お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第24話 慰霊の儀式(前編)

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パージェント内乱終結より少し前。

僕はスタルフ・フリューゲル。
マッハリア王国に小さな領地を預かる侯爵家の次男。
二つ上に兄が居た。

約8年前。母が何者かに毒を盛られて亡くなった。
自分の記憶は曖昧だ。兎に角悲しかったのは覚えてる。

その日から、父上も兄上も人が変わってしまった。

父は他に妻を設けない事を暗に批判されても、頑として取らず、より堅物となった。
兄は外出や遠出が多くなり、早々と大人たちの中へ入って行った。何かを必死に調査していたと後で知る。

放置までは行かないまでも、余りに構われなくなり、忙しく走り回る兄と口論する事が多くなった。
それでも喧嘩している間は構って貰える。悪い事だと心の何処かで解っていても止められなかった。


そんな兄上が、十八の成人を迎えた当日に、旅に出た。
祝いと選別を兼ねた、家宝の剣だけを持って。

二度と戻らぬと言う。死んだものと思えと言う。
何も言い返せず、旅に出る目的も聞けず。
僕は別れ際に抱き締められた。

汗臭い筈なのに。嫌いだった筈なのに。
抱き締められている間、不思議な安心感を感じた。

遠い記憶の母ではないが、父似た匂いを感じた。


少ない言葉を交し見送った。
僕からの成人祝いの品は、遂に渡せなかった。


自分がフリューゲル家を継ぐのだとは、父からも聞かされ本格的な勉学を始めた。

「スターレンの部屋を片付けよ。私たちが生き残る道はそこに在る」
それが父の言葉だった。

最初は何の事だか解らなかったが、残された書物や書き殴られた多くの書類の束を読み進める内。兄が僕に伝えたかった欠片が見え出した。

口論中に何度も見た、兄の失望の顔。
その意味を理解した。

汚泥のように堆積した、マッハリアの暗部と実情。
母が誰に毒殺されたのかなど。

自分だけが知りもせず。知ろうともせず。兄の言葉を否定し拒絶し続けて来たのを後悔した。

何もかも、手遅れだった。


寝る間も惜しみ、食事も疎かに読み耽る毎日。
国の財政。庶民や領民の金回りや上からの重税。

人材の流れ、奴隷商の実情、商人が扱う品々。
文学や史学、薬学、美術等の書籍。卑猥な抽象画…。
兄が描いたと思われる美しい裸婦画…。

脱線した!

兎にも角にも。僕は兄に追い付こうと努力した。

三つ上の侍女に誠心誠意頼み込み、僕は少しだけ大人にして貰った。女性とは、美しく柔らかで…。

違います!!



兄が旅立って三ヶ月程過ぎた頃。
南の隣国、タイラントに居ると言う兄から手紙が届いた。

父と肩を並べ、手紙を読むと。

タイラント王都、パージェントで新しく商売を始め、それが軌道に乗った事。

旅の途中で出会ったフィーネと言う女性と結婚した事。

約一ヶ月後のヘルメン王の生誕祭に、マッハリアの王と王妃が呼ばれた事。

父か自分がそれに同伴させられる可能性が在る事。

それらが簡潔に綴られていた。

「…結婚、したのか」
「みたい、ですね」
父とは違うベクトルで驚いたものだ。

父はこの兄の結婚を嬉しく思う反面で、王妃に対する挑発行為だと説いた。

僕は単純に時期が早いな。酔狂な兄と結婚するなんて、どんな不細工なんだろうと失礼な興味が湧いた。

総合的に見て、父が正解なのだろうと。
「僕が同行します。父上は政務で忙しい身。先手を打って希望を出せば通るのでは」

「…致し方ないか。ペリルは出せん。同行者は誰がいい」
ペリルは老齢の執事。父の仕事も幾つか手伝っている。
当然連れては行けない。

「我が儘を言えば、サンさんがいいです」
サンは身の回りのお世話をしている侍女。僕ら兄弟の担当であった為、会えばきっと兄も喜ぶだろう。
「正直なのはいいが、くれぐれも孕ませるなよ。もしも懐妊させたなら、即刻連絡を寄越せ」
事後承諾には成るが、一応フリューゲル家の血を引き継ぐ子になるからだ。善くも悪くも。

「少しは信用して下さいよ…」
一番自分の欲を信用していないのは、僕自身だったりするのだが、何も言うまい。
拒否されたら、その時は改めて考える。


当家の家督は自分が継ぐ。
危険な旅になるのは明白だったが、誰かが行かねばならないなら僕が行くべきだ。

「無事に帰れ。家の事は二の次で良い。お前は残された家族だ。私を、一人にしないでくれ」
初めて父の弱い部分を見た。

「必ず。生きて帰ります」



予定外の旅。生まれて初めての外国。
残される父には申し訳ないが、気持ちの半分以上は嬉しさが占めていた。

こうして僕は王族の行列に参加した。

行軍中の馬車の中。侍女のサンと二人切り。
一夜だけの約束で夜を共にした間柄。以前の様な険悪さは無くなった。

対面に座り、多くの溜息を吐き続ける彼女。
「不安なの?」
「ええ。不安だらけです。スターレン様からの手紙が届いた時点で何か、良くない予感は抱いておりました。
四方やスタルフ様に同行させられる羽目になるとは思いもしませんでしたが」

「それは謝ったではないか。僕の事が嫌いなの?」
「ハァ…。そのスタルフ様の非常に鈍感な所ですよ」
何故だろう。僕は責められている。

「ご教授、お願いします」
「ハァ…。ハッキリと申し上げましょう。以前より、私がお慕いしておりましたのは、スターレン様です。その殿方が僅かの間にご結婚され、私は独身侍女のままお会いせねば成らぬのです。解りませんか?」

「…済まない。全く」
「私を同行させるならば。責任を取るだの、妾に取ってやるだの。たった一言でも、頂戴出来ませんかね!」

「あ…」
凄く怒ってる。
言われてみれば、先日夜を迎えてから以降、特に何も伝えていない。これでは弄んだだけではないか。

このままでは、只の糞野郎ではないか!

「責任は、兄に挨拶した後でも…」
「あぁ…もう。それで構いません。どの様な進言でも受け入れる覚悟は出来ております。しかしながら。
言葉も無く、私を押し倒そうなどとは考えませぬ様願います。スターレン様と親方様に告げ口致します故」

巨大な釘を本人からも刺し込まれた。
「解ってるってば!」


同行者の中でも一番身分が低いのは自分。
パージェントでは、ヘルメン王の生誕祭は愚か、晩餐会にも参列、出席する権利は持ってない。

パージェントに居る兄夫婦に挨拶するだけ。
状況の一端を知って今尚、僕はそんな軽い思いを胸奥に抱いていた。

彼の地で、兄がどんな戦いをしているかなど。
無知で幼い僕には、知る由もなかった。




---------------

スッキリとした朝。ステータスは全快だ。
隣には何時ものようにフィーネが居る。

昨夜は謁見成功の興奮が優り、中々寝付けず彼女にスリープを掛けて貰った。
依存性が高く、多用するとそれ無しでは眠れなくなると念押しされている。なので昨日は特別だ。

「ん~。お早う」
「お早う。愛してるよ、フィーネ」
極自然に。やっと伝えられた。
やっと言葉に出来た想い。

頬が緩み、ニタリと目尻が下がった。
「やっと言ってくれたねー。私も、愛してる!」
抱き着いて来た彼女の温もり。首に掛かる吐息。
柔らかな素肌の甘い香り。その全てが愛おしい。

「でも…。夜の方が良かったかな」
「夜に伝えちゃうと、その。お互い疲れちゃいそうだったからさ」

「最近スターレン、全然休めてなかったからね。
だったら…今から、する?」
「それは、願ってもないけど。今日は今日で、沢山やらなくちゃいけない事在るから。夜まで取っておこう」

「しゃーなし」腕を伸ばして伸びをする。

厚手の寝間着も伸び、同時に胸元が覘く。いかん!
咄嗟に前屈みになってしまった。
「もー。どっちなのよ」
何時にも増して、彼女は上機嫌だった。


暫く見れていなかった朝市を巡り、立ち並ぶ屋台で朝食を済ませた。
「屋台も朝から開いてるんだね」
勿論全店ではなかったが、充分店数は多い。
「俺も今知ったよ」

軽めの朝食の後、腕を組んで市場を練り歩いた。
これがホントの市場調査だ。

定番の芋や人参。根菜類やキノコ類。
林檎、オレンジ等の柑橘系の果物も多い。
季節柄、葡萄を置いている所は少ない。
在っても干し葡萄。ワインや保存食として需要は高いからなぁ。
魚介類も干物がメイン。鮮魚は専ら河辺で取れる、フナやマス科の魚。身の詰まった沢蟹など。

あれやこれやと、スープに入れたら美味しそうだとか、トマトや香草と煮込むといいかもだとか。

フィーネとそんな他愛もない言葉を交す。
「俺たちも、やっと夫婦らしくなってきたのかな」
「そう言うのは、人前で言わないの。大体人がどう見てるかなんて、気にしちゃダメ」
「ご尤も」

「仲睦まじく。何よりです」

「今、ロイドちゃんからも夫婦としてのお墨付きを得た」
「そうなんだ。これは、何と返すのが正解なんだろ」

「どうだろねぇ」
なんて言いながら笑い合う。幸せだ。幸せ過ぎる。

あれ?俺もう直ぐ死ぬのかな…。
「幸せなご夫婦が全員死んでしまったら、人類は滅亡していますよ」
そりゃそうだ。


どうにか糞豚の襲来を乗り切って、リア充を満喫しよう。
改めて心に誓い、フィーネの手を握った。

「今日はこの後、何処を回るの?」
「買い物と、本屋に行ってからニーダ君のとこに行こうと思ってる。夕方にギルドに。両方ともね」

現在の登録は商業と冒険者、両方共なので口座やら何やらの手続きで、一度は顔を出さなければならない。

元上級冒険者の三人衆にも、東の話を聞きたい所だがそれはまだいい。
今情報を仕入れると、強制送還されそうだし。

回避出来るフラグは立てないぜ。

「昼に余裕があったら、工芸職人のポムさんとこ」
「あー。あの人ポムって名前だったんだね」

「そうそう。前の時点でサボテンの採取権半分持ってたから権利譲渡してたとしても、かなり儲かってるはず」


食材の買い物は早々に切り上げ、気紛れで午前から開いていた古本屋に寄った。

都内に数件在る本屋。
殆どの店は古書と新書の蔵書を取り扱っている。
区分けは曖昧で、店の名付けは店主の気分次第。

印刷技術の停滞で、書物は手書きがしか無い。中には木版画集も在ったりするが、多くは出回っていない。

希少性の高い、手書きが高価なのは言うまでもなく。

凝った物なら挿絵も在り、油絵で色付きなら尚高し。

ノイちゃんからも書籍は送られている頃かと思うが、基本被りは滅多にない。作家が同じでも細かい点を変えていたりする。遠慮は要らねえ、じゃんじゃん購入。

フィーネは料理本などの家庭雑誌コーナーに張り付いた。
たった一言でめっちゃ変わる。言ってみるもんだと思いつつ、現状で満足せずに調子に乗ってはいけない。

それが夫婦…じゃなくて、俺たちなんだ。


創作の冒険記。短編小説。ロマンス物などなど。
男の子が好きそうな、ちょっぴり大人な物もチョイスした。

雑誌を読み耽るフィーネに一声掛け、レジカウンターへ持って行く。
「ちょっと早くない?」
「重いから仮置きだよ。気になる物があれば片っ端から買ってしまえばいいさ~」

「これだから小金持ちは」
小言を言いつつ、満更でもない顔だ。
多少嵩張っても、俺たちにはポーチが在るんだし。買い占められる位の金も在る。

気になった物を見繕い、彼女も数冊持ってカウンターにやって来た。

カウンターのお婆さんの眼鏡がキラリと光る。
「おぉ、これは沢山。買ってくれるのかい?家は貸し出しはやってないんじゃが」
「これ全部買取りで。幾らになります?」

「ちょいと老眼でねぇ。孫呼ぶから待ってておくれ」
あなたはなぜに店番に座ったのさ。

重たそうな腰を丸椅子から上げ、奥の扉を開けて大声で孫さんを呼んだ。
「シルビィー、シルビィーや。ちょいと来とくれ」
「はーい、ちょっと待ってー」
奥から声が聞こえた。女の子だな。

空のカウンター奥の棚に並べられた、仕分け前の本が目に入った。何気なく、背表紙を斜め読み…。

「な!?」
「どうしたのよ、急に大きな声出して」

~魔道具大全集、その構造についての考察~

日本語だ。あれはバッチリ日本語だ!漢字に平仮名。

「お婆さん!お婆さん!あれ!あの本購入出来ますか。と言うか是非買わせて下さい。お願いします」
「これこれ。そんな大声出さんでも、耳は耄碌しとらんよ」

「済みません。取り乱しました」

のっそりと本を指差した。その隣を。
「これかい?」
「違います。その右のやつです」
その焦らし要りますか?

「ほーこれかい。何時だったかのぉ。
そうじゃ、十年位前に、変テコな行商人が手に入れたはいいが、何処にも売れず難儀しておったとかで。無理矢理に置いて行った物だねぇ。欲しいのかい?」

「欲しいです。どうしても欲しいです」
「初めて見る文字ね。何が書いてあるのか解らないわ」

「お待たせしましたー。お客様です、よね…」
扉の向こう側から若い女性の店員さんが現われ、カウンター越しに一冊の本を囲む俺たちを見て一瞬固まった。

「おーシルビィや。こちらのお客さんがねぇ。この本をどうしても欲しいと言うんじゃ。どうせ誰にも読めんし。オマケで付けてやってもええかのぉ」
「そちらに積まれた商品の購入ですよね。お纏め買いの特典として、それを付けてもいいですが…。お客様は、この本が読めるのですか?」

訝しげに首を捻るシルビィ氏。どんなに疑われても絶対に欲しい。君が欲しい。
いやいや貴女じゃなくて。

どう答えようか。

「読めはしませんが!この不思議な文体に惚れました」

「そ、そうですか。ちょっと変わった趣向を持たれる旦那様ですね」
「ちょっとね」
お褒めに預かり光栄です。


「お会計は、銀貨で二十九枚となります」
まあまあ高額。こんだけ買えばそんなもんか。
この解説本が手に入るなら寧ろ激安だ。

銀貨で30お支払い。風呂敷に包まれた本たちを、ホクホク顔でお持ち帰りした。

「毎度御贔屓にー」
「また掘り出し物があったら、ストアレン商会までご連絡お願いします」

「大丈夫ですよ。そんな辺鄙な代物中々出ませんし。
何より奥様は有名人ですから。歯ブラシ屋さんの売り子してらっしゃいましたよね?」
それで知ってたのか。短期間だったにも関わらず、宣伝効果は抜群だ。

フィーネのファンだと言うシルビィと店を出る前に握手を交していた。

「何だか、凄く照れるわね」
「フィーネさんも隅に置けませんなぁ」
「あなたがそうさせたんじゃない」そうでしたわ。



路地裏で本の束をフィーネのポーチに投げ入れ、総本堂隣の寺院へ向う。

現在位置は5区の北東。2区との間に在る東本通りに程近い。本屋の位置は頭に刻んだ。

嬉し過ぎてスキップしそう。

「ご機嫌だね」
「早くさっきの読みたくてさ」

「やっぱり読めるの?」
「読めるよ。嘘付いたのは、本の内容がね。とんでもなく恐ろしい物なんだ。誇張無しで世界の常識を覆せる位。
おいそれと翻訳は出来ない。その本の為に簡単に戦争が起きると言ってもいい」

「ふーん。大事にしないとね」
「当然」


浮き浮きな浮き足で向かっていたら、あっと言う間に寺院に到着した。

セルダ一家は既に退院し、メメットが用意した借家に引っ越した。当初の予定では親子水入らずの筈だったが、メメット宅が全焼してしまった為、立て直しの間共同生活を送っているそうだ。

子供たちが嫌がるようなら、もう一軒借りるとも。
護衛の数が減らせるので、一カ所に集めた方が効率はいいが、傷付いた精神面はどうしようもない。


と言う訳で。ニーダ君の住まう部屋へと参った。

「こんにちはー。元気だったかい、ニーダ君」

彼は殺風景な白い部屋で、窓辺で読書をしていた。
こないだバリバリ動いていたし、喉以外は健康体なのだろう。健康なら次の住まいを探さなくてはならない。
ああそうさ、金なら在る。

読み掛けの本に花柄の栞を挿し、こちらを向いて会釈を返した。

チェストから、予め用意していたであろう紙を出して見せて来た。

「どうして僕の名前を?」
最初の質問に口で答えた。
「俺は鑑定に似たスキルを持っててね。手で触れた相手の簡単な素性が解るのさ」

ふむふむと首を振る仕草。何だろう凄く可愛く見える。
暫く見ない内に、感情表現が豊かになったようだ。

おれ…大丈夫だよな。目覚めてないよな。


フィーネはチェストの上の空きスペースに、買って来た本を積んだ。大全種と自分の物以外である。

「お嫁さんですか?」
「そうそう。妻のフィーネ。変わった面を着けてるけど、これが通常だからスルーしてね」

「フィーネよ。旦那が迷惑掛けてるみたいね。貴女、女の子でしょ」
ふぉわい?
「え?何言ってんの」

白紙の紙を取出して書き込む。
「そうですけど?」

………Now Loading………
即刻2歩下がり、額で床にキスをした。
「確認不足。大変、失礼しました」

「胸が無いからですか?」そうです。

「いえ!決してそのようなことは」


正常で健全な関係性を再構築するのに数分を要した。
「喉、治したい?」
「ずっとこのままだと。薬師様が言ってました」

「私なら治せるわ。かなり痛いけど我慢出来る?」
ニーダは目を見開き頷いた。

絞り出すように。
「…おね…がい」
「無理しなくていい。但し、絶対に内緒よ」
首を勢い良く振った。

カーテンを閉め切り、俺は部屋の扉の前へ移動。
序でに外に出た。女性同士の方が遣り易いと配慮。

部屋の外までは呻き声も聞こえない。
当然だ。フィーネがサイレントを使ってるから。

数分後にフィーネに呼ばれ、室内へと戻った。

汗だくの彼…彼女が、無い胸元を整えていた。
俺は死にたいのか!

よく見れば、彼女は胸にサラシを巻いていた。
潰してたのか。道理で気付かない訳だ。
…それも失礼だな。

どうして俺は性別をスルーしてたんだ。


「ゆっくり水を飲んで。そう、ゆっくり少しずつ」
フィーネが差し出したコップから、一口ずつ時間を掛けて飲み下す。

ニーダの膝元に血糊がべっとりと付いた手拭いが在った。
「溜まってた血と、悲鳴を上げた時に少し出血したみたい」
「そっか。お疲れ様。ニーダもな」

「喉の痛みと違和感が消えるまでは、発声練習は控えて。どの道今日は安静に」
彼女は元気良く頷き返した。


筆談に戻し、一番聞きたい事だけ質問した。
「後日また来るよ。その前に、ベルエイガって人の記憶はあったりする?」

暫く考え、首を横に振る。
「時々頭の奥から誰かの声がする。何を言っているのかは聞き取れない。それが名前なのかは解りません。
ロルーゼの英雄の名は知っています」
今の所害は無さそうだ。

「質問を変えます。何処の出身で、どうして盗賊に捕まっていたのか。それと武芸は習ってたの?答えられる範囲でお願い」

「出身はロルーゼ南部。詳しくはまだ思い出せません。
水竜教の信者の集まりで、本家の巡礼に向かう途中で襲われた。理由は解りません。
武芸は護身用で誰かに習っていました。
護衛の冒険者も倒れ、自分も応戦しましたが敢えなく。
男装が見抜かれ、生かされました。喉を切られたのはその時だったと思います」

「咄嗟に動けた身の熟し。冒険者で言う中級の初期レベルかな。いい師匠さんに習ってたんだね。
まだ暫くは静養してて欲しいけど。何時までもこんな所に押し込まれてたら気が滅入るだけだし。
少し前にノイツェって名の軍人さんが来たと思うけど」

「先日。白い軍服のような服を着た人の事ですか?
本物の軍人だったのですね。面白い人でした」

「そうその人。俺の知り合いでもあるから。一時的にニーダの引受人になって貰えないか頼んでみるよ。
今は役所も落着いてて、仕事は山積みなのに人手不足だって嘆いてたから。これだけ綺麗な字を書けるなら、事務員のお手伝いで食ってけるよ」

「何から何まで。赤の他人に、どうしてそこまで」

「困った時はお互い様だよ。それに君の中に眠る、ベルエイガの魂の欠片ってのに興味がある。
無理して思い出す必要は全くない。でもある日、突然君の身体が乗っ取られる可能性もあるから、充分に注意して欲しいんだ」

ニーダはゆっくりと頷いた。

「また来るよ。ノイツェの方が早いかもだけど、連絡は密に取ってるから心配しないでいいよ」

「生まれを思い出して、故郷に帰れるといいわね。記憶障害だけは私にも無理だから」

フィーネの右手を両手で握り、自分の額の高さまで持って行った。
ニーダの対応に戸惑いながらも、最後はニッコリと笑顔を返した。


喉が治ってもそれ以上は辛いだろうと、この日はそこまでで寺院を退散した。



「彼女何処まで信用出来るの?ロルーゼの隠者とか考えられない?」

「どうかなぁ。全体的な辻褄は整ってたし。だけど最後の拝礼の作法がなぁ。ちょっと引っ掛かる」

「ロルーゼの作法なのかな」

「俺の記憶にはないな。少なくとも平民や下流貴族の作法でないのは確か。もち女神教でもない。
となるとやっぱ騎士団。騎士見習い?
帝国やマッハリアに密偵を送るのは解る。そこでどうしてタイラントなのか。うーん」

「お城の宝物殿とか。魔道具狙いだったりして」
Oh…。

「鋭い。正解があるなら、一番それが濃厚だな。だとするとノイちゃんとこはアウトだな。別宅も駄目で独り暮らしもさせられない。何か対策しないと引受人も無理か」

「ノイツェさんに相談してみましょ。ヒールとサイレントは効いたけど、催眠術は効かなかった。魔道具の類も身に付けてなさそうだったし。素なのかどうか怪しいわね」

「本当の狙いが解るまで一旦保留だな。…さてと」


寺院から出て南。4区内の一角。
高級住宅密集地より外れた場所。中流域の人々が各自の店を構えていた。

ポムの工芸品店。
「おー。これは中々」
「意外に大きなお店だね」

植物系のインテリアショップ。
観葉植物、盆栽、流木を利用した何か。
テーブルや椅子。ベッドの骨組み。組み木のパズル。

店内に置かれた雑多な商品。

「実に」
「統一感が行方不明ね」
それだ。そもそも並べ方のセンスが無い。
個々の素材の良さをぶっ壊してる。

これがアートだ!と言えばアート。

「いらっしゃいませ」
妙齢の女性店員が物陰から顔を出した。

「ポムさんは居ますか?居るならスターレンが来たと伝えて欲しいんですけど」

「あ、スターレン様ですか。ストアレン商会の」
「ですね」

「その節は家のポムがお世話になりまして。家内のレイナと申します。裏の工房に籠っていると思いますので、呼んで参ります」
慌てたレイナ夫人が、開きっ放しの店を放り出して奥へと引っ込んでしまった。

「お客さん来たらどうすの?」
「さ、さあ…」

暫く待つと、粗暴な客の来襲もなくポムさんを連れて戻って来た。
「お久し振りです、ポムさん」
「いやー本当に。先月の事なのに随分前に感じます。
スターレンさんもお元気そうで。フィーネさんもお変りないようで」
「どうもです」

「商売の方は、順調そう…には見えませんが」

「そう見えますよね…。実際そうなんですが。そんなハッキリと言われてしまうと、悲しいです」

フィーネに肘で突かれてしまった。
「いや済みません。思った事を口にしてしまって。それよりもこの商品の並びは誰の指示なんですか?ひょっとして奥さんの」
「いいえぇ。私は何も。全部主人です」きっぱりと。

「いやはやお恥ずかしい。サボテンの権利をコマネンティさんの所に譲渡して、そのまま傘下に入り、無償で店舗を借りられたのですが、売り物は私の自由にと…。
助けて下さいスターレンさん!」
流れるように助けを求められた。

「えー。助言は構いませんが、それって契約違反じゃ」

「何を相談しても梨の礫。店舗の契約以外は証文を結んでませんし。ならいっそ助けて下さい!」
気持ち良い位に潔し。

「解りました。ただ、こちらも無償では受けられません。
ポムさんに作って貰いたい物が在るので、それと引き換えって事でどうですか」

「いいですね。木材製品ならどんな物でも。
丁度昼時ですね。近くにいい店があるので、いつかの恩返しをさせて下さい。詳しくはその後で」
ポムさんが必死過ぎる。早口で捲られ押し切られた。
「す、少し落着いて。それでいいですから」

「よし!善は急げだ。レイナ!店締めて食事にしよう。
どうせ客なんて誰も来やしない」
聞いちゃいないぜ。

「はいはい。済みませんねぇ。外面ばっかし良くて、人の話なんて聞きゃしない」
何時もなのね。

押し切られ、送り出しに背中を押され。

流されるまま、到着したのは大衆食堂。
ボンゴレ、ナポリタン、ラザニア、石窯ピザ、貝だけパエリアetc…。
ここもか!!何処へ行ってしまったんだ4区の統一感。


帰りに寄ろうと目星を付けていたレストランは諦めた。
「ごめんフィーネ。あっちはまた今度」
「いいわよ別に。庶民は庶民らしく行こう」
好き嫌い無い子で良かったわぁ。

混雑したメニューの中でも、早そうな安パイのナポリタンとデザートにアップルパイを発注。

フィーネはペペロンチーノにアップルタルト。

ポム夫妻は、揃ってマルゲリータにチーズケーキ。

カロリィィィーーー!

合えて合わせて敢えて言うならば、ナポリタンはバターの主張が激しかった…。これならクリームパスタの方が。


多少の胸焼け感を持ち帰った午後。
戻りしポムの店。

「まず!店内の商品を半分に」
「えー、でも」
「序盤で口答えをするな!」
「は、はい!すいません」

「倉庫を借りて、一点物や大物はそっちへ。
観葉植物はこの区画では売れません。立派な豪邸や貴族様の邸宅には必ず庭師が居るからです。
盆栽は地道に育てましょう。一番価値がある物だけ店内に残し、後は中庭へ。強気の値段じゃないとお金持ちの心は動かない。
流木は…。思い切って焼き目を入れ、ニスで光沢を出しましょう。手を加えなければ、何だあれ?で終りです。
テーブルや椅子はいいですが、これらも一点残し。代わりに概算の納期とトータルの費用、扱える木材を大きく明示して下さい。木板に焼き鏝で書いても面白いです。
組み木のパズル。これはいい。寧ろ何故これを奥に置いてしまうんだ。子供が見える高さと、手の届く位置を意識して下さい!誰に向けた商品なのかを考えれば、答えは直ぐそこです。以上!」

「れ、レイナ…お茶を」
「お馬鹿!レイナさんが一生懸命メモしてるのに、あんたが動かないで何とする!何なら俺が台所借りて入れて来ますよ!」

「い、今直ぐ行って参ります!」


「大変ですねぇ。レイナさんも」
「それ以上は慰めないで下さいまし。スターレン様に惚れてしまいそうです」顔を紅く染め、瞳はウルウル。
罪な男だぜ。

「むっ!」
「無いから!絶対」
「一人、来ちゃダメ。約束」何故片言。


激熱のお茶を頂き、やっとこさ商談に入れた。
「ポムさんにお願いしたいのは、こちらです」

書いて来た調理器具の図面をご夫婦に見て貰った。
「これは…」

「蒸籠と呼ばれる調理器具です。大鍋に湯を沸かし、その上に置いて、中の食材を蒸し上げる器具です。
手に入り易い竹材で仕上げて下さい。
底蓋と上蓋は格子編み。沸騰させた蒸気を内側に入れたいので微妙な隙間が空く様に組んで頂きたいです」

「構造は大体解りましたが、ご希望の納期は」

「近日中に行われる、宮中品評会に使いたいので、最大でも一週間内で。
無理そうなら晩餐会での投入は見送ります」

「もしかして…ヘルメン様のお口に?」

「上手く行けば、王族の皆様と招かれる国賓の方の口に入りますね」

「レイナ!今日から徹夜だ!出来るまで閉店する」
「ええ、あなた。針で背中を刺してでも起こすわ」

「竹のささくれで目に入ると失明するので、ちゃんと寝て下さいね。
後、失敗した竹材は焼き上げて竹炭にして下さい。
余り知られていませんが、竹炭の粉は食べられます。
捨てるのは勿体ないですよ」


その後も細かい擦り合わせと、仮の証文を書き上げた。


ポムの店を出られたのはロイド時計で15時過ぎ。
「おぉ、しんどい。後はギルドか」
「今日ってさ。のんびり行くんじゃなかったっけ」

「言わないで…」



両ギルドに立ち戻り、入出金口座の統合手続きをさっくり済ませ、出店で惣菜を買い、早めの帰宅。

玄関前にライラさんの姿。
寂しそうに体育座りで待っていた。

「どうでした?」
「どうでした?じゃないですよ!歴史が長い分、人数に関しては余裕でした。
会場の使用許可も降り、明後日となりました。詳細な開始時刻を明日までに私へ連絡を」

「なんで?貸し切りじゃないの?」

「なんで?ではなくてですね。御方も立ち会うそうです」

「は?」

「これ以上は、ちょっと外では。失礼ながら、お邪魔しても良いでしょうか」


仕方なく、ライラを家に招き入れ。
「王様も来るの?他には」

「昨日のメンバーに加え、残りの公爵家頭首両名、王国騎士団長のアーネセル・ブライトが来ます。
皆の調整をするのは大変だったんですよ。
主に、ギルマートが」

「それ、何か可笑しくない?」フィーネの疑問は尤もだ。

「他の面子はまだ解る。そこにどうしてクインザが入って来るんだよ」

「私がお聞きしたい位です。全ては王のご判断。
私自身は、近衛隊の主要人員で外の回廊の警護。中にはどんな事が起こっても入れません。
東西出入り口の封鎖に釘付けにされます。
もしも不測の事態が起きた時、それらを封殺するのが役目です」

「…どの道、拒否権は無い。見たいと言うなら見せるさ。
ライラさんの明日の空き時間は」

「即時に対応したいので、可能ならお二人に随伴を」

「シュルツに宝具使用の最終確認を取る。で、ロロシュさんの邸にアポ無しで行くけど、どうする?」

「是非もありません」

「フィーネもそれでいい?」
「中々二人切りにさせて貰えないわね。イラっとするけど諦める」
よ、男前!いい意味で。


ライラも帰宅。
夕飯を片付け、ワクワクの読書タイム。

何故かフィーネが本を出すのを渋ったが、何とかお願いして受け取った。

暖炉の前で椅子を並べ、彼女が手に取ったのは裁縫講座の解説本。おいらは大全集。

「おぉ…、おぉ…!おぉぉ!!」
「ちょっと五月蠅い」

口を尖らせるフィーネ君に謝罪した。


本の内容は凄いの一言。

古代兵器並の物は載ってないが、日用品、生活全般に使える道具などが分類分けで細かく記されていた。

上下水道のインフラに使える物。
家庭用コンロ等のキッチン設備関連。
冷蔵庫の構築方法。
収納袋の作成方法…。これが一番凄いかも。

浄化性能、火力調整、冷媒。それらの元となり対応する魔石は何れかなど。

軍事転用の危険性に至るまで。

「凄ぇ…」
著者に纏わる最後の頁は破かれていて消失してる。

俺以前に、正規転生者としてこの世界にやって来た日本人が居た証拠。

魔石の入手場所を辿ると、殆どが東大陸に集中していた。
ここでも東を示唆してくる…。

場合に因っては、南よりも先に東へ突入するべきか。

まぁまだ先の話だし、今慌てる必要はないな。


ロイドちゃん。記録保存出来る?
「お読みになった部分は極力記憶しますが、完璧ではありません。本を大切に為さって下さい」
だよねぇ。

一通り読み流す。もっと時間を掛けて解読したい所。


「ずっと考えてたんだけど。スターレンの弟君ってどんな子なの?」

「ん?どんなって…。そうだな。俺と同じでエロガキ。ムッツリ。背がちょっと低い。俺より泣き虫。
俺よりイケメン(泣)で、早くに母さんが亡くなってしまって、甘えん坊なとこがあるかな」

「スターレンを小さくした感じね」
「俺ムッツリじゃねえし!あいつは酒は強くない!」

「何処で張り合ってるのよ。…私たちの所、来るのかな」

「どうだろ。顔を合せれば喧嘩ばっかだったし。身分低いだろうから、王宮の客室から弾かれたら来るかもね」

「ちょっと楽しみ」

「来ても素顔晒すのは無しで。あいつも結構な面食いだからフィーネ見て何を言い出すか」

「セクハラしてきたら張り倒してもいい?」

「死んじゃうから止めたげてぇ。ちゃんと俺が叱るから。
兄弟喧嘩を生易しく見守っててよ」

「任せます」
「はいはーい」


本を捲るだけの静かな時間が流れる。

「今更だけどさ。スターレンって呼び辛くない?」
「急だな。うーん、言われてみれば」

「あなた、あんた、は他人行儀な気がするし。
旦那様。スタ君。どれも今一なのよねー」

一応考えてくれてる。嬉しいけど、スタ君は無い。
「じゃあ、スタン。ってのは」
「スタン!いいわね。直ぐ気絶しちゃうし。似合ってる」

「それ褒めてんの?貶してるの?」
「スタンで決定!」
どうやら確定した模様。フィーネがいいならいっか。

「スタンはさ。前世の記憶が全部残ってるのよね」
「ん~。自分では覚えてると思ってても、多分少しずつ消えてるんだと思う。補佐してくれてるロイドちゃんも、万能じゃないしさ」


「前の。スタンの、本名教えてくれない?」
「本名かぁ。燻木智哉。イブルギが家名で、トモヤってのが個人名称」

黙り込むフィーネ。今日は何だか何時もと違う。
具体的には言えないけれども。

「どしたの?」

急に立ち上がり、手にする本をテーブルに置いた。

俺の全集を奪うと、膝上に乗って絡み付いて来た。
「…」
「私、不安なの」
「…うん」

「絶対に。老衰以外で私の前から居なくならないで。
私を置いて行かないで。一人ぼっちに、しないで」
「…フィーネ」

目の前にフィーネの素顔が在る。抱き締められる温もりが在る。何よりも代え難く。自分の命よりも尊い。

不安か…。俺は確実に早く死ぬ。
それはどう足掻いても。

だから今は。今だけは、余計な言葉は要らない。
たったの一言。それさえあれば。

「フィーネ…。愛してる。この命は君の物だ」
「スタン…。私も、愛してる。誰が相手でも守り抜く。
例えそれが、神様であっても」
強い言葉だ。心の一番奥に響く言葉だ。

何方でもなく、唇を重ね、放し、互いの額を付け合った。
何方が流した涙なのか。そんな物は解らなくていい。


真実を告げた日に。偽り無いこの日に誓う。
「俺はもう、消えたいなんて願わない」
「うん…。うん…」

ずっと一緒だ。

静かな夜。
この日の夜は、ほんの少しだけ、何時もと違った。
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