お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第42話 新婚旅行後半戦(情報収集編)

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俺たちの朝は早い。

例え、ちょっと寝不足だろうとも。
早々何度も朝市に出遅れる訳には行かない。

競争社会を生き抜く、お勉強中の商人として。

競りで威勢の良い声が飛ぶブース。
直接取引をする商人と漁師。
出荷品を台車に乗せ、急ぎ足の従者たち。

「人が一杯だねぇ」
「これが本来の姿さ。本当なら昼頃にも、深夜の漁で入った物が流れてなきゃ駄目なんだ」

「うん…」

俺たちは邪魔にならない場所から、遠目で海産物の卸値を見える範囲でメモしていた。


王都で入荷した物は、ロロシュ商団を仲介したので本来の値段は解らなかった。
(短気なお爺ちゃんは、教えてくれなかった)

市場から離れ、メモを見る。
「やっぱり。誰かに聞くまでもなく、元の卸値が高いな」
「これで王都で仕入れた品量を注文してたら、大変な事になってたね」

「ホントだぜ」

冷蔵庫の普及と、輸送技術の向上を見込むなら、卸値の高騰は止まらなくなる。

将来。一般の人々が気軽に買えない値段になるのは目に見えている。

ロルーゼからでは遠くて鮮魚は余裕で腐ってしまう。


「気分が悪いな。お参りして次行こう」
「そうしよ」



厳かな礼拝堂で気持ちを整え、商業ギルドへ。

受付カウンターで掲示板閲覧の許可を取り、ざっと目を通した。

貼り出されているのは、一般的な仕事の交渉要求。
出荷に対する、協賛募集。
扱う品物の仲介売買要求。

得られる情報内では、まだインフレを引き起こす要因は見出せなかったが、地味に値上がりはしているんだと思う。


そんな事を考えていると、後ろから行商人風のおじさんに声を掛けられた。

「あんたらも行商かい?」

「ですね。今は旅しながら勉強中なんです」

「ほう。それは熱心でいいな。俺は暫くハイネに戻る事にしたよ。海が荒れてる所為でな。
悪い事は言わねえ。仕事するならハイネの方がいい。
将来的にもな」

「そうなんですかぁ。どの道俺も王都がメインになるんで大丈夫ですよ」

「そうかい。なら余計だったな。あっちで見掛けたら仕事の話でもしようや。じゃあいい商売を」

「こちらこそ。道中お気を付けて。いい商売を」

気さくな返事でおじさんは去って行った。


「次行くか」
「ええ」



冒険者ギルドでも許可を取って掲示板を眺めた。

商業の運搬護衛依頼が殆ど。

大きな掲示板一枚では収まり切らない王都に比べて実に寂しい印象だった。

とは言え王都では、業務集約する為に冒険者への依頼も商業に貼り出されているが。


隣から一人の男が盛大な溜息を吐きながら、俺たちに声を掛けてきた。

「兄ちゃんたちも冒険者か?」

「駆け出しなんですけどね。お兄さんはここの仕事に詳しいんですか?」

「まあな。護衛の仕事ばっかだが、去年の今頃はこんなもんじゃなかったぜ。数も少ねえし、報酬が安い。
兄ちゃんたちも仕事するなら、他に行った方がいいぜ。
俺はここに根を張っちまったからな」

フィーネが反応し、腕に絡む指が動いた。

こいつか。世間話では気付かなかったぜ。

「そうしますかね。報酬安かったら話にならないですもんねぇ」

「そうしろ。精々命を大事にな」

「そちらも」

冒険者風の男は軽く手を振って去って行った。


「助かった」
「いえいえ」



お昼時は少し過ぎてしまったが、夜までは長い。

小腹を満たす為に、店頭売りゾーンで食事を済ませた。

広場のベンチで果物ドリンク飲みながらお喋りしたり、
衣料品の店で買い物したり、漁港周辺を眺めて回った。



ホテルに戻って1Fで夕食を済ませて最上部屋。

最近の俺の話は飲まないとやってられないからと、
今夜も2人でウィスキー。

俺の所為でごめんなさい!


オーダーした煮豆のお摘まみを突きながら。

「冒険者で会った男は何が引っ掛かったの?」

「あの人。根を張ったって言った瞬間。
とても悲しいリズムになったの。
何か抱えてるとしても、あれは関わらない方がいいと思った」


「家族の誰かを人質に取られてるな。絶対」
「私もそう思う」

溜息しか出ないぜ。

気を取り直して。
「明日はいよいよ、財団の支部事務所へ行きます」
「海域の情報を貰うのね」

「そう。確か支部長統括の人が居る筈だから、その人に会いに行く。
それで、フィーネに頼みがある」
「うん。何?」

「もしも統括の人が敵側の人間だったら、汚い手だが」
「催眠使ってでも情報を引き出すのね」

「もう少し時間掛けて安全に行きたいけど。
統括が敵側だとクインザの上を行く事が、非常に難しくなってしまうんだ」

「大丈夫。理解してる。この問題は綺麗事だけじゃ解決しない。使える手は何でも使う。
ただ、殺す訳には行かないから最弱に抑える。
それでも今の私が使えば、正直どうなるか解らない」

「そうだよな。あー、統括が味方であって下さい」
「本当に、そうであって欲しいね」

2人で胸に手を当てて祈りを捧げた。


「明るめな話をしましょ。
統括さんが味方だったとして、明日はその人に何処まで話すの?」

「統括さんの時間次第だけど。話せるなら全てを。
それで何とか、ロロシュさんへの口止めをする。
かなり強引にでも」

「聞いてくれるかな」
「応じてくれるのを願うよ」




---------------

緊張の翌日。

他の用事は無いので、朝一番の連絡船に乗った。

突き出た灯台岬を越えて、反対側へ。

「海の船って川船とは全然違うねぇ」
「波の上を滑るって感じだな」

「だねぇ。流れる潮風が冷たくて気持ち良い」

長めのテールとリボンが風に靡いて輝いて見えた。

一時。その振り返った笑顔に心が奪われ、思考が停止してしまった。

「何?急に黙って」
「君の美しさに呼吸をするのを忘れてた」

「それはいけませんねぇ」
と言って笑顔のキスをくれた。

「心臓まで止まってしまうがな」
「止まっても叩き起こすから大丈夫さ」

大丈夫ではない気がする。


対岸が視界に入ってきた。

「「おぉ…」」

対岸を埋め尽くす商船の数々。
奥手には、船の側面上部に射出口を備えた軍艦の姿も僅かに見えた。

「凄い…」
「船も大きいし。広い」

正直、タイラントでトップを占める財団を、俺は嘗めていたのかも知れない。

「王都に帰ったら、ロロシュさんに謝らないと。
財団、嘗めてました。ごめんなさいって」
「素直でよろしい。私も一緒に謝る」

心強いっす。


対岸の発着所に到着し、桟橋を渡って陸地へ。

案内人に聞き、財団の管理棟に向かう途中でも。

「はぁ~」とか「ひょえ~」とか。

俺たちの語彙力は、演技抜きで頗る低下した。

大から小まで。数々の船体修理工房や、建造工房を越えて辿り着いた中央管理棟。

建物の両サイドには、財団の御旗が揺れていた。

「素直な意味で緊張してきたわ」
「私も」

支部統括が面倒な人でありませんように。
と願いながら、大きな正面扉を開いた。


人は多く。受付カウンター越しから、事務員さんが忙しなく処理作業に追われる様が見えた。

バリバリ緊張しながら、受付のお姉さんに名乗った。

「す…」
お姉さんがフリーズ。

身分証だけでは足りないのかと。
我らがロロシュ爺ちゃんに貰っておいた紹介状も提出。

身分証と紹介状と俺たちの顔を、三角飛びで見回し。

「よ、ようこそお出で下さいました!スターレン様!
フィーネ様!ほ、本日は、どの様なご用件で」
声が裏返るお姉さん。

この反応は新鮮だ。

「出来れば、支部長統括の方に取り次ぎをお願いしたいのですが。予約せずに来たので、お忙しい様なら出直して来ます」

「で、出直すだなんて滅相もありません。直ぐに!
直ぐに取り次ぎますので、左手の控え室でお待ち下さい。
後でお茶をお持ちします!」

この様子は、直ぐに後方事務の方々に伝搬して。
「あれがスターレン様か」
「あれが噂のフィーネ様か」
とほぼ全員が立ち上がってこっちを伺っていた。

他にも若いだの、美しいだの、お喋りしたいだの。

俺の噂は無いらしい…。


緊張も解れ、待合の控え室へ。

受付とは別の女性が、紅茶のカップをガタガタ言わせながら運んでくれた。

「「有り難う御座います」」

と答えれば。

お盆を抱えて逃げてしまい。
扉の向こう側から。
「やったわ!お礼を言われたわ!このまま海に飛び込んで死にたくなる位嬉しい!!」

「「止めろ!!」」


1階でそんな騒動がありつつ。

案内された2階、統括室。

そこには何と。
「あ!」
「釣り人のおじさん!」

「どうも。また会ったね」

勝利への希望が見えた瞬間だった。
神様有り難うーーー。


接客席に対面で座り直した。

フィーネがこの人なら大丈夫と耳打ちしてくれたので、かなり安心して話す事が出来た。

「先日は名乗りもせず済まなかった。
支部長統括のゴーギャン・ルクドリックだ」

「こちらこそ。スターレン・シュトルフです」
「妻のフィーネ・シュトルフです」


「総師から。過剰なお持て成しと接触はするなと、かなりキツめな連絡を受けてね。あんな挨拶になってしまった。
ハイネの者が大変な迷惑を掛けたそうで、私からも改めて謝罪します」

「「いえいえ」」

「それで。今日はこちらに何をしに?と言ってもあれですかな。建造中の船を見に来たとか」

「そちらにも大変興味はありますが。ゴーギャンさんに折り入ってご相談したい事がありまして。
かなり長い話なので、お時間を設けて貰えないかと」

「貴方たちがそろそろ来るかと時間は設けてあるが、相談とは何ですかな」

「出来れば、人払いが出来る。気密性の高い部屋が希望です。ゴーギャンさん以外には聞かせられない話です」

「…そうか。ならば上の会議室を開けよう」


3人で3階へ移動。

お茶を運んでくれた係の人に、接近禁止の指示を出してくれた。

これでやっと話が出来る。

「先ず。商売に関わる仕事の話ではありません。
これからお話する内容は、絶対にロロシュさんに報告しないで頂きたい。そのお約束を」

「それは聞いてみないと何とも」

「いいえ。聞いてからでは遅いので。今、ここで約束して下さい。決して悪い話でもありません。
ほぼ初対面であっても、俺を信じて。お約束を」

かなり悩んだ末に。
「解りました。お約束します。話を、聞きましょう」


「結論から言います。ウィンザートの海賊を、公爵クインザ諸共。ここで、俺がこの手で倒します。

そのご協力を願いたい」

驚きで見開く眼。
「………今、なんと…」

「俺の首を取りに来る、クインザを失脚させ。
早期に、海賊に隷属化されている人質を解放します。
これを同時に達成するには、どうしても貴方の御力が必要なんです。お願いします」

「……。少し、数分でいいので。待って欲しい」

頭を整理する時間も必要だ。
「解りました。いいと言うまで、待ちます」


数分の後、ゴーギャンの了解を得て詳細を説明した。

ラフドッグからウィンザート周辺の海図が欲しい事。
そこに海賊船の目撃情報を加えて欲しい事。
中枢の魔道具がこちらに移動している可能性がある事。
ロロシュがクインザと対決する為に準備を始めている事。

「大筋の概要は見えました。総師よりも早く、クインザを倒したいと」

「俺がこちらで動いているのが、ロロシュさんの耳に少しでも入れば。
準備不足のまま、玉砕戦に踏み切ってしまう。
それだけはどうしても避けたい」

「解りました。力の限り、協力致します。
しかし、倒し切れるのですか?貴方の滞在中に」

「先に説明した海図と後1つ。情報が揃えば直ぐにでも」

「そう…ですか」

「只。状況に依っては。海上で海賊船団との戦闘になるかも知れません。
俺がロロシュさんにお願いしている船の完成度は、どれ位ですか」

「依頼されている小型の高速魔導船は完成しています。
総師からは、今回貴方にそれを見せろと」

良かった。これで強奪せずに済む。

「後でそれを見に行かせて下さい。
ここや町中では、俺たちは何も気付いてない振りをしていますので。ゴーギャンさんも、それなりの演技をお願いします」

「はい」

「それと。海図はいつ頃出来そうですか?」

「今日明日で情報を集めますので、明後日には」

「解りました。明後日の午後の最終手前の便でこちらに伺います。妨害があれば、陸路で来ます。その何方かで。

因みに。人質の総数を、貴方が知り得る限りで教えて下さい」

一番聞きたくなくて、聞かなければいけない質問だ。

「……千は、下らないと…」

「クソが!!」
思わず怒鳴り、頭を抱えてしまった。

全員を助けるのは不可能に近い。


フィーネの手が肩に置かれて、漸く正気が戻る。

「済まないフィーネ。もう、大丈夫だ。
これ以上、ゴーギャンさんの時間は奪えない。
船を見に行こう」
「うん」


「ご案内します。一階の待合室でお待ち下さい」



ゴーギャンに連れられ、管理棟左隣の造船所で見せて貰った俺たちのクルーズ船も。

管理棟で頂いた焼き魚定食の味も。

楽しかった筈の従業員さんたちとの語らいも。

懸命に馬鹿を演じて。

何の感動も、味もしなかった。



フィーネと2人。
今日も人気の居ない海岸で、並んで砂地に座り、只波の音を聞いて眺めていた。

彼女の隣にはケージが1つ。

「なぁフィーネ」
「ん?」

「馬鹿を演じるって。こんなにも辛いもんなんだな」
「…辛いねぇ」


「今日はお参り止めよう。愚痴しか浮かんで来ない」
「私も」


「フィーネ」
「なーに。スタン」


「どれだけ救えるかも解らない。目の前で死んで行くかも知れない」
「うん」


「でも。どんなに辛くても。人質にヒールは使っちゃいけない」
「…それは、どうしてかな」

「これからの世界は。魔法じゃなく。薬と医療で発展しかなきゃいけない。
もう根付いてしまった魔道具は別にして」

「私しか使えない。私たちの子供しか使えない。
何れ消えて行く力。それに頼っちゃいけない。
私と子供を奪おうと、戦争になるのね」

「絶対に、そうなってしまう。それが、人間の欲望だと思うんだ。
正しくもあり、悪でもある」

「…本当に。辛い世の中だ」



それから暫く穏やかな海を眺め続けた。



何処に寄る気力も湧かず、早めにホテルへ戻った。

1階の受付カウンターで部屋の鍵を受け取る時。
「スターレン様宛の封書が、商業ギルド経由で届いております。お部屋の授受箱に入れておりますので。後にご確認をお願い致します」

封書と聞けば、1つしか浮かばない。

間に合ってくれた。その事に感謝と、僅かに安堵した。



部屋で淹れた紅茶を並べ。
差出人無記名の封書を開いた。


本文。

君から依頼された件だ。

道具の現在位置と効果範囲は、この時間では調べ切れなかった。

道具の形状と特性は掴めたので報告する。

ルビーの大結晶。形状は丸い球体に加工されている。
その道具の特性上。空に向けて常に露出していないと効果は示さない。

燃える様に明るく輝いていると聞いた。

上空からなら必ず見付かる筈だ。


次に解除方法。

今は無い。しかし作成は出来る。

君らが偶然に購入した、あの赤い結晶石を加工して欲しい。

同じルビーの原石であれば、必ず逆の効果も生み出せる。

しかし、形作るべき形状の正解は不明。
君なら求める結果を、正しく想像出来ると信じている。


次に解除の許容時間。

約半日だと推測する。
道具破壊後、半日過ぎた辺りから、捕虜となっていた人物は暴徒化し、共食いを始めてしまうらしい。

正しく地獄絵図だ。

こんな汚れた手をしている私でも、
聞いた瞬間に悪寒で震えてしまった。


次に他の懸念事項。

奴は、移動系道具の最高峰。
転移の指輪を持っている。

魔力消費量は不明だが、奴は日に何度か王都と彼の町を往復しているとの目撃情報が複数あった。

魔力上昇の道具も装備しているのだと思う。

奴と直接対決するなら、真っ先に腕を切り落とせ。


この手紙を纏めるのに少々無理をした。
暫く身を隠す。

隠れた所で、消される可能性の方が高いが。

私が死ねば、関わった全ての人間の記憶から私の痕跡が抹消される。
そう言う道具を、裏に加入する時に施された。

唯一心残りなのは、君たちと裏側の話を出来なかった事位だ。大した事は無い。

君らなら。それを聞かなくても、必ず自分たちの使命を果たせるだろう。

消される前に、この手紙が君らに届いている事を祈る。

                              ~ある闇の商人より~


「「………」」

届いたぜ。コマネさん。


「吐き気しかないが。今日も夕食を食べないと」
「そうね。食べ物に感謝しながら、ねじ込みましょう」




---------------

何とか捻じ込んだ夕食の後。

口直しにと、最近の定番ウィスキー。
酸味のあるワインは、今は胃が受け付けない。


「明日は石を削る。多分丸1日掛かってしまう。
1発勝負になるから慎重に」

「形の見当は付いてるの?」

「クインザは生粋の女神教徒だ。
そして魔道具も教団が作成したと考えるなら、作るべき形はたった1つ」

「女神様の彫像…」

「フィーネとの約束を破る事になるが、今回だけは前世の技術を使わせて欲しい」

「解った。スタプの作品なら見掛けた事がある。
逃亡生活中に。

荒んでいた私でも、天使様の横に置かれたあの彫像だけは何故か許せた。

不思議だね」

「もうその頃から。俺たちは結ばれる運命だったのさ」

「そんな気がする。あれが導きだったのかも。

私も隣で見ててもいい?」

「勿論。て言うより。フィーネのクリアを全開で封入しなければ完成しない。俺は形を作り」

「私が、力を宿す」

「その通りさ」

これが本当の共同製作だ。


「後、クインザの腕は落としても殺しちゃ駄目だ」

「…どうして?」

「俺たちには公爵を処罰する権限が無い。
それは王様の仕事。

転移の指輪を奪えたとしても、王都の城内にも無断では入れない。ちゃんと門を通らないと反逆罪。

それを自分たちでやると手続きに時間が掛かり過ぎる。

最短で正しく、クインザを王様の元へ持って行けるのは」

「同じ爵位を持つ、ロロシュさんか、ムートンさん」

「正解。だけどロロシュさんに引き渡したら、自分の手で殺しかねない。
だからギルドの事務室に居るムートンしか居ない。
ギルド地下には城への直通路も在るし」

「出来れば、この手で八つ裂きにしたいわ」
「気持ちは同じさ。でも殺してしまったら、ウィンザートは救えない。ヘルメン王が裁かないと意味が無いんだ。

だから、我慢だ」

「解った」


少ない希望を紡ぐ。2人で一緒に。

ロイドの選択も、間違いじゃなかったんだな。
「そう言って頂けると助かります。
でもそれを為したのは、間違い無く貴方です。智哉」

そう言う事にしておこう。
それと。女神様に、一世代振りの本気だから。
多少間違えてもお許し下さいと、伝えてお願い!
「お伝えしておきます」
ウエスト細くするから!
「それは余計です。
…え?是非そうしろと、仰っています。以上です」




---------------

ゴーギャンは執務室で、一通の通知を読み返していた。

その最後の一行。
「あの件だけは勘付かれるな」

もう手遅れですよと、通知を焼却用の暖炉に焼べた。

彼は既に誰をも越えている。

最初は普通の青年に見えた。
見えてしまった。

「私の眼は、節穴だらけでしたよ。総師」

机に向き直り、一枚の大判海図を広げた。

眠気覚ましに両頬を張り、気合いを入れ直す。
青年との約束を果たす為に。
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