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第233話 黒箱の中身は
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モルセンナからの帰り。レイルを招いて夕食後。
「見るからに怪しい黒箱と。本に挟まってた誰かの髪の毛拾ったんだけど。箱どうやって開けたら良いと思う?」
レイルが残念そうな溜息。
「本気で聞いておるのかえ」
「参考意見が有れば」
ロイドはニッコリ。
「何か大切な物を忘れていますよ」
「大切な物…?」
なんだっけ?
「あ、スタン。アレよアレ。良いの有るじゃない。最初に試しただけでずっと放置してるメタルマネキン」
「お!有った」
「魂の入らぬ傀儡なら何の影響も受けんわ」
「考え無しで聞いてすんません」
打って付けの物有るじゃないの。
「明日はスフィンスラーの空き層で傀儡の練習と。フィーネは共有視と幻影の特訓じゃな」
「「はい…」」
「ソプランとアローマには荷が重いので。こちらで待機か楽団のお世話を」
「畏まりました」
「マネキン?の方が気になるから後で見せてくれよ」
「おっけ」
「髪の毛を見せよ」
言われるまま布に包んだ長髪を見せた。
それを摘まんで天井の明かりに翳し眺める。
「離れてから時が経ちかなり薄いが…第三王女のユリテーヌの物じゃ」
「有り得る。娘に本を読ませてたなら」
「西国人形を妾に貸せ」
「ん?それ入れて使うの?」
「他に遣い道は無いじゃろ。邪魔者は消す。影の中で擽らせて笑い殺してやろう」
「流石に殺すのは…気が引けると言うか」
「本を読んだだけなのよ?」
「本に世話が焼けるのぉ。二年前の晩餐会に来ておったのじゃろ?してクライフの様子も可笑しかったと言うておったではないか」
「確かに…。それが?」
「狂った王が娘に記憶を移そうとして失敗した。と考えればどうじゃ」
「え…。ええ!?」
無くは無い話。
「飛躍し過ぎじゃない?」
「ナノモイがクライフを危険だと唱え。書を調べよとヒントを出した。それをお主らは無視するのかえ?」
「「あ…」」
「俺が浅はかでした!」
「お願いします!」
フィーネからレイルへ西国人形が譲渡された。
--------------
リアルで笑い死ぬとはどんな物か。今頃蝙蝠たちに寄って集って擽りの刑を浴びて地獄を堪能している頃。
さてそんな些細は露程も忘れ。スフィンスラー迷宮の空き層12層から13層内で分身マネキンの操作を練習。
初心者が行き成り複雑な衣服や装備品を具現化するのは難しく。シンプルな軽装に着替えトレース開始。
もう一人の自分が地面から生えた。
「おぉ~」
日頃から造形に慣れている俺は1発成功。対するフィーネは試行錯誤。
ちょっと手足の長さバランスを乱した分身が登場。
「こ、こんな物かしら」
「駄目じゃ。足は良しとしても手腕は指先まで同じにせんと上手く動かせん。また共有視の時みたく距離が離れると酩酊するぞよ」
「…修正します」
苦心する事30分で修正版が完成。
意思の毛糸玉を付与して目の前で分身にダンスさせた。
「「ムッズ!」」
視界性は片方が閉じていれば簡易に移行出来たが身体の動きが上手く行かない。
お互いの腰に腕を回して相撲取り状態。
「「激ムズ!操縦のタクト使っちゃ駄目なの?」」
「お主は人前や敵陣の中でタクトを振るのかえ?」
「「御免なさい…」」
言葉も二重音声。
「先に言語の分離からですね」
「手間じゃのぉ」
「クワッ!」
「頑張るニャ!」
「応援してます!」
俺たち夫婦以外全員(ピーカー除く)は既に複雑な分身を造って分身のみを動かしていた。
本体はテーブル席でお茶会。
クワンとグーニャの分身は翼を出して頭上を優雅に旋回。
「「悔しい…。脳みそもう1個欲しい」」
「「同感」」
取り残された俺たちは何とか勘とか腹話術のイメージから声帯の切り分けに成功。
気を抜くとまだ本体の口がモゴモゴなる。
「こんな、もんかな」
「そうです、ね。あーあー。どう?」
「ギリギリの及第点じゃ。言語の切り分けが出来たなら首から下はオマケじゃて」
簡単だと言われ半信半疑で分身を動かすと意外にもすんなりスムーズな動きになった。
しかし…本体がお茶を飲み出すと俺の分身だけお茶飲みパントマイム。
「カッコ悪」分身。
「勝ったわ」フィーネの分身。
男女の違いが現われた。
器用さでの敗北をバネに行動の切り離しに…成功。
「まだまだぎこちないですが。今日の所はこの辺で」
「練習だけで終わりそうじゃしな」
箱開けて中身確認するだけやもん!
拙いペアダンスを披露して練習は切り上げ。
--------------
13層の真ん中に唐草包みで黒箱を設置。
12層のコテージに戻り、そこから分身の初めての旅。
本体はコテージ内で操縦に集中(俺たち夫婦のみ)
距離が離れる毎に消費魔力が増加したが今の俺たちには微々たる物。素の状態でもそこは楽勝だった。
箱に辿り着き固く結んだ風呂敷を解くのに苦労したがそれも何とかクリア。
あいやしかし!持ち出す時には気付かなかった鍵穴が持ち手の影に隠れていた。
急遽自宅で待機中だったソプランに連絡を取り魔導鍵を借り受け解錠。
時間のロスが激しい。準備不足。
魔導鍵を分身ロイドの肩に乗るピーカー君に預け、両際ロックを起こした。
何が飛び出るのか緊張の開封。
本日の荷物番ピーカー君から鑑定グラサンを受け取りレイルと共同で鑑定を行う。
真っ先に目に付いたのは歪な白角。緩やかな螺旋ドリル形状で大きさは成人の上半身程度。約80cmの極太バットがお目見え。
名前:スターダストメモリー
性能:所持者の消費魔力を瞬時に復元(消費毎)
相対魔力復元量15000以内
所持者と周囲人物の強欲さが増加
耐性が無ければ徐々に精神荒廃
破壊不能品(溶解温度未知)
保有属性:無属性以外の全属性
生物の記憶を司る集合体
触れた者同士で以降の記憶共有化が可能
(1/1人物迄)
解除方法:本器の破壊若しくは形状破損
(片方の死亡や消滅時は当事者のみ解除)
解除状態:これまでの共有化が全解除
封印状態:現在
封印期限:残285日6時間
封印リセット:生体接触後1000日に復帰
封印解除時:天空竜イル・アゾアードットが出現
解除時能力:自己能力+生体接触者数
強制解除時:自己能力✕生体接触者数
期限解除時:強制時と同一
解除コード:✕✕✕✕✕✕✕
強制解除:正規解除コード3回不合時
特徴:頂点を越えし逸材
「本物じゃったな」
「本物っすね…。強制解除と期限切れは大陸が滅ぶレベルやわ」
「正しい解除コードを探すか。誰かが犠牲になって触るか。劣化合成で耐久を下げるのはちょっと自信無い」
「ベースが上位素材なので逆吸収で耐久性が更に上がるかも知れませんしね」
「ママがそれには絶対触れるなと言っています」
「クワッ」
「北の塵箱にはギンガムが眠っているので捨てるのが怖いですニャ」
「現状打つ手無しか。後で氷蝋の急冷凍急加熱とか19層再現して超高温火柱に冷凍角投げ込んでみよう。この身体なら被害零だし」
「7文字の解除コードなんて解らないしね」
「ここの迷宮主に打つけて逃げる手も有るが。迷宮主がもう一体増えるだけのような気もするのぉ」
「迷宮自体が崩壊するんじゃない?」
「さての」
深海に沈めた魔剣で破壊する手も有るな。同族の頂点で引導を渡す手が。
広げた唐草に包んで一旦保留。
他は1本の筆。名前も万能筆とストレート。
どんな物にでもインクや絵の具無しでイメージのまま描画が出来て紙類なら長期保存の耐久性も上げられる。
作者不明の女神ポスターや整形解説書を描いた筆だと判明した。
底板を外すと半透明の小瓶。神秘の美容液。
説明不要でフレゼリカが好みそうな物と言えばお解り頂けるだろう。
特殊効果も毒物でも無い物ではあったが。長期間スターダストの傍に置かれて変質している可能性は否めない為12層でケースと筆と小瓶は焼却処分した。
「レイルが欲しがるかと思ったのに」
「あの雌豚と同じレベルに落ちよと?」
「いえいえそんな」
--------------
お昼休みを挟んでスタダメモリ破壊工作1手目。
IN13層
VS急凍急加熱(氷蝋Ver)
僅かに変色を見せたが角が自然現象を凌駕した。
2手目VS急凍聖炎加熱(氷蝋&煉獄剣Ver)
凍結した所を本体の俺が駆け抜け着火。
赤くなって皹まで入ったが直ぐに再生して元通りに。
W炎魔石でも結果は同じ。
3手目VS急凍蒼炎加熱(氷蝋&19層Ver)
プレマーレに19層を再現して貰い。一極集中型の蒼炎柱を打ち立てた。
生身ではとても近寄れないが分身の目から見ても美しい蒼い火柱だった。
コテージを18層に移しプレマーレとピーカーはそちらへ退避済み。
火柱から距離を取っていたにも関わらず。
「おー解ける解ける。痛覚無いから何とも無いけど」
指先や衣服を再現した部分が薄ら溶け出した。
「恥ずかしくは無いけど何か嫌。早くやって」
嫁のご要望にお応えして早速。
角が凍結したのを見計らい氷蝋をオフしてフィーネにアンダーパス。入口に到達したタイミングで凍結角を火柱の中央に投擲。
パシッと大音が響いた直後に19層全体が青白い光に包まれフィーネ以外の分身との疎通が途絶えた。
コテージに辿り着いた分身フィーネが。
「どうなった?」
「解らない。下の全員…ロストした」
ロイドたちも頷いた。
「うっそ。どうする?もう1体作る?」
「追加1体作ろう。飛び散ってるなら回収しないと」
プレマーレが冷静に。
「作れないのでは?」
「じゃのぉ。明日まで」
「あ、1日1体だった」
「え?私…1人で?」
「こう言う時に共有視と幻影を使わんでどうするのじゃ」
「上から俯瞰して落とし物拾い。丁度良い教材ですね」
「クワ」
「落とし物ってレベルじゃ…。それに3つ同時なんて」
「恐れるな。何時もの度胸はどうしたのじゃ。枯渇して気絶するだけじゃろ」
「前以てベッドで寝とく?」
「まだ…いいわ。私、やります!」半ば自棄糞の本体。
まだいいと言いつつチョーカーを拡大してベッドイン。
ピーカー耳栓をしたクワンがゆっくりと飛び立ちコテージを離れ、それをフィーネ分身が後を追う。
と思ったら分身が引き返した。
「使えるか解らないけど片眼鏡貸して。それから今日の夕食あっさりした物お願い」
「あっさりね。はい」
ロイドたちと夕食のメニューを話ながらトランプやポンガをしながら待つ事2時間半。
コテージの前に唐草風呂敷を抱えた分身が倒れると同時に本体が飛び起きてトイレに駆け込んだ。
トイレから出たフィーネさんが胸を摩って。
「妊娠してないけど悪阻ってこんな感じかな」
「似た様なもんじゃろな」
唯一の経験者レイルの一言。
「そうなんだ…。あー気持ち悪かったぁ」
常温のレモンティーをクワンと一緒にガブ飲み。
片眼鏡を返却され。
「やっぱりこれ便利ね。壁や地面が崩れた場所でちゃんと導いてくれたわ」
「酷かった?」
「天井の照明が半分吹き飛ぶ位はね。破片や粒子が散流してるけど。締結よりもプレマーレに頼んで残骸から本体具現化した方が早いと思う」
「そか。締結したら元に戻るしな。弱体化した本体ならこの面子の半分でも楽勝っしょ」
「だといいね。戦う時はフル装備で行きましょ」
「妾一人にやらせろ」
「言うと思った。ま、それは本体見てからだな」
「むぅ」
口を尖らせたレイルを後に玄関前の風呂敷包みを囲んだ。
念の為清浄スカーフで鼻と口を覆い慎重に開いた。
スカーフ巻きにグラサンて…。
名前:星屑の欠片
性能:所持者の消費魔力を瞬時に復元(消費毎)
相対魔力復元量10000以内
保有属性:無属性以外の全属性
特徴:正々堂々戦えやこの卑怯者!!!
「絶対にお断りっす」
「余計な物が全部飛んだね」
「これなら少量ずつ道具に転用出来そうです」
「ふむ」
レイルが手頃な2欠片を摘まみ上げ。フィーネとプレマーレに渡した。
「何?」
「何でしょう」
「フィーネは水竜に聞いてチョーカーに。プレマーレは囓って食え」
「「え?」」
「魔力回復が欲しいのじゃろ。チョーカーなら性能も上がるし翼も出せるようになる。
プレマーレは単純な身体能力と飛行能力上昇。回復量は三千と言った所か。
グーニャは闇が強くなり過ぎるから合わん」
「成程!聞いてみるね」
少し離れた場所へ移動。
「では早速…大丈夫でしょうか」
「妾が信じられんのかえ。最上位吸血姫の眷属ぞ。同格の眷属如きに怯えるでない」
主の心強い言葉に胸を張ってパクリと噛み砕いた。
「相性が悪ければ腹を壊すだけじゃて」
「うっ!?」
先に言ってよのジト目で胸を叩いて胃に落とす。
フィーネの方は何やらブツブツ難航中。
暫くしてから俺を振り返り。
「どうしよスタンさん。闇属性が付いてるのが気に入らないって。その竜大昔に水竜様に喧嘩売ってムカついたから海に沈めて数年掛かりで溺死させたらしいの」
「何とエグい…」
どうやって撃ち落としたんだろう。じゃなくて。
「闇だけ消す方法か」
答えは直ぐにピーカー君が。
「先に無属性魔石の破片粉末を極少量合成すれば消せると思います。お二人の祈りなら大概通じますから」
「その手が有ったか!」
これぞ神頼み。
横ではプレマーレが。
「た、滾ります!今直ぐ下に降りて竜の復活を!!」
1人で吠えていた。
「落ち着け。魔力が足りぬじゃろ。上で妾が相手してやろう。全力で来るが良いぞ」
「はい!」
そっちが見たい!
フィーネの手を取ると残り魔力が。
「2割しか残ってない。幻影で何を具現化したの?」
「お父さんを6体…。力持ちだと思って」
大猿さんを行き成り6体も。
「それなら納得。今日はこの合成までだな」
「うん。お楽しみは明日にして」
星屑と粉を握るフィーネの手を上下に包み込む。
名前:星屑の欠片・改
性能:所持者の消費魔力を瞬時に復元(消費毎)
相対魔力復元量10500以内
保有属性:闇魔属性以外の全属性
特徴:こんな弄り方した奴らは初めてよ!!
「何となーく女性寄り?」
「上位竜は性別無いらしいよ」
「にゃるほろ」
ルーナの時に聞いたっけ。
星屑は風呂敷で包み直し。コテージ周りを片付けて上層の観戦に向かった。
17層出口付近にロープを張って隙間から。
両者共翼を出しての空中戦。上位者同士の師弟対決。
圧巻の見応え。出来れば動画に記録したい。
レイルは二本刀。対するプレマーレは中槍と長剣。
一見プレマーレはアンマッチな組み合わせだが詰め寄るレイルに槍の高速突きで間合いを確保し、飛び込んで長剣を出す戦術。
対マンだと自由で良い。
地上でも空中でもレイルの方がパワーもスピードも格上。
「あれで半分も出してないんだろうなぁ」
「だろうねぇ」
「プレマーレさんは性格そのままですね。直線の単調さを見せてからの返しが上手い。でもあれではレイルさんには届きません」
「私も翼出せるようになったら本気でレイルと手合わせかぁ。目に焼き付けなきゃ」
「あれ…。この中で飛べないの俺だけ?」
「スタンは腕輪が有るじゃない」
「単発短時間ですがな。…腕輪の強化考えるかな」
1人だけ地上に張り付くなんて嫌だ。主に西大陸で。
このまま決着。とは成らず。
プレマーレが突きに緩急を織り交ぜ。長剣と翼の二重風を加えレイルの片翼を狙い始めた。
レイルが身を捩ると反対の翼。と見せてまた反対。
翼狙いと思わせてからの急下降急上昇で足を狙う。
「おぉ善戦してる」
「手数増やして撹乱。止めを絞らせない作戦ね」
「良いですね。低速で目線を狂わせてからの高速突き。
先程の言葉を撤回しないと」
プレマーレの善戦もそこまで。
背後に出現したもう1体のレイルが首に刃を当て終了。
「前に意識を固め過ぎじゃ」
「道具無しの分身は不得手なんです…」
武器を落下させてホールドアップ。
「ああ惜しい。責めてレイルの背後を取れたらワンチャン」
「難しいよ格上相手に対マンで回り込むのは」
「私でも厳しいです。戦闘経験値が違い過ぎて」
戻って来た2人に。
「プレマーレって尻尾使わないの?」
「あー…。人間時代の感覚を取り戻してしまうと。出すのも嫌になると言いますか」
「あ、なんかごめん」
「デリカシー無いよスタンさん」
「クワッ」
「見応え有ったニャ~」
「僕が憑依すれば思考は読まれ無かったと思います」
「は…その手が」
「そ、それは卑怯じゃぞ」
夕食は鰯の梅肉と大葉の挟み揚げ。
ピーマンの肉詰めトマトソース添え。
根菜と鶏笹身の炊き込みご飯をお茶漬けに。
リゼルオイル使えば何でもあっさり頂けます。
--------------
翌午前。時計回路考案中のシュルツにお願いして工房を開けて貰って合成会。
闇を除去した星屑ですんなり成功。
配色やチョーカー形状に変化無し。
名前:ファントムツァルト(水天竜の加護:極大)
性能:防御性能6000(形状変化時統一)
知能以外の全能力値+7200
装備者固定(フィーネ・シュトルフ:死亡時解除)
形状変更自在、自動吸着機能搭載
保有属性:闇魔属性以外の全属性
魔力を付加する被全攻撃無効
翼竜時飛行能力補正・修練度に伴う向上
装備者身体・周辺の有害な呪詛・毒素無害化
環境変動対応(陸海空、温度変化、超真空等)
上記2機能に於いて装具所持時にも有効
特技:幻影、水中呼吸、感性向上、竜人化(翼竜可)
水天巫女の祈り、身体再生能力(供与可能)
特徴:彼の者たちとの念話が可能な伝説の装具
「物理以外無敵じゃん」
「新しい機能が一杯♡他の人の再生まで」
「再生まで付いたのか…。これで心置きなく殺し合えるのぉ!」
「殺し合いになってるよぉ!」
「致命傷与える気なら割って入るぞ」
「私もです」ロイドがレイルを睨んだ。
「冗談じゃて」
目がマジなんですが。
早速装着。首元から上半身に掛け竜鱗化して水色半透明の翼を出した。
「服の上から普通に着られる。厚着でも蒸れない」
「そっちかーい」
「態々着替えなくて済むのは重要よ」
まあ確かに。
「硝子のような翼ですね。お姉様」
シュルツが指先で真ん中辺りをツンツン。慌ててその手を掴み。
「練習不足だから触っちゃ駄目」
「済みません…。つい好奇心が」
シュルツの頭を撫で撫で。
「翼の練習もそうだけど水天巫女の祈りって何だろ」
「さあ」
俺もロイドもレイルも首を捻った。
水竜様なら知っているのでは。
「水竜様も知らないって」
「あらま。例えばそうだな…。周囲の味方に魔力を振り撒くとか。空間浄化とか広域治癒とか。聖女の祈りに似た物じゃないかな」
「ふむふむ。私もそんな気がする。じゃあ…。魔力の戻りが遅いプレマーレに分配してみよう」
「止めんか。今は爆睡中じゃ。妾たちの天敵である聖属性付きの魔力を勝手に投げるでないわ」
「あぁ忘れてた。今度カルが消耗した時にやってみましょ」
「助かります。眠らないと殆ど回復しないので」
使えるなら魔力の供給源が増えた形。俺の負担が減る…
要らん子に成りつつある。
ソプランたちに俺たちのメタル分身をご披露。
「どうよ」
分身で握手。
「凄えな。これラザーリアで使えば良かったんじゃねえの」
「衣服まで再現出来るのですね」
「便利ですねー」
「練習不足で使えなかったよ。本体の方の意識集中しないと直ぐ可笑しな動きするし。魔力は共有出来ても食事とかは取れない。宴会で飲まず食わずは変だろ」
「まあそうか」
防御4000で死地にも送り込めるが使い処はぶっちゃけ少ない。
「今後も危険物の処理とか罠に突っ込ませるだとか。急場で使えるね」
「俺たちの分は出せないか?」
「最低2層は回らないといけないから日数的にちょっと。運が良ければ最宮でも出ると思うから行った方が早い」
「妾の分はプレマーレに持たせるしの」
「そかぁ。安全に罠解除出来ると思ったんだがな」
「最宮の方に期待しましょう」
星屑欠片を各種装備に合成。
ソプランの交換用タイトジットV2
アローマのバストガードの2枚と赤マント
城塞V2に合成後シュルツの反射盾と交換
クワンとグーニャの蔦首輪
フィーネの蔦ベルト、俺とシュルツの白ロープは拒絶
(恐らく過剰供給の為)
アローマとフィーネのフレアレギンス2組
合成を連発出来るのもファントムツァルトのお陰。
「捗るぅ。病み付きに成りそう」
「俺みたいに調子に乗ると蓄積疲労は残るから注意ね」
「はーい」
「スカートで戦う頭のイカれた女冒険者は居ないので出発する時からズボン着用でお願いします」
「アローマも一旦侍女のお仕事は忘れて貰って」
「はい」
今ではすっかり柔軟に。
シュルツが各員の衣装を作業台に並べ。
「遠征組の衣装を各二組。それぞれの体型に合わせてお作りしましたが試着して不満点が有れば修正します。
…恥ずかしいですがお兄様とソプランさんの股間部はゆったり目に」
お顔が真っ赤。
「態々言わなくてもいいよ」
「履けば解るから口にしたら駄目だぜお嬢様」
「今の発言はお忘れを。
前留めのベストとズボンの素材は地王宙王サーペント獄炎竜の四枚重ね。大狼様の毛皮は期間限定と混同してしまうのとプレマーレさんとアンマッチですので今回は避けました。
西に向かう時に使い切った方が良いと思いまして」
「だな。着てる途中でもし消失したら困るし」
「はい。シャツとインナーは上綿とシルク等比の物。下着は各自で御用意を。浄化布が入手され次第他の替えを作成します。
そして…」
作業台の隅に白物家電と大袋が置かれた。
「シルク地でもウールでも丸洗い可能な改良版洗濯乾燥器と袋に入れて置くだけで洗浄が出来る簡易洗濯袋と大切な衣類を守る虫除け付き保存袋を各六枚。
洗濯器の使い方はメリリーさんに伝授してありますので後日レイル様に進呈します」
「出来た子じゃ…」
言われる前に出来る子がここに居ります!
「基本操作はご自宅の物と同じです。排水場所は必要ですが供給水は何とか自力でお願いします。
川に直接流しても環境を汚染しない天然洗剤と柔軟剤は明日お隣から納品予定です。
装備品や革製品は虹玉泉に浸け置きで。他に何かご質問は有りますでしょうか」
「無い無い」
一同拍手で讃えた。
シュルツに星屑3欠け渡し。
「循環装置の基幹部に使えると思う。時計回路の合間に考察してみて。もしも身体や心に違和感や異常を感じたら迷わずレイルに預かって貰って」
「はい。お願いしますねレイル様」
「うむ。洗濯器の礼じゃ。スターレンが金十字をロストせねば先ず以て問題は起きぬがな」
「死んでも無くせないな。小物入れも混雑して来たし…どうすっかなぁ」
と悩んでいると右腕が熱くなった。
久々にルーナを外へ出す。
「常時発動が必須なら金十字と拡散指輪を合成した上で我に合成してみよ。我と其方は一心同体。身体に埋め込むのと相違無い」
「そんなん出来るんすか」
「所持数に限度は有るが出来る。余りフィーネに触れられたくなかったから黙っていた」
正直。
「触ってもいいの?」
「諦める!」
潔し!
「怒らなくてもいいじゃん」
指定された通りに合成後。ここぞとばかりに撫で回し。
「は、早うせぬか!」
「生身に合成するのもこんな嫌そうな顔されるのも初めてだよぉ。でもツルツルで気持ちいぃ」
「あんま苛めてると囓られ」
ガプッと親指。
「いったー。もう無駄に触らないから許してよ」
咬まれた手を振り振り。
「相当嫌なのですね。お姉様でも」
シュルツが出した手を引っ込めた。
指定された首元に金十字を合成。ルーナの身体に吸い込まれるように消え。背鰭の根元から尻尾まで金色のラインが2本走った。
「格好いい。可愛い?どっち?」
「何方でも良い。もっと撫でてくれ」
膝上に乗せツルツル感を独り占め。喉を鳴らして喜ぶルーナは正直可愛い!
懐いてくれると愛着が湧くもんだ。
右手で飛翔の腕輪を取り出して。
「この腕輪。飛べるのはいいけど使い勝手が悪いんだ。小物袋に入れるのも微妙だし。何か良い案無いかな。レイルとルーナが知ってるなら意見を聞きたい」
「うーん…」
レイルは悩ましげ。代わりにルーナが。
「太古の昔…。魔道具よりも魔術を研究する人間の国が在った。当然飛翔の魔術もその一つ。
しかしそれに辿り着いた民は皆」
「気が狂って自害した」
「へ?自殺?何故に?」
「ある者は空気摩擦で焼け死に。ある者は呼吸を忘れ。
ある者は有翼種から翼を剥いで己の背中に縫い付けた。
ある者は飛竜の肉を鱈腹喰らい身も心も砕け散った。
理由なぞ我らには解らない。悪い事は言わない。その制限は付けるべくして付けられた物。
女神が其方に飛行の力を与えないのにも何か理由が有ると思う。例えばこの世界の空には人間種に有害な壁が在るとか。
人間には過ぎた力だと諦めた方が良い」
「翼無しで飛んではいけない…か。しゃーない。これを最大限使える練習に留めるかな」
腕輪をバッグに戻してロイドに尋ねた。
「天空竜の呪いだったりして」
「どうでしょうね。上に問い合わせても答えてくれるとは思えません。天空竜の末裔とは西で嫌でも出会すので聞いてみるのも一案。お話が通じる相手でもないですが」
「じゃの」
「うわぁ。聞かなきゃ良かった」
ソプランの達観。
「まあ人間地べた這い回って耕してるのがお似合いだって事だろ」
「まあねぇ」
所詮人間は農耕狩猟民族だ。
フィーネの合成リバイブの嵐の末。昼を挟んで衣装の配布試着会。
自宅空き部屋に開設された念願の男子ドレスルームでズボンを着用。
前の毛皮INVerの時も思ったが。
「やっぱりピッタリだ」
「天才って凄えな。もしかして鑑定されてる…」
「いやいや流石に…無い…と信じたい」
「まさかな。興奮した時まで計算…」
「止めよう。シュルツを信じよう。それがいい」
「お、おぉ。詮索しても得はねえな」
忘れましょう。
夕食までの余り時間。スフィンスラー迷宮で飛行訓練とメタル分身の実用訓練に明け暮れた。
「見るからに怪しい黒箱と。本に挟まってた誰かの髪の毛拾ったんだけど。箱どうやって開けたら良いと思う?」
レイルが残念そうな溜息。
「本気で聞いておるのかえ」
「参考意見が有れば」
ロイドはニッコリ。
「何か大切な物を忘れていますよ」
「大切な物…?」
なんだっけ?
「あ、スタン。アレよアレ。良いの有るじゃない。最初に試しただけでずっと放置してるメタルマネキン」
「お!有った」
「魂の入らぬ傀儡なら何の影響も受けんわ」
「考え無しで聞いてすんません」
打って付けの物有るじゃないの。
「明日はスフィンスラーの空き層で傀儡の練習と。フィーネは共有視と幻影の特訓じゃな」
「「はい…」」
「ソプランとアローマには荷が重いので。こちらで待機か楽団のお世話を」
「畏まりました」
「マネキン?の方が気になるから後で見せてくれよ」
「おっけ」
「髪の毛を見せよ」
言われるまま布に包んだ長髪を見せた。
それを摘まんで天井の明かりに翳し眺める。
「離れてから時が経ちかなり薄いが…第三王女のユリテーヌの物じゃ」
「有り得る。娘に本を読ませてたなら」
「西国人形を妾に貸せ」
「ん?それ入れて使うの?」
「他に遣い道は無いじゃろ。邪魔者は消す。影の中で擽らせて笑い殺してやろう」
「流石に殺すのは…気が引けると言うか」
「本を読んだだけなのよ?」
「本に世話が焼けるのぉ。二年前の晩餐会に来ておったのじゃろ?してクライフの様子も可笑しかったと言うておったではないか」
「確かに…。それが?」
「狂った王が娘に記憶を移そうとして失敗した。と考えればどうじゃ」
「え…。ええ!?」
無くは無い話。
「飛躍し過ぎじゃない?」
「ナノモイがクライフを危険だと唱え。書を調べよとヒントを出した。それをお主らは無視するのかえ?」
「「あ…」」
「俺が浅はかでした!」
「お願いします!」
フィーネからレイルへ西国人形が譲渡された。
--------------
リアルで笑い死ぬとはどんな物か。今頃蝙蝠たちに寄って集って擽りの刑を浴びて地獄を堪能している頃。
さてそんな些細は露程も忘れ。スフィンスラー迷宮の空き層12層から13層内で分身マネキンの操作を練習。
初心者が行き成り複雑な衣服や装備品を具現化するのは難しく。シンプルな軽装に着替えトレース開始。
もう一人の自分が地面から生えた。
「おぉ~」
日頃から造形に慣れている俺は1発成功。対するフィーネは試行錯誤。
ちょっと手足の長さバランスを乱した分身が登場。
「こ、こんな物かしら」
「駄目じゃ。足は良しとしても手腕は指先まで同じにせんと上手く動かせん。また共有視の時みたく距離が離れると酩酊するぞよ」
「…修正します」
苦心する事30分で修正版が完成。
意思の毛糸玉を付与して目の前で分身にダンスさせた。
「「ムッズ!」」
視界性は片方が閉じていれば簡易に移行出来たが身体の動きが上手く行かない。
お互いの腰に腕を回して相撲取り状態。
「「激ムズ!操縦のタクト使っちゃ駄目なの?」」
「お主は人前や敵陣の中でタクトを振るのかえ?」
「「御免なさい…」」
言葉も二重音声。
「先に言語の分離からですね」
「手間じゃのぉ」
「クワッ!」
「頑張るニャ!」
「応援してます!」
俺たち夫婦以外全員(ピーカー除く)は既に複雑な分身を造って分身のみを動かしていた。
本体はテーブル席でお茶会。
クワンとグーニャの分身は翼を出して頭上を優雅に旋回。
「「悔しい…。脳みそもう1個欲しい」」
「「同感」」
取り残された俺たちは何とか勘とか腹話術のイメージから声帯の切り分けに成功。
気を抜くとまだ本体の口がモゴモゴなる。
「こんな、もんかな」
「そうです、ね。あーあー。どう?」
「ギリギリの及第点じゃ。言語の切り分けが出来たなら首から下はオマケじゃて」
簡単だと言われ半信半疑で分身を動かすと意外にもすんなりスムーズな動きになった。
しかし…本体がお茶を飲み出すと俺の分身だけお茶飲みパントマイム。
「カッコ悪」分身。
「勝ったわ」フィーネの分身。
男女の違いが現われた。
器用さでの敗北をバネに行動の切り離しに…成功。
「まだまだぎこちないですが。今日の所はこの辺で」
「練習だけで終わりそうじゃしな」
箱開けて中身確認するだけやもん!
拙いペアダンスを披露して練習は切り上げ。
--------------
13層の真ん中に唐草包みで黒箱を設置。
12層のコテージに戻り、そこから分身の初めての旅。
本体はコテージ内で操縦に集中(俺たち夫婦のみ)
距離が離れる毎に消費魔力が増加したが今の俺たちには微々たる物。素の状態でもそこは楽勝だった。
箱に辿り着き固く結んだ風呂敷を解くのに苦労したがそれも何とかクリア。
あいやしかし!持ち出す時には気付かなかった鍵穴が持ち手の影に隠れていた。
急遽自宅で待機中だったソプランに連絡を取り魔導鍵を借り受け解錠。
時間のロスが激しい。準備不足。
魔導鍵を分身ロイドの肩に乗るピーカー君に預け、両際ロックを起こした。
何が飛び出るのか緊張の開封。
本日の荷物番ピーカー君から鑑定グラサンを受け取りレイルと共同で鑑定を行う。
真っ先に目に付いたのは歪な白角。緩やかな螺旋ドリル形状で大きさは成人の上半身程度。約80cmの極太バットがお目見え。
名前:スターダストメモリー
性能:所持者の消費魔力を瞬時に復元(消費毎)
相対魔力復元量15000以内
所持者と周囲人物の強欲さが増加
耐性が無ければ徐々に精神荒廃
破壊不能品(溶解温度未知)
保有属性:無属性以外の全属性
生物の記憶を司る集合体
触れた者同士で以降の記憶共有化が可能
(1/1人物迄)
解除方法:本器の破壊若しくは形状破損
(片方の死亡や消滅時は当事者のみ解除)
解除状態:これまでの共有化が全解除
封印状態:現在
封印期限:残285日6時間
封印リセット:生体接触後1000日に復帰
封印解除時:天空竜イル・アゾアードットが出現
解除時能力:自己能力+生体接触者数
強制解除時:自己能力✕生体接触者数
期限解除時:強制時と同一
解除コード:✕✕✕✕✕✕✕
強制解除:正規解除コード3回不合時
特徴:頂点を越えし逸材
「本物じゃったな」
「本物っすね…。強制解除と期限切れは大陸が滅ぶレベルやわ」
「正しい解除コードを探すか。誰かが犠牲になって触るか。劣化合成で耐久を下げるのはちょっと自信無い」
「ベースが上位素材なので逆吸収で耐久性が更に上がるかも知れませんしね」
「ママがそれには絶対触れるなと言っています」
「クワッ」
「北の塵箱にはギンガムが眠っているので捨てるのが怖いですニャ」
「現状打つ手無しか。後で氷蝋の急冷凍急加熱とか19層再現して超高温火柱に冷凍角投げ込んでみよう。この身体なら被害零だし」
「7文字の解除コードなんて解らないしね」
「ここの迷宮主に打つけて逃げる手も有るが。迷宮主がもう一体増えるだけのような気もするのぉ」
「迷宮自体が崩壊するんじゃない?」
「さての」
深海に沈めた魔剣で破壊する手も有るな。同族の頂点で引導を渡す手が。
広げた唐草に包んで一旦保留。
他は1本の筆。名前も万能筆とストレート。
どんな物にでもインクや絵の具無しでイメージのまま描画が出来て紙類なら長期保存の耐久性も上げられる。
作者不明の女神ポスターや整形解説書を描いた筆だと判明した。
底板を外すと半透明の小瓶。神秘の美容液。
説明不要でフレゼリカが好みそうな物と言えばお解り頂けるだろう。
特殊効果も毒物でも無い物ではあったが。長期間スターダストの傍に置かれて変質している可能性は否めない為12層でケースと筆と小瓶は焼却処分した。
「レイルが欲しがるかと思ったのに」
「あの雌豚と同じレベルに落ちよと?」
「いえいえそんな」
--------------
お昼休みを挟んでスタダメモリ破壊工作1手目。
IN13層
VS急凍急加熱(氷蝋Ver)
僅かに変色を見せたが角が自然現象を凌駕した。
2手目VS急凍聖炎加熱(氷蝋&煉獄剣Ver)
凍結した所を本体の俺が駆け抜け着火。
赤くなって皹まで入ったが直ぐに再生して元通りに。
W炎魔石でも結果は同じ。
3手目VS急凍蒼炎加熱(氷蝋&19層Ver)
プレマーレに19層を再現して貰い。一極集中型の蒼炎柱を打ち立てた。
生身ではとても近寄れないが分身の目から見ても美しい蒼い火柱だった。
コテージを18層に移しプレマーレとピーカーはそちらへ退避済み。
火柱から距離を取っていたにも関わらず。
「おー解ける解ける。痛覚無いから何とも無いけど」
指先や衣服を再現した部分が薄ら溶け出した。
「恥ずかしくは無いけど何か嫌。早くやって」
嫁のご要望にお応えして早速。
角が凍結したのを見計らい氷蝋をオフしてフィーネにアンダーパス。入口に到達したタイミングで凍結角を火柱の中央に投擲。
パシッと大音が響いた直後に19層全体が青白い光に包まれフィーネ以外の分身との疎通が途絶えた。
コテージに辿り着いた分身フィーネが。
「どうなった?」
「解らない。下の全員…ロストした」
ロイドたちも頷いた。
「うっそ。どうする?もう1体作る?」
「追加1体作ろう。飛び散ってるなら回収しないと」
プレマーレが冷静に。
「作れないのでは?」
「じゃのぉ。明日まで」
「あ、1日1体だった」
「え?私…1人で?」
「こう言う時に共有視と幻影を使わんでどうするのじゃ」
「上から俯瞰して落とし物拾い。丁度良い教材ですね」
「クワ」
「落とし物ってレベルじゃ…。それに3つ同時なんて」
「恐れるな。何時もの度胸はどうしたのじゃ。枯渇して気絶するだけじゃろ」
「前以てベッドで寝とく?」
「まだ…いいわ。私、やります!」半ば自棄糞の本体。
まだいいと言いつつチョーカーを拡大してベッドイン。
ピーカー耳栓をしたクワンがゆっくりと飛び立ちコテージを離れ、それをフィーネ分身が後を追う。
と思ったら分身が引き返した。
「使えるか解らないけど片眼鏡貸して。それから今日の夕食あっさりした物お願い」
「あっさりね。はい」
ロイドたちと夕食のメニューを話ながらトランプやポンガをしながら待つ事2時間半。
コテージの前に唐草風呂敷を抱えた分身が倒れると同時に本体が飛び起きてトイレに駆け込んだ。
トイレから出たフィーネさんが胸を摩って。
「妊娠してないけど悪阻ってこんな感じかな」
「似た様なもんじゃろな」
唯一の経験者レイルの一言。
「そうなんだ…。あー気持ち悪かったぁ」
常温のレモンティーをクワンと一緒にガブ飲み。
片眼鏡を返却され。
「やっぱりこれ便利ね。壁や地面が崩れた場所でちゃんと導いてくれたわ」
「酷かった?」
「天井の照明が半分吹き飛ぶ位はね。破片や粒子が散流してるけど。締結よりもプレマーレに頼んで残骸から本体具現化した方が早いと思う」
「そか。締結したら元に戻るしな。弱体化した本体ならこの面子の半分でも楽勝っしょ」
「だといいね。戦う時はフル装備で行きましょ」
「妾一人にやらせろ」
「言うと思った。ま、それは本体見てからだな」
「むぅ」
口を尖らせたレイルを後に玄関前の風呂敷包みを囲んだ。
念の為清浄スカーフで鼻と口を覆い慎重に開いた。
スカーフ巻きにグラサンて…。
名前:星屑の欠片
性能:所持者の消費魔力を瞬時に復元(消費毎)
相対魔力復元量10000以内
保有属性:無属性以外の全属性
特徴:正々堂々戦えやこの卑怯者!!!
「絶対にお断りっす」
「余計な物が全部飛んだね」
「これなら少量ずつ道具に転用出来そうです」
「ふむ」
レイルが手頃な2欠片を摘まみ上げ。フィーネとプレマーレに渡した。
「何?」
「何でしょう」
「フィーネは水竜に聞いてチョーカーに。プレマーレは囓って食え」
「「え?」」
「魔力回復が欲しいのじゃろ。チョーカーなら性能も上がるし翼も出せるようになる。
プレマーレは単純な身体能力と飛行能力上昇。回復量は三千と言った所か。
グーニャは闇が強くなり過ぎるから合わん」
「成程!聞いてみるね」
少し離れた場所へ移動。
「では早速…大丈夫でしょうか」
「妾が信じられんのかえ。最上位吸血姫の眷属ぞ。同格の眷属如きに怯えるでない」
主の心強い言葉に胸を張ってパクリと噛み砕いた。
「相性が悪ければ腹を壊すだけじゃて」
「うっ!?」
先に言ってよのジト目で胸を叩いて胃に落とす。
フィーネの方は何やらブツブツ難航中。
暫くしてから俺を振り返り。
「どうしよスタンさん。闇属性が付いてるのが気に入らないって。その竜大昔に水竜様に喧嘩売ってムカついたから海に沈めて数年掛かりで溺死させたらしいの」
「何とエグい…」
どうやって撃ち落としたんだろう。じゃなくて。
「闇だけ消す方法か」
答えは直ぐにピーカー君が。
「先に無属性魔石の破片粉末を極少量合成すれば消せると思います。お二人の祈りなら大概通じますから」
「その手が有ったか!」
これぞ神頼み。
横ではプレマーレが。
「た、滾ります!今直ぐ下に降りて竜の復活を!!」
1人で吠えていた。
「落ち着け。魔力が足りぬじゃろ。上で妾が相手してやろう。全力で来るが良いぞ」
「はい!」
そっちが見たい!
フィーネの手を取ると残り魔力が。
「2割しか残ってない。幻影で何を具現化したの?」
「お父さんを6体…。力持ちだと思って」
大猿さんを行き成り6体も。
「それなら納得。今日はこの合成までだな」
「うん。お楽しみは明日にして」
星屑と粉を握るフィーネの手を上下に包み込む。
名前:星屑の欠片・改
性能:所持者の消費魔力を瞬時に復元(消費毎)
相対魔力復元量10500以内
保有属性:闇魔属性以外の全属性
特徴:こんな弄り方した奴らは初めてよ!!
「何となーく女性寄り?」
「上位竜は性別無いらしいよ」
「にゃるほろ」
ルーナの時に聞いたっけ。
星屑は風呂敷で包み直し。コテージ周りを片付けて上層の観戦に向かった。
17層出口付近にロープを張って隙間から。
両者共翼を出しての空中戦。上位者同士の師弟対決。
圧巻の見応え。出来れば動画に記録したい。
レイルは二本刀。対するプレマーレは中槍と長剣。
一見プレマーレはアンマッチな組み合わせだが詰め寄るレイルに槍の高速突きで間合いを確保し、飛び込んで長剣を出す戦術。
対マンだと自由で良い。
地上でも空中でもレイルの方がパワーもスピードも格上。
「あれで半分も出してないんだろうなぁ」
「だろうねぇ」
「プレマーレさんは性格そのままですね。直線の単調さを見せてからの返しが上手い。でもあれではレイルさんには届きません」
「私も翼出せるようになったら本気でレイルと手合わせかぁ。目に焼き付けなきゃ」
「あれ…。この中で飛べないの俺だけ?」
「スタンは腕輪が有るじゃない」
「単発短時間ですがな。…腕輪の強化考えるかな」
1人だけ地上に張り付くなんて嫌だ。主に西大陸で。
このまま決着。とは成らず。
プレマーレが突きに緩急を織り交ぜ。長剣と翼の二重風を加えレイルの片翼を狙い始めた。
レイルが身を捩ると反対の翼。と見せてまた反対。
翼狙いと思わせてからの急下降急上昇で足を狙う。
「おぉ善戦してる」
「手数増やして撹乱。止めを絞らせない作戦ね」
「良いですね。低速で目線を狂わせてからの高速突き。
先程の言葉を撤回しないと」
プレマーレの善戦もそこまで。
背後に出現したもう1体のレイルが首に刃を当て終了。
「前に意識を固め過ぎじゃ」
「道具無しの分身は不得手なんです…」
武器を落下させてホールドアップ。
「ああ惜しい。責めてレイルの背後を取れたらワンチャン」
「難しいよ格上相手に対マンで回り込むのは」
「私でも厳しいです。戦闘経験値が違い過ぎて」
戻って来た2人に。
「プレマーレって尻尾使わないの?」
「あー…。人間時代の感覚を取り戻してしまうと。出すのも嫌になると言いますか」
「あ、なんかごめん」
「デリカシー無いよスタンさん」
「クワッ」
「見応え有ったニャ~」
「僕が憑依すれば思考は読まれ無かったと思います」
「は…その手が」
「そ、それは卑怯じゃぞ」
夕食は鰯の梅肉と大葉の挟み揚げ。
ピーマンの肉詰めトマトソース添え。
根菜と鶏笹身の炊き込みご飯をお茶漬けに。
リゼルオイル使えば何でもあっさり頂けます。
--------------
翌午前。時計回路考案中のシュルツにお願いして工房を開けて貰って合成会。
闇を除去した星屑ですんなり成功。
配色やチョーカー形状に変化無し。
名前:ファントムツァルト(水天竜の加護:極大)
性能:防御性能6000(形状変化時統一)
知能以外の全能力値+7200
装備者固定(フィーネ・シュトルフ:死亡時解除)
形状変更自在、自動吸着機能搭載
保有属性:闇魔属性以外の全属性
魔力を付加する被全攻撃無効
翼竜時飛行能力補正・修練度に伴う向上
装備者身体・周辺の有害な呪詛・毒素無害化
環境変動対応(陸海空、温度変化、超真空等)
上記2機能に於いて装具所持時にも有効
特技:幻影、水中呼吸、感性向上、竜人化(翼竜可)
水天巫女の祈り、身体再生能力(供与可能)
特徴:彼の者たちとの念話が可能な伝説の装具
「物理以外無敵じゃん」
「新しい機能が一杯♡他の人の再生まで」
「再生まで付いたのか…。これで心置きなく殺し合えるのぉ!」
「殺し合いになってるよぉ!」
「致命傷与える気なら割って入るぞ」
「私もです」ロイドがレイルを睨んだ。
「冗談じゃて」
目がマジなんですが。
早速装着。首元から上半身に掛け竜鱗化して水色半透明の翼を出した。
「服の上から普通に着られる。厚着でも蒸れない」
「そっちかーい」
「態々着替えなくて済むのは重要よ」
まあ確かに。
「硝子のような翼ですね。お姉様」
シュルツが指先で真ん中辺りをツンツン。慌ててその手を掴み。
「練習不足だから触っちゃ駄目」
「済みません…。つい好奇心が」
シュルツの頭を撫で撫で。
「翼の練習もそうだけど水天巫女の祈りって何だろ」
「さあ」
俺もロイドもレイルも首を捻った。
水竜様なら知っているのでは。
「水竜様も知らないって」
「あらま。例えばそうだな…。周囲の味方に魔力を振り撒くとか。空間浄化とか広域治癒とか。聖女の祈りに似た物じゃないかな」
「ふむふむ。私もそんな気がする。じゃあ…。魔力の戻りが遅いプレマーレに分配してみよう」
「止めんか。今は爆睡中じゃ。妾たちの天敵である聖属性付きの魔力を勝手に投げるでないわ」
「あぁ忘れてた。今度カルが消耗した時にやってみましょ」
「助かります。眠らないと殆ど回復しないので」
使えるなら魔力の供給源が増えた形。俺の負担が減る…
要らん子に成りつつある。
ソプランたちに俺たちのメタル分身をご披露。
「どうよ」
分身で握手。
「凄えな。これラザーリアで使えば良かったんじゃねえの」
「衣服まで再現出来るのですね」
「便利ですねー」
「練習不足で使えなかったよ。本体の方の意識集中しないと直ぐ可笑しな動きするし。魔力は共有出来ても食事とかは取れない。宴会で飲まず食わずは変だろ」
「まあそうか」
防御4000で死地にも送り込めるが使い処はぶっちゃけ少ない。
「今後も危険物の処理とか罠に突っ込ませるだとか。急場で使えるね」
「俺たちの分は出せないか?」
「最低2層は回らないといけないから日数的にちょっと。運が良ければ最宮でも出ると思うから行った方が早い」
「妾の分はプレマーレに持たせるしの」
「そかぁ。安全に罠解除出来ると思ったんだがな」
「最宮の方に期待しましょう」
星屑欠片を各種装備に合成。
ソプランの交換用タイトジットV2
アローマのバストガードの2枚と赤マント
城塞V2に合成後シュルツの反射盾と交換
クワンとグーニャの蔦首輪
フィーネの蔦ベルト、俺とシュルツの白ロープは拒絶
(恐らく過剰供給の為)
アローマとフィーネのフレアレギンス2組
合成を連発出来るのもファントムツァルトのお陰。
「捗るぅ。病み付きに成りそう」
「俺みたいに調子に乗ると蓄積疲労は残るから注意ね」
「はーい」
「スカートで戦う頭のイカれた女冒険者は居ないので出発する時からズボン着用でお願いします」
「アローマも一旦侍女のお仕事は忘れて貰って」
「はい」
今ではすっかり柔軟に。
シュルツが各員の衣装を作業台に並べ。
「遠征組の衣装を各二組。それぞれの体型に合わせてお作りしましたが試着して不満点が有れば修正します。
…恥ずかしいですがお兄様とソプランさんの股間部はゆったり目に」
お顔が真っ赤。
「態々言わなくてもいいよ」
「履けば解るから口にしたら駄目だぜお嬢様」
「今の発言はお忘れを。
前留めのベストとズボンの素材は地王宙王サーペント獄炎竜の四枚重ね。大狼様の毛皮は期間限定と混同してしまうのとプレマーレさんとアンマッチですので今回は避けました。
西に向かう時に使い切った方が良いと思いまして」
「だな。着てる途中でもし消失したら困るし」
「はい。シャツとインナーは上綿とシルク等比の物。下着は各自で御用意を。浄化布が入手され次第他の替えを作成します。
そして…」
作業台の隅に白物家電と大袋が置かれた。
「シルク地でもウールでも丸洗い可能な改良版洗濯乾燥器と袋に入れて置くだけで洗浄が出来る簡易洗濯袋と大切な衣類を守る虫除け付き保存袋を各六枚。
洗濯器の使い方はメリリーさんに伝授してありますので後日レイル様に進呈します」
「出来た子じゃ…」
言われる前に出来る子がここに居ります!
「基本操作はご自宅の物と同じです。排水場所は必要ですが供給水は何とか自力でお願いします。
川に直接流しても環境を汚染しない天然洗剤と柔軟剤は明日お隣から納品予定です。
装備品や革製品は虹玉泉に浸け置きで。他に何かご質問は有りますでしょうか」
「無い無い」
一同拍手で讃えた。
シュルツに星屑3欠け渡し。
「循環装置の基幹部に使えると思う。時計回路の合間に考察してみて。もしも身体や心に違和感や異常を感じたら迷わずレイルに預かって貰って」
「はい。お願いしますねレイル様」
「うむ。洗濯器の礼じゃ。スターレンが金十字をロストせねば先ず以て問題は起きぬがな」
「死んでも無くせないな。小物入れも混雑して来たし…どうすっかなぁ」
と悩んでいると右腕が熱くなった。
久々にルーナを外へ出す。
「常時発動が必須なら金十字と拡散指輪を合成した上で我に合成してみよ。我と其方は一心同体。身体に埋め込むのと相違無い」
「そんなん出来るんすか」
「所持数に限度は有るが出来る。余りフィーネに触れられたくなかったから黙っていた」
正直。
「触ってもいいの?」
「諦める!」
潔し!
「怒らなくてもいいじゃん」
指定された通りに合成後。ここぞとばかりに撫で回し。
「は、早うせぬか!」
「生身に合成するのもこんな嫌そうな顔されるのも初めてだよぉ。でもツルツルで気持ちいぃ」
「あんま苛めてると囓られ」
ガプッと親指。
「いったー。もう無駄に触らないから許してよ」
咬まれた手を振り振り。
「相当嫌なのですね。お姉様でも」
シュルツが出した手を引っ込めた。
指定された首元に金十字を合成。ルーナの身体に吸い込まれるように消え。背鰭の根元から尻尾まで金色のラインが2本走った。
「格好いい。可愛い?どっち?」
「何方でも良い。もっと撫でてくれ」
膝上に乗せツルツル感を独り占め。喉を鳴らして喜ぶルーナは正直可愛い!
懐いてくれると愛着が湧くもんだ。
右手で飛翔の腕輪を取り出して。
「この腕輪。飛べるのはいいけど使い勝手が悪いんだ。小物袋に入れるのも微妙だし。何か良い案無いかな。レイルとルーナが知ってるなら意見を聞きたい」
「うーん…」
レイルは悩ましげ。代わりにルーナが。
「太古の昔…。魔道具よりも魔術を研究する人間の国が在った。当然飛翔の魔術もその一つ。
しかしそれに辿り着いた民は皆」
「気が狂って自害した」
「へ?自殺?何故に?」
「ある者は空気摩擦で焼け死に。ある者は呼吸を忘れ。
ある者は有翼種から翼を剥いで己の背中に縫い付けた。
ある者は飛竜の肉を鱈腹喰らい身も心も砕け散った。
理由なぞ我らには解らない。悪い事は言わない。その制限は付けるべくして付けられた物。
女神が其方に飛行の力を与えないのにも何か理由が有ると思う。例えばこの世界の空には人間種に有害な壁が在るとか。
人間には過ぎた力だと諦めた方が良い」
「翼無しで飛んではいけない…か。しゃーない。これを最大限使える練習に留めるかな」
腕輪をバッグに戻してロイドに尋ねた。
「天空竜の呪いだったりして」
「どうでしょうね。上に問い合わせても答えてくれるとは思えません。天空竜の末裔とは西で嫌でも出会すので聞いてみるのも一案。お話が通じる相手でもないですが」
「じゃの」
「うわぁ。聞かなきゃ良かった」
ソプランの達観。
「まあ人間地べた這い回って耕してるのがお似合いだって事だろ」
「まあねぇ」
所詮人間は農耕狩猟民族だ。
フィーネの合成リバイブの嵐の末。昼を挟んで衣装の配布試着会。
自宅空き部屋に開設された念願の男子ドレスルームでズボンを着用。
前の毛皮INVerの時も思ったが。
「やっぱりピッタリだ」
「天才って凄えな。もしかして鑑定されてる…」
「いやいや流石に…無い…と信じたい」
「まさかな。興奮した時まで計算…」
「止めよう。シュルツを信じよう。それがいい」
「お、おぉ。詮索しても得はねえな」
忘れましょう。
夕食までの余り時間。スフィンスラー迷宮で飛行訓練とメタル分身の実用訓練に明け暮れた。
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さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
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