お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏

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第151話 闘技大会本戦前(中編)

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西も南も初日にして成果は上々。
両者共に王都の自室に集合させた。レイルの運搬もクワンが実施。

本人曰く数分で飛んで来られると言ってはいたが。
「蝙蝠の姿でも王都では目立つって」
「高速で移動したら余計に」
「不便じゃのぉ」
どっちがですか?

「レイルの方は明日にも決着しそうな勢いだな」
「マリスの姿もこの目で捉えた。フィーネが持つ擬態道具で化ければ水門の鍵も容易く手に入る。合い言葉を使っていたら面倒じゃし。まずはこの姿のまま接触してみる積もりじゃ」
成程成程。
「はい。悪用しちゃダメよ」ネックレスを手渡すと。
「子供扱いは止めよ」
任せると言った以上は任せよう。

「問題は南の人質か…」
「ああ、明後日動けそうか」
「行くよ。こっちは特に動きは無いし。明日デブルには直接聞けないからソーヤン方面からノドガのリサーチしてみる」
「何か起きたら私がここに残るわ。大会直前だから接触しに来るとは思えないけど」

「次にクエ・イゾルバへどうやって乗り込むか。町手前までならクワンに連れて行って貰えるけど。人質たちの正確な位置が解らない事には強行手段に出られない」
「バザーで入手したコンパスを改良すればええじゃろ」

「適当に合成して壊したら勿体ないからシュルツの眼鏡借りに行かないとさ」
「連絡して明日の朝一に行くか。ペリーニャに見て貰おうか」
「その手も有ったな。でも下手に勘ぐられると後々厄介事に巻き込んじゃうから、やっぱ眼鏡で」
「それもそうね。自分で使うとか言い出しそう。人質って言葉に敏感だから」
「そうそう」

「妾も行きたかったのぉ」
「当分はレイルとは会いたくないってさ」
「照れ隠しかえ?」
多分違うと思う。

「俺らもコツコツ情報集めしてるぜ」
「特に南部は未知数ですので」

お風呂後に倉庫街を宿から覗きに行くのだが。

「指輪の動きが数日前から動かない。今日持ち帰ってくれた地図に照らし合わせると倉庫街の西寄りの一点で止まったまま」
「敵に取っても最後の1個で保管してるんじゃない?それか私たちを誘き寄せる罠か」
指輪を置いて自由に動いていたとすると。
「ゴッズすら陽動…だとすると。いやまさか」

「のぉスターレン。言葉にしたくない気持ちは解らぬでもないが。そろそろ認めたらどうじゃ」
「何を?」
問い返したのはフィーネだが。それを否定出来る材料を俺は持っていなかった。

「もう既に。邪神を呼び出せる段階に有るんじゃないかって事だよ」
「おいおい冗談だろ。道具は揃ってないって話しだっただろうが」

「嘗てクリケルト王朝が妾を西大陸から召喚した手法ならば。足りない道具分は複数の生贄を揃えれば賄える。
万寿の樹液はこの国に向かっておる。小さいながらも凍土の石英も国内に在る。緋色の結晶石は転移道具を寄せ集めれば事足りる。黒竜の鱗の行方は解らぬが数代前のベルエイガが盾として使っていたのは見た。
肝心の祭壇は敵の手中。足りぬのは妾の血じゃが、聖女の血肉で補う積もりかも知れぬ。

この王都だけでも生贄候補が四人も居るのじゃ。石英で僅かな穴さえ空けられたなら。向こう側からこじ開けるじゃろうな」
「最悪だ」

「そうなると…。クエ・イゾルバが大本命に成るのか」
「やっぱり私たちを誘き寄せる罠なの?」

「マリスを操る者の狙いが城落としや玉取りでないのなら。ゴッズやエンペラーで混乱している隙を突き。マリーナを呼び出し。と同時に聖女を誘い出す。必然的にお主らも釣れる。一石四鳥じゃ。
妾が敵ならそうするじゃろう。マリスが転移道具を使っていないのが何よりの証拠じゃよ。単に使えぬ可能性も在るがの」

「あー考えるの面倒になって来た。西も南も重要。些細なミスも命取り。やらなきゃいけない事は変わらないし。
動かないと犠牲者が減らせない。この様子だとクエに実力部隊が集められてる」
「そして一般住民を盾に取ってるのね」

「敵の策略を潰して潰して潰し捲れば。町の外まで引っ張り出せるかも知れない。個人的には海上で決着も有りだと考えてたけど却下だな」
「人質が乗せられてたら攻撃出来ないもんね」

「明日からも一層気を引き締めて臨みましょう。ノドガが内通者で人質が全くの嘘なら。多少の気分は軽く成るのですが」
淡い期待だね。

時間も押して来たのでさっさと風呂にした。

風呂後にソプランたちが土産に持って来た濃厚なチェリーブランデーを嗜み(クワンは特製レモネード)理由も無く乾杯した。



ベンツールで指輪の位置を確認して解散。
どうやら何かの箱に入れられ、双眼鏡では確認出来なかった。

誰かが飲み込んでいたら…どうしよう。

羅針盤は定点位置には強いが移動されると弱い。人前で操作がし辛い面が有る。

在処は判明したので一旦引き下がる事にした。

レイルをチャーチャの宿へ送り届けて王都へ帰宿。




---------------

ホースキ君を呼び立てる前にマリーナに自宅へちょっとだけ帰る旨を伝えて飛んだ。

目的はコンパスの強化。とロイドちゃん用の防具各種の鑑定等々。早いに越した事は無し。

タイラントは雨期直前の曇天模様。無人島へは行きたくない。

シュルツとミランダ、プリタに挨拶して工房へ。

「ちょっと時間無いから鑑定したら直ぐに戻る」
「お時間は無いのですか…」

「何かあったの?」
「ダリアさんがお姉様にお話が有るとかで。後宮でお待ちしていると。内容を聞いても私には話せないらしく」
「もう来たのかな」
フィーネだけが妙に納得した表情。
「解った後で行くわ。スタンは鑑定が終わったら先に戻ってて」
「了解」


早速コンパスから鑑定開始。

何と合成相手は羅針盤だった。羅針盤の方の機能が消滅するかは賭けだったが今は物よりも人物捜索が優先。

思い切って合成して貰った。

小さなコンパスの方が上位なのか羅針盤との間の大きさに収まった。楽々掌サイズ。これなら外でも使える。

名前:望郷の指針
性能:正確な人物、商品、製品、地名等の名称を
   心に浮べると現在位置を脳裏に指し示す
特徴:~迷宮の出入口や経路と言った指定の仕方も可
   ~の故郷等の裏技も有

「良し。使い勝手が増した。人でも物でも捜せる」
「羅針盤消えなくて良かったぁ」
但しこれを敵に奪われたら大変な事態に陥る。奪われそうになったら破壊する。


グローブ2つはマウデリン各300g以上推奨と出た。

2kgのインゴットを煉獄で3分割し、更に半分。
約330gで合成。

防御が1000加算された以外は基本性能に変化無し。
どんな魔力を付与するかはロイドちゃんとご相談。


羽根帽子が少々厄介だった。

推奨素材が獄炎竜の逆鱗と大狼様の毛皮と出た。
「シュルツ、参考までに聞くけど」
「コートとエプロンドレスで使い果たしました…」

「お土産持って貰いに行くしかないわ。コートは解体したくないし」
「遊び相手になれって言われるんだろうなぁ」
想像するだけでも恐ろしい。どうやって戦えばいいんだろうか。手加減してくれないと死んでしまいそう…。

帽子は早くアローマに渡さないといけない。半端に進化させるよりも揃えられるまで保留する。


用事を済ませ、ザッハークに戻ろうとした所。
「お兄様。手放しで使える道具袋を幾つか試作してみたのですが」
「お、出来ちゃったの?」
硝子粉要らなかったかも。コマネ氏に全渡しするか。

シュルツのバッグから出された斑模様の3つの小袋。
「以前お姉様から頂いたデブルペントの皮とロープ糸で完遂出来ました。
袋の口を閉じると収納物を手放しで使えます。ですが単体で肩掛け紐などの付属品を付けたり。口紐をこれ以上長くすると手放しの機能が失われてしまいます。
そしてこの外向きではないデザイン。好きな方も居るかも知れませんが。私含め身近な女性には好まれませんでした。肌身離さず、と言うのは両立が難しいです」
「鞄や袋抱えて風呂入ったり寝る人居ないもんなぁ。でも自分用に丁度欲しいと思ってたとこだから2つだけ貰って行くよ。ありがと。で残りの1つはシュルツが使うか」
「ダリアに渡そうと思う。シュルツ、申し訳ないけど在庫の皮全部使っていいから量産頼めないかな。ちょっと向こうでややこしい事になってて。再来週辺りに配り回らないといけなくなるかも知れないの」

「二週間ですね。解りました。なる早で作成します!」


満を持してプリタが。
「ラフドッグ産とハイネ産の梅干しが出来上がりましたが持って行かれますか?」
「おぉ持って行くから箱詰めしといて。その間にロロシュさんに挨拶して来る」
「畏まり!」

「スターレン様。当代様はサルベイン様と現在城の執務室に居りますが」
「じゃあ途中までフィーネと一緒に行って来るよ」



王宮広間でスタンと別れ後宮に向かった。

陛下も在室だったのでご挨拶と報告を先に済ませた。
「想定していた以上に敵の人員が多く難航しています」
「闘技大会本戦は始まったのか」

「いいえ。今から3日後の開始です。更にスタンは3日目で私が4日目。そこまでは嫌でもザッハークに軟禁されてしまいます」
「ふむ。今更増員も出来ぬしな」

「ソプランとアローマに動いて貰っていますので。それに強力な助っ人を東から連れて参りました」
「…誰かは聞かぬ方が良いのか」

「陛下の御寿命が縮んでも良いならお答えしますが」
「あぁ良い良い。今ので何となく察しが付いた。クワンジアを滅ぼすなよ」

「私たちとその人が本気で暴れたら…クワンジアだけでは収まりませんね」
「その言葉で寿命が縮むわ!」


陛下の私室を出て新たに設けられたダリアの私室へ移動した。

護衛の近衛兵と挨拶を交して部屋に入ると。私を見付けるなりダリアが抱き付いて来た。
「フィーネ様!」
「はいはい落着いて。何が見えたのか順番に話してくれるかな」

室内にはメルシャンも居て。
「フィー。私も」
「はいはい」流れでハグ。
「損在ですわね」
不平を述べるメルシャンを軽く遇い。ジャスミンティーを給仕係に頼んで昨晩夜な夜な作った葛餅を出した。
「メル。これ陛下にはお渡ししてないから内緒よ」

「モチモチプルプルですわ♡」
ダリアはお茶で飲み下して少し元気になった。
「やっと落ち着けました」

ダリアの話を要約すると。

最初はライラさんがガードナーデ家の2階自室から出て下り階段をアンネちゃんと一緒に滑り落ちてしまう夢。

確証は持てなかったが強引に部屋を1階の空き部屋に移して貰うと同じ夢は見なくなった。

次にダリア自身が何処か見知らぬ薄暗い場所で大きな石台の上に寝かされている夢。

これが予知夢かと思い。連絡をする前に寝所を後宮に移すとピタリと見なくなった。

それから数日が過ぎ。連絡をしようと考え始めた矢先。
今度はシュルツが石台に寝かされている姿を見てしまったと言う話だった。

スマホを借りて連絡しようにもシュルツにどう説明して良いのか解らず困っていたそうだ。

「連絡くれて有り難うダリア。シュルツに話さなくて正解だったわ」
「どう言った意味でですか?」

「予知夢には種類と段階が有るの。最初に見たライラさんとアンネちゃんの夢は複数人が登場して。事が起こる時間帯と正確な場所まで現われた。これは予知と断言しても違わない。
次のダリアとシュルツの夢は警告。時間も場所も不明で登場人物は1人だけ。これは警戒しなさいって言う暗示。

夢は不思議な物で自分が見た景色、経験した物事、知り得た人物しか出ない物なの」
「成程…」

「自分自身が寝ている姿を俯瞰。客観視している内はまだ大丈夫。日時や周りの情景が鮮明に成って。見知らぬ人が多く現われ。自分視点で意志とは無関係な言葉を喋り出したら少し危険」
「少し、ですか」

「そう少し。登場人物は覚えていないだけで町中ですれ違った人とかが殆ど。特にダリアやシュルツは拉致監禁されていた経験を持ってるから。それらしく組み合わされたパズルみたいな物よ。だから予知夢は信じちゃいけないの」
「何となく解ったような、解らないような」

「今は何となくでいいわ。後でシュルツには私から一言警告を伝える。今私に話をしたから夢はもう見なくなる筈。
それでも夢が具体的になって行くならもう一度連絡して」
「はい」

「次の段階からが精神的に大変よ」
「精神的に?」

「人の生き死に。殺される間際の光景が見え出すわ」
「それは…」

僅かに震えるダリアの手をそっと握り。
「大丈夫。それは只の夢。そんな事は起こらないと心を強く持って否定するの。私を信じて」
力強く「はい」と手を握り返してくれた。

「予知夢の波が過ぎて自分で制御出来るようになれば。
今度は起きている間に予知現象が目の前の景色と重なり出す。それが本物の未来視」
「未来視…」

「とても辛い光景が繰り返される。大抵の人は初期で心が壊れてしまう。救いたくても救えない。手を伸ばしても届かない。何も出来ずに死んで行く。
見たくないと部屋に閉じ籠もっても強制的に見せられる」
「苦しい、ですね」

「フィーはその領域まで踏み込んだのですか?」
「今は違う。正確に言うと今世は」
「今世?」

「前に庭園で子供の頃の話をしたでしょ」
「ええ」
「あれも本当の話。でも10歳の頃に力は消えたの。メルやダリアには話してなかったけど。私には前世の記憶が有るのよ。甦ったが正解かな。
断片的な物は認識してて。スタンと暮らし始めて一気にそれが開花した」

温くなったお茶を喉に通した。
「前世はここではない世界で。私は予言者だった。
その世界に馴染めずに。予言の力に溺れて愚かな失敗を積み重ねた。倒してはいけない魔物を殺し。結果大切な仲間が愛した町が滅び。そこで初めて過ちに気付いた。
取り戻そうと必死になってまた間違いを重ね。多くの仲間を失い、国の半分が消えてしまった。親友は去り、嘗て愛した夫も私の盾になって亡くなった。前世の最後の戦いも自分勝手に一人で挑み敗北して終わり。

私の最大の過ちは一番最初に誰にも相談しなかった事。
何でも話せる親友が傍に居てくれたのに。何でも自分一人で解決出来ると過信した。

この話は信じなくてもいいわ」

「信じます。フィーネ様を」
「私もですわ」

「どんなに酷い光景が目の前に現われても。必ず一筋の光が差している。それを見逃さないで。そしてダリアはもう一人ぼっちじゃないわ。スタンも言ってたように」
「はい!」

「前世で大失敗した私が居るし。英雄ベルエイガ様はその力を自分の物にした。貴女も絶対に乗り越えられる」
「胸が熱いです」
瞳がウルウルし出した。ここまでにしよう。

小袋に指針のブローチ(複製品)を入れて手渡した。
「これは手放しで私に救難が飛ばせる道具袋よ。シュルツから貰ったポーチに入れて身近に置いておいて」
「有り難う御座います。相互で送り合える物ではないのですね」

「改造も可能だけど今は時差も有るからちょっとね。でも緊急時は遠慮しないで。返事が無いからってメルと使い回して遊んじゃ駄目よ」
「はい」
「しませんわよ」


ロロシュ邸に引き返しシュルツとミランダさんたちに襲撃の可能性を伝えた。

「来るとしたら今日から2週間が一つの山。身近な人物に成り済ましてる可能性も有るから気を付けて。可能性としては私たちか、ピレリさん辺りかな」
「許せません!」
「怒らないの。冷静に。シュルツならきっと見抜けるわ。
例えばこっそり邸外に出て町を歩こうとか絶対言わない台詞を吐くと思うから」

ミランダさんが疑問顔。
「私共に化けていた場合は…」
「うん。シュルツの連れ去りが目的なら不用意に接触しようとする筈よ。無口なカーネギさんが矢鱈と饒舌だったりとか色々。身内だったら外部の人が絶対に知らないような事を問えばいいわ」
「む…。邸内に、確実に居ない人間に、成り済ますと思う」
「私もそう思う」

邸内用の葛餅をシュルツに預け、スタンより遅れてザッハークの宿舎へ帰宿した。




---------------

マリスの船は分岐の中州西側で停滞していた。

混乱しておるしておる。

通信具を使っていたならベントナも気付いている筈。
今は駐屯所で休憩中。徹夜明けの仮眠?かの。

擬態道具は先程スターレンに届けられた手放しで使える小袋に納め何時でも使える状態。

本に人間は恐ろしい物を作る。それをホイと妾に渡してしまうとは…。悪い気はせぬが信用し過ぎではないかのぉ。

大きな借りが有るとは言え。

釣り道具を片手に船着き場を目指し、船場の管理者に釣りの許可を得た。
「女の人が珍しいねえ。ここいらは鯰みたいなのしか釣れないぜ。ポイントは東の大橋の袂かな」
昨日飛び越えた橋じゃな。
船着き場からでも良く見えるぞよ。
「どうもご丁寧に…。あれは何ですか?」

船着き場と橋との間。川辺にプカプカと浮かぶ五つの物体を指差した。

「あれって…。何だありゃ。おいおめえら!何か変なもんが浮いてるぞ」
渡し船の準備をしていた仲間を呼び寄せ、全員で向かい自分は手前で足を止めた。
「ひぃ!し、死体ではないのですか」
「まさか…。いや、本物か!」
男共が一斉に駆け出し死体を見聞。
「全員首をやられてんな。誰か駐屯所のベントナさんに連絡しろ」
「は、はい!」
内一人が町中へと走り出した。

管理人が引き返し。
「姉さん。今日は釣り止めときな。気分悪いだろ」
「そ、そうですわね。宿に帰ります…」
妾が置いたのじゃがな。


宿に戻ってゴロゴロしていると慌てたベントナたちが訪ねて来た。

荒々しいノックで起き上がった。

「あらまぁ。これは昨日の兵士様。態々お調べされたのですか」
「レイルダール嬢と伺いました。昨日、貴女に絡んだ男たちが死体で見付かりまして」
「偶然とは怖いですわね。先程船着き場の方々と偶然にも発見したのですよ。あれが昨日の」

「ご足労ですが遺体の確認にお付き合い願えませんでしょうか」
「嫌ですわ。水辺に浮いていたのですから臭そうですもの」
死霊も鮮度が命じゃて。

「そこを何とか。遠目でも構いませんので、ご協力を」
しつこいのぉ。
「解りましたよ。でも全員の顔を覚えている訳ではないので悪しからず。ご了承を」
「大変に助かります」
ベントナの目の下に大層な隈が。仮眠中に叩き起こされたと見える。誰の所為かは知らぬが。

向こうから接近して来たのじゃ。大いに利用してやろう。


駐屯所の遺体安置室、涼しげな霊安室に案内された。

「鼻が曲がりそうですわ」
スッポリ被せられたシーツを開けると。顔面は既に腐敗が進み崩れ掛けていた。

腐敗だけでも遅らせておけば良かったとやや後悔。鼻を押えながら離れた場所から確認した。
「この方で相違有りませんわ。半分原形を留めてはいませんが確かに」
「死体には慣れて居られる御様子。只の行商ではありませんね」
狙い通りに食い付いた。
「私を疑っているのですか?手練れだと」
「単身で旅をするには危険な世ですので」
「アッテンハイムから護衛を引き連れ王都へ入り。転売商品と共にお別れした迄ですわ。観光がてら商いを見出すなら地方だと。人の死体などは旅する者に取っては日常。
潔白を証す物は持ち得ませんが。疑われるのも拠が薄く有りませんこと?」

衣服に染みそうな臭いを避ける様に部屋を出た。
「…不充分でしたかね」
「横暴ですわ。クワンジアは卑しき者の集まりだと言わざるを得ません」
「失礼しました。それは素直に謝罪します。所でこの賊らの荷物が見当たらぬのですが何か心当りは」

「そう言われましても。店で声を掛けられた時から軽装だった気がしますよ?飲食店に来るのに態々大荷物を抱える方が居るのでしょうか」
「居ませんね」
「地元の方ならまずは彼らの住居からお調べになるのが筋でしょう。何でしたら私の部屋を検めますか?私は知らぬ物は答えようが無いです。そもそも面識も無い殿方に乱暴な言葉を浴びせられて怖い思いをしたのに。
町の治安を守るのが兵士や軍属の方のお仕事だと認識していますが。私の身を案ずるよりも賊の荷物がご心配とは民度まで低俗なのですね」

「言葉も無いです。御身がご無事で何より。どうぞお帰り下さい。ですが五人を害した輩が潜伏しているやも知れません。夜間の外出は控えられた方が良いと思われます。
強制では有りませんし。巡回の強化は勿論します」
「なら安心して夜釣りに出掛けられますわ」

水門の鍵は首紐で胸に下げているのは見えている。しかしどうにも話が繋がらない。

この場は流すのが得策じゃな。

「お話、聞いてます?」
「強制ではないと。どの道私に監視を付けて下さるのでしょうし。これ以上無い護衛だと思えば」
「はぁ…」

「持ち込みで調理して頂ける店は見付けてあります。宜しければ皆さんで」
反吐が出るから断って欲しい。
「それには及びません。存分にお楽しみ下さい」
良かったのじゃ。




---------------

有用な道具を手に入れ、ザッハークに戻った昼下がり。

軽めの昼食を取りながら温泉事業は全権移譲したとフィーネに伝えた。
「あんな大金借り受けて釣り合うかって聞いたら。どうせ使い切れない金だから返さなくていいってさ」
「予想通りね」

「安全な道さえ構築出来れば完成は早い。だから採算は取れるんだそうです」
「へぇ。どんな風になるのか。楽しみ…よりも怖いわ」

任せると成ったからには手は出せない。

何となくエリュダー商団も誘致しているぽい。タイラント内トップ4が揃い踏み。末恐ろしや。

ロロシュ氏に会った序でにラフドッグの船を持ち出す許可も得た。その足でラフドッグに飛び、ゴーギャンさんの許可を得て船ゲット。

「え?じゃあ今バッグの中に?」
「持って来ましたぜ。俺の方はガラガラだし」
獄炎竜の素材の大半はフィーネが持っている。じゃなくても中型船なら10隻以上楽勝で入っちゃう。


ダリアの話もそこで聞いた。
「未来視かぁ。想像も出来ないな」
「誰もが憧れる能力だと思う。けど実際は地獄よ。
見たい物は見れずに、見たくない物だけ見せられる。それを使えば便利に対処出来ると思うでしょ」
「うん」
「そんな甘くて優しい物じゃないわ。一定期間。自分の寿命の範囲内。その先は偽物。予測される未来の一部。
見誤ったら最後。二度と取り戻せない。気付いた時には通り過ぎてる。後は後手に回るだけよ」

辛そうに前世を語るフィーネを背中から抱き締めた。

「最善を尽くす。それしか無いよな」
「消してあげられるのが一番だけど。強制すると精神崩壊するから出来ないの」
「本人が乗り越えるしかないのか」
「成長と自然に任せてね」
開眼のスカーフの使用を拒んだ理由が改めて解った。


食後の休憩を挟み、マリーナ経由でホースキを呼び出したのだが。
「今日の今日では厳しいです。バザーの余韻も冷めぬ頃。北国の役人の目も光っていますし。大会直前で予算取りに尽力されて居ります。崩して述べるなら。御老体に鞭打って走り回っています」
急なアポ取りは無理だしたと。
「ごめん無理言って。でも事後じゃ遅いんだ。ホースキはベンツールのノドガは知ってる?」

「ノドガ…。存じていますが余り良い噂は聞きませんね。
当国の高官なら誰でも後ろ暗い物事の一つや二つは抱えているものです」
サラッと酷い物言い。
「噂って」
「他国の外交官様には大きな声では言えませんが。奴隷を横流しする人身売買に一時期手を出されていたとか。
最近の話では有りません。私が知るのは一年以上前の話です。その点をソーヤン様に尋ねますか」

「ホースキが知ってる位ならソーヤン殿も既知の筈。現状と一緒にノドガの家族構成を問い合わせたい。出来れば明日の午前中までに」
「文書には残せないだろうから口伝えでお願い」

「その程度なら何とか。深くは聞けないかも知れません故期待は為ずに」
「裁量は任せると伝えて。ノドガはデブルの派閥だって聞いたからソーヤン殿に、て考えただけだから」
「関係を疑ってるとかじゃなくて。上手く運べばノドガを中立域まで下げられそうなの」

「詰り。このままだと敵に回ると」
「そうそう。ノドガを抑えるだけでも南部の組織に相当な打撃を与えられると思う。ソーヤン殿に取っても悪い話じゃない」

ふむと納得して退出して行った。


夕方まで時間が空いた。この時間を利用してお隣のゼノンと大会の打ち合わせ。

スマホをオープンに、あーでもないこーでもない。

フィーネはキッチンでロロシュ邸で貰って来たカレールーでトマト多目のシーフードカレーにアレンジ中。
「あぁ私どうしよう…」
女性部門でどう負けるかで悩んでいた。

炊飯器でお米も炊いて。

カレーはソプランたちとレイル用だが。




---------------

ベンツールの町が騒がしくなった。騒がしくなっていたと言うべきか。

宿に戻った瞬間にそれは解った。
外周全てが敵影に囲まれ、索敵スキルが無くても肌で感じ取れる位に敵意に満ちていた。

オマケで外出禁止令。俺たちが捕捉されている。
「拙いな。囲まれてるぜ」
「宿がでしょうか」
「全部だな」
外の路地も上も下も宿の出口も何もかも。

「打って出てもいいが…。明日までは厳しい」
何とかノドガに取り次ぐまでは。
「厳しいですね。外へ出ると私たちの動きが筒抜けに」
だからって逃げないと襲撃されるのは目に見えて…。

考えている内に廊下側の扉の隙間から煙が流入。
「宿に火着けやがったな!」
「逃げますか。宿の人には申し訳ないですが」
「どうせグルだ。他はとっくに逃げてるだろうぜ」

煙の回りが異常に早い。油が焼けた臭いがする。

その時。窓を破って透明な何かが飛び込んで来た。

ったく頼りになる鳩様だぜ。




---------------

こちらの夕食後にソプランたちがリビングエリアに突然現われた。

全身煤塗れの格好で。

「いやぁ悪いな。宿が焼かれちまったぜ」
「煙に巻かれる寸前でクワンティに救われました」
「クワッ!」

「取り敢えず風呂入って。事情は後で聞く」
「想定以上に動きが早いね」

2人とクワンがお風呂へ直行。

拠点に接近し過ぎた感も有る。だがそれだけでは説明が付かない。
「敵も優秀な鑑定具持ってるな」
「2人が逃げた事も知られてる?」
「どうだろう。明日の町の様子で解ると思う」
ここまで来て行かない選択肢は無い。
火事の被害状況を見れば何かは掴める筈だ。


3者にカレーを出して落ち着いた頃。
「日暮れに外出禁止が出されて宿に戻ると案の定」
「私たちの宿だけが囲まれました」
クワンはスマホから。
「西部の見張り台の上から見えた限りで三十数名。動きは素早く。宿から他の客と従業員が出ると同時に火が放たれました。二人の代わりに東部の町で拾った襲撃犯の遺体を置いて来たので時間は稼げた筈です」
森に捨ててなかったのか。
「偉いぞクワン。捨てなかったんだな」

「北東部の森近くに魔物の気配がしたので。餌を与えまいと持ち帰りました」
「成程成程」
曖昧な指示を出した俺が悪い。

「更に敵の首領と覚しき男が不自然な眼鏡を掛けていたので奪って置きました」

パックから出された血塗れの眼鏡は先日のバザーで17番が落札した物で間違いない。
「17番が教団組織で確定だな」
「こんな所で尻尾を出してくれるとは」

「そんでそいつはどうすんだ。証拠として使うのか?」
「これから足が付いても逆に嫌だから…中級の1つと合成しちゃおうか」
「物証としては弱いよねぇ。良し隠滅しよう」

貴重なマウデリンを使っても良かったのだが上位互換が手に入ったなら好都合。

綺麗に洗浄。レッツトライ。

名前:霧雨の眼鏡
性能:鑑定具として最高峰に分類
   物質の特性や最適な組み合わせを見抜ける
   視力が悪い場合は補正機能搭載
   光源が無くとも暗視が可能
   着用者に合わせてフレーム自動修正
特徴:これで見えない物は極僅か

丸眼鏡のグラサンに変化した。

「陛下への土産にするには勿体ない性能だな」
「帰る前にもう1つの中級眼鏡を改造してみてから考えよっか」
俺のスキルの方を上乗せしてみるか。

取り敢えず明日ノドガで試す。


「ノドガの屋敷は町の東部だから東から入れば直ぐだ。今夜はこっちに泊まってく」
ベッドは沢山余ってるから。
「午前中に何かしらノドガの情報貰える。人質の真偽も含め人数次第でクエに乗り込むかどうか…」
「悩ましいね。罠の臭いがプンプンするし。アローマさんたちが襲われたのもノドガが漏らした気もする」
言えてるぅ。

「レイル様の方はどうなったのでしょう」
「マリスの動向を監視しながら水門の鍵を持つ兵士に接触出来たけど。交渉段階じゃないから今日は保留だって」
2人とクワンが戻って来る少し前に念話が飛んで来た。
「何か変な河鮒と鯰料理食べて。口直しにカレー食べたいって要求来たから後で持って行くの」

「鮒は解るが。鯰なんて食えるのか?」
「アッテンハイムでも余り食されていませんでしたね」

「品種にも因るけど。鰻の仲間なら食べられるよ。聞いた感じだと持ち込みの店でも料理人が困ってたらしい。
時間掛けて泥抜きしないと普通は臭くて。小骨塗れだからそれで失敗したんじゃないかなぁと」
「煮付けでも稚魚しか聞いた事ないよ。成体だと骨が邪魔で真面に食べられないんじゃない?」

「泥抜きと臭み抜きが上手く行けば。生姜醤油で煮込んで出汁にも使えるし。女性に嬉しいコラーゲンスープなら作れそう」
「いいわねスタンさん♡」
「コラーゲンとは?」
ソプランとクワンもキョトン顔。
「ゼラチンって魚とか豚肉とか鶏肉とかから取れる良質な脂みたいな成分で。特に魚の煮付けとか煮汁を冷まして冷蔵庫に置いておくと固まるじゃん。煮凝りとも言うアレだよ。翌日のお肌がプルプルに成るぜ」
「「素敵です♡」」

話が料理に脱線したが楽しみが増えた。

圧力鍋が欲しい所。開発出来ればアッテンハイムの名産品に加えられる、かも知れない。
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