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第118話 サダハんご乱心
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お弁当を持たせてクワンに飛んで貰い、俺たちは一路王都サンジナンテへと向かった。
一瞬ですが何か。
直接城門前に乗り入れ、多少の混乱はあったが無事に城内へと入れた。
謁見の間に膝を着いたのは俺とフィーネ。ニーナとロールデンマンの4人。それ以外の人員は外野からの観戦。
ニーナから。
「カラードキャメオ迷宮の踏破が完了致しました。当方の隊は全員生還。遅れて来たロールデンマンの隊の損失は三名。危険が伴い至極残念ではありましたが。彼らがどうしても行かせてくれと申し出た故に。留められず申し訳ありません」
「良い。増援を送ったのは余の浅はか。連絡が前後して済まなかったなニーナ」
「いえ。大変良い休養が取れました。その後は滞り無く進められ。
昨日首尾良く地下五層迄。漏れなく踏破出来ました。寧ろ感謝致します」
「ご…層だと…」
「何か?」
「何か…ではない。途中の三層に。何か変わった物は無かったのか」
「特別何も。多少強い魔剣崩れのような物が居ましたがスターレン様が見事塵に変えられて居られましたね」
「なっ…なぁぁぁ!!」
「どうされました!王よ」
ニーナも演技出来るじゃん。これなら問題なさげ。
「せ、聖剣は持っておらぬと。貴公はそう申したな」
「はい。聖剣ではありませんがそれなりに強い魔装の類の持ち合わせが有り。それで数十回殴り付けました所。
あっさり霧散してしまいました。後片付けの手間が省けるのはいいですね。迷宮とは実に便利に出来て居ります。
…サダハ様。随分と顔色が優れぬご様子ですが」
「何と言う事を…」
こっちの台詞だ馬鹿。
「ロールデンマン!貴様には魔剣を持ち帰れと命じた筈だぞ」
「確かにその命を受けましたが二層の難敵に阻まれ。交渉も侭ならずで、味方に損失も出ました故にそこで撤退致しました。それ以降の下層での出来事は私の知る所では有りません」
サダハんは唇を震わせ玉座の肘掛けを叩きながら立とうかどうしようか悩んでいた。
トイレ我慢してるのかな。
「便意でしたら我々は退出致しますが」
「ち、違うわ!!もう良い!ニーナ。踏破したと言うなら証拠をみせよ」
俺のバッグから石版を取出し、それをニーナが御前まで運んだ。
「こちらに。私には理解が及びませんが。間違いなく踏破の証とも書かれて居ります」
フルフルサダハんが石版を持ち上げて読み流し。
「こんな物が!」
ニーナの静止を振り切り石版を赤絨毯に叩き付けた…が全くの無傷。靴の踵で踏み付けられても大丈夫!
大変丈夫な石で出来ていた模様。
「いったいどうされたのですか」上辺の優しさで。
「もう良い。もう良いもう良い!やはり最初から自分で行くべきだった。エポシロン!武器庫から余の武装を持て」
エポシロンは騎士団長の名前だっけな。
「サダハ様!落着かれよ」
「余に口答えをするな!貴様は騎士団を九十騎編成せよ。早急にだ。出来次第出立する」
自分で確かめに行く気だよ。
「ロールデンマン!貴様に貸し与えた道具を返せ」
「及ばず乍ら。転移の道具は逃亡で使い切り。交渉の道具も途上で紛失致しました。申し訳ありません!」
「馬鹿者め!あれ程大切に扱えと…」
どれ程?何故か俺を見ている。
「スターレン!貴様の道具で我らを送り届けよ」
「…サダハ。お前は誰に命令しているんだ」
「す、済まない。今の発言は取り消す」
「敢えて聞き流しますが。2度目は有りませんよ。
欲しい物がお有りなら。御自分の足で行かれると宜しいでしょう。行っても今週内には到底間に合いませんがね」
やっと落ち着き…生気を失って玉座に座り直した。
「…エポシロン。迷宮踏破宣言を、ペカトーレのキタンに送れ。冒険者ギルドにも通達せよ。
迷宮は国の管理下に置く。モメットにも充分な褒美を与え権限の移譲を求めよ…」
「ハッ!」
ニーナが駄目押し。
「王よ。この石版も国の宝と愚考します。これは何方に飾りましょうか」
「か…飾るか。それは後に考えよう。一旦宝物庫へ。
午後にお前たちとスターレン殿らに話したい事がある。
外出は控えて欲しい」
「その石版にあるアルカンレディアの事でしたら別段興味は無いのですが」
「違う…。その先の話だ」
先…があったの?
思わずフィーネと顔を見合わせてしまった。
---------------
ソラリマが進化するなら是非欲しいと欲を掻いてやって参りました大きな横穴。
周囲には穏やかな空気が流れ、あたしも柔らかい心持ち。
まずは中の方にお会いしてみて考えよう。
何分希少な聖属性の石。断られるのが関の山ですよと。
「こんにちは~」
…何も反応が無い。
「お邪魔しますよー」
ご挨拶したのだから大丈夫でしょう。
地面に降りてトボトボ行進。
ん?横穴が続いているかと思っていたが奥はなだらかに下に向かって伸びていた。
蝙蝠や他の同類の気配も臭いもしない。しかしお先が真っ暗で何も見えなくなっていた。
どうしよう。こんなに深いとは思わなかった。
光源が欲しくてソラリマを呼び出すのはなぁ。ご主人様たちにも心配されちゃうし。
ここは一つ。初出しスキルの夜目を使ってみよう。
文字通りの暗視で暗がりでも僅かな光を受けた状態なら暫くの間は空間認識が出来る。
中の方を驚かせないようにトボトボと。
ゴツゴツとした岩肌を避けながら進み、辿り着いた先の窪地には二体の巨大な蛇さんがいらっしゃいました。
お休み中でしたか。二体は身体を絡め合って温め合っているようにも見えた。
朝からお昼寝中なら仕方が無い。まだ出直すかな。
「…何者だ」
背を向けた時に一体が首を持ち上げ声を発した。
「お休み中に失礼しました。あたしは鳩のクワンティと申します」
もう一体もムクリと起きて。
「その身を私たちに捧げに来たのですか?」
「違います!食べられては困ります。あたしは聖属性の白光石を探しておりまして。こちらから清らかなオーラを感じましたのでお持ちでないか尋ねに伺いました」
「邪な人間と同じような事を言う鳥だな」
「私たちは確かに内包しています。人間はそれを求めて直ぐに子供たちを根絶やしにしてしまう。頑張って産んでも産んでも」
時々酷いですよね人間は。
「我らの寿命も直尽きる。それまで待つが良い」
蛇さんの直ってどの位なんだろう…。
何時頃お亡くなりになりますか何て聞けないし。
「そうですか。宛が外れましたね。失礼します」
「お待ちなさい。貴方は隠馬の角をお持ちでは?その胸の袋の奧底から感じます」
「はい。確かに丁度二本持っていますが」
「それを下さらないかしら。終の間際の一興。最期の一産みをしようかと」
「お渡しするのは構いませんが。それだと旦那様が一週間後にお亡くなりに…」
「存じています。それには構わず」
「わしの意見は無視かいな。まあ死期が少し早まるだけの話だ。わしから出た石なら引換に持って行くが良い」
お言葉に甘えちゃってもいいのかな。
子孫繁栄に賭けたい。その気持ちは理解出来る。
気が変わらない内にと。
パックの底から角を取り出して二体の前に置いた。
どうするかは御本人たちにお任せ。
角から離れて見守っていると。二体は躊躇無く丸飲みしてしまった。
次第に淡く輝き出す二体の身体。
あたしの前で絡み合う番。最近の躊躇いを無くしたご主人様たちみたいだ。
生命の躍動を感じる。…本当に死期近かったのかな。
疑問は残るが一週間後にまた訪ねてみよう。
愛の巣から出た所でご主人様の位置を宝具で確認。
王都のお城。転移で帰っても良いのだけれど。
時間には余裕が有る。のんびりとお散歩がてらユニコーンさんの集落にも寄ってみよ。
「また来たの?」
一昨日お話したユニコーンさんに言われてしまった。
「頂いた角を配ってしまいまして。もう少し頂けないかと」
「欲張りさんね。…何だか美味しそうな匂いがするわ」
お弁当が嗅ぎ付けられた。大変お鼻が良い。
タダで角を貰っているあたしとしてはお断り出来ません。
お腹は空いたが帰ったら貰えるし。
「どうぞ。お納め下さい」
お弁当箱を開けて差し出した。
「塩気が強いのでお水を沢山飲んで下さいね」
「お優しいのね。人間の食べ物なんて何年振りかしら」
追加で数頭現われ我先にと数秒でご飯が消えた。
がっつき過ぎでしょ。
お馬さんの唾液塗れになったお弁当箱を片し、又しても大中小の角を六本も貰ってしまった。
「美味しかったわ」
そうでしょうとも。あたしはペコペコです。
仕方が無いと水筒の生血入りの檸檬水をガブ飲みしていると。
「それは何のお水なの?」
ご興味を引いて。
「海蛇の生血入りの檸檬水です。これだけしかないのであげられませんよ。あたしは空腹なのです」
「それは残念。それをくれたなら石を渡そうかなって考えた私が駄馬でした」
何ですって!
「どうぞ。たっぷりとお飲み下さい」
乾いた岩の凹みに残りを全部注ぎ込んだ。
それも数頭に群がられて秒で消えた。
代わりに頂いた見事な白光石を何と五個も。
「こんなに頂いても良いのですか?」
「お祈りは沢山捧げたわ。大切にしてね。
何かを貰ったらお返しするのが先馬の教え。大昔に有翼の上位種に進化された先祖の忘れ形見です」
天馬…ユニコーンさんの進化した姿が頭に浮かんだ。
「それはもう。不浄な使い方はしないと誓います」
「嬉しいわ。あなたとは何時かまた何処かで会えそうな気がする」
「お引っ越しされるのですか」
「行き先は内緒よ。何だか南から荒くれ者の集団が近付いているようなの」
「それは難儀な。石のお礼に排除して来ましょう」
「いけないわ。彼らはとても強力な弓を備えているの。有翼種に特化した矢で決して侮っては駄目よ」
今のあたしの装備では不安を感じる。
「解りました。素直に撤退します。何時かまた何処かで」
「御達者で」
それはあたしの台詞な気がする。
あたしは翼を振り返し。低空飛行で飛び去った。
---------------
サダハんの続きの話はあの教団に繋がって行く。
そのほんの序章。
「何処から話せば良いやら…。
先ずあの剣は魔剣であり魔剣ではない。我らの遠い祖先のアルカンレディアの民が神へ挑む為に造りし神剣。
伝わる文献には神の逆鱗に触れたとされている」
そこまでは知ってます。
「その剣に王族の誰か。男児である余の命を喰わせれば数年間従属化が可能だとあった」
そんな絡繰りが。真に魂喰らいの魔剣。
「来たるべき日の為。男児を欲したがサンタギーナでは叶わなかった」
来たるべき日?
「やがて来る滅びの終末。それを打破する為に。あの剣は必要だったのだ。それを、砕いてしまうとは」
「滅びを打破?砕けた時点でその様な大それた力は感じませんでしたが」
「それはそうだろう。魂が空に近い状態では神剣は真の力を発揮しない。
どうしてその剣が必要になったかだが。元を正せば君らがマッハリアであの勇者の生まれ変わりを撃ち滅ぼしてしまった事に起因する」
「なっ…」
「そこまでは知らなかった様だな。でなければ討伐しようとはしなかった筈だ。それは過ぎてしまった出来事。
今更もう良い。討伐を起点に状況は変わった。
勇者が何を望み、どうしてその結論に至ったかは最早知る術は無い。だが奴は、新たな神。邪神の召喚を目論んだ」
「…邪神」
「滅びを司る神だそうだ。真の目論見を知る者は極僅か。
そして奴は計画の一部を謎多き集団に引き継いでいた。その先を探る手立てが討伐と共に潰えてしまったのだ」
「全て俺の所為だとでも」
「事実であろう」
フィーネがキレ気味に。
「お言葉ですが。それらは全て推論です。邪神が本当に存在するかも疑わしいですし。勇者の生まれ変わりは実験と称して多くの人民を殺害した極悪人。それを当事者であるスタ-レンが討伐したのです。遠方の他人に悪く言われる筋合いはありません」
実際はさて置きね。
「フィーネ。邪神は本物かどうだか解らないけど。それを崇める邪神教団は実在する。ツンゲナの東で俺を襲って来た連中の1人がその教団員だった」
「初耳なんですけど」
「ごめん」
「君らの行いに対して咎める積もりも権利も無いのは承知している。予測が付かなくなっての苛立ちだ。許せ。
してその教団の名は解っているのか」
「嘘か真か。邪神ミネストローネ、と言うらしいです」
「何そのふざけた名前は」
「俺だって知らないよ。襲撃犯が死ぬ間際に吐いたし。
鑑定しても同じだった」
「ミネストローネを血反吐と一緒に吐いたのね。益々悪い冗談。料理への冒涜だわ」
すんません、トマト煮込みさん。
「ミ…。それは俄には信じ難いが。
兎に角その邪神が何時何処で発現するかも解らない。だからこそ国として対抗為得る武器が欲しかった。唯それだけだよ。ペカトーレのキタンの家系にも似たような伝承が伝わっている。それで争奪戦になった。
君らが各地で活躍する報を聞く度に現実味を帯び。その矢先での迷宮発見。これはもう運命であると…期待したんだが」
「まああんな骨董品では無理でしょう。壊してしまった建前上。俺がその邪神を追い返せば良いんでしょ。
俺なら行った場所には転移も可能です。もし仮に神様が降臨するなら世界の何処に居ても変調は察知出来ます。それなりの天変地異的な何かも起きるかと。
この国が危機に瀕するなら。直ぐに駆け付けますとも」
熟す仕事は増えてませんから!
「まーた安請け合いして。もう知らない!」
「許しておくれよ。こう言う性格なんだからさ。
サダハ様が私利私欲で魔剣を取ろうとしたのではない事は理解しました。しかし隠し事は宜しくありません。
最初からお話して下されば別の道も探れたかも知れませんし。その点踏まえ今後とも私共の行動に付いては不干渉でお願いします」
「お互い様か…。助力も要らぬと申すか」
「下手な馴れ合いは疑惑を生みます。未だ何を考えているのか不明瞭な東隣の女神教も控えているので。表も裏も付かず離れずの距離感が丁度良いかと考えます」
「ふん。成程、と言って置こう」
俺たちとの話は痛み分けで終わった。
後は家族のお話だと席を立とうとした。
「アルカンレディアに付いては聞いて行かないのか」
「昼前にも申し上げた通りに興味が有りません。それに伝承が残っていたのがサンタギーナとペカトーレだけとは限りませんよ。沈む寸前で転移道具で逃げたり、優しい巨人族に救われたりでかなり分散したと思います。
誰が魔剣を作成してどの神の逆鱗に触れてしまっただとかは、今更どうでも良い事です」
「知っていた…。知った上で神剣を破壊したのか」
ニーナが満を持して口を開いた。
「父よ。スターレン様は我らの遙か先を行かれます。全ては手遅れ。ロールデンマン隊が来る以前に魔剣の破壊は完了しておりました。迷宮に居ながらにして常に王都の動きも警戒されていたのです」
「端から掌の上だった、と言う訳だな」
「人聞きの悪い。サダハ様は御自分では上手く隠せていると勘違い為されている様子ですが全く隠せてません。
それに妻のフィーネの前で嘘は通用しませんよ。対等にお話出来る相手に恵まれなかった所為でしょうか。立て続けに話される表情は何処か喜ばしく嬉しそうでした。ですので大半は自滅です」
これにサダハんが大声で笑った。
「壊した責任は取って貰うぞ。この若造が!詰りはこう言う事か」
「後半は良いですね。前半は俺が知るか。眉唾な我楽多に縋るな馬鹿、でお返し致します」
「言ってくれる…。何処へなりとも勝手にするが良いわ!
但し国外での所業に関しては手出しはせぬ」
「結構ですとも」
やっとこさサンタギーナ内での自由を勝ち取り、俺たちは悠然と城を出た。
---------------
スターレンらが退出した後の王宮内会議室。
「余の顔が綻んでしまっていたのか」
ニーナが答える。
「それはもう。満面に近しい微笑み様で」
「…余も焼きが回ったな。私は、あんな息子が欲しかったのかも知れぬ」
「いっそ引退為されてはどうでしょう」
「お前も大概だな。しかしそれは未だ待て。後数年は彼らの動向を見守らねば成らぬ。見もしない邪神に怯えていたのが馬鹿馬鹿しく思えて来た。
これからはより外事に目を向ける。後世に継ぐのはそれからだ。その内にじゃじゃ馬を迎えてくれる婿でも見付けて来るが良い」
「それは…。既にスターレン様よりご紹介を賜って居ります故。楽しみにお待ち下さい」
「ほう。益々面白い。…して、ニーナが王族であると何処で見抜かれたのだ」
「父上が私に同行を命ぜられた時点ですね」
それから暫くの間。サダハの心からの笑い声が途絶える事はなかった。
---------------
城を出た頃にクワンが帰り、その嬉しそうな表情から成果は上々であると解った。報告が楽しみだ。
シャインジーネに移動し、運良くエリュダンテの中級部屋が2部屋ポッカリと2週間空いていたので即決で全泊陣取った。
モメットとの連絡体制は冒険者ギルド経由で遣り取りする事で依頼した。
万全ではないが当面の対処に問題は見当たらない。
俺たちの部屋に集まりソプランから会議内容を教えろと要求されたので隠さず説明。
「邪神…だと」
「ミネストローネとは…とても信じられません」
「ねー」
「クワァ」
「知らんって。拉致された動揺で俺の鑑定が狂っていたのかも知れないし。信じなくていいですよーだ」
「子供じゃないんだから」
「それよかクワンの報告早く聞こうぜ」
クワンがスマホを取出し翼をヒラヒラと。
段々と打ち込みスピードが上がっている…。定位置なら普通に筆談会話が出来るレベルだ。
「白馬さんにお弁当と水筒の檸檬水を進呈した所。何と角に加えて大粒の魔石も五個頂けました。有翼種に特化した方から取れた物だそうで期待が出来ます。
残念ながら南方から蛮族が接近中だったらしく。別の場所にお引っ越しされるそうで。行き先は内緒だそうです」
「有翼のユニコーンって言ったらペガサスじゃん。それが天馬なら呼笛でお世話になりそうだな。偉いぞクワン」
「偉い偉い」
フィーネがクワンの頭を撫で撫で。
嬉しそうに。
「南東部の横穴の先には白く輝く大蛇の番が居まして。
命懸けで子作りをしたいと隠馬の角を要求されましたので提供しました。一週間後に旦那様方から出る魔石を頂けるそうなので来週にもう一度行って参ります」
「雄って何だか切ない」
「切ねえな…」
自然の摂理って時に残酷だ。
並べられた白い魔石は全て上位魔石だった。
「ソラリマ。これ何個入れればいいのかな」
『…念には念を。全部入れてしまえ。効果があれば叫び出すと思う。予め箱を沈黙化した方が良いだろう』
まだ生きてんのかよ。しぶといわぁ。
フィーネと合同で残骸入りの密閉容器を沈黙させた。
蓋を開け、死んだ振りをする残骸の隣に魔石を並べて浸けた。
『うぅあぁぁぁ』想定外な大音量。
速攻で封印。
「一瞬だけでもうっるせぇ」
「ありがとソラリマ。助かったわ」
『構わぬ。元同業の誼だ。迷わず浄化されてしまうが良いわ。同族嫌悪とでも言うのか。
さて置き一週間後に最上に近い魔石が手に入るなら。それまでじっくりと漬け込んで様子を見るのを勧める』
「そうするよ」
クワンが続けて。
「南からの蛮族ですが。どうやら有翼種に特化した弓を持っているそうで。あたしが行くならニーナさんに渡した額冠をお借りしたいです」
「うーん。今後関わるならその時に借りに行こうか。普通に狩猟してるだけだったかも知れないし。物騒に感じたからって理由だけでは討伐は出来ないよ」
「クワァ…」
「関わるならね。今の所行く必要性は全く無いけど。
クワンティならこの魔石を通じてユニコーンさんたちの危険を感じ取れるような気もするし。対処するならその時かな」
「クワッ」
ディナーまでの時間で打ち合わせを続行。
「ホテルは2週取ったけど。今の予定だと1週間ちょいでチェックアウト。その後ペカトーレに向けて出発。移動の馬車は単独のをモメットに依頼する。ペカトーレ側の反応次第で首都まで行くかは決める積もり。
来週までとそれ以降で複数回南東内陸に飛ぶ。そこで決着が着けられれば御の字だけど。流石に欲張り過ぎかな」
南東大陸の地図を広げて。
「この中央部の国。レンブラント公国の首都フィオグラに女神教新興派の拠点が在るらしいから、何とかそこまで辿り着きたい。
首都から北西部の町。ティレンズにコマネさんの幼馴染みが居るらしく。その町に入る為の通行証は既に手に入れてある。そっから先はその人物次第」
「手際がいいねぇ。お前ら見てると飽きないぜ」
「後は移動をしている最中に、中央で動きが無ければ良いのですが…」
「それに関しては祈るしかないね。シュルツかペリーニャからの連絡待ちで」
フィーネが。
「明日はどうするの?」
「いい加減休養しよう。今後に備えて。みんな色々あって疲れたでしょ。俺もストレス限界っす」
「全力で休もう!」
「やっと休みかぁ」
「正直に嬉しいです」
「クワッ」
「今度は普段着で町中観光しよう。偶には個別でデートして来なよ」
「言われんでもそうする」
---------------
完全オフ日の翌日。俺たちはホテルを出掛ける振りをして無人島まで飛んだ。
各方面に向かう前に荷物の整理やリペアをする為に。
「ここが無人島かぁ」
「ウィンザートの南の島でしたか。転移道具は不思議で偉大です」
ここを初めて訪れる2人には新鮮らしい。
動物と木々以外何の変哲も無い小島なんだけど。
「はーい。観光は後で。刃毀れや損傷した武装があったら持って来てー」
大型パラソルを打ち立てながらフィーネが呼んだ。
アローマの小剣や鎖帷子。ソプランの双剣や胸当て。
遺跡産の武装には欠片も損失は見られなかった。
古代の名工たちの執念を感じます。
壊れかけていたのは武器屋で買った特殊武具の類。
「こんなになるまで何時使ったの?」
「牽制とか盾代わりに使ったらこうなった」
「私も似たような物です」
「お試しで遺跡産の武器と合成するのは勿体ないからクワンジア産の通常武器と合成してみよか」
何方も通常武具としては上質。失敗はあっても劣化はしないぜ。
傀儡の紅玉を片手にバッグからクワンジア産の武具をズラリと宙に浮かせて陳列した。
「「「おぉ!」」」
「クワ!」
「好きなの選んで」
「サラッと流すんじゃねえ!お前自分が何してんのか自覚あんのか」
「全く無い。道具が優秀で魔力があれば誰にでも出来るってば。早く、時間が勿体無いよ」
「何だかよく解らんが。選べばいんだろ選べば…」
「武具に詳しくなくても壮観な眺めです」
「全く新しいタイプの陳列方法ね」
「クワッ」
似た様な長さや重さで選ばせてフィーネがリバイブリペアを開始。上位品ではないのでフィーネ単独でも問題無い。
剣魚角や魔石の合成で作業は手慣れたもの。
サクサク餅つきの如く進められ、数分で終わった。
序でに今度はクワンジア産同士で予備の武装も合成。
自分用にもと物色しているとソプランが。
「追憶の方も合成してくれよ。損傷はしてねえが使い勝手が悪くてなぁ」
対になる2本を取って駄駄を捏ね出した。
「仕方ないわね。確か、片方を外すと加速効果が消えるのよね」
「そうそれ。対マンなら変則で目眩ましになるんだが。集団戦では自分が混乱する」不器用さんですこと。
そんな微妙な調整が出来るの?と思ってたら出来た。
名前:追憶の双剣・改
性能:単体攻撃力800
特徴:2本装備時、一薙ぎ毎に斬撃速度加速
魔力消費:2振り毎に1
片手装備時、前節継続
両手装備解除時に効果解消
装備者の魔力消費が最大値の3割切れで、
加速効果は滑らかに停止する(魔力消費無し)
「これこれ。最初に速度上げとけば片手の持ち替えで効果を継続出来る。文句無し!流石はお嬢だ」
「照れますわ」
おいらはスフィンスラーで損傷の激しいハルバードを適当な斧と合成して貰った。
軽く振り振り。
「質量が倍以上になったのに逆に軽くなるってどんな反則技ですか」
「てへへ」
それならとスフィンスラーで出た鬼の棍棒各種を合成。
両手持ちの上質な棍棒が2本出来上がった。
「そんな鈍器まで持ってたのか」
「いいだろぉ」
「要らねえ」
「ねえスタン。それ、1本頂戴。銀板のハンマーと合成してみたいの」
2つを柄で繋げる案も浮かんだがどうせ扱えやしないからと気前良く渡した。
結果角張っていた白銀のハンマーが丸みを帯びて装飾が豪華に進化した。
名前:銀盤の破壊鎚・改(水竜の加護:絶大)
性能:攻撃力2600(+自重、落下加速、遠心力)
装備者限定(フィーネ:死亡時解除)
知能以外の全能力値+2400
任意で魔力を込められる
聖光、水属性保有
特徴:世界の何処かの鍛冶工房で造られた大鎚+
相変わらず水竜様は激甘である。
「やったー。軽くなったのに攻撃力が上がったわ。有り難う水竜様♡」ハンマーにキスの雨。羨ましい。
最近甘やかされていない。武具に嫉妬。
武装はこんなもんかな。続いて道具類。
先日使い切ったのに砕けなかった締結鎖に灰色の粉と万寿樹液を少量垂らして合成を掛けて頂いた。
あっさりとリペア完了。
名前:締結の鎖・改
特徴:使用回数制限5回
どんな物でも締結させる
例えその欠片が世界の果てに在ろうとも
強制執行者の手元の欠片を起点とする
次の使い切りで道具は消滅する
エンドレスではないよねぇ。
「敵の手に渡ると厄介だな。奪われそうになったら無駄打ちしてこれは消し去ろう」
「それが良さそうね」
続いてスフィンスラーで得た用途不明の木片を。
真ん中で叩き割って灰と樹液で着けて合成を依頼。
何と怪樹の小枝だった物が。
名前:世界樹の木片
特性:武装の素材、補修用品に最適
特徴:これを見付けられた者は幸運の持ち主
それ程でも(照)
「いいのが出来た。何に使おうか」
「クワッ!」クワンが自分のガードルをペシペシ。
「あ、ガードル改良するって言って置きながら結局そのままだったな。ごめんごめん」
脱ぎ脱ぎ脱がして木片全投入で合成。
名前:鳩専用高品位ガードル
性能:装備者の魅力値、カリスマ性上昇
装備者と身近な者の運気上昇
弓矢、投擲武具類に対し完全回避機能搭載
防御力+3500(露出部含め全ての部位)
高強魔法攻撃耐性(全属性)
呪術系攻撃反射(倍返戻)
外因に依る隊列分離防止機能搭載
完全防水、空気抵抗零、高通気性、
防汚、強力消臭効果
体力、俊敏性4倍まで上昇可能
特徴:鳩の中の鳩。王者の風格を体現した作品
思わず皆で拍手。
「素晴らしい。サクレアの上位互換が手に入ったな」
「クワンティに逃げられたらもう誰も追い付けない」
「お前らだけ別世界だな」
「鳩の概念を逸脱した夢装備ですね」
「クワァ♡」
更にクワンの背中に渇望の肩当てを取り付けた。
亀の甲羅を背負ったようにも見える。
「クワン。ちょっと透明化してみて」
「クワッ」
クワンが忽然と姿を消した。気配まで消える!
索敵でも見えない…。
「クワンティ何処?帰って来て」
「クワッ」
彼女は全く動いていなかった。
「これなら狭い場所以外何処にでも潜入出来るぞ」
「でも私は。クワンティが居なくなっちゃうみたいで。ちょっとだけ嫌だな」
そう言ってフィーネがクワンを抱き締めた。
「クワァ~」生涯離れませんよと返信。
「うん。信じてる」
その日はずっとクワンを抱っこしたまま離さなかった。
愛だね…。俺は!!(嫉妬)
一瞬ですが何か。
直接城門前に乗り入れ、多少の混乱はあったが無事に城内へと入れた。
謁見の間に膝を着いたのは俺とフィーネ。ニーナとロールデンマンの4人。それ以外の人員は外野からの観戦。
ニーナから。
「カラードキャメオ迷宮の踏破が完了致しました。当方の隊は全員生還。遅れて来たロールデンマンの隊の損失は三名。危険が伴い至極残念ではありましたが。彼らがどうしても行かせてくれと申し出た故に。留められず申し訳ありません」
「良い。増援を送ったのは余の浅はか。連絡が前後して済まなかったなニーナ」
「いえ。大変良い休養が取れました。その後は滞り無く進められ。
昨日首尾良く地下五層迄。漏れなく踏破出来ました。寧ろ感謝致します」
「ご…層だと…」
「何か?」
「何か…ではない。途中の三層に。何か変わった物は無かったのか」
「特別何も。多少強い魔剣崩れのような物が居ましたがスターレン様が見事塵に変えられて居られましたね」
「なっ…なぁぁぁ!!」
「どうされました!王よ」
ニーナも演技出来るじゃん。これなら問題なさげ。
「せ、聖剣は持っておらぬと。貴公はそう申したな」
「はい。聖剣ではありませんがそれなりに強い魔装の類の持ち合わせが有り。それで数十回殴り付けました所。
あっさり霧散してしまいました。後片付けの手間が省けるのはいいですね。迷宮とは実に便利に出来て居ります。
…サダハ様。随分と顔色が優れぬご様子ですが」
「何と言う事を…」
こっちの台詞だ馬鹿。
「ロールデンマン!貴様には魔剣を持ち帰れと命じた筈だぞ」
「確かにその命を受けましたが二層の難敵に阻まれ。交渉も侭ならずで、味方に損失も出ました故にそこで撤退致しました。それ以降の下層での出来事は私の知る所では有りません」
サダハんは唇を震わせ玉座の肘掛けを叩きながら立とうかどうしようか悩んでいた。
トイレ我慢してるのかな。
「便意でしたら我々は退出致しますが」
「ち、違うわ!!もう良い!ニーナ。踏破したと言うなら証拠をみせよ」
俺のバッグから石版を取出し、それをニーナが御前まで運んだ。
「こちらに。私には理解が及びませんが。間違いなく踏破の証とも書かれて居ります」
フルフルサダハんが石版を持ち上げて読み流し。
「こんな物が!」
ニーナの静止を振り切り石版を赤絨毯に叩き付けた…が全くの無傷。靴の踵で踏み付けられても大丈夫!
大変丈夫な石で出来ていた模様。
「いったいどうされたのですか」上辺の優しさで。
「もう良い。もう良いもう良い!やはり最初から自分で行くべきだった。エポシロン!武器庫から余の武装を持て」
エポシロンは騎士団長の名前だっけな。
「サダハ様!落着かれよ」
「余に口答えをするな!貴様は騎士団を九十騎編成せよ。早急にだ。出来次第出立する」
自分で確かめに行く気だよ。
「ロールデンマン!貴様に貸し与えた道具を返せ」
「及ばず乍ら。転移の道具は逃亡で使い切り。交渉の道具も途上で紛失致しました。申し訳ありません!」
「馬鹿者め!あれ程大切に扱えと…」
どれ程?何故か俺を見ている。
「スターレン!貴様の道具で我らを送り届けよ」
「…サダハ。お前は誰に命令しているんだ」
「す、済まない。今の発言は取り消す」
「敢えて聞き流しますが。2度目は有りませんよ。
欲しい物がお有りなら。御自分の足で行かれると宜しいでしょう。行っても今週内には到底間に合いませんがね」
やっと落ち着き…生気を失って玉座に座り直した。
「…エポシロン。迷宮踏破宣言を、ペカトーレのキタンに送れ。冒険者ギルドにも通達せよ。
迷宮は国の管理下に置く。モメットにも充分な褒美を与え権限の移譲を求めよ…」
「ハッ!」
ニーナが駄目押し。
「王よ。この石版も国の宝と愚考します。これは何方に飾りましょうか」
「か…飾るか。それは後に考えよう。一旦宝物庫へ。
午後にお前たちとスターレン殿らに話したい事がある。
外出は控えて欲しい」
「その石版にあるアルカンレディアの事でしたら別段興味は無いのですが」
「違う…。その先の話だ」
先…があったの?
思わずフィーネと顔を見合わせてしまった。
---------------
ソラリマが進化するなら是非欲しいと欲を掻いてやって参りました大きな横穴。
周囲には穏やかな空気が流れ、あたしも柔らかい心持ち。
まずは中の方にお会いしてみて考えよう。
何分希少な聖属性の石。断られるのが関の山ですよと。
「こんにちは~」
…何も反応が無い。
「お邪魔しますよー」
ご挨拶したのだから大丈夫でしょう。
地面に降りてトボトボ行進。
ん?横穴が続いているかと思っていたが奥はなだらかに下に向かって伸びていた。
蝙蝠や他の同類の気配も臭いもしない。しかしお先が真っ暗で何も見えなくなっていた。
どうしよう。こんなに深いとは思わなかった。
光源が欲しくてソラリマを呼び出すのはなぁ。ご主人様たちにも心配されちゃうし。
ここは一つ。初出しスキルの夜目を使ってみよう。
文字通りの暗視で暗がりでも僅かな光を受けた状態なら暫くの間は空間認識が出来る。
中の方を驚かせないようにトボトボと。
ゴツゴツとした岩肌を避けながら進み、辿り着いた先の窪地には二体の巨大な蛇さんがいらっしゃいました。
お休み中でしたか。二体は身体を絡め合って温め合っているようにも見えた。
朝からお昼寝中なら仕方が無い。まだ出直すかな。
「…何者だ」
背を向けた時に一体が首を持ち上げ声を発した。
「お休み中に失礼しました。あたしは鳩のクワンティと申します」
もう一体もムクリと起きて。
「その身を私たちに捧げに来たのですか?」
「違います!食べられては困ります。あたしは聖属性の白光石を探しておりまして。こちらから清らかなオーラを感じましたのでお持ちでないか尋ねに伺いました」
「邪な人間と同じような事を言う鳥だな」
「私たちは確かに内包しています。人間はそれを求めて直ぐに子供たちを根絶やしにしてしまう。頑張って産んでも産んでも」
時々酷いですよね人間は。
「我らの寿命も直尽きる。それまで待つが良い」
蛇さんの直ってどの位なんだろう…。
何時頃お亡くなりになりますか何て聞けないし。
「そうですか。宛が外れましたね。失礼します」
「お待ちなさい。貴方は隠馬の角をお持ちでは?その胸の袋の奧底から感じます」
「はい。確かに丁度二本持っていますが」
「それを下さらないかしら。終の間際の一興。最期の一産みをしようかと」
「お渡しするのは構いませんが。それだと旦那様が一週間後にお亡くなりに…」
「存じています。それには構わず」
「わしの意見は無視かいな。まあ死期が少し早まるだけの話だ。わしから出た石なら引換に持って行くが良い」
お言葉に甘えちゃってもいいのかな。
子孫繁栄に賭けたい。その気持ちは理解出来る。
気が変わらない内にと。
パックの底から角を取り出して二体の前に置いた。
どうするかは御本人たちにお任せ。
角から離れて見守っていると。二体は躊躇無く丸飲みしてしまった。
次第に淡く輝き出す二体の身体。
あたしの前で絡み合う番。最近の躊躇いを無くしたご主人様たちみたいだ。
生命の躍動を感じる。…本当に死期近かったのかな。
疑問は残るが一週間後にまた訪ねてみよう。
愛の巣から出た所でご主人様の位置を宝具で確認。
王都のお城。転移で帰っても良いのだけれど。
時間には余裕が有る。のんびりとお散歩がてらユニコーンさんの集落にも寄ってみよ。
「また来たの?」
一昨日お話したユニコーンさんに言われてしまった。
「頂いた角を配ってしまいまして。もう少し頂けないかと」
「欲張りさんね。…何だか美味しそうな匂いがするわ」
お弁当が嗅ぎ付けられた。大変お鼻が良い。
タダで角を貰っているあたしとしてはお断り出来ません。
お腹は空いたが帰ったら貰えるし。
「どうぞ。お納め下さい」
お弁当箱を開けて差し出した。
「塩気が強いのでお水を沢山飲んで下さいね」
「お優しいのね。人間の食べ物なんて何年振りかしら」
追加で数頭現われ我先にと数秒でご飯が消えた。
がっつき過ぎでしょ。
お馬さんの唾液塗れになったお弁当箱を片し、又しても大中小の角を六本も貰ってしまった。
「美味しかったわ」
そうでしょうとも。あたしはペコペコです。
仕方が無いと水筒の生血入りの檸檬水をガブ飲みしていると。
「それは何のお水なの?」
ご興味を引いて。
「海蛇の生血入りの檸檬水です。これだけしかないのであげられませんよ。あたしは空腹なのです」
「それは残念。それをくれたなら石を渡そうかなって考えた私が駄馬でした」
何ですって!
「どうぞ。たっぷりとお飲み下さい」
乾いた岩の凹みに残りを全部注ぎ込んだ。
それも数頭に群がられて秒で消えた。
代わりに頂いた見事な白光石を何と五個も。
「こんなに頂いても良いのですか?」
「お祈りは沢山捧げたわ。大切にしてね。
何かを貰ったらお返しするのが先馬の教え。大昔に有翼の上位種に進化された先祖の忘れ形見です」
天馬…ユニコーンさんの進化した姿が頭に浮かんだ。
「それはもう。不浄な使い方はしないと誓います」
「嬉しいわ。あなたとは何時かまた何処かで会えそうな気がする」
「お引っ越しされるのですか」
「行き先は内緒よ。何だか南から荒くれ者の集団が近付いているようなの」
「それは難儀な。石のお礼に排除して来ましょう」
「いけないわ。彼らはとても強力な弓を備えているの。有翼種に特化した矢で決して侮っては駄目よ」
今のあたしの装備では不安を感じる。
「解りました。素直に撤退します。何時かまた何処かで」
「御達者で」
それはあたしの台詞な気がする。
あたしは翼を振り返し。低空飛行で飛び去った。
---------------
サダハんの続きの話はあの教団に繋がって行く。
そのほんの序章。
「何処から話せば良いやら…。
先ずあの剣は魔剣であり魔剣ではない。我らの遠い祖先のアルカンレディアの民が神へ挑む為に造りし神剣。
伝わる文献には神の逆鱗に触れたとされている」
そこまでは知ってます。
「その剣に王族の誰か。男児である余の命を喰わせれば数年間従属化が可能だとあった」
そんな絡繰りが。真に魂喰らいの魔剣。
「来たるべき日の為。男児を欲したがサンタギーナでは叶わなかった」
来たるべき日?
「やがて来る滅びの終末。それを打破する為に。あの剣は必要だったのだ。それを、砕いてしまうとは」
「滅びを打破?砕けた時点でその様な大それた力は感じませんでしたが」
「それはそうだろう。魂が空に近い状態では神剣は真の力を発揮しない。
どうしてその剣が必要になったかだが。元を正せば君らがマッハリアであの勇者の生まれ変わりを撃ち滅ぼしてしまった事に起因する」
「なっ…」
「そこまでは知らなかった様だな。でなければ討伐しようとはしなかった筈だ。それは過ぎてしまった出来事。
今更もう良い。討伐を起点に状況は変わった。
勇者が何を望み、どうしてその結論に至ったかは最早知る術は無い。だが奴は、新たな神。邪神の召喚を目論んだ」
「…邪神」
「滅びを司る神だそうだ。真の目論見を知る者は極僅か。
そして奴は計画の一部を謎多き集団に引き継いでいた。その先を探る手立てが討伐と共に潰えてしまったのだ」
「全て俺の所為だとでも」
「事実であろう」
フィーネがキレ気味に。
「お言葉ですが。それらは全て推論です。邪神が本当に存在するかも疑わしいですし。勇者の生まれ変わりは実験と称して多くの人民を殺害した極悪人。それを当事者であるスタ-レンが討伐したのです。遠方の他人に悪く言われる筋合いはありません」
実際はさて置きね。
「フィーネ。邪神は本物かどうだか解らないけど。それを崇める邪神教団は実在する。ツンゲナの東で俺を襲って来た連中の1人がその教団員だった」
「初耳なんですけど」
「ごめん」
「君らの行いに対して咎める積もりも権利も無いのは承知している。予測が付かなくなっての苛立ちだ。許せ。
してその教団の名は解っているのか」
「嘘か真か。邪神ミネストローネ、と言うらしいです」
「何そのふざけた名前は」
「俺だって知らないよ。襲撃犯が死ぬ間際に吐いたし。
鑑定しても同じだった」
「ミネストローネを血反吐と一緒に吐いたのね。益々悪い冗談。料理への冒涜だわ」
すんません、トマト煮込みさん。
「ミ…。それは俄には信じ難いが。
兎に角その邪神が何時何処で発現するかも解らない。だからこそ国として対抗為得る武器が欲しかった。唯それだけだよ。ペカトーレのキタンの家系にも似たような伝承が伝わっている。それで争奪戦になった。
君らが各地で活躍する報を聞く度に現実味を帯び。その矢先での迷宮発見。これはもう運命であると…期待したんだが」
「まああんな骨董品では無理でしょう。壊してしまった建前上。俺がその邪神を追い返せば良いんでしょ。
俺なら行った場所には転移も可能です。もし仮に神様が降臨するなら世界の何処に居ても変調は察知出来ます。それなりの天変地異的な何かも起きるかと。
この国が危機に瀕するなら。直ぐに駆け付けますとも」
熟す仕事は増えてませんから!
「まーた安請け合いして。もう知らない!」
「許しておくれよ。こう言う性格なんだからさ。
サダハ様が私利私欲で魔剣を取ろうとしたのではない事は理解しました。しかし隠し事は宜しくありません。
最初からお話して下されば別の道も探れたかも知れませんし。その点踏まえ今後とも私共の行動に付いては不干渉でお願いします」
「お互い様か…。助力も要らぬと申すか」
「下手な馴れ合いは疑惑を生みます。未だ何を考えているのか不明瞭な東隣の女神教も控えているので。表も裏も付かず離れずの距離感が丁度良いかと考えます」
「ふん。成程、と言って置こう」
俺たちとの話は痛み分けで終わった。
後は家族のお話だと席を立とうとした。
「アルカンレディアに付いては聞いて行かないのか」
「昼前にも申し上げた通りに興味が有りません。それに伝承が残っていたのがサンタギーナとペカトーレだけとは限りませんよ。沈む寸前で転移道具で逃げたり、優しい巨人族に救われたりでかなり分散したと思います。
誰が魔剣を作成してどの神の逆鱗に触れてしまっただとかは、今更どうでも良い事です」
「知っていた…。知った上で神剣を破壊したのか」
ニーナが満を持して口を開いた。
「父よ。スターレン様は我らの遙か先を行かれます。全ては手遅れ。ロールデンマン隊が来る以前に魔剣の破壊は完了しておりました。迷宮に居ながらにして常に王都の動きも警戒されていたのです」
「端から掌の上だった、と言う訳だな」
「人聞きの悪い。サダハ様は御自分では上手く隠せていると勘違い為されている様子ですが全く隠せてません。
それに妻のフィーネの前で嘘は通用しませんよ。対等にお話出来る相手に恵まれなかった所為でしょうか。立て続けに話される表情は何処か喜ばしく嬉しそうでした。ですので大半は自滅です」
これにサダハんが大声で笑った。
「壊した責任は取って貰うぞ。この若造が!詰りはこう言う事か」
「後半は良いですね。前半は俺が知るか。眉唾な我楽多に縋るな馬鹿、でお返し致します」
「言ってくれる…。何処へなりとも勝手にするが良いわ!
但し国外での所業に関しては手出しはせぬ」
「結構ですとも」
やっとこさサンタギーナ内での自由を勝ち取り、俺たちは悠然と城を出た。
---------------
スターレンらが退出した後の王宮内会議室。
「余の顔が綻んでしまっていたのか」
ニーナが答える。
「それはもう。満面に近しい微笑み様で」
「…余も焼きが回ったな。私は、あんな息子が欲しかったのかも知れぬ」
「いっそ引退為されてはどうでしょう」
「お前も大概だな。しかしそれは未だ待て。後数年は彼らの動向を見守らねば成らぬ。見もしない邪神に怯えていたのが馬鹿馬鹿しく思えて来た。
これからはより外事に目を向ける。後世に継ぐのはそれからだ。その内にじゃじゃ馬を迎えてくれる婿でも見付けて来るが良い」
「それは…。既にスターレン様よりご紹介を賜って居ります故。楽しみにお待ち下さい」
「ほう。益々面白い。…して、ニーナが王族であると何処で見抜かれたのだ」
「父上が私に同行を命ぜられた時点ですね」
それから暫くの間。サダハの心からの笑い声が途絶える事はなかった。
---------------
城を出た頃にクワンが帰り、その嬉しそうな表情から成果は上々であると解った。報告が楽しみだ。
シャインジーネに移動し、運良くエリュダンテの中級部屋が2部屋ポッカリと2週間空いていたので即決で全泊陣取った。
モメットとの連絡体制は冒険者ギルド経由で遣り取りする事で依頼した。
万全ではないが当面の対処に問題は見当たらない。
俺たちの部屋に集まりソプランから会議内容を教えろと要求されたので隠さず説明。
「邪神…だと」
「ミネストローネとは…とても信じられません」
「ねー」
「クワァ」
「知らんって。拉致された動揺で俺の鑑定が狂っていたのかも知れないし。信じなくていいですよーだ」
「子供じゃないんだから」
「それよかクワンの報告早く聞こうぜ」
クワンがスマホを取出し翼をヒラヒラと。
段々と打ち込みスピードが上がっている…。定位置なら普通に筆談会話が出来るレベルだ。
「白馬さんにお弁当と水筒の檸檬水を進呈した所。何と角に加えて大粒の魔石も五個頂けました。有翼種に特化した方から取れた物だそうで期待が出来ます。
残念ながら南方から蛮族が接近中だったらしく。別の場所にお引っ越しされるそうで。行き先は内緒だそうです」
「有翼のユニコーンって言ったらペガサスじゃん。それが天馬なら呼笛でお世話になりそうだな。偉いぞクワン」
「偉い偉い」
フィーネがクワンの頭を撫で撫で。
嬉しそうに。
「南東部の横穴の先には白く輝く大蛇の番が居まして。
命懸けで子作りをしたいと隠馬の角を要求されましたので提供しました。一週間後に旦那様方から出る魔石を頂けるそうなので来週にもう一度行って参ります」
「雄って何だか切ない」
「切ねえな…」
自然の摂理って時に残酷だ。
並べられた白い魔石は全て上位魔石だった。
「ソラリマ。これ何個入れればいいのかな」
『…念には念を。全部入れてしまえ。効果があれば叫び出すと思う。予め箱を沈黙化した方が良いだろう』
まだ生きてんのかよ。しぶといわぁ。
フィーネと合同で残骸入りの密閉容器を沈黙させた。
蓋を開け、死んだ振りをする残骸の隣に魔石を並べて浸けた。
『うぅあぁぁぁ』想定外な大音量。
速攻で封印。
「一瞬だけでもうっるせぇ」
「ありがとソラリマ。助かったわ」
『構わぬ。元同業の誼だ。迷わず浄化されてしまうが良いわ。同族嫌悪とでも言うのか。
さて置き一週間後に最上に近い魔石が手に入るなら。それまでじっくりと漬け込んで様子を見るのを勧める』
「そうするよ」
クワンが続けて。
「南からの蛮族ですが。どうやら有翼種に特化した弓を持っているそうで。あたしが行くならニーナさんに渡した額冠をお借りしたいです」
「うーん。今後関わるならその時に借りに行こうか。普通に狩猟してるだけだったかも知れないし。物騒に感じたからって理由だけでは討伐は出来ないよ」
「クワァ…」
「関わるならね。今の所行く必要性は全く無いけど。
クワンティならこの魔石を通じてユニコーンさんたちの危険を感じ取れるような気もするし。対処するならその時かな」
「クワッ」
ディナーまでの時間で打ち合わせを続行。
「ホテルは2週取ったけど。今の予定だと1週間ちょいでチェックアウト。その後ペカトーレに向けて出発。移動の馬車は単独のをモメットに依頼する。ペカトーレ側の反応次第で首都まで行くかは決める積もり。
来週までとそれ以降で複数回南東内陸に飛ぶ。そこで決着が着けられれば御の字だけど。流石に欲張り過ぎかな」
南東大陸の地図を広げて。
「この中央部の国。レンブラント公国の首都フィオグラに女神教新興派の拠点が在るらしいから、何とかそこまで辿り着きたい。
首都から北西部の町。ティレンズにコマネさんの幼馴染みが居るらしく。その町に入る為の通行証は既に手に入れてある。そっから先はその人物次第」
「手際がいいねぇ。お前ら見てると飽きないぜ」
「後は移動をしている最中に、中央で動きが無ければ良いのですが…」
「それに関しては祈るしかないね。シュルツかペリーニャからの連絡待ちで」
フィーネが。
「明日はどうするの?」
「いい加減休養しよう。今後に備えて。みんな色々あって疲れたでしょ。俺もストレス限界っす」
「全力で休もう!」
「やっと休みかぁ」
「正直に嬉しいです」
「クワッ」
「今度は普段着で町中観光しよう。偶には個別でデートして来なよ」
「言われんでもそうする」
---------------
完全オフ日の翌日。俺たちはホテルを出掛ける振りをして無人島まで飛んだ。
各方面に向かう前に荷物の整理やリペアをする為に。
「ここが無人島かぁ」
「ウィンザートの南の島でしたか。転移道具は不思議で偉大です」
ここを初めて訪れる2人には新鮮らしい。
動物と木々以外何の変哲も無い小島なんだけど。
「はーい。観光は後で。刃毀れや損傷した武装があったら持って来てー」
大型パラソルを打ち立てながらフィーネが呼んだ。
アローマの小剣や鎖帷子。ソプランの双剣や胸当て。
遺跡産の武装には欠片も損失は見られなかった。
古代の名工たちの執念を感じます。
壊れかけていたのは武器屋で買った特殊武具の類。
「こんなになるまで何時使ったの?」
「牽制とか盾代わりに使ったらこうなった」
「私も似たような物です」
「お試しで遺跡産の武器と合成するのは勿体ないからクワンジア産の通常武器と合成してみよか」
何方も通常武具としては上質。失敗はあっても劣化はしないぜ。
傀儡の紅玉を片手にバッグからクワンジア産の武具をズラリと宙に浮かせて陳列した。
「「「おぉ!」」」
「クワ!」
「好きなの選んで」
「サラッと流すんじゃねえ!お前自分が何してんのか自覚あんのか」
「全く無い。道具が優秀で魔力があれば誰にでも出来るってば。早く、時間が勿体無いよ」
「何だかよく解らんが。選べばいんだろ選べば…」
「武具に詳しくなくても壮観な眺めです」
「全く新しいタイプの陳列方法ね」
「クワッ」
似た様な長さや重さで選ばせてフィーネがリバイブリペアを開始。上位品ではないのでフィーネ単独でも問題無い。
剣魚角や魔石の合成で作業は手慣れたもの。
サクサク餅つきの如く進められ、数分で終わった。
序でに今度はクワンジア産同士で予備の武装も合成。
自分用にもと物色しているとソプランが。
「追憶の方も合成してくれよ。損傷はしてねえが使い勝手が悪くてなぁ」
対になる2本を取って駄駄を捏ね出した。
「仕方ないわね。確か、片方を外すと加速効果が消えるのよね」
「そうそれ。対マンなら変則で目眩ましになるんだが。集団戦では自分が混乱する」不器用さんですこと。
そんな微妙な調整が出来るの?と思ってたら出来た。
名前:追憶の双剣・改
性能:単体攻撃力800
特徴:2本装備時、一薙ぎ毎に斬撃速度加速
魔力消費:2振り毎に1
片手装備時、前節継続
両手装備解除時に効果解消
装備者の魔力消費が最大値の3割切れで、
加速効果は滑らかに停止する(魔力消費無し)
「これこれ。最初に速度上げとけば片手の持ち替えで効果を継続出来る。文句無し!流石はお嬢だ」
「照れますわ」
おいらはスフィンスラーで損傷の激しいハルバードを適当な斧と合成して貰った。
軽く振り振り。
「質量が倍以上になったのに逆に軽くなるってどんな反則技ですか」
「てへへ」
それならとスフィンスラーで出た鬼の棍棒各種を合成。
両手持ちの上質な棍棒が2本出来上がった。
「そんな鈍器まで持ってたのか」
「いいだろぉ」
「要らねえ」
「ねえスタン。それ、1本頂戴。銀板のハンマーと合成してみたいの」
2つを柄で繋げる案も浮かんだがどうせ扱えやしないからと気前良く渡した。
結果角張っていた白銀のハンマーが丸みを帯びて装飾が豪華に進化した。
名前:銀盤の破壊鎚・改(水竜の加護:絶大)
性能:攻撃力2600(+自重、落下加速、遠心力)
装備者限定(フィーネ:死亡時解除)
知能以外の全能力値+2400
任意で魔力を込められる
聖光、水属性保有
特徴:世界の何処かの鍛冶工房で造られた大鎚+
相変わらず水竜様は激甘である。
「やったー。軽くなったのに攻撃力が上がったわ。有り難う水竜様♡」ハンマーにキスの雨。羨ましい。
最近甘やかされていない。武具に嫉妬。
武装はこんなもんかな。続いて道具類。
先日使い切ったのに砕けなかった締結鎖に灰色の粉と万寿樹液を少量垂らして合成を掛けて頂いた。
あっさりとリペア完了。
名前:締結の鎖・改
特徴:使用回数制限5回
どんな物でも締結させる
例えその欠片が世界の果てに在ろうとも
強制執行者の手元の欠片を起点とする
次の使い切りで道具は消滅する
エンドレスではないよねぇ。
「敵の手に渡ると厄介だな。奪われそうになったら無駄打ちしてこれは消し去ろう」
「それが良さそうね」
続いてスフィンスラーで得た用途不明の木片を。
真ん中で叩き割って灰と樹液で着けて合成を依頼。
何と怪樹の小枝だった物が。
名前:世界樹の木片
特性:武装の素材、補修用品に最適
特徴:これを見付けられた者は幸運の持ち主
それ程でも(照)
「いいのが出来た。何に使おうか」
「クワッ!」クワンが自分のガードルをペシペシ。
「あ、ガードル改良するって言って置きながら結局そのままだったな。ごめんごめん」
脱ぎ脱ぎ脱がして木片全投入で合成。
名前:鳩専用高品位ガードル
性能:装備者の魅力値、カリスマ性上昇
装備者と身近な者の運気上昇
弓矢、投擲武具類に対し完全回避機能搭載
防御力+3500(露出部含め全ての部位)
高強魔法攻撃耐性(全属性)
呪術系攻撃反射(倍返戻)
外因に依る隊列分離防止機能搭載
完全防水、空気抵抗零、高通気性、
防汚、強力消臭効果
体力、俊敏性4倍まで上昇可能
特徴:鳩の中の鳩。王者の風格を体現した作品
思わず皆で拍手。
「素晴らしい。サクレアの上位互換が手に入ったな」
「クワンティに逃げられたらもう誰も追い付けない」
「お前らだけ別世界だな」
「鳩の概念を逸脱した夢装備ですね」
「クワァ♡」
更にクワンの背中に渇望の肩当てを取り付けた。
亀の甲羅を背負ったようにも見える。
「クワン。ちょっと透明化してみて」
「クワッ」
クワンが忽然と姿を消した。気配まで消える!
索敵でも見えない…。
「クワンティ何処?帰って来て」
「クワッ」
彼女は全く動いていなかった。
「これなら狭い場所以外何処にでも潜入出来るぞ」
「でも私は。クワンティが居なくなっちゃうみたいで。ちょっとだけ嫌だな」
そう言ってフィーネがクワンを抱き締めた。
「クワァ~」生涯離れませんよと返信。
「うん。信じてる」
その日はずっとクワンを抱っこしたまま離さなかった。
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10
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仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
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青いウーパーと山椒魚
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加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
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いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
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曖昧なのには理由があった。
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レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
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神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
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三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
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