ」
◆
「中野沙羅です。後衛です。よろしくお願いします」
「広川貴史です。前衛をしてます。お願いします」
なぜこんな堅苦しい挨拶なのかというと先程の白髪の先生の前で自己紹介をしているからである。
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