異世界の転生者達

神崎桜哉

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第5話 王族転生

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 side:リョウ
 光が消え、周りを確認すると、物凄く豪華な一室のベットの上に寝ていた。
 自分が読んでいたラノベでは、森の中や草原に送られていたので、てっきり俺もそうなると思っていたから少し驚いている。
 どうやら、どこかの金持ちの子供として転生したらしい。
 突然、獣や魔物(居るか分からないが)に襲われるという命の危険は無くなったが、前世と呼べる記憶が存在するが故に、この世界での両親を両親と思えるか、そして、その人達がどんな人なのかとても不安である。
 あれ? というか、前世の記憶残ってていいのかな?ラノベだとよく残ってるけど...
 まぁ、考えても仕方ない...
 部屋でも見て回るか...!?
 このベットなぜこんなに高いの?
 足が床に付かないんだけど...
 あ...これ俺が小さくなってるのか!
 転ばないようにベットから飛び降り、近くにあった全身大の鏡で自分の姿を確認した。
 子供である。
 7、8才といったところか、前世の面影はまるでないが、髪の毛が白銀色なのに違和感のない顔立ちをしている。
 これはあれか、この世界はイケメンと美女しかいないというラノベに出てきそうな世界なのか。(自分以外の人間はまだ見たことないけど)
 と思っていると、部屋のドアがノックされた。
「レオン様、ルイナです。入ってもよろしいでしょうか?」
 女の人の声が聞こえた。
 その声と“ルイナ”という名前を聞いた瞬間、女の人の顔と何をしている人かわかった。
 なんだ、これ?
 今起きた現象を不思議に思いつつルイナを部屋に入れるためにドア開けた。
 ドアの前に居たのは先程頭の中に浮かんできた女の人とそっくり...いや、同じ人なのだろう。
 おそらくだが俺の意識が覚醒する前の俺の記憶が声や名前などの情報から蘇ったのだろう。
 そして、何故だろう。
 その女性が心底驚いた顔をしているのだ。
「どう、したんですか?」
「え?あ、いえ、申し訳ございません。まさか、レオン様自らドアを開けになるとは思ってもいなかったので...」
 俺はドアを開けられない人だと思われているのだろうか?
「そう、ですか。それで何かあったんですか?」
「!!」
 何故、また驚く ︎
 俺が不思議そうな顔をしていることに気がついたのか、女性...ルイナさんはハッとして話し出した。
「はい、国王様がお呼びです。」
  ︎ ︎ ︎
 何故、いきなり国王様に呼ばれるんだ!
 俺の意識が覚醒する前に何が...
 と思い、俺の意識が覚醒する前の記憶が蘇る...フラッシュバックと呼ぼう...フラッシュバックが起きないか待っていたが、一向に起きる様子もなく、大人しくルイナさんについていくのだった。

 部屋出てから無駄に広くて入り組んだ道を歩いていた。が、なんとなくだがどこに何があるのかわかる。これもフラッシュバックの影響だろう。
 そうこうしているうちに両開きの扉の前に着いた。
 ここに国王様がいるのだろう。
 ルイナがノックをした。
「国王様、ルイナです。レオン様を連れてまいりました。」
「入れ」
 力強い返事が返ってくると、ルイナさんが右側の扉を開けて、部屋の中で端に寄って俺の通る道を作る。
 物凄く緊張しながら、部屋に入った。
 その部屋は大手企業の社長室をさらに豪華にしたような部屋だった。
 そして、その部屋の奥には、机に向かってなにかの書類を作っていると思われる男がいた。
 その男を見た瞬間に、またフラッシュバックが起きた。
 これで俺が何故いきなり国王様に呼ばれたのかわかった。
 なんせ、国王様...ヴォルガ・カノーミスは俺のこの世界における父親なのだから。
 ルイナさんが礼をして部屋の外へ出ていく。
 それを見た父は持っていたペンを置き、机の前にあるソファに座った。
「レオンも座れ」
「はい」
 父と対面する形で座る。
「レオン、今日呼んだのはお前の魔法属性の適正検査についてだ」
 またフラッシュバックが起きた。
 どうやらこの世界は自分が使える魔法に適正があるらしく、それは教会に行って検査するようだ。俺はまだ受けてないらしい。
「今日、確かめに行けるのですか?」
 頭に浮かんできた質問をそのままする。
「ああ、もう属性の定着も終わってるだろうし、今日はちょうどお前の7才の誕生日だからな、プレゼントにしては些か足りないかもしれないが...」
「いえ、充分です!ありがとうございます。」
「そうかそれは良かった」
 父が満足そうに笑った。
 見た目はかなりの貫禄があるけど、優しそうな人でよかった。
「では、準備をしよう。出発は半刻後だ」
「わかりました」
 半刻って30分っていう認識でいいのかな?
 こっちの世界の時間感覚がわからないからな、早めに準備するか。
 部屋を出ると扉の横にルイナさんが立っていた。
 ちなみにルイナさんは俺の専属のメイドであることがフラッシュバックよりわかっている。
 そのため今はルイナさんに頼ることにしよう。
「ルイナさん、半刻後に教会に出発するので準備手伝ってもらえますか?」
 だから何故だ!何故そこで驚く?!
「レオン様、私のことはルイナと呼び捨てで構いません。また、王家が一介のメイドに頼みごとをするものではありません。するのであればご命令を」
 なるほど、王家である俺がメイドに敬語を使ったことで驚いたのか。
「わかった、ルイナ、教会に行く準備を手伝ってくれ」
「わかりました」

半刻後
 城の玄関であろう場所に父とその護衛、俺とその護衛、そして母であるマーレとその護衛、全員で6名が馬車に乗った。
 そしてその馬車を引く者が1名と馬車の周りを歩く兵士が左右に5人ずつで教会に向かった。
 馬車を使うとは思っていたが、こんなに大人数で行くとは思わなかった。
 王族なら当然なのだろうか?
 そんなことを考えながら6人も乗っているのに窮屈に感じないほどに広い馬車で10分か15分か経った時、馬車が止まった。
 教会についたのだろう。
 さて、俺は何属性かな?
 楽しみだ。
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